風と共に・・・

 

〜序章〜

 

 

 暇だ。学校に行ってもやる事が無い。真田も休みだし・・・・まぁいい、帰るか。

  男子生徒A「おい、酒凪。」

 俺が帰ろうとすると、同じクラスの奴に呼び止められる。

  翔「なんすか?」
  男子生徒A「今日、掃除当番だ。ほら、モップ。床のほう宜しくな。」
  翔「そういやそうだったな・・・・。まぁ、やるしかねぇか。」

 掃除を適当に済ませ、学校を後にする。真っ直ぐ家に帰る気にならず、公園に行く。公園では、子供達が元気にはしゃいでいる。俺は、少しベンチでぼ〜っとして公園に近い林道に入っていく。ここは、あまり人が来ないので道は整備されていない。適当にうろつく。

  翔「はぁ・・・・ここで誰かが俺に『助けて〜』ってな感じになると面白いんだがな〜・・・・。」

 そう冗談で言っていると、

  女「誰か〜!!助けて〜!」
  翔「・・・・・おいおい。マジでくるかよ・・・。」

 俺はその声がする方向へ走る。空き地っぽい所に出ると、そこには少女とヤクザっぽい男3人が居た。少女は、恐怖のあまり目に涙を浮かべている。

  翔「お巡りさん!こっちです!」
  男A「ちっ、ずらかるぞ!」

 男三人は、逃げていく。もちろん、お巡りさんなんて居ない。

  翔「大丈夫か?」
  少女「うぅ・・・ひっく・・・」

 まだ落ち着いていない。俺は落ち着くまで少女の隣に居る事にした。

  翔「とにかく落ち着け。な?」
  少女「ひっく・・・・は、はい・・・。」

 10分くらいして、少女はようやく落ち着いたようだ。

  翔「大丈夫?ケガ無いか?」
  少女「はい・・・・多分、無いですよ。」
  翔「ん?おい!足、ケガしてる。動くなよ。」

 俺は鞄の中からハンカチを1枚取り出し、水筒に入ってる水でハンカチをぬらす。そして、その子のケガしている部分に当てる。

  少女「いたっ!!」
  翔「すまん、少ししみるけど我慢して。」

 ハンカチを、その子のケガしている部分に巻きつける。

  翔「もう、大丈夫か?」
  少女「えぇ、おかげさまで。ありがとうございました。」
  翔「気にするなって。困った人を助ける、これが俺の生き様さ!」

 俺はふざけてそう言ってみる。少女は笑った。

  少女「ふふっ、面白い方ですね。」
  翔「そうか?」
  少女「えぇ。・・・・あ!あの、このハンカチ、いつ返せばよろしいでしょうか?」
  翔「え?まぁ、いつでもいいよ。」
  少女「あ、はい。あの、お名前聞いてもよろしいですか?」
  翔「俺は酒凪翔。」
  少女「私は、美衣。浦瀬美衣です。翔さん、本当にありがとうございました。」
  翔「気にすんなって。それよりも、帰り気をつけろよ。」
  美衣「はい。」

 美衣は一礼して帰っていく。俺も、帰ろうとするが道がわからない。結局、林から抜けたのは6時過ぎだった。

〜翌日〜

 いつも通りの日常。普通に学校に行きぼ〜っと授業を聞く。昼休み、飯を食い終え廊下をぶらつく。

  少女「あ、あの・・・・」

 後ろから誰か俺を呼んでいる。

  翔「ん?何?」
  少女「酒凪翔さん、ですよね?」
  翔「そうだよ。」
  少女「わ、やっぱり翔さんだ。昨日助けてもらいました美衣です。」
  翔「あ〜!美衣ちゃん。同じ学校だったんだ〜。」
  美衣「そのようですね。翔さんはどこのクラスですか?」
  翔「俺か?俺は2-Cだ。」
  美衣「先輩でしたか。私は1-Bです。ところで、つかぬ事をお聞きしますけど翔さんには彼女は居られますか?」
  翔「いるんだったら校内をうろついたりしないよ。」
  美衣「あ・・・・ごめんなさい。」
  翔「いいよ。気にしてないしさ。」
  美衣「あ、あの・・・・午後空いてますか?」
  翔「午後?放課後は空いてるぞ。」
  美衣「翔先輩・・・今日は午前中で終わりですよ。」
  翔「あれ?そうだったっけ?」
  美衣「えぇ。何か職員会があるとかで・・・・。」
  翔「そっか。じゃあ、もう暇だな。」
  美衣「それでですね・・・・私の家に来てくださいませんか?」
  翔「いいぞ・・・・・・・って、え!?」
  美衣「?どうかなされました?」
  翔「い、いや・・・・なんでもないよ。」
  美衣「?」
  翔「さっ、行こうか。」
  美衣「あの・・・・・翔先輩、鞄持ってないですよ。」
  翔「あ・・・・教室にある。取ってくるから昇降口に先に行っておいてよ。」

 俺は美衣の返事も聞かずに教室へ戻る。多分、今俺の顔は凄いにやけていると思う。いきなり女の子のほうから家に招待が来るのだから。美衣を待たせてはならないと思い、急いで昇降口へ向かう。

  翔「待った?」
  美衣「いえ、私も今来た所ですから。」

 よく見ると、美衣の後ろに大きい男がいる。さらに、その後ろには黒塗りの外車がある。本でしか見た事無かったが、これはリムジンだとわかった。

  男「お嬢様。こちらがお連れの方でございますか?」
  美衣「そうです。それでは行きましょうか。翔先輩、これに乗ってください。」

 俺は言われたとおりリムジンに乗る。隣に美衣が乗り込んでくる。さっきの大きな男は運転席に乗り運転する。すげぇ・・・。俺は驚きを隠せない。これは夢か?と思い、ほっぺたをつねってみる。痛い。雰囲気から見ると、美衣はどこかのお金持ちのお嬢様で今運転しているのは家来って事か?

