ナイト・メア

 

〜第4章〜

 

  ネイ「あ、兄さん・・・・・。」

 ネイは、半身起こしていた。ロードは、ネイが回復したので喜びを感じ思わず抱きついた。

  ネイ「あ・・・・ちょっと、兄さん。痛いよ・・・・。」
  ロード「あ・・・・ごめん。」
  ネイ「でも・・・・・もう少しこのままにさせて。」
  ロード「え?・・・・あぁ。」

 ネイは、少ししてまた寝始めた。ロードはネイを優しく横にして寝かせた。そして、本棚から武術書を取りだし読み始めた。

〜翌日〜

  ネイ「ロード・・・・起きて。ねぇ・・・・ロード〜。」

 ネイはロードの体をゆすっていた。

  ロード「んぁ・・・・・・あ、おはよう。」
  ネイ「おはよう。寝すぎよ、ロード。」
  ロード「そうか?・・・・じゃあ、今何時?」
  ネイ「朝9時。」
  ロード「・・・・・全然寝てないぜ。」
  ネイ「・・・・・まさか、その本ずっと読んでたの?」
  ロード「あぁ、これね、読んでたよ。」
  ネイ「あ、忘れてた。そろそろ朝食が出来るから、来いってミキさん呼んでたよ。」
  ロード「ん・・・・。」

 二人は、台所に向かった。向かう途中、

  ネイ「ロード・・・・。」
  ロード「あん?」
  ネイ「ごめんね・・・・・色々心配かけて。」
  ロード「いいって・・・・気にすんな。」
  ネイ「うん・・・・。」
  ロード「ほら、メシだメシ!」
  ネイ「うん!」

 三人は朝食を食べ終え、後片付けをした。「見せたいものがあるから、外に行こう。」と言うロードの意見で三人は外に出た。

  ミキ「見せたいものって、なんです?」

 ロードは、地面に昨日書いた魔法陣を書いている。

  ネイ「魔法陣?」
  ロード「まぁ、見てろって。アイスソード!」

 ロードは、剣を魔法陣の真ん中に刺した。そして、剣を抜く。ロードは剣を振るうと地面の草木が凍った。

  ネイ「へぇ〜、魔法使えるんだ。」
  ロード「まぁ、魔法陣無いと無理だけどな。」
  ネイ「充分充分。使えないより良いよ。」
  ロード「だな。」

 ミキは、何か考え事をしているようだ。

  ロード「どうかしたんですか?」

 ロードは、気になってミキに話し掛ける。

  ミキ「・・・・・・・手合わせしません?」
  ロード「え?いいんですか?」
  ミキ「えぇ。もちろん、真剣で無く木刀ですけどね。」
  ロード「やったぁ♪じゃあ、木刀2本取ってきます。」

 ロードは、倉庫に木刀2本取りに行った。

  ネイ「本当に大丈夫ですか?」
  ミキ「えぇ。ネイさんも、後で魔法比べします?」
  ネイ「大丈夫なら、やってみたいです。」
  ミキ「じゃあ、ロードさんとの後に出来ればしましょうね。」
  ネイ「はい♪」

 ミキとネイが会話してる時に、ロードが戻ってくる。

  ミキ「じゃあ、早速やりましょうか。」
  ロード「本当にいいんですね?」
  ミキ「えぇ。もちろん、こちらも本気で行かせてもらいますけどね・・・。」

 その瞬間、ミキの笑顔が消えた。ロードは、これでミキの表情が変化するのを見たのは2回目だ。

  ロード「くっ・・・・・。」

 流石にロードもバシュック一の剣士、ミキの器量を見抜いた。先に出たらやられる。そう思ったロード。それは、ミキも同じらしく両者とも動かない。しばらくの間沈黙の時間が流れる。最初に動いたのはロードだった。やはり、年が若いせいかしびれを切らしたらしい。

