2007 夏の甲子園にコメントを出すページ
8/22 佐賀北 5−4 広陵
ボール。満員の観衆で異様な雰囲気に包まれた球場がどよめく。
みなある種の期待感を抱きながらグラウンドを見つめている。
その圧迫感に球審まで乗せられてしまっては話にならないが、
外角低目の絶妙なコースに決まるストレートに手が上がらない。
押し出し。真ん中に入ったスライダーを逆転満塁ホームラン。
そうそう起きない決勝戦でのミラクルは観客を感動に包んだが、
試合後の妙な後味の悪さは球審の不要な演出感によるものだ。
8/21 広陵 4−3 常葉菊川
8回裏1死2塁、2−2から低目の高速スライダーに手が止まる。
フルカウントから再びスライダーが甘く入り、1点を返した。
130q台中盤のストレートに130q台に迫る高速スライダー。
広陵野村に2桁の三振を喫しながら、ようやく兆しが見える。
9回裏ツーアウトランナーなしからの3連打で2点を返したが、
いずれも追い込まれてから甘く入るスライダーを打ち返した。
ストレートは捨てている。最後は覚悟のスライダー勝負で、
低目に決めることのできた広陵野村の方に軍配が上がった。
8/19 佐賀北 4−3 帝京
19 2/3+8=27 2/3。佐賀北のエース久保の投球回数だが、
そのまま甲子園での無失点継続中のイニング数でもある。
しかし甲子園登場時、佐賀北のエースは左腕馬場だった。
1回戦を完投勝利で飾り、2回戦も先発。結果再試合となる
このゲームで初登板の久保が6回から15回まで投げ切った。
今日の試合でも先発したのは左腕の馬場で、6回から登板。
延長でスクイズを2度も防いだグラブトスは見事だったが、
彼の持ち味は右打者の内角一杯に正確に投げ込む制球力。
かつて桐生第一で正田樹が持ち合わせたコントロールだ。
8/17 楊志館 6−3 開星
大量点は小さくても何らかのミスが重なって起きるという。
逆に言えば守備の堅いチームは野球における重要な要素、
最少失点で止めるという技術を持っていることになる。
開星の先発吉田は9四球を出した緒戦とはうって変わって
制球が良くなった。連打は四球の代わりだと思えばいい。
問題は1点を取られた後の暴投や、キープレイヤーである
ショート内田のタイムリーエラー等で流れを逸したこと。
その後の反撃を見るにしても、「あそこで止めておけば」
と誰もが思うだろう。そこには明確な技術の差が存在する。
8/16 広陵 14−2 東福岡
バントと盗塁を偏重する高校野球で一つ珍しいことは、
相手の嫌がるような野球を積極的にやろうとしないこと。
バスターもエンドランもサインが出てるのを見かけないし、
漫画のようなトリックプレーなどはもってのほからしい。
2回表に4点を追加した広陵。その途中1死1,2塁の場面で、
2-1と追い込まれたバッターが突然バントの構えを見せる。
この場面で送ることはないから、投球と同時にバスター、
そしてボールだと判断して見送り。3度繰り返して四球。
投手にプレッシャーを与えながら、ストライクが来れば
いつでも打ち返せるという意思表示をしているに等しい。
相手が嫌がる野球を実践している広陵のスキルが見えた。
8/15 智弁学園 5−2 仙台育英
確かにおかしくなったのは5点を取られた5回裏のみ。
だが先頭打者に対しボールが外に高めに逃げていき、
明らかにフォームが乱れていたところにつけ込まれた。
本人が語る悪い癖というのは、フォームが乱れた時に
小さく小さく投げようとして棒球が真ん中に寄ること。
満塁のチャンスで打席に入った智弁学園の1番佐藤は
すーっと真ん中に入ってきた直球を見逃さなかった。
球を置きに行ったと自覚しているからこそ悔いが残る。
仙台育英の佐藤由規。来年からは楽天が待っている。
8/13 開星 3−1 徳島商
開星吉田のサンデーボールは縦に割れるカーブだが、
昨夏の甲子園では終盤多投したカーブを狙い打たれて
逆転負けを喫した。今年もその生命線は変わらない。
ただ予選大会から見ていて思うことは、左打者に対し
膝元にカーブを沈めるための制球を磨いてきたことで、
ここに決めれば打ち取れる、という自信を身に付けた。
良いプレーを見せていたのは核弾頭のショート内田。
三遊間深いところの当たりを取り2塁でフォースアウト、
火の出るような鋭い当たりを体で止めて1塁に送球など、
随所で難しいゴロを捌き確実にアウトを増やしていた。
8/11 広陵 5−4 駒大苫小牧
駒苫の魅力は枠にはまらないプレイスタイルにある。
1番バッター小鹿の足を高く上げ振り子のように打つ
楽天磯部のような思い切りの良いスイングもそうだが、
一塁手武田のカメラマン席に飛び込むファールフライも
飛び込む寸前で体が止まりすっと手が伸びる。上手い。
6回表1死2,3塁から広陵1番櫟浦がセンターに弾き返す。
2塁ランナーを刺し同点を阻止した駒苫のセンター菊池。
櫟浦もセンターの守備位置で再三の好守を見せており、
両チームのキーマンである中堅手が試合を飾っていた。
8/10 新潟明訓 1−0 花巻東
新潟明訓のエース永井が毎回の14奪三振で5安打完封。
縦割れの変化球が制球良くボールゾーンに消えていく。
140q台のキレの良い直球がありながら頼ることはなく、
カウントを整えると縦割れの変化球で切って落とした。
高校野球というとバント練習の方がバント守備よりも
先行しているためにバント成功率が高いという話だが、
この両チームに限ってはともにフィールディングが良い。
荒れた試合が多い中非常に締まったゲームが見られた。
8/9 仙台育英 4−2 智弁和歌山
スライダーでストライクをよく取れるようになった西山、
という表現がぴったり合いそうな仙台育英の佐藤由規。
立ち上がりが悪いことをバッテリーが自覚しているため、
走らない直球を見せ球にスライダーで三振を奪っていく。
7回裏1死1塁、同点の場面で左中間を破る打球が飛んだ。
左中間最深部でボールを取ったレフトがショートに中継、
浅いレフトフライ辺りの位置から遠投してホームで刺す。
リプレイで見ても無駄のない見事な中継プレーを見せたが、
8回表には佐藤由規が鬼気迫る投球で流れを引き止めた。
8/8 佐賀北 2−0 福井商
投球フォームは広池そっくり、佐賀北の先発左腕・馬場。
サイドハンドからヒジを畳まずに繰り出すスライダーは
右打者の遠い遠い外角からストライクゾーンに滑り込み、
左打者には更に手の届かない外角低目へと落ちていく。
時折見せる左打者へのインスラは逆球の産物なので、
左打者に当たる特有の角度からインコースに入っていく
いわゆるインスラの使い手というわけにはいかないが、
右打者に強い左腕は全盛期の藤田宗一を彷彿とさせる。