  男「私は長谷部明と申します。以後、お見知りおきを。」
  翔「は、はぁ・・・。」

 ぼ〜っと外を眺めていると、

  美衣「翔先輩、着きましたよ。」
  翔「あ、あぁ。」

 美衣に着いていくと、そこにはどでかい家がある。俺は言葉を失う。

  美衣「翔先輩、こちらです。」

 俺は美衣に名前を呼ばれてはっと我に返った。慌てて美衣の後について行く。美衣があるドアの前に止まる。俺もその後ろで止まる。コンコン・・・・。美衣はドアをノックする。

  美衣「お父様、入ります。」

 ガチャ。ドアを開けるとそこには男がいすに座っていた。

  男「おかえり。美衣。」
  美衣「お父様、ただいまです。翔先輩、こちらが私の父上です。」
  翔「どうも初めまして。酒凪翔です。」
  父「キミが娘を助けてくれたんだね。再び礼を言わせてもらう。ありがとう。」
  翔「いえ、当然な事をしたまでですよ。」

 少しの間、美衣の父親と話をする。

  美衣「お父様、私のお部屋にお連れしていいですか?」
  父「あぁ、好きなようにしなさい。」
  美衣「翔先輩、行きましょう。」
  翔「それでは、失礼します。」
  父「あぁ。私としてはまた話したいよ。」

 俺は美衣の後について廊下を歩く。

  翔「そういやさ、美衣ちゃんの両親は何の仕事をしてるの?」
  美衣「お父様は浦瀬コーポレーションの社長で、お母様が副社長です。」
  翔「浦瀬コーポレーションってあの大手企業の?」
  美衣「はい、そうですよ。」

 マジかよ・・・・場違いだな絶対、心の中でそう思う。

  美衣「翔先輩、どうぞ。ここが私の部屋です。」

 その部屋は、とても広い。俺ん家で言う居間の広さ、いや、それ以上かもしれない。部屋にはぬいぐるみとか女の子らしい物がいっぱいおいてある。

  翔「へぇ・・・綺麗な部屋だね。」
  美衣「そうですか?」
  翔「あぁ。俺の部屋よりか何倍も綺麗だぞ。」

 美衣はくすくす笑っている。

  美衣「翔先輩って、始めて会った時から思ってたのですけど面白いですね。」
  翔「そうか?はははっ。」
  美衣「はい。そう思います。ところで・・・・」
  翔「ん?なんだい?」
  美衣「あの・・・・ここを教えてくださいませんか?」
  翔「ここって?」
  美衣「この・・・・・数学の・・・・ここです。」
  翔「ここか。ここはね・・・・。」

 何故かいつの間にやら勉強を教えている。教える事1時間・・・・

  翔「・・・・よし。全部合ってる。完璧じゃないか?」
  美衣「そ、そうですか?」

 美衣の顔が赤くなる。

  翔「で、数学は完璧。」
  美衣「じゃあ、これお願いできます?」
  翔「英語・・・・・・。」

 ちなみに、俺は英語は大の苦手。

  翔「英語は予習復習をきちんとやれば大丈夫。あとは気になる単語はすぐに辞典で調べる事。」
  美衣「はい。わかりました。」
  翔「そういやさ、勉強ばっかりじゃなくて違う事しない?」
  美衣「そうですね・・・・・テニスできます?」
  翔「あぁ、一応テニス部だからな。」
  美衣「あ、そうなんですか。それでは、やりましょうか。翔先輩、こっちです。」

 俺は美衣に連れられエレベーターへと入る。少しして、屋上に着く。目の前にはコートが4面ある。

  美衣「翔先輩。左にあるのが自動販売機。無料ですのでいつでも使用していいですよ。右には更衣室。着替えはここで出来ますので。私、ちょっと着替えてきますので翔先輩はどうします?」
  翔「このままでいいよ。」
  美衣「そうですか。では、少し待っていて下さいね。」

 美衣は更衣室へ入っていく。俺は美衣の部屋を出る時に借りたラケットで軽くウォーミングアップをした。ウォーミングアップを済ませると美衣が着替えてきた。

  美衣「少しウォーミングアップさせてくださいね。」
  翔「そうだね。しとかないと危ないしね。」

 美衣がウォーミングアップをしているのを見ておれは気付いた。あのウォーミングアップの仕方・・・結構やりなれてる奴しかしない。と言うことは・・・・。そう思ってたところで、