  ロード「でやっ!」

 ロードは、ミキに向かって水平に剣道で言う胴を繰り出した。すかっ。だが、それは空を切る。ミキは、いつの間にかロードの後ろに居た。

  ミキ(覚「遅いですよ?ふふっ・・・・・これが本気ですか?」

 ロードの背筋がゾクッとした。これがあのミキさんか?ロードは目、そして声を疑う。明らかに別人の雰囲気だ。

  ロード「このっ!」

 ロードは振り向きながら横に払う。だが、これもまた空を切る。ミキは、数メートル前方にいた。

  ミキ(覚「だから遅いって言ってるだろ?・・・・・・今度はこっちから行くよ。」

 そう言い放った時、すでにもうロードの後ろを取っていた。そして、上から下への叩きつけ。だがロードは、なんとか頭直撃にならず肩にダメージを喰らっただけで助かった。

  ロード「くっ、くそっ!」
  ミキ(覚「思ったよりかは・・・・・・・・強くないですね。そろそろ終わりにしますか。」

 ミキが言うとおり、あっという間に決着はついた。あまりに一瞬の出来事でロードはなにが起きたかわからなかった。いつの間にか、ロードは空を仰いで倒れていた。頭に激痛が走る。

  ロード「いたた・・・・・・。完敗です。」
  ミキ「大丈夫ですか?7割くらいの強さでいったんですけど。」
  ロード「・・・・・・あれで7割なんですか?」
  ミキ「えぇ。そうですよ。」

 ロードは、かなり恐くなった。もし、10割で来てたとしたら・・・・・・。そう考えるだけでゾッとした。ネイもそう思ったらしい。

  ミキ「ふぅ・・・・・。」

 ミキは、手元で軽く木刀を振るった。

  ミキ「さ、ロードさん。片付けて置いてください。ネイさん、あっちでしましょうか。」

 ロードは木刀を片付けに、ネイとミキは何処かに行った。

  ロード「・・・・・・・。」

 ミキの表情の変化に疑問を抱きながら、ロードは剣の練習をした。

 数時間して、ミキとネイが帰って来た。

  ロード「おかえり。」
  ミキ「ただいまです。」
  ネイ「・・・・・・。」

 ネイもミキに負けた。表情的にそうだとロードは感じた。夕食は、昼間の戦いで特におなかが減っておりおいしかった。そして、各自風呂に入った後、ロードは自主トレ。ネイはミキの魔法のお話を聞いた。

  ミキ「じゃあ、やってみましょう。」
  ネイ「え〜っと、こうやってこうやって・・・・・・わぁ!」

 ボムッ!!

  ミキ「キマイラ・・・・・ですか。」
  ネイ「どうしよう・・・・・。」
  ミキ「せいっ!」

 ザシュッ!!ミキはネイが召喚したキマイラを一刀両断した。

  ミキ「ふぅ・・・危なかったですね〜。」

 それから、召喚してはミキが倒すと言う感じで魔法の授業が1時間程続いた。一方、ロードのほうはイメージトレーニングをしていた。

  ロード「・・・・・・・・。」

 ロードはイメージトレーニングを一旦終えて、外に出た。外は、月明かりで思ったより明るく、寒いと言うよりは涼しい感じだった。ロードは、素振りを始めた。

  ロード「・・・・・・・・。」

 黙々とやっている。

  ロード「これくらいにして、寝るか。」

 ロードは部屋に戻った。そして、ベッドに倒れこむようにして眠った。

〜真夜中〜

 ロードは何者かが近くにいる気配を感じ、目が覚める。手元で剣を取り、

  ロード「誰だ?」

 影に刃先を向ける。

  ネイ「ちょっと、ロード。私よ。」
  ロード「ネイか・・・・。どうした?」

 ロードは明かりを付け、剣を置いた。

  ネイ「・・・・・・。」
  ロード「どうし・・・・・わっ。」 

 ネイはロードに抱きついた。

  ネイ「兄さん・・・・・一つ聞いていい?」

  ロード「なんだ?」
  ネイ「・・・・・もう何処にも行かないよね?一緒だよね?」
  ロード「・・・・・・あぁ、心配するな。だから抱きつくな。横に座れ。」
  ネイ「うん・・・。」

