2011年2月定例市議会

議案・議決結果  2010年12月議会

片寄直行の反対討論

 2月定例松江市議会は、3月25日閉会しました。日本共産党議員団の片寄は、平成23年度一般会計予算、国保会計予算、松江市及び米子市並びに境港が締結した定住自立圏形成協定の一部変更についてなど12議案について反対討論を行いました。一般会計予算に対する討論を紹介します。


原発交付金は防災対策にこそ

 反対理由の第1は、原発交付金の使途の問題です。
 一昨年70億円を超える原発交付金が平成23年度は23億円台に急減します。
 幼稚園、保育園職員、小学校、中学校、給食センターの職員などの人件費に原発交付金が6億3000万円余当てられています。人件費などの義務的経費の財源を原発交付金に依存する財政運営は好ましくありません。原発災害から市民の安全を守るための交付金であるならば、防災対策にこそ手厚く当てるべきです。

〜地域防災計画の問題点〜

 東北・関東大震災による原発事故を考えるとき、島根県と松江市の地域防災計画には問題点があります。これについて、若干ふれておきます。
 地域防災計画の原子力災害編の前提として、「原発は万が一事故が発生しても周辺の公衆に影響を及ぼすことがないよう措置されている」と規定していることです。つまり、原発は過酷事故を起こさないという安全神話に浸った計画となっているのです。ここを正さなければなりません。
 今回の震災では半径20km以内には避難指示が出され、20kmから30kmは屋内退避指示が出されています。国の原子力指針に従った半径10km圏内の防災対策では命と安全が守れないことがはっきりしました。
 溝口知事は3月23日、中国電力に対し、原子力安全協定を結ぶ自治体を島根原発から30km圏内に広げるよう働きかける考えを明らかにしたと報じられています。当然のことです。
 次に地震想定が現実的でないことです。現在の計画は松江南方の地震を想定しています。玉湯町、忌部町、八雲町、そして東出雲町にかけての松江市街地の南方です。880年の出雲地震がこれと決めつけて、地震の想定がされていますが、広島工業大学の中田教授は、この出雲地震は南方ではなく、北の方、島根原発の付近を通っている宍道断層が動いて起きた可能性が高いことを指摘しておられます。日本海の海底活断層も考慮すべき活断層です。地震想定はまずこれら根拠のある活断層を考慮したものとすることです。
 最後に、計画は地震災害と原子力災害が別個に策定されていることです。今回の東北・関東大震災の教訓にたち、地震・津波被害と原子力災害が重なる複合災害を想定した計画とすべきです。 

定住自立圏構想は道州制の実態づくり

 反対理由の第2は、定住自立圏構想にたって、道州制の実態づくりをすすめていることです。
 定住自立圏構想は、地方の側から道州制の実態をつくりあげる狙いがあることは先に述べました。中海の湖岸を周遊できる道路や中海架橋などの基盤整備、日本海定期貨客船へ一往復100万円を上限とする赤字補填を行うなど多額の事業費負担となります。 

「同和」優遇やめよ

 反対理由の第3は、同和団体への多額な補助金や法令外負担金が同和問題解決に逆行することです。
 これまで「人権」と「同和」が並列的に使用されてきましたが、同和問題は人権課題のひとつとの位置づけのもと、新年度の組織・機構では「同和」の名称が廃止となります。
 旧同和地区の子どもだけを対象とした学力促進学級も廃止されます。これは一定の前進です。一般か同和かの垣根を取り払い、「同和」という名の特別対策をやめることこそ同和問題の解決の道です。
 しかし、同和団体には一団体あたり約100万円の補助金が支出されています。一般の市民団体との公平さを欠く高い補助金です。とりわけ全日本同和会には法令外負担金がひきつづき支出される予定です。同和団体に対し行政が負担金という性格のお金を払う悪弊はこれを機会に廃止すべきです。
  

ごみ袋の値上げ

 反対理由の第4は、4月からのごみ袋値上げを実施する予算だからです。
 ごみの有料化は合併時のどさくさにまぎれて、専決処分されたものでした。 今回の料金改定で、可燃ごみは2倍の料金に値上げとなり、市民生活を直撃するものです。
 以上の理由から平成23年度一般会計予算に反対するものです。

議案に対する会派の態度

 (2011年2月定例会)
           反対○ 賛成●

片寄直行の一般質問〜市長の政治姿勢をただす

 開会中の2月定例市議会の一般質問で、3月2日、日本共産党議員団の片寄は一般質問にたち、市長の政治姿勢、財政見通しと公共事業、尾原受水と料金問題、同和問題解決の課題についてただしました。要旨を紹介します。


美保基地の米軍使用 松江市に照会なし

 片寄は、米子空港が2007年10月31日の日米地位協定によって米軍基地化されたことについて、内閣総理大臣から松江市に対して意見照会があったのか質問しました。松浦市長は「美保基地の使用についての意見照会はありませんでした」と答弁しました。
 片寄は、米軍岩国基地から半径180km圏内に夜間離発着訓練場の構想があり、米子も候補地のひとつとなる。「中海圏域にこのようなものをおかせてはならない」と強く要請したほか、原水爆禁止日本協議会が始めた核兵器禁止条約の交渉開始を求める新しい国際署名に賛同するよう尋ねました。
 松浦市長は『昨年10月、世界の各都市と力を合わせ核兵器のない平和な世界の実現に向けて取り組んで生きたいと考え、広島市、長崎市をはじめ世界の約4500都市が加盟する「平和市長会議」に加盟した。今後も核兵器廃絶に向けた様々な取り組みに協力したい。署名運動については、運動の趣旨等を精査し研究したい』と述べました。

除雪支援の可否 回答に向け検討中

 雪害対策について、町内組織等が除雪にとりくんだ際の経費の一部を支援することを求めた、共産党や市議会の申し入れに対する見解を求めたところ、「現在、回答に向けて検討中」と答弁しました。
 片寄がライフラインの地下共同溝を求めたことに対し松浦市長は、「上下水道はすでに埋設されているので共同溝の設置は困難だが、電線の地下埋設については引き続き検討をお願いしていく」と答えました。
 また、美保関地区などでも今後は豪雪地域の八雲地区などと同様、電線への支障木は中国電力が所有者に了解のうえ、できるだけ事前伐採を行い、倒木防止に備えることとなった」と述べました。

TPP 食料自給率向上に逆行

 TPP(環太平洋連携協定)参加問題について片寄は、民主党政権が掲げる食料自給率50%向上対策と逆行するのではないか、農業のみならず食、労働、医療など多方面に影響することを指摘し、市長の見解をただしました。
 松浦市長は「食料自給率向上対策に反する。農業だけでなく、食、労働、医療等国民生活に直結する問題も含むため慎重な対応を求めたい。特に医療については、日本医師会等がTPPにより医療や健康保険分野が市場化される結果、制度自体が崩壊の危機にさらされていると主張しており、注視している」と答えました。

国保 負担は限界、値上げ抑制を

 片寄は、国保運営協議会から国保保険料の値上げ額がはっきりと答申されていない段階なのに国保予算は8.数%の値上げを計上していることを批判。加入者の負担能力は限界をこえており、一般会計からの繰り入れで保険料の高騰抑制を要求。また、国保人間ドックが毎年受診できるように検診体制の充実を求めました。
 松浦市長は『現在すすめられている国保の広域化においても基準外の繰り入れはせず、保険料で賄うよう求められている』『人間ドックは希望者全員の要望に答えることは物理的に限界。今後は特定検診とがん検診を組み合わせることにより人間ドック並みの効果が得られるよう検診事業を充実させたい』と答弁しました。

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