<登場人物紹介>
風海 清夜(かざみ せいや):本作の主人公。現在大学2年生。
岾芽 彩(やまめ あや):本作のヒロイン
美也子:岾芽の友達
裕也:美也子の彼氏
夏休みの奇跡
仕事からの帰り道、不慮の事故で私は命を失った。
岾芽「あの人に私の想いを伝えたいな…。」
あれから、どれくらい経ったのだろうか。私はずっと亡霊として存在している。
岾芽「会いたいな……。」
そんな考え事をして、眠りについた。
太陽の日差しで目が覚める。が、いつも空を見上げているはずが、天井があった。
岾芽「…あれ?」
周りを見ると、死ぬ前の私の部屋だった。
岾芽母「ほら、起きな。今日は祭りに行くんだろ。」
岾芽「え……私死んだんじゃ…。」
岾芽母「何変な事言ってんだい。ほら、もう夕方だから友達も来てるよ。」
岾芽「はーい。」
母は部屋から出て行き、私は浴衣に着替えた。
岾芽「私…死んだはずなのに…。」
浴衣に着替え終えたとき、紙が落ちてきた。
岾芽「…なんだろう。」
紙を手に取り、読む。
岾芽「哀れな貴方にチャンスをあげよう。今日一日だけ、死んだと言う記憶を消した。だが、今日だけだ。祭りの花火の最後の一発が打ち終えたとき、貴方の存在は完全に抹消する……か。……そっか、やっぱり私は死んでたんだ。」
ちょっと落胆した。
岾芽「だけど、あの人に会えるチャンスだな…会いたいな。」
部屋から出て、居間で待っている美也子と……誰?
岾芽「お待たせ〜。」
美也子「遅い。まぁ、いつもの事か。」
裕也「どうも、こんにちは。」
岾芽「こんにちは。……誰?」
美也子「…あんたボケた?私の彼の裕也だって。」
岾芽「あ、ごめん。ちょっとまだ寝惚けてたみたい…。」
本当は、そんな人は知らない…。
祭りに着いて、二人はいちゃいちゃしていたから、私はその場を離れた。
岾芽「あの人……どこだろ…。」
きょろきょろしながら歩いていると、木にもたれかかって一服している人がいた。
岾芽「あ……居た。」
少しずつ近づいていく。彼も人が近づくのを察知したようだ。
男「ん?」
私は彼の目線に合わせるようにしゃがんだ。
岾芽「こんばんは。」
男「ばんわ。なんか用か?」
岾芽「相変わらず、ぶっきらぼうだね。」
男「…ん、逆光で顔が見えんが、声からすると…岾芽?」
岾芽「あったり。風海君、久しぶりだね。」
高校時代の同級生風海君。……私が会いたかった人だ。
風海「久しぶり。2年ぶりだっけ?」
岾芽「だね。浴衣姿似合ってるよ。一人で何してるの?」
風海「サンキュな。今、知り合い二人と勝負してんだけど、俺はタルいからやってない。」
岾芽「何の勝負?」
風海「ナンパ対決だとよ。俺は強制参加させられたけど、どーでもいいから一服して屋台回るかな、って感じだった。」
岾芽「ふーん、そうなんだ。じゃあ、私と一緒に回ろうよ。」
風海「は?知り合いと来たんじゃないん?」
岾芽「来たけど、友達は彼氏連れだったから離れたんだ。」
あはは、と笑う私。風海君はタバコの火を消した。
風海「じゃ、一緒に行きますか。」
岾芽「うん。」
一緒に立ち上がり、私たちは並んで屋台を回る。途中、風海君が射的を見つけたらしく、やりにいった。
風海「あちゃ、外しちまった。」
岾芽「じゃあ、私もやってみよっと。」
なんとなく、私も風海君と同じ事がしたいだけで。偶然にも、風海君が狙っていたと思われる物を撃ち落とせた。
岾芽「やったぁ!」
景品をもらった私。でも…
岾芽「じゃ、風海君にあげる。」
風海「え?」
岾芽「だって、狙ってたじゃん。私、別にいらないから。」
風海「サンキュな。」
風海君は軽く受け取った。。
風海「そろそろ花火始まるな。俺が知っている穴場あるけど、行ってみる?」
岾芽「いいよ。」
私達はいつしか腕を組んで歩いていた。ずっと、このままでいれたら……。そして、風海君が知っている穴場に着いた。