 ネイはロードの隣に座る。

  ロード「ところで、用事はそれだけか?」
  ネイ「・・・・・ううん。」
  ロード「なんだ?」
  ネイ「・・・・・添い寝して。」
  ロード「・・・・・・一人じゃ寝れないってか?」
  ネイ「違うよ。たまには兄さんと一緒に寝たいって思って。」
  ロード「俺はいいけど・・・。」

 ベッドの中で、ロードとネイは背中合わせに寝転んだ。

  ネイ「・・・・・ひとついい?」
  ロード「なんだ?」
  ネイ「くっついてもいい?」
  ロード「・・・・・あぁ。」

 ネイは、ロードの後ろにくっついた。

  ネイ「あったかい・・・・。」
  ロード「よっと。」

 ロードは、掛け声と共に体勢を入れ替えた。いわゆる、向き合った状態になった。

  ロード「こっちの方がいいだろ?」

 ロードはネイの頭を胸に入れた。

  ネイ「あっ・・・・。」
  ロード「ネイ・・・・。」
  ネイ「・・・何?」
  ロード「ずっと一緒だ。今も、そしてこれからも・・・・・。」

 ロードはネイの頭を撫でながら優しい声で言った。

  ネイ「うん・・・・兄さん、おやすみなさい。」
  ロード「おやすみ・・・・。」

 二人は眠りについた。

 

〜第5章〜

〜早朝〜

 ロードは外でイメージトレーニングをしていた。

  ロード「・・・・・・・・。」

 するとそこに、一本の矢が飛んでくる。丁度、ロードの真正面。ロードは、難なくそれを避けた。その矢はロードの後ろにある大木に刺さった。よく見ると、その矢の先には紙が結ばれてあった。ロードはそれを取った。

  ロード「なんだこれ?・・・・・・手紙?」

 ロードは読んでみる。差出人不明で「ロードへ」と書いてある。内容は「今日の正午、ミケノ岩に来い。但し、一人でだ。」とだけ書いてあった。

  ロード「・・・・?」

 ロードは、不審に思いながらもミケノ岩まで行く事にした。

〜正午少し前〜

 ロードはミケノ岩に着いた。観光名所らしいが、全然人がいない。まるで、何かから避けているような感じだ。

  ロード「・・・・・・・。」 

 ベンチに座るロード。それから数分、ロードはぼ〜っと時計を見ていた。ちょうど正午になった時、突風が吹いた。風が収まると、ロードの前には一人の男が立っていた。

  ロード「お前は・・・・バニッシュ!!」

 ロードはすぐさま剣を構えた。

  バニッシュ「ふふ・・・時間通り、だろ。」

 バニッシュは、まるで親友と話してるような優しい言葉使いだが、ロードは荒いままだった。 

  ロード「で、何の用だ!?」
  バニッシュ「こうでもしないと一人になってくれないからな・・・・・。ちなみに今日は戦いをしに来たわけではない。話をしに来たんだ。」
  ロード「話?」

 ロードは目を細めた。そして、剣を収めた。

  バニッシュ「そう・・・・とある姉妹の話しだ。」

 ロードは隙を見せないようにしている。そんな事は構わず、バニッシュは話をすすめる。

  バニッシュ「あるところに、二人の姉妹がいた。姉は沈着冷静。妹はとても温厚。はたから見るととても仲良しな姉妹。しかし、ある日、些細な理由で二人は喧嘩をした。そして、姉は家を出て、妹はその場に残った。妹は、全て自分のせいだと思い落ち込んだ。だが、それが全ての始まりだった。」
  ロード「・・・・・・・。」
  バニッシュ「それから、とある街が全滅した。しかも、一晩でだ。お前も知ってるはずだ。3年前に起きたあの事件を・・・・。」
  ロード「・・・・・・レヴァリ事件。」
  バニッシュ「そして、俺はその街の生き残り。俺はその妹に親の仇を取るべく捜し続けた。」
  ロード「・・・・見つかったのか?」
  バニッシュ「あぁ・・・・そして、そいつはお前の身近な所にいる。」