  美衣「翔先輩。そろそろしましょうよ?」
  翔「ん?あ、あぁ・・・・やるか。」

 まずは美衣のサーブ。

  美衣「えいっ!」

 勢いは無いが、コントロールがいい。ギリギリラインに入っている。打ち返したが、美衣は先を読んでいた。俺が打った球は美衣の真正面。すかさず美衣は俺が打てる範囲では無い所へ打ち点ととる。1ゲーム目は、美衣が取った。コントロール系の奴は俺の苦手なタイプだ。

  美衣「翔先輩、どうですか?」
  翔「強いね。でも、そう簡単にはいかせないよ。」

 俺のサーブ。普通に打つ。美衣は打ち返すものの流石に男と女では力の差がある。美衣は俺のサーブを返すのに精一杯だ。俺は難なく点を取る。マッチポイントになって、俺はアレを使う事にした。

  翔「それっ!」

 普通に美衣の真正面に行く。美衣が打ち返そうとしたとき、いきなり球の方向が変わる。俺が急激に回転をかけたからだ。

  美衣「きゃっ!」

 それは美衣の顔の近くにいった。美衣はしゃがみこんでなんとか当たらずに済んだ。俺は美衣に駆け寄る。

  翔「ごめん。大丈夫だった?」
  美衣「えぇ。少しビックリしました。それよりも凄いですね。あんなサーブ出来たんですか?」
  翔「出来たよ・・・・・いつっ!」

 突然右ひじに激痛が走った。

  美衣「!翔先輩、大丈夫ですか!?」
  翔「あ、あぁ・・・古傷が開いただけさ。大丈夫。あのサーブ久々にやったからだよ。」
  美衣「そうですか・・・だといいんですけど・・・。」
  翔「・・・でも、今はもうテニスできないよ。美衣ちゃん、着替えてきてよ。」
  美衣「あ、はい。」

 美衣は着替えに更衣室に行く。更衣室に入ったあと、外から

  翔「美衣ちゃん、飲み物何かいる?」
  美衣「え〜っと・・・ミルクティーがいいです。」
  翔「わかった。ミルクティーね。」

 俺は更衣室から離れ、自動販売機に向かった。俺はコーヒーを買って(と言っても無料)一気に飲み干す。その後、コーラとミルクティーを買った(無料)。ボ〜っとして待っていると、美衣が更衣室から出てきた。ジャージ姿から、何故かまた制服姿になっていた。

  翔「ほら。ミルクティー。」

 俺はミルクティーを手渡す。

  美衣「ありがとうございます。」

 俺達はベンチに座り、飲み物を飲む。

  美衣「翔先輩・・・・。」
  翔「・・・ん?」
  美衣「あの・・・・ひじ、本当に大丈夫ですか?」
  翔「あ、あぁ・・・・心配しなくていいよ。」

 そう言ったもののとても物を投げたり出来る状態じゃないことはわかっている。

  美衣「ごめんなさい。私のせいで・・・・」
  翔「いや、違うよ。俺は美衣ちゃんが強いからやってみたんだよ。美衣ちゃんのせいじゃない。」

 まぁ、ひじの管理が出来てない俺が悪いんだし・・・・。と付け足そうとしたが美衣ちゃんが心配しそうなのでやめておく。

  美衣「翔先輩。ここ冷えますから中に入ります?」
  翔「あ、あぁ。そうだね。」

 俺達は美衣ちゃんの部屋に戻った。

  翔「あ、そういえばマンガとか持ってないの?」
  美衣「マンガですか?はい、持ってないです。」
  翔「じゃあさ、休日はどういう風に過ごしてるの?」
  美衣「休日はですね・・・色々です。お父様とお話したり、お花の世話をしたりです。」
  翔「友達とかは?」
  美衣「友達ですか?いますよ。休日は遊ばないですけど。」
  翔「あら・・・そうなんだ。」
  美衣「翔先輩・・・・」
  翔「何だい?」
  美衣「あの・・・・明日じゃなくてもいいのですけど・・・・翔先輩の家に行ってみたいなと思いまして・・・・・。」
  翔「俺ん家?汚いけどいいのか?」
  美衣「はい。私、他人の家に行った事ないので行ってみたいんです。」
  翔「ふ〜ん・・・・あ、そうだ。ちょっと電話貸してくれない?」
  美衣「あ、はい。電話はあの机の上です。」

 俺は家に電話をかける。出てきたのは母親だった。

  酒凪「もしもし。」
  翔「俺だ。」
  酒凪「翔!何処ほっつき歩いてんだい!さっさと帰ってきな!」
  翔「あぁ、そろそろ帰るところだ。ところでさ、明日さ〜、友達連れてきていい?」
  酒凪「友達?別にいいわよ。それよりも、早く帰ってきなさいよね!」
  翔「わーったわーった。ほいじゃ切るから。」

 ガチャリ。受話器を置き美衣ちゃんの所へ行く。

  翔「明日、来てもいいって。」
  美衣「それでは、明日行かせてもらいますね。」
  翔「わかった。・・・・っと、それじゃあそろそろ帰るわ。暗くならないうちにさ。」
  美衣「はい。長谷部!送ってあげてください。」
  長谷部「かしこまりました。」
  翔「それじゃあ、また明日。」
  美衣「はい。またです。」

