デンマーク、スウェーデンの高齢者保健福祉から学ぶ

                                              デンマーク研究会 関 龍太郎

  デンマーク、スウェーデン等の北欧の高齢者保健福祉政策から多くのことを学ぶことが出来る。著者はこれらの国に何回も出かけ、日本とどこがどのように違うのかについて、検討を重ね、また、日本で生かすにはどのようにしたらいいかについて研究してきた。2000年の4月からは、日本では介護保険がスタートした。島根県においては、大きな問題も指摘されていない。一応順調な滑り出しということが出来るであろう。しかし、今後解決すべき課題はいくつもあるであろう。多くの人が指摘しているように、確かにヨーロッパの国々は、日本と異なる歴史と価値観を持っているので、そのすべてを日本に取り入れることは不可能であろう。日本においても、介護保険制度、障害者プラン、ひとにやさしいまちづくり条例の制定、健康日本21等によって、障害者や高齢者がすごしやすい環境を整備することは重要である。歴史や価値観が異なっても、補助器具(福祉機器)やバリアフリーのための住宅、バリアフリーのまちづくりついてのデンマークの現状は十分に参考になると考えられる。今回はデンマークの高齢者福祉の基本的理念、日本との比較、住民と行政との合意形成のシステムづくりについての近年の動きについて紹介する。
 デンマークは面積43,000平方キロメートル、人口約500万人の国である。面積では九州、人口では兵庫県、北海道、千葉に近い。最高峰でも147メートルであり、山らしい山がない。職業ではサービス業が3分の2を占めている。この国は社会保険方式でなく、租税方式による社会保障を実施している。保健、福祉、教育の経費は原則無料であるが、保育には一部負担がある。税金は所得税をみると、国税23%、県税11%、市町村税平均21%(14−25%)で、54%であり、付加価値税(消費税)が22%である。国民の宗教は、キリスト教のルーテル派であるが、それほど宗教心の強い国民ではないと思われる。デンマークが現在のような福祉国家に何故なることが出来たのかということに注目し、スタディツアーにおいても質問を機会あるごとにしたが、「昔から貧しかったので平等意識が強く相互援助が発達した」「バイキングの考え方であり、船上で働いたので平等意識が強い」「デンマークの民主主義の歴史の成果である」「長期間、戦争がなかったからである」「 育児を社会化した女性が意識をもって社会進出をし、老人福祉を発達させた。その結果、さらに家事から女性を解放した」などが答えであった。
 