 その時、ネイとミキが草むらに隠れる。

  ネイ「あれは・・・・バニッシュ!?」
  ミキ「しっ!ネイさん、どうやら双方とも戦う気は無いようですからひとまず様子を見ましょう。」

  ロード「身近な所?・・・・・・・まさか!?」
  バニッシュ「勘が鋭いな・・・・・。ミキ、と名乗ってはいるが本名はファーリア・アレクサンドル。」
  ロード「!?・・・・嘘だ!何かの間違いだ!!」
  バニッシュ「そして、その姉の名は・・・・・・イリア・アレクサンドル。俺と一緒にいた奴だ。」

 ロードは、初めてバニッシュと闘った時のことを思い出す。

  バニッシュ「まさか、俺もこんな身近にあの姉妹がいるとは思わなかった。」

 その時、上空に何かが光っているように見えた。気のせいだろう、と思いバニッシュを見る。バニッシュは、何かに気がついたらしい。

  バニッシュ「・・・・・・・しまった!」

 バニッシュはロードに体当たりをした。ロードはうけながらも壁にぶつかる前に着地した。

  ロード「一体何・・・・・」

 ロードはゆっくりとバニッシュを見るが、バニッシュは目には見えないが何かに串刺しにされているように見える。

  ロード「バニッシュ?・・・・・おい!」

 バニッシュの脈を取ってみるがすでに息絶えている。

  ロード「くそっ!」
  女「全く・・・・おしゃべりなんだから・・・・。」

 いつの間にか、真横に女が立っていた。

  ロード「何っ!いつの間に!」

 ロードは反射的に剣を手にする。

  女「ほんと、バニッシュは役に立たないわね・・・・。」
  ロード「まさか・・・・・お前がバニッシュを!?」
  女「そうかもね。」
  ロード「・・・・・・・・・イリア・アレクサンドルか?」
  イリア「あら・・・・・なんて勘の鋭いボウヤなのかしら・・・。」

 その時、草むらからネイとミキが出てくる。

  ロード「!?なんでここに?」
  ネイ「ごめん・・・・後をつけてきたの。」
  ミキ「・・・・・・・。」

 ミキは何かを念じている。

  イリア「・・・・・・・あらあら、誰かと思えばファーリア。」
  ミキ「・・・・・・!」

 ミキはイリアの方に手を突き出す。

  イリア「何!?しまった!!」

 ミキはいつの間にかイリアを動けなくさせていた

  ミキ「ロードさん、ネイさん。出来るだけここから離れてください。」
  ネイ「え?どうして?」
  ミキ「ロードさん・・・・・わかりますね?」
  ロード「・・・・・・・本当にそうなんですか?」
  ミキ「えぇ。私はイリアと姉妹。いずれ決着をつけなくてはなりません。どうせなら、ここでつけたいので。」
  ロード「・・・・・・・・わかりました。ネイ、行くぞ。」
  ネイ「え?あっ・・・・・うん・・・・。」

 ロードは半ばネイを強引に連れて行く。ミキは、それを見届けると、気を落ち着かせた。それと同時に、イリアは動けるようになる。

  イリア「ファーリア・・・・・本当にここで決着をつける気かい?」
  ファーリア「・・・・・えぇ。」

 イリアとファーリアの姉妹喧嘩が始まる。

〜第6章〜

 

