2016年6月定例市議会

議案・議決結果  2016年2月議会

2016年6月定例市議会片寄直行の一般質問

 6月21日、一般質問にたち、原発問題、同和問題、国保問題についてただしました。原発問題、同和問題については「新しい松江」7月3日号をご覧ください。国保問題(一問一答)の論戦を紹介します。


国保の都道府県化について

片寄 国保の都道府県化についてのガイドラインの概要と今後の流れは。
早弓・市民部長 厚生労働省は4月28日、平成30年度施行の国保制度改革に伴う国保事業納付金と標準保険料率の算定ガイドライン並びに、都道府県国保運営方針の策定要領を全国に通知した。平成30年度からの保険料については、医療費水準に応じた市町村単位の保険料率を原則としており、医療サービスの均質化や医療費適正化の取り組み等を進めることによって、将来的に都道府県での保険料率の一本化をめざすとしている。県においては、市町村ごとに医療費や所得水準、年齢構成などから「標準保険料率」及び「納付金の額」を算定し、市町村はこれらを参考に保険料率を決定することになる。今後の具体的スケジュールとしては、国が示したガイドラインを基に県と市町村で納付金算定方法等を検討し、県は平成29年10月までに納付金算定ルールを決定し、平成30年度の各市町村の納付金の額を示し、市町村はこれを基に保険料率を決定することになる。

片寄 このガイドラインは、都道府県の医療費適正化計画との整合性が強調されている。島根県の地域医療構想は、本年度半ばに策定予定と聞く。全国的にベッド数を削減することが柱になっていて、医療費削減先にありきではないか。住民の望む医療体制を実現するため、島根県地域医療構想についての松江市のスタンスは。
早弓部長 地域医療構想の策定者である都道府県が、国保の財政運営の責任主体となって、医療保険と医療提供体制を一体的に担うことから、地域医療の充実が図られ、良質な医療が効率的に提供されるものと考えている。

片寄 県がつくる計画だからお任せというのではなく、松江市としての自主的な希望はないのか。
井田・健康福祉部長 地域医療構想というのは、将来の人口推計をして、それに応じた患者数の見込みをだし、国における急性期、回復期等の政策を病床数に置き換えた数値。将来にわたって必要とされる医療バランスをよりよく提供するための一助と思う。

片寄
 地域医療構想を聞く冒頭にベッド数削減の説明を受ける。ベッド数は人口予測をすれば必然的にでてくる中身なのですか。地域の医療を必要とする人たちの実態が合わさってベッド数が決まるのではないか。
井田部長 地域の実情に合わない場合があれば、国、県に対して要請していくことになる。基本は将来の人口推計に基づくバランスのとれた医療体制の構想であろうと思う。

片寄 都道府県化までの松江市国保の財政見通しは。
早弓部長 平成26年度以降、一人当たりの保険料額を97,920円としている。
現段階で、平成29年度への繰越予定は2000万円で、基金残高の見込みは約6億円。都道府県化までは基金を取り崩すことなく国保事業の運営が可能であると推計している。

片寄 報道によれば、消費税増税見送りのため政府が国保支援の圧縮を検討しているとあるが、国に対して意見をあげるべきではないか。
早弓部長 国保への国の財政支援(3400億円)を圧縮することは、松江市の国保財政への影響が非常に大きいため、極めて遺憾であり、予定どおり交付するよう、市長会等を通じて国・県へ強く働きかけていく。

片寄 ガイドラインは現在ある基金を取り崩すことに否定的ではない。取り崩して、国保料の値下げを実施せよ。
早弓部長 ガイドラインに具体的な記述がなく、現在も不透明のまま。急激な医療費の増加等に柔軟に対応するためには、基金を残した状態での都道府県化に移行するのが望ましい。

片寄 2年ぐらい前の国保運営協議会では、都道府県化にともなって基金は取り崩すという話もされた。今の話だと、ガイドラインの中に具体的な記述がない、不透明だから取り崩さないと言われる。今年度は2000万円の黒字予定。来年度は極めて危険な国保会計の赤字が見込まれるのか。そうでないと、理屈がなりたたない。
松浦市長 確かに、都道府県化に移行する際に、持っている財産を処分するという考え方もあったように思う。ガイドラインにおいては、一発で保険料率を一つにするということではなく、だんだんと一本化していく考え方がしめされている。一本化されるまでは、調整財源としての財産は必要になってくる。

片寄 ガイドラインには、仮に市町村の国保会計が赤字になった場合、県が基金を積んで補填するという条項もある。心配しすぎだ。保険料引き下げに充てるよう要望する。

反対討論(共産党議員団 橘祥朗)