1.基本的な理念と高齢者福祉のあゆみ
 デンマークは基本的な理念としては、「基本的人権」を尊重した国である。訪問した際、随所で、デンマークショックを感じた。「高齢者福祉の三原則」「プライエムにおける利用者委員会の意見の尊重」「福祉サービスにおける作業療法士、訪問看護婦の現場決定権」「地方税率が国税率に比較して相対的に高いこと」等において、一人一人の人権が尊重されている国であることを感じた。また、基本的な人権を浸透させる過程において、人々の意見を十分に聞くというシステムで、ものごとの処理がごく自然に民主的に行われている。 すなわち、「民主主義とは何か」についても、学ぶべきことを多く持った国である。
デンマークの「高齢者福祉のあゆみ」をみると表1、表2のようになる。ノーマリゼーションという考えを強く打ち出した「1959年法」が、59年にバンク・ミケルセン氏によって起草されている。日本が高度成長政策をとり、農村人口の減少し始めた64年には、プライエム(デンマークでは特別養護老人ホームをこのように呼んでいる。また、障害者も一緒に入所している)の建設のガイドラインを厳しくし、その結果、公的なものが増え、個人経営のものが減少している。内容的には、個室が増え、15平方メートル以上、バストイレ付きになっている。68年には「高齢者年金者福祉サービス法」が制定され、老人福祉の基本的な考え方が「慈悲型福祉」から「ケア型福祉」になっていく。70年には市町村自治体の合併が行われ、1,388の自治体が277になる。このことによって、地方の力を強くした。74年には、ホームヘルパーを制度化する「生活支援法」が出来る。79年には、高齢者福祉の三原則(自己決定、生活の継続性、自己能力の活用)を決めた「高齢者問題委員会」の設置。85年には「フリーコミューン法」を国会に提出。しかし、デンマークでは、既に、一定程度のことが、地方に分権化されていたため、スウェーデンのようには、この法律を根拠にしての動きは多くは見られていない。87年には国の市町村への補助金行政を原則的に廃止し、その予算を交付税に振替。88年にはプライエムの新設をやめ、これらのことにより、「ケア型福祉」から在宅を重視した「自立的な福祉」に転換している。この結果、市の各圏域ごとに、統合ケアシステムの拠点として「高齢者総合センター」を建設していくこととなる。プライエムは減少し、87年に5万あったベットが、98年には3万5千ベットに減少している。92年に始めてコペンハーゲン市に導入された低床バスも、94年には300台となっており、2002年には全部のバスを低床バスにするといっている。このことは住民にとってよいものは、ただちに拡充するというデンマークの「合理性」を物語っている。94年からはホームヘルパーの派遣会社に時間給の半分を国が補助している。派遣会社が零細なものが多いためにとられた措置であり、97年の議論でも継続が決定している。必要なものには予算を投入するというデンマークの考えがみられる。80年頃から、みられはじめた「24時間の在宅ケア体制」は95年頃には、全市町村に拡充されている。さらに、95年頃からは、高齢者ケアーサービスを民営化という動きがみられており、98年にはキーライエ市等で、競争入札すらみられている。民営化といっても、経費は公費が負担する形である。しかも、隣国のスウェーデンの企業の進出もみられており、ヨーロッパ連合のなかで解決すべき課題も今後は増えていくことが推測される。さらに、98年からは、社会サービス法により、住民の参画を拡充した「高齢者審議会」の設置が義務づけられるとともに、福祉サービスに対して、「品質管理」が行なわれている。例えば、ホームヘルプサービスの品質管理の目標を少なくとも年一回、市民に対して明示することとなっている。
 このようにデンマークでは、高齢者福祉の三原則(自己決定、生活の継続性、自己能力の活用)を重視した政策が具体的に推進されている。
 これらの結果は、多くの成果と課題を生み出している。
 成果としては
@高齢者福祉サービスを、これまでの市役所を中心とした中央集権的なものから、市を数圏域に区分しサービスを各圏域で行なうようにする(例えば、人口3万のホルベック市で5圏域、ネストベッズ市で7圏域)。各圏域にプライエム、ヘルパーステーション、デイサービス等の機能を統合した「高齢者総合センター」をおくことにより、施設と在宅の壁を取り除くことができ、施設の寮母を地域のヘルパーに活用する等により、「柔軟性と経済性のよい福祉サービス」が提供できるとともに、圏域おいて、多くの課題が解決できるようになった。
A「高齢者審議会」の設置等により、高齢者自身の行政への参画の機会を増やし、自分でサービスを選択する権利を持つようになり、基本的人権がより尊重されるようなシステムを構築した。
B広くて近代的でしかも障害をもっても、自立して生活することが可能な設備・条件を備えた「高齢者住宅」が全国的に普及し、プライエムの個室より、高齢者の「住」の質が向上した。
C看護とか介護にあたる職員が施設と在宅の両方の学習を実践的にすることが出来、業務の質が向上した。
 
 一方、今後の課題としては
@在宅ケアーのサービスが非常に合理化され、また障害度の高い高齢者も在宅でケアーでカバーするようになったため、介護や看護者の負担が非常に大きくなり、高齢者一人一人に対する人間的な触れ合いが持ちにくくなった。
A施設と在宅の「統合ケアシステム」が進み、多くのプライエムが「集合高齢者住宅」と「多機能福祉サービス施設」の両方の要素を持つようになったため、多くの高齢者が出入りするようになったため、プライエムが静かなとこでなくなった。
Bプライエムを減らし、高齢者住宅を増やす政策をとったため、身体的な障害者にとっては、施設での共同生活を選択することを難しくした。
C民営化については、多くの自治体が「福祉」は公的機関が行うという考えから躊躇しているが、一部で民営化が行なわれてきている。今後、ヨーロッパ連合との関係もあり、検討が必要である。
 
