スラムダンク風NBA用語辞典
B
· 「buzzer beater(ブザービーター)」
第1〜第4クォーターまで12分ずつあるゲームの中で、各クォーターの終了時に鳴る
ブザーと同時にゴールを決めること。残り10秒を切ってからの最後のオフェンスでは
チームのエースにボールを渡し1on1をさせることが多いが、1秒を切るタイミングで
シュートを放つとボールが空中にある間にブザーが鳴る。その効果音を破るようにして
バスケットボールがゴールネットに吸い込まれることからブザービーターと呼ばれる。
意外とスラムダンクではブザービーターに挑戦するプレイは少なく、最終巻の桜木が
ブザービーターを決める場面は無音演出ではあるがそういうシチュエーションである。
C
· 「clear pass foul(クリアパスファウル)」
自分よりも前方をドリブルで走っている選手に抱きつくなどをして、ファウルを侵すこと。
主に速攻を止めようとするシーンで吹かれることが多く、また判定が微妙なケースが多い。
しかしフリースロー2本に加えて相手ボールで再びオフェンスが再開されるため、結果として
通常のファウルとなる場合とクリアパスファウルを宣告される場合ではかなりの開きがある。
深津のインテンションとして名高いインテンショナルファウルが今はこの名称となっており、
宮城にフリースロー2本が与えられただけでなく、深津の戸惑う表情や会場の雰囲気からも、
確実に湘北に流れが来ていることを象徴するようなシーンであったことは伺うことができる。
· 「clutch shooter(クラッチシューター)」
試合終盤の重大な局面において真価を発揮し、確実にシュートを決める選手のこと。
クラッチな働きをするともいい、また野球の世界ではクラッチヒッターと呼ばれる。
NBA中継の解説によればクラッチシューターと言えばセルティックスのレイ・アレンが
NBAでもNo.1かもしれないと語っていた。歴代2位の3ポイント成功数を誇るシューター。
湘北でクラッチシューターと言えば2度の陵南戦で2回ともクラッチショットを決めた
メガネ君こと木暮は外せないと言っていいだろう。仙道や牧も意図的に描かれている。
Pure shooterである藤真にもゲーム終盤においてクラッチな働きが求められていたが、
土壇場ではシュートセレクトを花形や4ファウルの桜木をマークする高野に預けていた。
監督不在という翔陽のウィークポイントを浮き彫りにする作者の演出だったと思われる。
F
· 「flegrant foul(フレグラントファウル)」
通常のファウルよりも悪質であると判断された場合にコールされるファウルの一つ。
相手チームにフリースローが与えられる。またflegrant foulにもさらに2種類あり、
極めて重大であると判断されればflegrant2が宣告され、いわゆる一発退場となる。
三浦台戦において村雨の頭上にダンクをぶちかました桜木は退場を宣告されたが、
赤木「ディスクオリファイイングファウル?」審判「いや5ファウル」とあるので
当時のDisqualifying foulが今のflegrant foulに該当すると考えていいだろう。
ちなみに私は連載当初5ファウルを「ごふぁうる」と読み語呂が悪いと感じていたが
実際はファイブファウルと読むことが最近分かった。友人に感謝するばかりである。
· 「from downtown(フロムダウンタウン)」
各クォーターの残り数秒というところでボールを得た時に、自陣ゴール下付近から
相手ゴールに向けて両手でシュートを放り投げること。リングに当たれば良い方で、
恒例行事に近い。下町から都心部へ向けてという意味でfrom downtownと呼ばれる。
海南戦の前半終了間際に清田信長が自陣ゴール前から放り投げるようにしているが、
自身が流川を抑えられなかった腹立ちをぶつけているようでシュートとも言い難い。
少し進んでコート中央あたりから放ったシュートが稀に入ってしまうことはあるが、
シュートを放った時点がブザーの鳴った後であることが多く、得点になる事は少ない。
M
· 「Mr.everything(ミスター・エヴリシング)」
パワーフォワード兼センターの役割としてもNBAをリードする存在でありながら
3ポイントラインに近い距離からのミドルレンジも得意とするケビン・ガーネット。
あらゆる面でのプレーで要求に応えることからミスター・エヴリシングと呼ばれる。
強固な守備力から繰り出されるブロックショット、リバウンドでゴール下を支配し
07〜08シーズンのdefensive player of the year(最優秀守備選手)に選ばれた。
「赤木のやつ、フリースローが上手くなったな…」ともらした三井の言葉に加えて
花形のフェイドアウェイ・ジャンプショットができるようになればイメージに近い。
丸ゴリこと河田雅史がミドルレンジを中心に仕掛けてくる図を想像してもいいだろう。
· 「Mr.technical foul(ミスター・テクニカルファウル)」
審判への暴言や侮辱行為を働いた場合にコールされるのがテクニカルファウルで、