 俺は車内から外の風景を見る。

  翔「そういえば、長谷部さん。聞きたい事があるんですけど・・・・・。」
  長谷部「なんでございましょう?」
  翔「美衣ちゃんが友達を連れてこられた事あるんですか?」
  長谷部「多分、酒凪様が初めてだと・・・・・。」
  翔「へぇ・・・そうなんだ。あっ、この辺でいいです。」

 俺は車から降りる。そして、長谷部が運転する車を見送る。家に帰ったときにはもう辺りは真っ暗だった。帰ってから部屋を片付ける。片付け終えた所で眠りについた。

 

〜第2章〜

 

  翔「やべ!寝過ごしてる!」

 目覚し時計が8時50分を指している。俺は急いで1階に下りる。居間の時計を見ると午前5時。

  翔「・・・・・なんだ、昨日の夜時計が止まってたんだ。」

 もう少し寝るかと思ったが、今寝たら本当に寝過ごしそうなので起きている事にした。なんとなく、6時30分になったので学校へ向かう。家から学校まではあまり距離は無いが、眠気のせいか20分のところが30分かかってしまった。学校に着くと、テニスコートの方で音がしたので行ってみる。見ると、朝練をしている。

  翔「女子テニス部か・・・・・ご苦労なこった。」

 コート内では、打ち合いとランニング、球拾いをしている。見ると、男子の姿は一人も無い。

  翔「男子テニス部はどうしたんだろうか?・・・・・って俺も一応男子テニス部だったな。」

 コートの打ち合いが激しくなったので見てみる。

  翔「片方はスピードと力重視か。・・・・と言うことは部長の池田か。もう片方は・・・・副部長か?いや、背はもっと高いはずだ。すると池田といい感じでやりあってるのは一体?」

 打ち合いをいつの間にか熱中して見ていた。

  部活生「池田先輩!ありがとうございました!」

 打ち合いが終わったらしい。

  池田「浦瀬さんも強いよ。コントロールあるしね。球威がもっとあれば私のほうが負けちゃうわ。」
  美衣「いえ・・・そんな・・・・。お疲れ様でした!」

 よく見ると、相手は美衣だった。美衣はコートに一礼してから更衣室に入っていく。数分して、更衣室から出てきた。

  翔「よっ。」
  美衣「あ、翔先輩。おはようございます。」
  翔「部長とやりあってたね。いい勝負になってたよ。」
  美衣「でも、やっぱり部長は強いです。」
  翔「俺は池田には勝った事あるぞ。」
  美衣「え?翔先輩、池田部長の事知ってるんですか?」
  翔「同じクラスだしな。」

 普通の会話をして教室に向かう。

  美衣「じゃあ、私こっちですので。」
  翔「あぁ。じゃあ、放課後。校門で。」

 そう言い、各自の教室へ行く。教室に着くと、まばらだがクラスメートはいる。俺は自分の席に座り、小説を取り出して読む。20分くらいして、真田と長池が揃って教室に入る。教室内をきょろきょろ見渡している。俺の姿を見つけたのか、俺の所へ真田がやってくる。

  徹「よう、翔。元気してたか?」
  翔「よう。相変わらずだな。」
  徹「ところで、俺の席は?」
  翔「あ?お前の席なんかあったっけ?」

 ポカッ。叩かれた。

  翔「いてて・・・・お前の席はあそこだぜ。」
  徹「嘘だろ・・・・マジかよ。」

 徹の席は一番前の真ん中。その後、授業を適当に受けて昼休みに入る。昼食を食べ終え、図書館で借りていた小説を読み終えたので返しに行く。その途中、

  翔「そういや美衣ちゃんは1-Bだったな。いないと思うけど行ってみるか。」

 1-Bに行ってみる。もちろん、入るのは恥ずかしい。だから、素通りするふりをしながら教室内を見る。案の定、美衣ちゃんの姿は無かった。当初の目的の図書館へ向かって本を返す。返し終えてから、適当に本を手にとって椅子に座る。そして読む。何分かしてから、隣に誰かが座った。ちなみに、ここの図書館は結構人気があるので席は詰めないといけない。誰だ?と思い、横目で座った人物を見る。

  翔「あれ?美衣ちゃん?」

 俺は周りの迷惑にならないよう、小さな声で聞く。

  美衣「あ、翔先輩。奇遇ですね。」
  翔「だね。何読んでるの?」
  美衣「これですか?テニスについての本ですよ。翔先輩は?」
  翔「俺は渋く日本の歴史だ。」
  美衣「あはは。そうなんですか。」

 しばらく二人は無言で本を読んでいた。俺は時計を見てそろそろ5時間目が始まる頃だと気付く。

  翔「っと・・・・そろそろ戻らないとやばいな。じゃあ、また。」
  美衣「はい、また放課後に。」

 俺は本を元の位置に戻して教室に戻る。自分の席につき授業の準備をする。すると、中に俺が入れた覚えの無い箱がある。

  翔「・・・・・?」

 小さい箱と大きな箱。小さい箱のほうには小さく「義理」と書いてある。大きい方には何も書いてない。だが、手紙があった。その手紙には、『放課後、教室で待っていてください』とだけ書いてある。