 これらの課題を解決する試みもいくつか準備されている。なかでも、「高齢者審議会」は、高齢者福祉に対する国民一人一人の意見を十分聞き、今後に反映するとともに、場合によっては一人一人の考え方をも改革しようとする「システム」である。つまり、福祉サービスを受ける側の者も、それを支えている側の者も、皆がもっと個人の責任を自覚し、積極的に社会に働きかけていく必要性が容易している「システム」である。
 いずれにしても、財政的に厳しくなるなかでは、デンマークの福祉も、前途多難である。ただ、デンマークの特徴としては、よりよい高齢者福祉をめざして、常に制度を、みんなの合意で動かしてきていることである。それも、財政的にも確立した地方自治のなかで行われている。
 デンマークの高齢者福祉従事者は、自治体の福祉事務職員を除いて、89年は86、317人が98年には93,899人と7,682人増加している。しかし、国内総生産に占める高齢者サービスの費用は2.38%から2.17%と減少している。7,000人以上の人件費が増えたにもかかわらず、率ではこうした減少が可能になったのは、高齢者福祉サービスの運用が、それまでよりは遙かに効率的に改革されたことを示している。具体的には 従来は在宅ケアと施設ケアの組織や予算が別になっていたので、相互の資源の活用もされず、効率が悪かった。89年頃からの施設と在宅を一体化して、運営するという「改革」で年間一人あたり600万円(3万クローネ)ほどかかる施設ケアの人的資源を在宅にも活用出来るようにしたための経済効果がみられている。
 1998年1月には、9万3千余りの高齢者福祉従事者の67%の6万3千余りは、統合した制度で働いている。したがって、97年の65歳以上のデンマーク人は78万人であり、65歳以上の1000人当たりの高齢者福祉の従事者は120人である。全ての人口では1000人対18人となる。人口5000人の町では90人、1万では180人、10万の市では1800人となる。統合ケアシステム6万人、プライエム・デイホーム1万8千人、ホームヘルパー8千5百人、デイセンター1千7百人等である。近年の改革によりプライエム等の施設のみで、働く人が減り、在宅と施設を統合した「統合ケアシステム」で働く人が増加している。
 
