2006 夏の甲子園にコメントを出すページ
 
 8/21() 早稲田実 4-3 駒大苫小牧
 
5回表21,2塁から投じた外角低目の144kmのストレート。ボール。
この1球は残り少ないはずの斎藤のスタミナを更に削っただろう。
もうボール半個外れただけでも球審の右腕は上がることはない。
そして同じコースから鋭く落ちていくスライダーで空振りを取った。
 
すでに斎藤の相手は駒大苫小牧のバッターではなくなっていた。
球審が斎藤との駆け引き、その判定を楽しんでいるかのようで、
ストライク判定も含めてアマチュア野球の審判としては失格である。
序盤に変化球の制球が定まらない駒大の田中は蚊帳の外にいた。
 
2日間24回を戦いながらも駒大苫小牧の集中打が出なかったのは、
ピンチになると球速も制球も上がる斎藤の投球術の一言に尽きる。
ネクストバッティングサークルでしっかりとタイミングを取っていても、
打席では球速が10kmも上がりスライダーは決して甘く入ってこない。
 
逆に早稲田実業の4点はすべて2アウトから放ったタイムリーだった。
12塁から22塁になった直後に、すーっと入ってくるストレートを
積極的に弾き返したのは、駒大田中の不注意に上手くつけこめた。
斎藤は駒大4番の本間を2日間で8打数ノーヒット。流れを止めていた。
 
 
8/20() 駒大苫小牧 1-1 早稲田実
 
この2人の投手には高校野球のストライクゾーンなど必要ない。
駒大苫小牧のエース田中と早稲田実のエース斎藤の投手戦。
延長を過ぎても巧みなスライダーと直球の出し入れの投球術。
それを球審がきっちりと見極め、結果凡打の山を築いていく。
 
1つ目のターニングポイントは6回裏無死12塁の早実の攻撃。
スリーバントとなった犠打が投手と捕手の間に小フライになる。
ここで2塁ランナーの飛び出しが見事。落ちると判断した早さが
捕球したキャッチャーがサードへ送球することを許さなかった。
 
2つ目のターニングポイントは11回表1死満塁からの駒大苫小牧。
1-1のカウントから選んだスクイズはスライダーの前に空を切る。
ワンバウンドしたボールを捕手が落ち着き払ってサードへ送球、
駒大苫小牧絶好のチャンスは捕手の配球と送球の前に潰えた。
 
この試合3つ目のターニングポイントは14回表の早実の守りか。
12塁から9番小林が放った打球は強いセカンドへの当たり。
セカンドは壁になった。解説は動きが固いと酷評していたが、
軽く取りに行けば弾く当たり。確実に前に落としアウトにした。
 
15回表2死ランナーなし。4番本間を迎えた早実のエース斎藤。
初球に144km。これはラストバッターへの戦いの意思表示だ。
ボールだがこれほど気合の入ったボール球は見たことがない。
ノースリーから147kmで追い込むと、最後はフォークで締めた。
 
8/16() 日大山形 11-10 今治西
 
延長12回を数えてもゲームの終わりがなかなか見えてこない。
両投手の生命線である外角低目へのスライダーにくるくる回る。
こういう試合にケリをつけるのはエラー。失策した方が負ける。
13回の表、11,3塁。強烈な打球がショートを襲ったが、正面。
捌いてセカンドへ送球するがそこは2塁ベース上ではなかった。
13回の裏、日大山形は積極的な打撃で1点を返して無死2,3塁。
ここで出たのはワイルドピッチ。事実上これでゲームは終わった。
 
8/15() 駒大苫小牧 10-9 青森山田
 
二死。ツーアウト。圧倒的に優位に立てるのは守っている方で、
どんな形でもあと1つのアウトを取りさえすれば攻撃が終了する。
当然打者の方には自分の凡退=チャンスが潰えるということから
プレッシャーがかかり、見極められるはずの球も見えなくなる。
逆に二死から点を取れるチームは精神的にも技術的にも強い。
722塁。8223塁。921塁。終盤の勝負所において
いずれも確実にランナーを返した駒大苫小牧が一枚上手だった。
 
8/14() 熊本工 5-3 天理
 
ここまで1点の重さを感じる試合は今大会初めてのことだった。
常に先行され追いついてきた熊本工が勝ち越したのは9回表。
しかし勝負のアヤは8回裏に天理がチャンスをつぶした場面。
13塁からスクイズに失敗すると、打ち上げてしまったフライを
熊本工の三塁手がファールグラウンドでぽとりと落としてしまう。
明らかに何かが起こりそうな雰囲気が甲子園を支配している。
強く叩いた打球をショートがこぼす。しかしあと1歩届かなかった。
 