 ミキ、いや、ファーリアと別れたロードとネイは港町に着いた。

  ロード「・・・・・疲れたから宿屋に泊まろう。」

 もう日も暮れようとしていた。ロード達は宿屋に泊まった。

〜翌日〜

 東方に用が無くなった二人は、自分達の国に戻る事にした。運良く、バシュック行きのサーボローク(高速バス)があったので乗り込む。

〜数時間後〜

 久々にバシュックに降り立った二人。バシュックは、前のようににぎわっていた。町人に王は何処にいるかと聞くと、「とある大きな家にいる」と言う。行ってみると、他の家よりも確かに大きかった。城はあの後崩壊したらしく、復旧作業で忙しいらしい。大きな家の前には、兵士が1人立っていた。

  兵士「ここには国王が住んでおられます。用のある方は何か証拠をお見せください。」

 その兵士は、ロード達がいなくなったあと入ってきた者らしい。

  ロード「これでどう?」

 ロードは手についている紋章、ネイはベルトについている紋章を兵士に見せた。

  兵士「!!これは失礼いたしました。王は入ってすぐ右の扉にいらっしゃいます。」
  ロード「わかった。」

 二人は中に入っていく。そして、兵士に言われたとおり右の扉を開ける。

  王「誰だ?」
  ロード「僕です。」
  王「ロード?ロードなのか!?」
  ネイ「私も忘れないで下さいね。」
  王「ネイも!・・・・・無事だったか。」
  ロード「えぇ。なんとかですけどね。」

 ロードとネイは今までの事を王に話した。

  王「そんな事があったのか・・・・・。」
  ロード「えぇ。」

 王はあのあと、すぐに魔族が手を引いて助かったらしい。

  ネイ「父上。南方の魔族は何処にいるかわかりますか?」
  王「あぁ。・・・・ここから更に南にある洞窟ポピュスの中らしい。」
  ロード「わかりました。早速、明日向かってみます。」
  王「うむ。お前達だけが頼りだ。頼むぞ。」

 二人は旅の疲れを取る為、早めに眠った。

〜翌日〜

 二人はポピュスに向かった。途中、何体か二人の前を阻んだが全く刃が立ってはいなかった。

  ロード「敵さんが出てきたって事は、近いって事か?」
  ネイ「・・・・そのようね。」

 その時、目の前に男が立ちはだかった。

  ロード「誰だ!?」

 ロード達は身構えた。

  バニッシュ「よう・・・・。」
  ロード「バニッシュ?何故お前が?」
  バニッシュ「いいか?これは霊体だ。俺はもう死んでいる。一つ忠告しておく。」

 バニッシュは、霊体になってでも話す事があるらしい。

  バニッシュ「南方の魔族の長は・・・・・リュウ=ビランと言う。彼は俺と同じ四天王の1人。まぁ、俺が死んだから正確には三天王だがな。」
  ネイ「それで?」
  バニッシュ「ビランは、元格闘家だが策略家でもある。奴の本拠地、ポピュスには数々の罠が仕掛けられていることだろう。」
  ロード「罠・・・・」
  バニッシュ「そこで、だ。これを渡したい。」

 バニッシュはポケットから何かを取り出した。

  ロード「ゴーグル?」
  バニッシュ「赤外線対応のな。奴は赤外線センサーを多用しそれに罠を連結させる。これがあれば楽になるだろう。」
  ネイ「でも、どうして私達に?」
  バニッシュ「・・・・・・誰でも良かった。だが、魔族に立ち向かっているのは4人だけだ。そして、ビランに近いのはお前ら二人。」
  ネイ「私達以外に二人いるの?」
  バニッシュ「あぁ。いずれわかるとは思うが・・・・。そろそろ時間だ。健闘を祈る。」

 バニッシュはそう言い残し、バニッシュの霊体は消えさった。

  ロード「バニッシュ・・・・・・できれば別の形で会いたかった・・・・・。」

 少しの間、二人の足は止まった。だが、バニッシュの言葉を聞いてバニッシュのために、そして、この世界のために今やれる事をしようと二人は改めて決意した。

 それからかなり歩いて二人は目的地のいると思われるポピュスに着いた。二人はバニッシュの霊体にもらったゴーグルをはめて最深部に向かう。だが、予想とは裏腹に罠はほとんど無かった。そして、あっさりと最深部に着いた。最深部の一番奥の扉が見えてくる。