 日本共産党松江市議会議員団の橘祥朗議員は7月4日、条例案件3件、陳情1件について委員長報告に対して反対の討論を行いました。全文を紹介します。


保育の質をおとしめる条例に反対

議 第135号 松江市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正についてです。
 待機児対策としてこの条例は第1に朝夕の保育士配置基準を保育士資格者を2人から1人にする、後の1名は保育士資格がなくても研修を修了したもので良いとする 第2に幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭の免許を持つものを保育士とみなすことができる、第3に研修代替え要員は保育士以外でも良いとし、現在の最低基準を当分の間という曖昧な期間を設けて大幅に緩和するものであります。
 保育士資格は、国家資格であります。人員確保の基準緩和や資格要件の基準緩和は、保育の質低下につながるとともに子供の命まで落とすという事例がすでに起きています。昨年1年間で14名の乳幼児が死亡していますが、大半は無資格者が多い経験年数の浅い無認可保育所で起きています。
全国では、約80万人の潜在保育士が存在しています。市としても、資格を持っていても半数は、処遇が低いため保育士以外の他の職種を希望するという実態をつかんでおられるではありませんか。
 待機児対策、保育士不足の対策として今やるべきことは規制緩和や基準緩和ではありません。今回の条例は、国の間違った待機児対策に追随し保育の質をおとしめる条例であり、反対します。

介護職場の大幅な処遇改善が必要

議 第 136号松江市指定地域密着型サービス事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例及び市指定地域密着型介護予防サービスに関わる介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準等を定める条例の一部改正についてです。
 介護職員の処遇があまりにも低いため、職員が集まらないという状況ですが、同一敷地内に施設があれば、職員は増やさず仕事ができるとする規制緩和であり、介護職場で働く職員に更なる負担をかけるものです。大幅な処遇改善こそ、緊急にじっしすべきであり、条例の一部改正に反対です。

工場立地の規制緩和で緑地を減らすな

議 第139号松江市工場立地法地域準則条例の制定について
 「地域主権改革第2次一括法」による工場立地法の一部改正に伴い、特定工場の立地に関わる緑地面積率等にかかる準則の策定権限が市に移譲され、松江市として基準を定めるための条例を制定するものです。
 企業による設備投資や企業立地を促進する条件が広がるというメリットが強調され、工業地域及び工業専用地域の緑地面積を20%以上から5%以上に、準工業地域の緑地面積比率を20%以上から10%以上に大幅に緩和するものとなっています。
 工場敷地内の緑地帯は、第1に工場内の騒音防止効果、第2にCO2など温室効果ガスを取り除く効果や炭酸同化作用による大気の清浄化、第3に火災や爆発などの事故発生時の緩衝地帯の役割、第4に無機質な工業地帯における近隣住民へのリラクゼーション効果など、環境保全や防災上の大きな役割を果たしています。 具体的な問題を述べます。
 昨年、東出雲町内の工業専用地域内の特定工場が新たに隣接した土地を購入し、コンクリートの斫り音、運搬する騒音が隣接する民家の住民にとっては耐えがたく、住民と工場との間で大きな問題となりました。解決策として、関係者に説明会が開催され、会社側は、「工場敷地に20%の緑地が必要であり、購入した土地に工場を建てることは考えていない。購入した土地は緑地にする」と説明し、住民は安心したという事例がありました。今回この条例で、規制が緩和され、緑地としていた敷地に工場を建てることが可能となり、またトラブルが発生するのではないかと住民は心配しています。
 歴史と文化の香る松江市行政に逆行し、規制緩和で緑地を減らし環境対策を後退させ、近隣の住民との関係を険悪なものにする条例の制定には、反対です。

待機児対策で緊急対応と財源の確保を

陳情 第32号保育士の処遇改善並びに職員配置基準の引き上げの緊急対応と財源確保を求めることについてです。
 松江市における保育所の待機児は、4月1日時点では昨年までは3年連続ゼロでしたが、今年の4月1日は、22人で、深刻な事態となっています。他の保育園を紹介されたけれど仕事場から遠いなどの理由で希望した保育園に入れない待機児は4月1日時点で158人存在しているということですから、異常な事態です。
 国は、保育所最低基準の規制緩和でこの事態を切り抜ける方策を示しましたが、待機児対策は、認可保育所の建設で対応すべきであり、資格を持つ保育士の処遇改善で保育士が生きがいを持って働くことができる対策を取ることが必要です。
 昨年10月、松江市議会は国に向けて、子育て支援の充実を求める意見書を提出しましたが、現在は保育所の問題はさらに深刻な事態となっており、保育士の処遇改善と職員配置基準の引き上げに必要な財源確保を緊急に求めることは必要であり、不採択とした委員長報告に反対するものです。

トップページへ