8/13() 日大山形 6-3 仙台育英
 
日大山形のサイドスロー・阿部にこれといった持ち球はない。
平凡なストレートにわずかに沈むシンカー、後はカーブくらいか。
しかし好投を続けている彼の投球フォームには特徴があって、
投げる瞬間に首を後ろへひねることによって間合いが取れず、
バッターとしてはワンテンポ対応が遅れてしまってつまらされる。
確かに左打者へのシンカーは高校生にとっては打ちにくいが、
ありきたりなサイドスロー投手がどこまで行くのか興味はある。
 
8/12() 早稲田実 11-2 大阪桐蔭
 
早稲田実業のエース斎藤と大阪桐蔭の主砲中田の対決が全て。
初回に22塁で中田を迎えた斎藤は142km143kmで追い込む。
しかしスライダーでは空振りが取れず、中田はファールでしのぐ。
勝負球にバッテリーが選択したのは内角高目をえぐるストレート。
綺麗なスパイラルを描いた146kmに、中田のバットは空を切った。
たった一つの三振がこの後の試合展開の舵を握ることになる。
この三振は中田に内角を意識させる上で非常に効果的だった。
 
2打席目はインコースを意識させ外角低目の142kmで連続三振。
3打席目は内角を見せ、2球目は少し内側に入れてレフトフライ。
4打席目。8回裏で2-9ともうほぼ勝負はついた場面での打席で、
初球から148kmのストレート。5球目には再び147kmのストレート。
最後は真ん中のスライダーで空振り三振。3つ目の三振だった。
打者が中田になるだけで球威も制球力も上がる斎藤の集中力。
他の打者には流してるように見えるほど見事なピッチングだった。
 
8/11() 福岡工大城東 4-0 専大北上
 
ぐるっと大きく回した腕から放たれるアンダースローの球筋。
一目見ただけで力強い速球が浮き上がってくるのが分かる。
高校野球によくある急造のサイドハンドなどとは次元の違う、
完成された滑らかなフォームから投げこむ福岡城東の梅野。
「本物のアンダースローは変則ではない。美しいフォームだ。」
130km台中盤のライズボールに、ベースをかすめていくような
シュートとスライダーの制球力。初見で打てる投手ではない。
 
8/10() 熊本工 6-4 三重
 
勝敗を分けたのは8回の裏にもらった併殺崩れの1点だった。
8回表に1点を返され2点差とされた熊本工にもう余裕はない。
ノーアウトのランナーを出したものの初球バントに失敗して
苛立つ監督の顔がそれをよく表していた。その後113塁。
とらえた打球はセカンドの真正面。併殺完成かと思われたが、
余裕のタイミングでショートが何を焦ったかファーストへ大暴投。
掴んでいた勝負の流れは三重の手からするりとこぼれ落ちた。
 
8/9() 智弁和歌山 4-1 県岐阜商
 
県立岐阜商のエース金村は得意のカーブで13奪三振の力投。
しかし智弁和歌山のエース竹中の投球は金村とは対照的で、
140kmに迫る速球を持ちながらも決してその球には頼らない。
きっちり変化球でカウントを組み立て、時折ズドンと来る直球。
得意球を投げさせない配球。それはキャッチャーの力だろう。
それに応える制球力が最後まで的を絞ることを許さなかった。
 
8/8() 文星芸大付 11-10 関西
 
守り切れない。最大で5点差まで開いたリードは水泡に帰した。
6回からリリーフした関西の投手ダースは去年も6点差を
ひっくり返されていたが、今回は手を緩めずに9回にも追加点。
「強くなった。授業料は決して高くはなかった」…はずだった。
ピンチになればなるほど手投げになっていくダースの投球。
直球は130km後半を計測するものの簡単に弾き返されていく。
9回だけでエラーも2つ。自滅と呼ぶに相応しい幕切れだった。
 
8/7() 日大山形 6-2 開星
 
ミスジャッジもあり6回までゼロに抑えられた日大山形打線だが、
開星投手吉田のカーブに狙いを絞ると、積極的に打ち始める。
勝利高校監督インタビューでも「三振でもいいから振りに行け」と
語っていたのだが、よほど変化球打ちに自信を持っているのか。
普段着の野球がしたい。奇しくも試合前に両校の監督が発言した
この言葉が意味するのは「適応力」を発揮することに他ならない。
 
8/6() 大阪桐蔭 11-6 横浜
 
今日から夏の甲子園が開幕。初日に横浜−大阪桐蔭が対決。
拙攻と好守が飛び交うハイレベルな攻防を展開する両チーム。
印象に残ったのは3-2と勝ち越した7回の裏、22塁の場面か。
大阪桐蔭の4番中田を今日2度目の敬遠で歩かせ5番との勝負。
心なしか5番打者・森の構えが大きく見える。「4番の自覚だな。」
5番バッターですよ?」「今日の試合はこいつが4番なんだよ。」
初球を叩いて右中間突破の2点二塁打。試合の大勢は決した。