ナイト・メア
〜序章〜
クルト「ちょっと姉さん。待ってよ〜。」
後ろから息を切らしながら懸命に追いつこうとする男の子。その先には女性が立っていた。
サリア「クル、もう少しだから頑張って。」
クルト「わかってるよ〜。」
とてとてと、クルトはサリアの後を追う。二人は、少し前まで平和に暮らしていた。だが、魔族が攻めてきた為国民は虐殺され、王と女王も殺されてしまった。シュール国唯一の生き残りはサリアとクルト、そして、
サリア「ガノフちゃん。敵の本拠地はわかるかな?」
サリアの横で小さく飛んでいるドラゴン。それはサリアのペットであり、女王のペットでもあった、いや、ペットというより世話係と言ったほうがいいのかもしれない。
ガノフ「情報によりますと・・・・・スゲノ山にいると言われています。」
クルト「それじゃ、そこに行こう!!」
サリア「待って、クル。焦りは禁物よ。」
クルト「わかってるけど・・・・。」
サリア「ガノフちゃん。最短ルートは?」
ガノフ「・・・・・・私の背中に乗ったほうが早そうですね。」
クルト「え・・・・・」
ガノフの体から光が放たれる。その光が収まったとき、ガノフは全長70m位のドラゴンになっていた。
サリア「それじゃ、行きましょう。」
クルト「・・・・・・・」
サリアは軽々とガノフの上に乗るが、クルトは身動きをしない。
サリア「もう・・・・・置いていくわよ。」
クルト「・・・・・・・待ってよ。」
サリア「待ってあげるけど、早くしてね。」
クルト「う、うん・・・・。」
クルトは深呼吸し、決意したようにガノフの上に乗った。
サリア「ガノフちゃん、レッツゴ〜♪」
ガノフは翼を大きく広げて飛び立った。
〜第2章〜
〜2時間後〜
一行は、スゲノ山に着いた。と、言っても山頂に着いたわけではない。
サリア「・・・・・・高いわねぇ。」
クルト「・・・・・・・うん。」
ふもとから見上げると頂上が見えない。
サリア「普通に登る・・・・・・事は無理のようね。」
クルト「そうだね。もう一回ガノフに乗るしかないの?」
サリア「えぇ。」
サリアはきっぱりとそう言った。
サリア「クルも男なんだからしっかりしないと。」
クルト「わかった・・・・。」
結局、またガノフの上に乗り頂上を目指す。
〜数分後〜
頂上に着いた一行の見たものは、
クルト「お城?」
サリア「・・・・・・・さぁ?」
クルト「周りの様子を見てくる。」
そう言い、クルトは一人で歩いていく。サリアは、靴紐を結び直し後に続こうとする・・・・・が、姿が見当たらない。サリアは城の方へ歩いていると何かの音がした。
サリア「・・・・・金属音・・・・まさか」
サリアは急いで音がするほうへ向かう。そこには、見たことも無い人の形をした物が地に倒れこんでいる。その手には、剣があった。
サリア「さっきのはこの音ね・・・・」
壁を見ると、その剣でついたような跡がある。後方でドサッ、と何かの音がした。振り返ると、クルトの前に何かが3つ倒れている。
サリア「クル、大丈夫?」
クルト「大丈夫だよ。・・・・・にしても、この4体の人形みたいなのはなんなんだろうね?僕がじぃーっと見ていたら急に動き出して襲ってきたんだ。」
サリア「・・・・・・入ってみましょうか?」
クルト「・・・・・しかないと思うよ。」
2人は、目の前の大きな扉を見る。そして、意を決したように扉を開ける・・・・・と
クルト「・・・・・・何?」
そこは、まるで街中みたいだった。人、と言うより魔族でいっぱい。お店もたくさんある。魔族はこちらに気付くものの、別に襲ったりはしてこない。むしろ、慣れているようだった。
サリア「・・・・・・・。」
少しの間、2人は動きを止めていた。そこに、2人の女魔族がやってきた。
女魔族A「こんにちは。スゲノ城へようこそ。」
女魔族B「あなた達、人間ね。ここは魔族達のための楽園。よって人間の関与する場所ではないわよ。」
2人は姉妹らしく、同じような顔立ち。だが、言葉では対照的なところがあった。
女魔族A「自己紹介まだでしたね。私はニィと言います。こっちは妹のサキ。」