2.デンマークと島根県益田圏域における介護サービスの比較
 島根県は、平成4年度に12年度当初の目標を定めた「島根県老人保健福祉計画」を策定した。12年度当初の整備状況は、施設サービスでは特別養護老人ホームでは目標の2900床、老人保健施設では1320床に対して、それぞれ2950床、1375床であり、達成率は119.1%、124.6%である。また、在宅サービスでは、ホームヘルパーは1302人、デイサービス、デイケアは126ヶ所、ショートスティ581床、訪問看護ステーション45ヶ所、ケアハウス500人に対して、それぞれ、1216人、169ヶ所、688床、53ヶ所、412人であり、達成率は93.4%、134.1%、118.4%、117.8%、82.4% である。
平成12年3月に策定され、16年を目標年次とした「改訂島根県老人保健福祉計画(いきいき長寿21)」では、高齢者人口も185,434人(高齢者率24.3%)から192,825人(25.7%)に、要援護老人27,176人から29,781人に増加することから、表4のような新たな目標を掲げている。これによると、平成16年までに、介護老人福祉施設は519床、介護老人保健施設は569床、介護療養型医療施設は307床、計1395床の施設と、訪問看護員2483人、訪問看護ステーション87ヶ所、通所介護施設124施設、短期入所専用ベット444床、痴呆対応型グループホーム39ヶ所等の充実が計画されている。
 次に、日本とデンマークを比較してみよう。しかし、制度の違う両国を比較することはきわめて困難であるが、ここでは、あえて、比較を試みた。具体的には、デンマークの3つの市と人口の比較的近い益田圏域を比較検討した。近年、デンマークは施設と在宅を統合的なケア体制で運営しているので、職種別、施設別のデーターを得ることは、これまた困難になってきている。ここでは、1989年のデーターではあるが、詳細の資料のあるグラスザックセ市、ホルベック市、ネストベッズ市と2000年の益田圏域のデーターをもとに考察する。なお、表3でみてきたように、デンマークの3市は98年は89年より、多くのスタッフが働いていると推察できる。u益田との比較
 まず、施設であるが、益田圏域の2000年をみると、特別養護老人ホームは5施設290ベットである。これは、65歳以上人口の1.43%にあたる。このほか、老人保健施設149ベット、療養型病床群(介護型)175ベットあり、合計すると614ベットとなり、3.0%となる。デンマークの場合、療養型病床群にあたるものは医療の中に「慢性疾患病床」として位置づけられているので、別にカウントされることとなるが、日本の特別養護老人ホームに似た「プライエム」はグラスザックス市526ベット、ネストベッズ市329ベット、ホルベック市252ベットであった。しかし、89年以降、在宅重視の施策がとられ、減少傾向にある。65歳以上人口に占める率は、それぞれの市で、7.2%、4.6%、5.7%となる。
 日本の場合、国は高齢者人口に占める特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群の合計の利用者数の割合を3.4%と参酌標準に示しているが、島根県の場合、平成12年度で、3.27%、16年度で3.85%としている。益田圏域では、12年度で2.89%(582ベット)、16年度で3.90%(791ベット)である。利用率が100%でないので、ベット数は利用者数より多く、12年度3.1%(614ベット)、16年度で4.1%(836ベット)である。
すなわち、デンマークの.それぞれの市は、7.2%、4.6%、5.7%に対して益田圏域は2.89%である。デンマークは益田圏域の1.5倍から2.5倍である。デンマークでは3割減少していると考えられるので、1ー1.8倍と推察される。
 以上の結果、2000年に確保されているベットの数は、日本はデンマークの1.5倍程度である。もちろん、これのみで論じることは出来ない。さらに、医療施設の現状、高齢者住宅やケアハウスの現状の中であわせ論ずるべきことであろう。なお、痴呆対策については、デンマークにおいても大きな課題であり、6−10人を7−8人で見るという「グループホーム」方式になってきている。
 
 次に、在宅の現状をみてみよう
 在宅ケアでは、まず、ホームヘルパーの数をあげるべきであろう。グラスザックス市279人、ネストベッズ市296人、ホルベック市122人であり、それぞれ、65歳以上人口の3.9%、4.2%、2.8%である。デンマークの場合、大部分の市で「24時間在宅ケア体制」が
とられ、実施されている。本人が選択すれば1日5−6回でも、ホームヘルパーは、生活を援助している。益田圏域の2000年のヘルパーは81名であり、これは65歳以上の人口の0.4%にあたる。デンマークのヘルパーは益田圏域の7−10.5倍である。デンマークの数字は1989年であるが、その後、施設のスタッフが在宅に活用されているので、実動人数では増加していると推察出来る。98年に在宅と施設の合計した高齢者福祉部門の従事者数があるがグラスザックセ市で1208人、ホルベック市で541人であり、プライエムとか在宅で働く人は減少していない。前述したように、高齢者福祉の従事者はデンマークでは人口1000人あたり18人、65歳以上人口あたり120人である。
 日本の場合は、在宅の生活を支援するという基盤が弱いことに加えて、1割の利用料もいることから、本人が希望しないものも多いとされている。益田圏域の要援護老人は平成12年は2360人、平成16年は2547人であるが、訪問看護を希望するものの割合は、平成12年29.3%、13年33.3%、14年37.4%、15年51.6%、16年62.0%である。介護保険のスタートした平成12年は3割をきっている。このことは、訪問看護、通所介護、通所リハビリテーションにおいても同様の傾向を示している。特に、訪問リハビリテーションの取り組みは遅れており、平成12年度は供給量は必要量の2.6%、16年度でも、43.0%に過ぎない。
 以上の結果から、高齢者を支える基盤が、デンマークと日本では、特に在宅において、かなりの格差がみられることが明らかになった。
 