相手チームにフリースローが与えられる。選手間同士ではなく対審判への行動が、
更にコーチも対象として当該試合の得点に直接影響を与えるという考え方は珍しい。
そのテクニカルファウルを毎年大量に受けるピストンズのラシード・ウォレスには
ミスターテクニカルファウルの称号が送られており、観客席に座っていた女の子が
「Rasheed smile, Rasheed」というプラカードを持ち応援していたこともあった。
また年間82試合の中でテクニカルファウルが16回累積すると出場停止が課されて、
以降は2つ累積する度に1試合の出場停止となる。例年シーズン終盤のウォレスは
このテクニカルファウルの累積による出場停止のため全試合出場が果たされない。
O
· 「OF24s over time(オフェンス24秒オーバータイム)」
オフェンス側は攻撃開始から24秒以内にシュートを放たなければならないルールで、
放ったシュートがゴールリングに当たった場合は時間のカウントがリセットされる。
シュートがリングに当たって外れる→オフェンスリバウンド→再び24秒の攻撃開始と
なればオフェンスループも可能で、安西先生の言う「4点分の働き」も過言ではない。
「陵南はディフェンスの良いチームだからだ」とあることから陵南のお家芸でもあり、
当時は30秒制限だった。桜木が付いている池上のところがちょくちょく空いている
湘北ではもちろんのこと相手オフェンスをオーバータイムに追い込めたことはない。
また残り14秒を切った状態でディフェンス側がファウルをすると14秒まで戻るので、
ディフェンスの良いチームはファウルをしないという事の証明になるルールでもある。
T
· 「tear drop(ティアドロップ)」
ドリブルで遠めからレイアップシュートに持ち込む際に、相手のブロックをかわすため
バスケットボールを空中高く放り上げてゴールを狙うこと。涙が落ちてくるようにして
ボールがネットに吸い込まれることからtear drop(涙が落ちる)シュートと呼ばれる。
いわゆる山王の沢北シュートであり、桜木にはへなちょこシュートと名付けられていた。
スパーズのトニー・パーカーが得意とするシュートではあるが割と使用する選手が多く、
成功率に関しては選手個々の習熟度によって様々だが技術的には汎用性があるらしい。
終盤では恐らくはその試合で初めて目の当たりにしたであろう流川にも真似されていた。
· 「THE ANSWER(ジ・アンサー)」
NBAを代表するポイントガード、アレン・アイバーソンの異名。76ers、ナゲッツを経て
現在はデトロイト・ピストンズに所属している。個人的にはかなり好きな選手の一人で、
西山スープレックスの黒田評にもあるように「必ず良い試合を見せてくれる選手」であり、
強い相手に勝利したかと思えば弱い相手にも苦戦する幕ノ内一歩的な不思議な印象がある。
保存しているNBA中継にもナゲッツ戦のものは多い。クイックネスでは右に出る者はなく、
同じガードのプレイヤーでもついていけない。1on1を観ているだけで楽しませてくれる。
スラムダンクで言えば大阪代表大栄学園のエースガード土屋淳に近いのかもしれないが、
正直なところ岸本の「勝負せんかい、土屋ぁ」の印象しかないので判断は尽きかねる。
· 「touchdown pass(タッチダウンパス)」
アメフト用語のタッチダウン(サッカーにおけるゴールのようなもの)を引き合いに出し、
ボールを奪うなどして速攻に走っている選手にロングパス、即ゴールに結びつけること。
一本の縦パスでゴールを奪うことからタッチダウンパスと呼ばれる。強固なディフェンスに
裏打ちされた速攻があって始めて成立するプレイでもあり、試合開始時のジャンプボールで
赤木が宮城に落とし、速攻で前を走る流川に縦パス1本という湘北のお家芸によく似ている。
ただし池上が桜木に「中学レベルが!」と言われたこともあったように、モーションの大きい
ロングパスゆえに失敗することも多く、その場合は一転して数的不利の状況が作られてしまう。
· 「triple double(トリプルダブル)」
得点、リバウンド、アシスト、ブロック、スティールなどのゲーム個人成績において3部門で
2桁以上の数字を叩き出した際に讃えられる言葉。2部門であればdouble doubleと言われる。
通常は得点にリバウンドとアシストの組み合わせとなることが多く、ガードの選手であるなら
リバウンドにも強いこと、フォワードの選手ではアシストパスに優れていることが要求される。
前者では歴代2位のトリプルダブル回数を誇るマーベリックスのジェイソン・キッドが有名で、
「Mr.triple double」という愛称を持っている。後者ではキャバリアーズを引っ張るKINGこと
レブロン・ジェームズあたりが代表格で、そのプレースタイルは極めて牧伸一に近いものがある。
尤もチームのエースと呼ばれる選手であれば20点前後のスコアは黙っていても叩き出すもので、
それにも関わらずキッドは得点が足りなくてトリプルダブルを逃すことが多い稀有な選手である。