  ロード「準備いいか?」

 ネイはコクリとうなずいた。そして、二人は扉を開ける・・・・・だが、そこには誰も居なかった。

  ネイ「・・・・・いないわね。」

 二人は緊張感がほぐれた。だが、相手はそこを狙っていた。いきなりネイの後ろにビランが現れ、ネイを連れて王座に上がった。

  ロード「ネイ!?」

 ロードはネイの体をつかもうとするも、反応が間に合わなかった。

  ビラン「甘いな。さて、お嬢ちゃんはここで見ていてもらおうか。」

 ビランはそう言うと、王座の隣の席にすわらさせられた。ネイは下手に動くとやられるとわかっていたため素直に従った。

  ビラン「貴様の相手は俺ではない。行け!ムフォック三人衆!」

 ビランがそう言うと、上のほうから三体の機械兵ガ現れた。それぞれ、胸の所に「α」「β」「γ」と書かれている。αの手には剣、βとγの手にはロッドがある。

  ロード「へぇ・・・面白そうじゃん。」

 ロードは剣を一回転させて構えなおす。一回転させるのは特に意味は無い。すると、αが速攻で攻撃してくる。キン!カン!・・・・・金属音がフロア中に鳴り響く。

  ロード「へぇ・・・・やるね。でも、バニッシュよりは格段に弱いね。」
  α「・・・・・・・」

 ロードはαの腕を切り裂いた。そして、αにとどめをさす・・・・・つもりだった。

  ロード「何!?」

 とどめをさそうとした時、αのもう片方の腕が太くなり凄い速さで殴ってきた。ロードはなんとか避けたものの、風圧で頬をすこし切った。

  ロード「・・・・・当たったらヤバイな・・・・。」

 数メートル離れて様子を見る。

  ロード「αは攻撃型、βは攻撃補助か・・・・γは回復。という事は・・・・」

 ロードはγめがけて猛ダッシュする。だが、それを読んでいたのかαが前に立ちふさがる。仕方なく、βに向かい一刀両断にした。

  ロード「これでパワーアップは無理だな・・・・・」

 αに再び切りかかりにいく。そして、隙を見てγの目の前に立つ。

  ロード「せいっ!!」

 カギィィーン!!もの凄い機械音と共にγも両断された。残るはαのみ。しかし、β、γがいないと強くなれないのかあっという間に決着はついた。

  ロード「ビラン!貴様の番だぜ?」
  ビラン「ほぅ・・・・あの三人衆を倒せるとはな・・・・・だが、そこまでだ!」

 ビランは一気にロードとの差を詰めた。

  ロード「!!」

 ロードはビランが動いた事に気付かなかった。そして、そのままビランの繰り出した裏拳によって壁まで吹っ飛んだ。

  ネイ「ロードッ!!」

 ネイはロードの所へ向かおうとするが、足が進まない。

  ビラン「ふふふ・・・・あなたは魔法使いな事くらい事前に調べておきました。足元を御覧なさい。」

 ネイはビランに言われて見てみると、なにやら書いてある。

  ネイ「魔法・・・・・陣。」
  ビラン「ほほぉ・・・・若いのに物知りでいらっしゃる。その魔法陣は魔法使いを動かせなくする効果があるのです。解き方は私の魔法力よりあなたが高ければ解けますよ・・・・まぁ、無理でしょうがね。」

 ビランは含み笑いをしながらロードに近づいていく。ロードはなんとか起き上がり剣を構える。

  ビラン「ほぅ・・・まだ息があるとは、流石ですね。」
  ロード「そうか・・・・?・・・・・あんまり痛くなかったけど?」
  ビラン「そう強がってられるのも今のうちだ!」

 ビランはロードに殴りかかる。ロードは剣で応戦する。ロードは剣で攻撃する分、リーチは長い。だが、接近戦を得意とするビランにとっては剣は不利である。

  ロード「くっ・・・・・」

 ロードは何発ものビランの拳をくらった。対するビランはロードの攻撃を全て寸前で避けていた為当たってはいなかった。

  ビラン「もう終わりかい?楽しめると思ったのに・・・・・。」

 ネイはその様子を黙って見守るしかなかった。

  ネイ(私は見てるだけ・・・・目の前に敵がいるのに戦えない・・・・しかも兄さんは形勢が不利。私も・・・・私も兄さんの役に立ちたい!それに、兄さんを傷つけたあのビランも許せない!!)