  翔「ふ〜ん・・・・。」

 その時、チャイムが鳴ったので俺は箱2つを鞄に入れた。

〜5時間目と6時間目の間〜

 俺は真田を呼んでみる事にした。

  翔「真田。ちょっと・・・・・」
  徹「よう、そっちはどうだった?」
  翔「俺か?義理1、本命1だ。」
  徹「お、本命か。」
  翔「しかも、ラブレター付き。」
  徹「やったじゃねーか。」
  翔「あぁ。」
  徹「俺はあんなにチョコいらねーぞ・・・・・。」

 チョコを貰えてない人たちの目線を感じる。

  翔「確かにな・・・・。しかも、全部本命なんだろ?」
  徹「でかさ的にそうかもな。ひとつは不明だが・・・・。」
  翔「・・・・長池か?」

 徹は無言でうなずいた。

  徹「アイツは幼馴染だからくれた・・・・って感じが強くてな。」
  翔「でも、女ってのはわからないもんだぜ?」
  徹「まぁ、な。」

 キーンコーンカーンコーン。授業の始まりのチャイムが鳴る。

  翔「チャイムだ、席に座っとけ。」
  徹「言われなくてもそうするぜ。」

 6時間目は担任の授業だった。そのため、HRが早めに始まり早めに終わった為、他のクラスよりも早く放課後を迎える事になった。長池と真田はなぜか慌てて教室から出る。他のクラスメートも部活やなんやらで教室を後にする。教室内が静まり返った所で、

  女生徒「ねぇ、翔君。」

 俺はボーっとしていた時に不意に後ろから声をかけられビックリした。誰だ?と思い振り返ると女子テニス部部長、池田麻美がいた。

  翔「この手紙・・・・池田が書いたのか?」
  池田「えぇ。でも、期待しないで。告白じゃないから。」
  翔「・・・・・え?」
  池田「やっぱり、話しづらいのよ、人前だと。今日はバレンタインだからいつも以上にね。」
  翔「で?なんか重要な話でもあるのか?」
  池田「えっと・・・・・急なんだけど翔君って、男子テニス部だよね?」
  翔「一応、な。それが関係あるのか?」
  池田「えぇ。実は・・・・・翔君、男子テニス部部長になってくれない?」
  翔「・・・・・は?」
  池田「男子テニス部、2年生は翔君しかいないの。だからなって欲しいの。」
  翔「・・・・・・・。」
  池田「別にすぐじゃなくていいから。3年生になるまでには決めて欲しいけど・・・・。それと、今日は部活出るの?」
  翔「いや・・・・客が家に来るから帰らないといけないから・・・・・。」
  池田「そう・・・・じゃあ、また明日。」

 池田は足早に部活に行く。俺は外を見ると下校する生徒も多くなってきていた。もう他の所も放課後に入ったか、そう思い教室を後にする。なんとなく1-Bに立ち寄ると丁度美衣ちゃんが出てきた。

  翔「よっ。」
  美衣「あれ、翔先輩。どうしてここに?」
  翔「暇だったからさ。HRも早めに終わったしね。」
  美衣「そうだったんですか・・・・。あ、という事は結構待ったのではないですか?」
  翔「いや、教室で友達に呼ばれて話が長くなってさ・・・・・終わってから1-Bに寄ってから行くかと思って来てみたら丁度美衣ちゃんが出てきた所だったんだよ。」
  美衣「そうなんですか・・・。」

 下駄箱の位置は違うので一旦別れ、昇降口でまた並ぶ。そして、話をしながら俺の家に着く。

  翔「ここだよ。」

 どこからどうみても普通の家。さらに、少々ガタがきている。だが、そんな家を興味津々で美衣ちゃんは見ている。

  美衣「ここが翔先輩の家ですかぁ・・・・・。私、こういう家に行ってみたかったです。」
  翔「そうなんだ。まぁ、立ってるのもなんだから入ろう。」

 玄関のドアを引く。

  翔「ただいま・・・・・・ほら、あがってよ。」
  美衣「はい。おじゃまします。」

 俺は荷物を置きに2階に上がる。美衣ちゃんもついて来る。俺の部屋の前についた。

  翔「この部屋が俺の部屋だから・・・・。ちょっと下に行ってくるから中に入ってて適当にくつろいでてよ。」

 美衣ちゃんはコクリとうなずき中に入る。俺は美衣ちゃんが部屋に入ったのを見届けると軽快なステップで1階に下り私服に着替える。そして、2階に上がろうとしたとき、

  酒凪「ちょっと翔、待ちな。」

 後ろから不意に母親が俺を呼んでいる。

  翔「何?」
  酒凪「客って何人?」
  翔「俺合わせて2人。」
  酒凪「そう・・・・ちょっと待ちなよ。」

 母親は台所に行き、何かしている。ちょっとしてからお盆を持ってきた。

  酒凪「ほら、持って上がりな。」
  翔「サンキュ。」

 お盆の上には、お菓子とジュースが乗っている。俺は受け取り自分の部屋に行く。何故か部屋から笑い声が聞こえる。何だ?と思い部屋のドアを開けると、マンガを読んでいる美衣ちゃんがいた。