岾芽「うわぁ・・・綺麗だね〜。」
町を見下ろせる高台に来た。風海君はベンチに座り一服した。私はは町を見渡している。
岾芽(今しか……無いよね。…うん。)
私は決心して、風海君の隣に座った。
岾芽「あの・・・ちょっといい?」
風海「ん?」
恥ずかしくて風海君の顔を見る事が出来ず、ちょっと下を向き、風海君に話しかけた。
岾芽「うんとね・・・言い辛いんだけど・・・。」
風海「うむ。」
岾芽「ずっと・・・貴方が好きでした・・・。」
風海「・・・・。」
突然の告白に驚く風海君。中々、状況が把握できないみたい。
岾芽「・・・返事・・・どうかな?」
風海「俺は・・・」
風海君は意を決して答えた。
風海「俺も、岾芽が好きだ。岾芽が好きだから、一緒に屋台回ったし、この場所を教えた。高校が終わるときに、告白しようと思っていたが、結局出来なかった。」
私達は静かに抱き合った。その後、花火が始まり、手を握り合ってそれを見ていた。
岾芽「綺麗だね・・・。」
風海「あぁ。」
花火が終わりに近づいた時、私がある事を言ってしまった。
岾芽「そろそろ・・・お別れか。」
風海「・・・え?どういうことだ?」
慌てて口を塞ぐが時すでに遅し。私は全てを話す事にした。
岾芽「実は私・・・昨年、事故に遭って死んだんだ。」
風海「・・・え?」
岾芽「でも、風海君が好きで好きでたまらなくて・・・。」
私は立ち上がり話を続けた。
岾芽「なぜかは知らないけど、今日1日だけ、人に戻れたみたい。花火が終わるときに存在を消滅する、って言う条件付きで・・・・ね。」
風海「・・・。」
岾芽「風海君と話したり、一緒に屋台回ったり、私の事を好きでいてくれたり・・・。嬉しかったよ。」
風海「じゃあ、俺の気持ちはどうなるんだ!」
急に風海君が大声をあげたのでびっくりした。
風海「岾芽、俺はお前と暮らしたい。もっと話したい。でも、花火が終わる時に消えるなんて・・・。」
岾芽「風海君・・・。」
風海「せっかく、お互いの気持ちを通じられたのに、居なくなるなんてあんまりだろ!」
風海君の眼から涙がこぼれてきた。その涙を優しく拭いてあげる。
岾芽「私も気持ちは同じだよ・・・。私も、風海君と離れたくないよ・・・。」
私も涙が出ていた。そして私達は抱きしめ合った。その時、最後の一発を打ち上げると言うアナウンスが聞こえた。そして、私達は唇を重ねあった。お互い、涙を流しながら・・・。
岾芽(出来れば離れたくない・・・。・・・・消えたくないよ。)
花火は打ち終えた。が、私は消えなかった。
風海「・・・どういう事だ?」
岾芽「・・・さぁ・・・・私もわからない。」
その時、頭に響くような声が聞こえてきた。
声「岾芽、今日1日人に戻らせたのは貴方のその未練を叶える為。そしてなぜ存在が消えてないのか不思議がっている事でしょう。」
岾芽「どういうこと?」
声「貴方達が互いを思う心が、そうさせたのです。お互いの思いが弱かったのなら、このまま消えていたでしょう。しかし、その思いがとても強かったので消えることはなかったのです。」
風海「ふむ、ある種の試練だった、って奴か?」
声「えぇ。その試練を突破する事が出来たので、岾芽は生き返る事が出来たのです。」
岾芽「え、という事は・・・。」
風海「俺達、一緒に暮らせるって事!?」
声「その通り。お二方に幸あらんことを。」
声が消え、私達は向き合った。
風海「これからもよろしくな、岾芽。」
岾芽「うん。こちらこそ、風海君。」
嬉し涙を流しつつ、唇を重ね合った。
私は、貴方と一生を共にしたい……。
〜END〜
<そして後書き>
いかにも手抜きっぽいのは気にしないで下さい。
だって、最初の方しか追加して無いじゃn(ターン
岾芽編も終了し、今回の作品は全部終了と言う事になりました。
兎にも角にも、読んで頂き有難う御座いました。