ニィはとても礼儀正しいと見ていてわかった。
サキ「姉さん。別に挨拶なんかいらないだろ?」
サキは全くの正反対と言う事も見て取れる。そのサキの目線はクルトにいっている。
サキ「・・・・・よく見ると、キミって可愛いね〜。」
クルト「・・・・・アンタに言われたくないね。」
その言葉に、サキはむっとしたようだ。
サキ「何よ!その言い方は!」
クルト「別に。」
サキ「ムッキ〜!!頭来た!」
クルト「やるのか?」
サキ「もちろん!あそこでやるわよ!」
クルト「いいぜ。」
2人は奥の方にある闘技場に入っていく。
サリア「あ・・・・・全く、喧嘩っ早いんだから・・・・・・・。」
ニィ「ですね・・・・・・。」
2人して溜息をつく。
サリア「大丈夫・・・・でしょうか?」
ニィ「何とかなると思いますよ。それより・・・・・・ここには何をしに?」
「何をしに?」と聞かれ、どう答えようか少しの間迷うサリア。だが、言ってみないと先には進めない。
サリア「・・・・・・実は、ここが魔族西方の本拠地と聞いたのですが・・・・。」
ニィは、それを聞いて目を伏せた。
ニィ「・・・・・・それは無いですよ。」
サリア「え?」
ニィはポツリと言った。
ニィ「ここの住人達は、みんな空を飛ぶ事が出来ないんです。あ、みんながみんなと言うわけではないです。飛べる方もいますけど、大体私とサキが一緒について行ってますので人間の方々には危害を与えてはいないはずです。しかし、西方には魔族はここにしかいません。否定は完全には出来ませんがみんな、人間を見たことも無いですからすぐに敵とは判断しないです。」
サリア「そうなんですか・・・・・。それじゃあ、シュール国に攻めてきた魔族は何処に・・・・・」
ニィは、そんなサリアの発言を聞いて、ある事を思い出した。
ニィ「そう言えば、シュール国に魔族が出たって話を聞きましたね。その魔族たちは、北方の魔族ですよ。」
サリア「・・・・え?」
ニィ「あ、私とサキは北方の魔族の長と知り合いなんですよ。それで、北方の長から「シュール国を攻める、一緒にどうだ?」という話があったんです。でも、丁重にお断りしましたけど。」
サリア「と言う事は、北方の長ね・・・・・・。」
ニィ「・・・・・行くのですか?」
サリア「えぇ。・・・・・行きます。」
ニィ「場所は・・・・・確か北の洞窟のドナだったと思うわ。」
サリア「いいんですか?私にそんなことを教えても。」
それを聞いてニィは含み笑いをした。
ニィ「だって、教えなかったら力づくで聞くのでしょう?」
サリア「・・・・・・えぇ。」
ニィ「私はそういうのが嫌いですから。」
その時、闘技場で歓声があがっていた。
サリア「そう言えば・・・・クルを忘れてたわ。」
ニィ「・・・・・急ぎましょう。お互いに大怪我する前に。」
サリア「・・・・・・えぇ。」
2人は闘技場に向けて走り出した。闘技場に入ると同時に、クルトとサキは倒れこんだ。お互いの弟、妹のそばによる。
サリア「全く・・・・・クルったら。」
クルトを一旦抱きかかえニィとサキのところへ向かう。
サリア「どうですか?」
ニィ「大丈夫そうだけど・・・・・体の中まではわからないわ。」
サリア「少し見せてください。」
そう言い、サリアはサキの体をよく見る。
サリア「こことここ・・・・あと、ここですね。」
ニィ「・・・・・そこがどうかしたのですか?」
サリア「折れてる位置です。大丈夫です、これくらいの傷なら。少し離れてくださいね。」
そう言い、サリアはブツブツと唱え始めた。すると、次第にサリアの手が光り始める。そして、折れてる位置に手を当てていく。全て当て終えたところで、手の光が止んだ。
ニィ「今のは?」
サリア「ちょっとした魔法です。二人が目をあけるまで待ちましょう。」
そう言い、2人は腰をおろした。そして、その数分後、クルトとサキは目を覚ました。
サリア「クル、やりすぎよ。」
クルト「姉さん・・・・ごめん。」
サリア「でも、無事でよかったわ。ちょっと待っててね。」
サリアは、ニィたちの元へ向かう。丁度その時、サキも目が覚めたようだ。