  美衣「あははは。面白い〜♪」

 そのマンガは俺のお気に入りだった。

  翔「それ、とっても面白いだろ。はい、ジュースとお菓子持って来たよ。」
  美衣「あ、ありがとうございます。」

 美衣ちゃんは、たま〜にお菓子をほおばったりしているが目線はマンガに集中している。

  翔「結構気に入ってるようだね。それ、貸そうか?」
  美衣「え?いいんですか?」
  翔「あぁ、いいよ。もう何回か読んだしさ。」
  美衣「・・・・・じゃあ、借りますね。」

 申し訳無さそうに俺に言った。その後、ジュースを飲んだりしてからある事を聞いてみる。

  翔「ねぇ、美衣ちゃん。美衣ちゃんはなんで秋軟高校に入ったんだい?家からも遠いし。」
  美衣「え〜っとですね・・・・・秋軟高校の女子テニス部は強いのが有名だからですかね。翔先輩は?」
  翔「俺か?俺は近いから・・・・かな。」
  美衣「そうなんですか。翔先輩らしいですね。」
  翔「そうか?」

 その後、いろいろと話して、

  美衣「あ、もうこんな時間。帰りますね。」
  翔「あ、表まで送るよ。」

 玄関の前まで二人で行く。

  美衣「翔先輩、今日はありがとうございました。」
  翔「いいって。それより、帰り気を付けてね。」
  美衣「はい。あ、これ・・・・。」
  翔「ん?」

 美衣ちゃんは鞄の中から箱を取り出し俺に渡す。

  美衣「今日、バレンタインですので・・・・。」
  翔「あ、ありがとう。」
  美衣「それでは、失礼します。」
  翔「気を付けてね。」

 美衣ちゃんは歩いていく。すると、いきなり横から

  女「久しぶりだね・・・・翔。」
  翔「・・・・・・・姉貴?」

 いつの間にやら渚姉がいた。

  渚「さっきの娘、翔の彼女かい?」
  翔「違う。ただの友達・・・・」
  渚「ふ〜ん・・・・。」
  翔「・・・・にしても姉貴。今まで何処に?」
  渚「色々とね・・・・翔、あんたは何処の学校に行ってるんだい?」
  翔「秋軟・・・。」
  渚「そう・・・・・。」
  翔「それより姉貴、部屋が片付いてないぞ。」
  渚「翔、手伝ってくれるんじゃないのかい?」
  翔「・・・・まぁ、いいけど。」

 久々に姉貴の部屋に入る。どうやら母親が片付けているらしく、目立った汚れは無かった。姉貴は今まで持っていた荷物をタンスなどにしまう。

  翔「ところで、今姉貴は何してるんだ?」
  渚「教師。」
  翔「教師?姉貴が?」

 どうみても教師に合いそうに無い姉貴。

  渚「えぇ。」
  翔「で、まさか飛ばされてここに?」
  渚「その通りよ。」
  翔「・・・・・・・・。」
  渚「しかも、皮肉な事に秋軟に飛ばされたのよ。」
  翔「マジで・・・・。」
  渚「えぇ。まぁ、明日から宜しく。」

 姉貴の部屋から出て、自分の部屋のベッドに倒れこむ。その日は自然と眠りについた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

  翔「姉貴、行くぞ〜。」

 テニスをしている俺と姉貴。

  翔「姉貴、強すぎ・・・。」
  渚「翔、あなたってホントにコントロール系の人に弱いわね。」
  翔「なんでだろ?」
  渚「まぁ、私を倒したいのならもっと腕を磨く事ね。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

〜第3章〜

〜翌日〜

 6時過ぎに目が覚める。

  翔「夢・・・・でも見たんだろうか。」

 頭が重い。いつも以上にふらつきながら朝食を食べる。着替えてから学校に向かう。

  翔「そういや、池田がテニス部部長になってとか言ってたな・・・・・・。」

 真剣に考えてみるか、と思い登校していると、

  有希「お〜い、翔君。」

 朝から会いたくないような気がするメンバーに会った。仕方なく、行ってみる。

  翔「・・・・・よう。」
  徹「よう・・・・・かなり顔色が悪いぞ?」
  有希「なにか、あったの?」
  徹「まぁ、こいつの事だな。きっとラブレターくれた奴がよほどのゲテモノだったんだろう。」
  翔「こういうときだけお前の勘は冴えてるな・・・・・。」

