コンペティション
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1995年 JACA'95 日本ビジュアル・アート展「金賞」受賞(主催/Japan Art and Culture Association 社団法人国際芸術文化振興会)[新宿伊勢丹美術館他]-02(2015年09月06日(日)更新)

受賞作品の被写体は、タカラ・ジェニーでした。作品2点(1,030mmx1,456mm)・(1,030mmx1,456mm)が「金賞」を受賞しました。
キャラクター著作権者等との取り決めにより、作品の公開はできません。
獲得賞金/¥500,000
応募総数/1,589作品 入賞/14作品(15作家) 入選/100作品(100作家)

 

●主催者メッセージ
社団法人 国際芸術文化振興会(Japan Art and Culture Association)として発足した1978年10月以降は、
日本の芸術文化の海外への紹介事業に加えて、海外の芸術文化を我が国に紹介する事業を実施。
諸外国の協力により毎年国内各地で美術展覧会を開催しています。
また、1983年度より新人の発掘と育成を目的とした公募展「JACA日本イラストレーション展」
(1993年より「JACA日本ビジュアル・アート展」と改名)を実施。
同展は海外でも展示を行っており、これまで10数ヶ国、30都市以上で開催しました。

日本ビジュアルアート展はグラフィック作品を対象として(社)国際芸術文化振興会が毎年公募展として開催しています。
広く日本国内に新しい時代を創設する人材を発掘し、育成するためのものですが、
国内はもとより、海外においてもビジュアルアート展を開催し、国際社会に紹介しています。
1996年には日越文化交流の一環としてハノイ市、ホーチミン市両市で各1週間日本ビジュアルアート展が開催されました。



審査員(サイン順)
浅葉克己氏(アートディレクター)
タナカノリユキ氏(アーティスト)
山本容子氏(版画家)
安永幸一氏(福岡市美術館副館長)
布施英利氏(評論家)
建畠晢氏(美術評論家)
原田大三郎氏(CGアーティスト)

●受賞インタビュー(1995年12月)
JACA 1995日本ビジュアル・アート展「金賞」おめでとうございます。まずは、受賞の感想からお聞かせ下さい。

松村隆久(共同制作者)/JACA事務局の方とタナカノリユキさんから電話をいただき、「金賞です」と言われたときには、とにかくビックリしました。
この作品は、ゼラチンシルバープリントに調色剤を使って3年ほど前から取り組んできたものなのですが、
今回認めていただいて大変うれしく思っています。

狩野順/私は松村氏から金賞受賞の知らせを聞いたとき、うれしいと思ったのと同時にホッとしました。
というのも、ここ4年ぐらいの間、全国公募のコンペで受賞することができず、この先制作活動を続けていけるのだろうかと、
正直不安だったからです。

今回、金賞を獲得できた一番の理由は何だと思われますか?

松村/それはもう、審査員の方々のおかげという他ないでしょうね。実は私たち、浅葉克己さんやタナカノリユキさんが審査される
コンペにとても相性がいいんです。
こう言ってしまうと随分受賞しているように聞こえてしまってきまりが悪いですね。選外の方がずっと多いんですから。

狩野/私も審査員の方々のおかげだと思います。
作品がどうこうというよりも、審査員の方々の「解釈のされ方」といったらいいんでしょうか、そっちの方が大きかったんだと思います。

作品のコンセプト、そして、「着せ替え人形」を素材に選ばれた理由をお聞かせ下さい。

松村/作品を創るときには、まず「言葉」が必要だみたいなことをよく聞きます。何をどう表現するかというような・・・。
しかし、私たちにはその「言葉」が無いんです。見事にない。

狩野/自分が見たいものを創る・・・ずっと見続けていたいものを創る・・・。そんな感じですね。
だから、この作品のコンセプトというのは私たちには分からないんです。素材選びについても同じで、理由は言葉としては出てきません。
「見た感じ」としか言い様がないんですね。

審査員の方々から「この作品には内部がない、しかし、そこが良い」というような意見もあったようですが、それについてはどう思われますか?

松村/うまく言えないのですが、作品の重要な部分を見ていただけたんだなという感想です。
私たちが、言葉では表現できない、だからこそ最も大切にしている部分を評価してもらえたようで、とてもうれしいです。

狩野/私も同感です。何かを意図して創りすぎたり、何か狙いがありすぎたり、
表現しすぎたものは、私にとって見たいものではないし、見続けていたいものではないからです。

受賞作品は1人で創ったものが圧倒的に多く、合作というのは少ないわけですが、
共同作業を成功させる為のコツなどありましたらお聞かせ下さい。

松村/1人でも、2人でも、それ以上でも、その事に特に意味はないと思います。コツのようなものは特にないのではないでしょうか。

狩野/そうですね、特にはないと思います。ただ、私たちの調色の方法は複数でやらないと意外に大変で、
そういう意味からすると、複数でなければという必然性がまったくないとは言えません。

制作上で苦労した点などありましたら、お聞かせ下さい。

松村/一番大変だったのは、B倍相当の印画紙に露光できるだけの暗室が必要になったことです。
以前はそういう設備をレンタルする所があったのですが、今はないので結局撮影スタジオを一部改装することになってしまいました。
その他にも、感光乳剤を使った作品を制作するためのB1のパネルが入るバットを特注したり、
作業するための設備に苦労したりと色々ありますが、こういう事をクリアしないと現実的に作品を創れないですからね。

狩野/技術的な面では、調色剤の使い方です。マニュアル通りの使用方法では思い通りの効果を出すことが難しく、
独自の方法を見つけるのにちょっと苦労しました。この方法はヒミツですけどね。

最後に、将来の抱負をお聞かせ下さい。

松村/やはり、制作をし続ける事、そして、それを発表し続ける事ですね。

狩野/今回、このようなかたちで認めていただいた訳ですから、これを支えに、また新たな作品を創っていければと思っています。

どうもありがとうございました。


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