ニィ「サキ、体の調子は?」
サキ「大丈夫・・・・・あれ?」
サキは体の異変に気付く。
サキ「傷、が無い・・・。」
サリア「私が治しておきました。ごめんなさいね、クルトのせいで。」
サキ「あ、いえ・・・・ありがとうございます。」
その後、4人は最初の入り口に戻る。
サリア「それでは・・・・・この辺で。」
ニィ「えぇ・・・・また来てくださいね。」
サリア「えぇ・・・・。」
2人はしっかりと握手をする。その隣で、
サキ「クルト君。強いね。ボク、もう一回キミと闘ってみたいな。」
クルト「僕もそう思った。また会った時、もう一回勝負だ。」
サキ「うん。でも・・・・・今回のようには行かないよ。」
2人は拳を合わせた。そして、サリアとクルトはスゲノ城を後にした。
彼らを見送った後、
サキ「ねぇ・・・どうしてやらなかったの?」
ニィ「ふふっ・・・ここでやってしまったら面白くないでしょう?違わない?」
サキ「確かに・・・・ね」
不適な笑みを作るニィとサキだった。
〜第2章〜
しばらくガノフの上に乗る2人。今、一行は北方に向かっていた。
クルト「う〜ん・・・・風が気持ちいいね〜。」
サリア「あら?クル、もうガノフちゃんには慣れたの?」
クルト「そうみたい。」
笑顔もこぼれる2人だったが、次の瞬間、
クルト「・・・・・・・。」
サリア「・・・・・・・寒いわね。」
北方に入った瞬間、あまりの寒さに笑顔どころではなくなった。
サリア「ガノフちゃん、ここから一番近い街で降りて。」
ガノフ「了解。」
少ししてから、街に着いた一行はまず、防寒着を買い、その後、宿屋に泊まった。
翌日、2人と1匹は町の人々に聞き込みをした。その結果、洞窟のドナに行くには更に北に行かないといけない言う事を聞いた。早速、一行はドナに向かった。
〜1時間後〜
一行はドナに着いた。しかし、堂々と洞窟に入っても敵の姿は全く無い。
サリア「おかしいわね・・・・。」
クルト「うん。誰もいないなんて、ハズレなのかなぁ?」
サリア「一応、最下部まで行ってみましょう。」
結局、何も出ないまま一行は最下部まで来た。最下部の割には中は明るい。そして彼らは湖のあるところまで来た。
サリア「ここからはどこにも行けないわね。ということは、で違う洞窟・・・ですかねぇ。」
クルト「あ〜ぁ・・・。」
サリア「一旦休憩してから、また登らないといけないわね。」
クルト「うっ・・・今度は登るのぉ・・・」
クルトは嫌そうな顔をした。
サリア「あら?それともこのままここにいる気?」
クルト「・・・・それだけは嫌だよ。」
サリア「ふふっ・・・普通の人ならそういうわね。」
普通の会話をしているまさにその時、後方で何者かの気配に気付くサリア。すると、岩陰から1人の女性が現れた。
女性「ふふっ・・・待ちくたびれたわ。」
2人はその女性の顔を見て驚愕した。スゲノ城で出会ったニィだったのだから。
サリア「どうしてここに!?」
ニィ「決まってるじゃない・・・あなた達の息の根を止めるからよ!」
そう言い放った途端、ニィの目の色が淡いブルーから濃い赤に変わった。それを見たとき、サリアの背筋がゾクッとした。
サリア(凄い気迫・・・。なにか嫌な予感がする・・・)
ニィは真っ直ぐサリアに襲いかかった。サリアはニィの攻撃の前に防戦一方になるしかなかった。
クルト「姉さん!」
クルトが2人の戦いを止めようとした時、何者かがクルトの前に立ちはだかった。
クルト「まさか・・・・」
サキ「私を忘れたのかなぁ?・・・・また今度勝負しよう、って言うのが今日になるなんてね。あなたの相手はこの私。ふふっ・・・楽しめるといいけど。」
そう言い、クルトと闘い始めた。
一方、サリアはニィの攻撃を受け流しながら説得を始めていた。
サリア「なぜこんな事をするの?」
ニィ「さぁね・・・どうしてかなぁ・・・」
サリアが次の言葉を言おうとしたその時、
サキ「姉さん・・・まだ終わってないの?遅くない?」
いつの間にか、2人の対戦をサキは見ていた。
サリア「どういう・・・こと・・・」