 本当は違うがそう言う事にしておかないと真田はうるさい。

  有希「あはは、翔君も大変だね。」
  翔「でも・・・こうして二人を見てると面白いわ。」
  徹&有希「なんで?」

 真田と長池が同時にに聞いてくる。俺は大声で笑った。

  翔「あははは。ほらな、二人共仲良いし息は合ってるし。」

 ドスッ。真田が俺に重い一撃を与えた。

  翔「ぐはっ。」
  徹「ふぅ・・・・これくらいにしとくか。」

 授業中、いつもどおりぼ〜っとする。何気なく校庭を見ると女子が体育をしているようだ。

  翔「ドッジか・・・。」

 ぼ〜っとその様子を見ていると見覚えのある顔がいた。

  翔「姉貴!?」

 体育の指導をしているのは紛れも無く姉の渚だった。

  翔「・・・・ってそういえば今日からだって言ってたな。」

 その後、俺は窓の外から黒板に目を移した。

〜昼休み〜

 昼飯を食おうとしたとき、ふと廊下を見ると美衣ちゃんが立っていた。上級生のクラスだから入るのをためらっている事だろう。俺は近づいた。

  美衣「あ、翔先輩。」
  翔「教室に入る?」
  美衣「あ、はい。今日は翔先輩とお昼を食べたいなと思いまして・・・。」
  翔「おう、じゃあついて来いよ。」

 俺は美衣ちゃんを連れて教室に入る。あまり目立たない俺が女の子、しかも下級生を連れて教室に入るのを見て特に男子生徒の視線が来る。

  男子生徒A「おい、酒凪。彼女か?」
  翔「ん?・・・・・え〜っと・・・・。」

 どう答えればいいんだ。彼女って言ったら言ったで何か言われそうだし、じゃないって言ったら言ったでこれも何か言われそう。俺が返答に悩んでいると、

  池田「はいはい。酒凪君が返答に困ってるでしょ。散った散った!」
  男子生徒A「池田が言うならしょうがないか。」

 男子は池田のその一言で散っていった。

  翔「サンキュ。」
  美衣「先輩、こんにちは。」
  池田「こんにちは。ところで酒凪君。例の話、どう?」
  翔「・・・・・・もうちょっと時間をくれ。」
  池田「・・・・わかったわ。あ、あとね今日、新しく顧問の先生が来られるらしいから今日は部活出てね。美衣もよ。」
  美衣「はい、わかりました。」
  翔「あぁ・・・・。今日は元々出ようとしてたからな。」

 池田は廊下へ消えていく。

  美衣「あの・・・・例の話って何の事なんですか?」
  翔「え?・・・・・・ごめん。今は言えない。」
  美衣「そうですか・・・・。」
  翔「それより、メシ食おうぜ。」
  美衣「えぇ。・・・・・・でも、翔先輩はそれだけなんですか?」

 俺はパン1つに牛乳。

  翔「今日寝坊してね・・・・・。」
  美衣「なら、丁度良かったです。」
  翔「?丁度良かったって?」
  美衣「あの・・・・実は今日、お料理作りすぎてしまって全部食べれそうにないと思いまして・・・・・・。」
  翔「確かに、丁度良かったね。俺も食べるよ。これだけだと流石に少ないしね。」

 俺は自分のを平らげた後、美衣ちゃんが作った料理を少し食べた。美衣ちゃんの手作りだけあって、美味しかった。

  翔「ふぅ・・・ごちそうさま。」
  美衣「おそまつさまでした。」

 見事、二人で全部完食した。

  美衣「あ、そろそろ教室に戻りますね。それでは。」
  翔「あぁ、またね。・・・・っと、次は体育だったな。真田達、まだ屋上にいるのかな?」

 俺は屋上に向かった。なんとなく屋上の扉を体当たりで開ける。

  翔「お〜い。」
  有希「あ、翔君。どうしたの?」

 二人をよく見るといつもより顔が赤い。何があったから知らないが、真田にどつかれそうな雰囲気だったのでやめておく。

  翔「次体育だぜ?遅れるぞ。」
  徹「しまった。急ごう。」

〜体育の後〜

  翔「真田。」

 屋上での出来事がなんとなく気になり、聞いてみる事にした。

  徹「おう、なんだ?」
  翔「屋上で何かあったか?」
  徹「メシ食ってたぞ。」
  翔「長池の手作りか?」
  徹「いや、俺が二人分作った。ついでにあいつのは料理と言えん。まずいし謹慎中に嫌というほど食わされたし。」
  翔「ほうほう・・・・。」

 俺はニヤニヤ笑ったが特に真田は反応しなかった。

  徹「全く・・・・・お前も丁度良く屋上に来るよな・・・・。」
  翔「あん?それどういう意味だ?」
  徹「お前のせいで・・・・・・」
  翔「俺のせいで?」
  徹「キス、しそこねた・・・・。」
  翔「嘘!?マジで!?」

 俺のその声で着替えていた男子が全員こっちを向いたが真田は気にするそぶりを見せなかった。だが、すぐにみんな視線を元に戻した。

  徹「頼むから一発殴らせてくれ・・・・。」
  翔「嫌だね。それに、どうせすぐ出来そうな感じだし。」
  徹「お前はゲテモノから本命貰ったくせによ。」
  翔「頼むからそれを言うのだけはやめてくれ・・・・。」

 一応、そう言う事にしておかないと大変な目にあう、と直感した。

  徹「お互い・・・・・苦労するな・・・・。」
  翔「あぁ・・・・・。」

〜放課後〜

  翔「真田、長池。じゃあな。」
  徹「おう。」
  有希「バイバイ。」

 俺は部活に出るため部室に行く。

  男子部員A「あ、ちわっ!」
  翔「おう。」

 今日はちゃんと部員もいるようだ。コートに出ると、女子はもう練習を始めていた。

  男子部員B「先輩、俺達も練習しましょうよ。」
  翔「ん?あ、あぁ・・・・そうだな。」

 女子に負けじと練習を始める。

  池田「テニス部集合!」

 すこしして、池田が全員を集める。そういや、新しい顧問が来るんだっけ・・・・・。

  顧問「え〜っと・・・今日から男子のほうを顧問してもらう酒凪渚さんです。」
  渚「初めまして。酒凪渚です。」
  顧問「渚さんは一時、プロだったらしいから色々教わってもらいなさい。以上。」
  池田「女子は各自練習。男子はこの場に残ってください。解散!」