 すると、ネイの体に異変が起きる。

  ネイ(な、何、これは?・・・・・・・体が・・・・熱い・・・・)

 バリーーン!!何かが割れる音がした。

  ロード「何だ!?」
  ビラン「まさか・・・・・破られたというのか!?」

 その音は、魔法陣の結界を破った音だった。

  ビラン「そんなバカな!?」
  ネイ「・・・・・・・・・」
  ビラン「くそっ!!」

 ビランはネイに襲いかかる。ネイは微動だにしない。

  ロード「ネイ!避けろっ!」
  ネイ「・・・・識紗盟様蝋跡索・・・・・・ベイモアス!!」

 すると、ネイの立っている場所の前の方に黒い空間が出来た。その空間から可愛らしい小人が出てきた。

  ロード「な・・・・・なんなんだ?」
  ネイ「ベイモアス!ビランを攻撃しなさい!」

 グウオオォォォッッッ!!鳴き声とともにビランに向かっていくベイモアス。ビランは困惑の表情を浮かべながら身構える。それもそのはず。小人なのにグウオオォォォッッッ!!」とは鳴かないからだ

  ビラン「くそっ!」

 ビランは予想以上に苦戦していた。ベイモアスが小人な為、攻撃が当たり辛い。そして、小人なのにロードをはるかに凌ぐ攻撃力を持っているからだ。

  ネイ「もう終わり?」

 ネイは冷ややかにビランに言い放った。

  ネイ「・・・・・・。ベイモアス。止めを刺しなさい。」

 ネイがそう言い放った瞬間、もうビランは息をしていなかった。そして、ベイモアスは消え去った。ドサッ。その瞬間、ネイはその場に倒れこんだ。

  ロード「ネイ!大丈夫か!?」
  ネイ「・・・・・・・・うん。」

 ネイはかすかに言葉を発した。注意していないと聞こえないくらい小さな声で。

  ネイ「もう少し・・・・休ませて。このままでいさせて。」
  ロード「え?あぁ・・・・。」

 それからどれくらい経っただろうか。ネイは元気になった。

  ロード「もう大丈夫か?」
  ネイ「うん。大丈夫。」

 ロード達は、部屋の奥の方に歩みだす。

  ロード「この王座を後ろから押すと動いて道があったりして。」

 ロードは試しにやってみる。

  ネイ「そんなわけ・・・・・」

 ゴゴゴゴゴッッッ・・・・・。

  ネイ「・・・・・動いたね。」

 そして、王座が動かせなくなった時、元々王座があった場所に光が差し込む。

  ロード「なんだろな?」
  ネイ「行ってみるしかないんじゃないの?」
  ロード「そうだな。」

 二人は手を繋いで光の下に立つ。次の瞬間、その場に二人の姿は無かった。

 同時刻、とある場所でロードとネイと全く同じ事が起きていた。

 

 

 

END・・・・・・・ではない

 

〜あとがき〜
 ふぅ・・・・長かった。ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。↑の「END・・・・・・・ではない」と言うのは、実はまだ続きがあるのです。とりあえず、ロード&ネイ編は終わらせていただきます。しかし、実はまた出てくるんですよ、二人共。まぁ、どう見たってそう感じられると思います。中途半端に終わってますからね。ま、中途半端に終わらせてもいいんですけどね。
 それでは、次回作を楽しみに待っていてください♪

 6/28(金)23:57完

 

 

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