サキ「クルト君、眠っちゃった。もうちょっと楽しめると思ったのになぁ・・・。」
サリアはサキに目線を向ける。すると、そのはるか後方にクルトが倒れこんでいるのが見えた。頭の方には赤いものがにじんでいるのがかすかにわかった。
サリア「そんな・・・・」
サリアはそれをみて戦意喪失したように膝をついた。
ニィ「ふふっ・・・じゃあ、終わらせるわ・・・・おやすみ。」
ニィはサリアに向かって手刀を振り下ろした。だが、その手刀はサリアの頭の上で止まった。
サキ「ねぇ・・・姉さん。それ、わざとやってるの?」
呆れ顔でニィに話しかける。
ニィ「・・・・これ以上降ろせないの・・・何かの力に阻まれてるようで・・・」
その時、段々とサリアの髪の色が変わる。青い髪から金色に近い色に変わった。それと同時に、目の色も黒から淡い青に変わった。
サリア「・・・・・二人一緒にかかってきていいですよ。」
ニィとサキはサリアの変化に後ずさりをした。と言うよりサリアの異変に恐怖感と威圧感が2人の心を包み込んだ。
ニィ「・・・・・・。」
サキ「姉さん。あぁ言ってるんだからいこうよ。」
ニィ「えぇ。」
2人はサリアに襲いかかる。が、2人の攻撃はサリアにかすりもしなかった。逆に、サリアは精密機械のようにずっと同じ箇所にダメージを2人に与え続けていた。
サリア「・・・・・・。」
ニィ「どうしてこんなにも当たらないんだ!」
ニィはやけくそになってサリアに向かう。その時、サリアはニィの背後に回って首を狩った。ニィは頚動脈をサリアに狩られてその場になす術無く倒れこんだ。
サリア「・・・・まず1人」
サリアはそう言い、サキに目線を向ける。そして、ゆっくりとサキに向かって歩いていく。が、次の瞬間サリアは動けなくなった。
サキ「流石にこの結界は解けないでしょう。私のオリジナルだから。」
サリアは結界をとこうと試みるが駄目だった。
サキ「それじゃあ、今度こそサヨナラ。」
サキは結界を一気に押しつぶそうとした。が、真後ろから
クルト「おい・・・俺を忘れてんじゃねぇよ。」
サキはその言葉を聞いて驚いた。
サキ「なぜだ!?どうして!?」
クルト「さっき、姉さんが両膝をついたときがあったろ?あん時、回復魔法をかけてくれてたんだよ。」
そう言い、サキに攻撃を仕掛ける。無防備だったサキは、クルトの攻撃を真正面から受けた。
クルト「ほら、来いよ。」
クルトは挑発的行為をした。普通ならその挑発に乗らないはずなのだが、サキはその挑発に乗ってしまった。サキはクルトに向かってくる。
クルト「かかったね。イボアークっ!!」
そう言い放った途端、サキの足元が床から何も無い空間になった。
クルト「1つ教えてやる。その穴は奈落の底まで続いてる。じゃあな。」
サキはその空間に吸い込まれていった。空間が閉じると、サリアにかかっていた結界が無くなった。
クルト「姉さん!」
慌てて駆け寄る。サリアは普通の髪、目の色に戻っていた。
サリア「クル、大丈夫だった?」
クルト「なんとかね。姉さんは?」
サリア「大丈夫。・・・それよりも、あの光は何かしら?」
サリアが指差す方向に一本の光の柱が現れた。
クルト「出口?」
サリア「う〜ん・・・違うと思うけど。」
クルト「入ってみる?」
サリア「興味津々ね・・・・。入ってみましょうか。」
サリアとクルトは手を繋いでその光の柱に入ってみる。入った途端、まばゆい光があたりを照らす。その光がなくなったとき、そこには誰もいなくなっていた。
同時刻、ロードとネイも光の柱に入っていった。
END・・・・・・・ではない
〜あとがき〜
以外に短く終えました・・・・が、かなり終わるのが遅くなりました(汗。本当は夏休み後(9月上旬)には終わらせるつもりだったのですが・・・・原稿紛失8回、エラーでデータ消去多数など色々な事が起こって大変でした。はっきり言って疲れました。
次回、遂にこの物語「ナイト・メア」が完結します。一体どんなキャラクターが出るのか。そして、4人の行方は・・・・。楽しみに待っていてください♪
12/23(月)0:00完