 女子はばらばらになる。新しい顧問が姉貴って事は可能性として浮上していたが本当に顧問になるとは・・・。

  翔「まさか・・・・・本当になるとはな。」
  渚「えぇ・・・私も思っても見なかったわ。・・・・・・ところで、男子はこれだけ?」

 その数4人。しかも、俺以外は1年。

  翔「まぁ、そう言う事。」
  渚「そうね・・・・じゃあ、1年は練習しておいて。翔、久々にする?」
  翔「おう、いいぜ。」

 皆が練習している中、俺と姉貴は試合をしていた。元プロと言う事もあり、視線は姉貴に注がれる。そのプレッシャーの中で、いつも通り、いや、いつも以上の動きをする姉貴を見て凄いと思った。約1時間たったところで、

  渚「ふぅ、このくらいにしておかないとまたひじが壊れるわよ。」
  翔「ハァ・・・・ハァ・・・・・。ったく、姉貴の強さは相変わらずだな。」
  渚「伊達に元プロをやっていたわけじゃないのよ。」
  翔「あぁ・・・痛いほどにわかったよ。」

 俺は息切れをしているが、姉貴は全く息は切れていない。辺りを見ると、ほとんどの部員が帰っている。

  翔「そうか・・・・もう部活終わったのか。」

 何故かこの高校は6時までしか学校にいれないため、5時半には部活が終わる。

  翔「俺もそろそろ帰るか・・・。」

 俺は部室に戻り制服に着替える。着替え終えた所で、姉貴と再び会う。結局、一緒に家に帰った。帰ったところで、俺は重大なことを知る。

  母「翔!」
  翔「何?」
  母「さっき長池さんのところから電話があったんだけど・・・・・」
  翔「・・・・で?」
  母「真田君が・・・・・。」

 俺は母親からある程度の事を聞いた。俺は真田が運ばれた病院まで走る。病院に着き、看護婦に部屋を聞く。部屋に入ってみると、

  翔「大丈夫か・・・・・・って・・・・おやまぁ。大丈夫そうだな・・・・・体も、恋も。」

 俺は二人の邪魔にならないよう静かに部屋を後にする。

 

 〜第4章〜

 

 真田が入院中の間、何回か遊びに行った。学校の事などを話した。だが、これだけは言わなかった。それは・・・・・・彼女がいると言う事を。

  翔「流石に真田に言ったらマズイだろうなぁ・・・・・。」

〜4月〜

  

  翔「よっ、お二人さん。元気かい?」

 登校途中に真田と長池の姿が見えたので呼んでみる。ドゴッ、バキッ、ボコッ。いきなり二人が俺を叩く。

  翔「いてて・・・・何すんだ。」
  徹「お前・・・・俺か居ない時に言いふらすなぁ〜!」
  翔「にしてもあの時の二人。俺が入ってきても反応せずにそのままだったからなぁ・・・・いてっ。」

 何気ない事でさらにボコボコにされる。

  徹「ったく・・・・本命はゲテモノだったくせに・・・。」
  有希「あ、それいいね。徹、それを学校中に流そうよ。」
  翔「それだけは勘弁・・・・。」

 ゲテモノの話は完璧に嘘だが、一応流されたくは無いと思った。俺は走って逃げる。

〜1年後〜

 俺は就職と言う事で進路を決めたが就職先がなくプータローになってしまった。だが、そんな中、美衣ちゃんの父から「うちの会社で働いてみないか?」と聞いてきた。但し条件付で。その条件とは・・・・・・

  

  「美衣を幸せにする事」

 

 だった。俺は迷うことなく了承した。

〜更に8年後〜

 俺はいつの間にやら浦瀬コーポレーション副社長になっていた。美衣ちゃんの両親は退職し、社長は美衣ちゃん。徹と有希は結婚したらしいが披露宴には行けなかった。姉貴はまたもや行方をくらましている。

  翔「美衣、ここの所はこれでいいか?」
  美衣「・・・・・・・えぇ。いいですよ。」

 俺みたいな凡人が、こんな所にいていいのかと思うが、いるのだから仕方が無い。

  翔「美衣・・・・・・」
  美衣「はい?」
  翔「今・・・・・・幸せか?」
  美衣「はい・・・・・あなた。」

 

 

 

 

 

 

〜あとがき〜
 ついに「風と共に・・・」全編が終了いたしました♪<翔編>ですが、結局は翔と美衣は結ばれると言う事で締めくくらせたいと思います。実は、4章からは即興なので思ったことをそのまま文章に写した感じなので変だと思います。
 「風と共に・・・」全編について思うことは、最後の方(徹と有希の病院での所です)を書くのが恥ずかしくなってしまいました。本当の私を知ってる人は「え、こんなのお前書くの?意外だな〜」って感じだと思います。色々と有りましたが、「風と共に・・・・」はこれで全編終了いたしました。長い間、更新を待ってくださった方々、最後まで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。

 

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