3.行政と高齢者の合意形成のシステム
 いまひとつの、デンマークの最近の特徴として、市民参画を促進する「システムの構築」がある。プライエム(特別養護老人ホーム)における「利用者委員会」を充実し、社会サービス法により、地域の課題を審議する場として「高齢者審議会」を設置されたことは、すでに述べたが、介護ニーズの判定においても、高齢者本人の参画がされてきている。かっては作業療法士、看護婦が、さらにそれ以前には、事務職員が一方的に決めていた「ニーズ判定」を、現在では専門職の訪問看護婦と高齢者の本人の対話の中で行なわれるようになった。ニーズの判定の方法はデンマークの各自治体によって異なっている。判定に使用する用紙も異なっている。担当の訪問看護婦が30分から1時間かけて高齢者の自宅を訪問し、話し合いながら情報収集し、その場でどのような支援サービスを、何曜日のどの時間帯に、どれだけのサービスを提供するかを決定する。あとは、利用者の状況によって臨機応変に対応する。変化がない時でも、半年に1回は見直しを実施する。このように、行政と高齢者本人の「合意形成のシステム」が確立してきている。
 「合意形成のシステム」のほかにも日本と異なる点がある。すなわち、日本の場合は「介護認定審査会」で介護度が認定され、介護度によって居宅介護支援事業(ケアプラン作成事業者)から専門家である「介護支援員」によってケアプランが作成される。プランを、それぞれのサービス提供者に示し、サービスが提供される。見直しは半年に一回でデンマークと同じある。デンマークでは第一線の訪問看護婦、作業療法士が、どのようなサービス、どれだけ、いつするかの、決定権が任されている。また、このほかにも、いくつかの点でデンマークで試みられ、日本で参考になるものがある。例えば、ホルベック市の東地区では、入居者のサービスの利用料の支払方法で特色がある。もちろん、従来のようにパッケージとして、月2600クローネ余り(52000円)を支払ってもよいが、自分の利用したサービスのみを支払うという方法が出来たことである。そのための、表6のような料金表が定められている。これ以外に家賃と光熱費として1000−2500クローネほどを支払う。このように、一人一人に費用面においても、自分の金を支払うという意識を持たす試みがされている。これは、各自の部屋に各自の表札をおくとか、各自の部屋に新聞を新聞配達の人に配達してもらうシステムにするとか、年金は一度は必ず本人に渡すとかと共通した「システムの構築」である。
 また、近年、公的サービスの品質管理のことも、確立してきている。「社会サービス法」によって、275の市町村は、高齢者福祉で提供されるホームヘルプサービスの品質目標を少なくとも年に一回市民に明示しなくてはならなくなっている。このことを明記した「パンフレット」の作成過程に「高齢者審議会」のメンバーが参加している。例えば、ホルベック市では、掃除サービス、身体的介護、配食サービス、移送サービス、洗濯サービス、緊急警報、デイセンター、地域総合センター、リハビリテーション等の品質管理のパンフレットが作成されている。表7、表8は掃除サービスと個人的介護サービスについてのパンフレットである。例えば、掃除サービスのパンフレットには、表7に見られるように、@サービスの目的、A誰がサービスを受けられるか、Bどのような支援をうけられるのか、C普通の掃除とは、Dどれだけのサービスを受けられるのか、Eホルベック市義務、F利用者の義務、Gいくらかかるか、が表のような内容で書かれている。このように、一種の契約行為を通じて行政が高齢者と合意形成するシステムがつくられてきている。日本においても、ホームヘルプサービスといっても、どのようなサービスを、どの部分まで、月にどのくらいの回数、いくらかかるのか、等をはっきりすべき時がくるであろう。その時、デンマークの近年の動きは参考になるであろう。
                         参考文献
1)エイジング総合研究センター;先進国における最近の高齢者対策、東京、1999.
2)小島ブンゴード孝子ほか;福祉の国からメッセージ、丸善、東京、1997.
3)ハラール・ボルデシュハイムほか;北欧の地方分権改革、日本評論社、東京、1995
4)関 龍太郎;デンマークの高齢者福祉の構築、松江、1994.
5)島根県;島根県老人保健福祉計画(いきいき健康長寿21)、松江、2000
6)島根県;島根県益田圏域老人保健福祉計画、松江、2000

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