2001年11月定例議会一般質問、答弁 
 11月定例議会での一般質問をわかりやすく問答形式に編集しました。答弁中この文字色は知事答弁です。読んでみていただくとこれは!と思われるかもしれませんが、特に教育問題での答弁は文部省のマニュアル通り。島根県の教育はなくてもいいんですか?と思うのですが、教育長は事務屋さん。しかもご当人のお人柄も決してレール以外は走らない(と思えるのですが)お方。
 もっと深い論議ができるよう磨かなくてはと反省しています。
【質問項目】
1.景気対策と雇用情勢について
わが県の現在の経済情勢に対する認識と雇用情勢、産業構造転換への考え方、緊急地域雇用創出特別交付金取り組み、NPOの育成、支援について、
県内の新規求人情勢と再就職訓練の取り組み、公共事業発注の平準化、今後の経済政策について
2.教育問題について(新指導要領導入問題)
特色ある教育・学校づくり、学区制の緩和、最低基準とされる指導要領の習熟、子供の能力幅への対応、少人数指導、習熟度別指導、個の評価、今後の高校入試のあり方
3.福祉問題について
地域福祉権利擁護制度、苦情解決システム、サービスの質を評価する第三者評価、地域福祉計画・地域福祉支援計画策定、障害者が地域の中で自立して生活できる基盤整備、身体障害者用のグループホーム整備、福祉工場やケアつきハウス、自立や社会復帰に向けて支援体制、障害者福祉事務の移譲、障害程度区分、自閉症・発達障害児(者)対策、母子家庭対策
 通告に従って一般質問を行ないます。
 質問の第1は、景気対策と雇用情勢についてであります。
 IT関連産業の失速にアメリカでのテロ事件や炭そ菌事件、日本での狂牛病騒動が追い討ちをかけ、消費も冷え込み、非常に厳しい経済情勢となってまいりました。
 このような中、皇太子妃雅子様が女子をご出産になられました。まことに喜ばしいことで、この慶事が日本経済の重苦しい空気を吹き払い、景気回復のきっかけになって欲しいと願わずにはいられません。
 さて、経済の冷え込みと共に雇用情勢も悪化し、9月には統計史上最悪の完全失業率を記録し、10月には完全失業率5.4%とその記録を更新致しました。その中でも、リストラなどの影響で家庭経済の柱である男性の失業率が前月比0.4ポイント増の5.8%となり、景気悪化の影響が大きくなっています。
 また、有効求人倍率も4ヶ月連続で落ち込み、唯一好調といわれたサービス業も、新規求人数は0.9%増と、8月の5.3%と比べると伸びが鈍化しています。依然として新規求人があるのは、再教育訓練などを施さないと再就職が難しい医療、教育、社会福祉分野ぐらいと言われています。
 県内でも、好調な業績を保っていた村田製作所が予定していた工場増設を急遽取りやめたり、大型倒産が相次ぐなど、世界経済、日本経済の景況悪化の波に洗われています。
 また、県内経済を支える主要産業である建設業関係では、厳しい環境変化を反映して、下請け、孫請けとして最前線の実働部隊を担う、特に零細企業では、事務費に当てる経費も出ないと言われ、構造改革にともなう公共工事の減少が確実視されることから、単価、量の両面から悲鳴とも言える叫びが聞こえてきます。
 そこで、最初にわが県の現在の経済情勢に対する認識と雇用情勢についてお尋ねいたします。
 まず、経済情勢の認識と雇用情勢についてであります。
 政府の月例経済報告によれば、米国の同時多発テロ事件以降世界経済は一段と減速しており、先行きに対する懸念が強まり、景気の現状に対する基調判断は「引き続き悪化」から「一段と悪化」へと、3ヶ月ぶりに下方修正されたところです。
こうした状況の中で、本県におきましてもIT関連産業を中心に減産が続き、平成7年を100とした鉱工業生産指数は平成12年6月以降低迷し、同年10月からは100を割り込み、本年9月には79.9と低下しております。 一方、個人消費については大型小売店や家電、乗用車などの販売状況から判断して、総じて停滞しております。
 また、平成13年度の企業の経常損益は大幅な減益見通しとなっており、企業倒産状況についても10月末現在の負債総額は237億円と戦後最大となるなど、経済情勢は大変厳しい状況にあると認識しております。
 また、本年になってから建設業をはじめ製造業、卸・小売業などの主要産業で新規求人が減少する一方、企業の倒産やリストラなどによる離・転職者が大幅に増加したことにより新規求職者が増加傾向にあります。こうしたことから、10月の有効求人倍率は0.68倍と昭和58年9月以降最も低い水準となっております。また、新規高等学校卒業予定者の県内就職内定率は、10月末で63.7パーセントと前年比8.3ポイントの減少となるなど、県内における雇用情勢も同様に厳しい状況にあると認識しております。
 事業主の方からは、悲鳴と共に今後どんな業種が伸びるのか、何をしたらいいのかと聞かれます。わが県の産業構造の転換は大きな課題でありつづけておりますが、その歩みは遅く、特に、建設業や製造業など既存の業界においては、体力のある企業以外は新しい分野への展開に取り組んでいない、否、取り組めない状況で、中でも零細企業には情報も伝わりにくいのが実情ではないかと思います。意気込みはあっても意気込みだけで空回りするような。
 今後の島根県産業の発展を考えたとき、新規企業の誘致への取り組みと共に、地場企業の構造転換が大きな課題であり、成長分野への業態拡大に、県としてももっと踏み込んだ支援体制を構築しなければならないのではないかと思います。
 待ち遠しかったソフトビジネスパークも完成し、明るい話題も見られるのでありますが、中核施設であるテクノアークしまねでは、地場企業の構造転換を積極的に推進する機能を果たすべきであり、個々の企業に対して、踏み込んだ相談や支援を行なうなど積極的にかかわり、推進すべきと考えます。島根県の産業構造転換に果たす県の役割と産業構造転換への考え方をお尋ねいたします。
 本県の産業構造転換についてお答えいたします。
 生産拠点の海外移転や輸入の増大など国内生産が減少する中で、本県企業も製品やサービスの高付加価値化、企画提案型の経営戦略など、事業内容や経営方法を革新する産業構造の転換が求められております。
 そのため今後は、技術革新による成長分野や、健康・福祉・環境・教育・文化など生活の質を豊かにする分野に本県企業の人・モノ・金といった経営資源をシフトすることが必要と考えております。
 県としては、テクノアークしまねに(財)しまね産業振興財団や産業技術センターなどをこのほど集約し、各商工団体等と連携して、個々の企業ニーズに応じた機動的総合的な支援体制の構築につとめておりますが、一方、松江工業高等専門学校の産学連携組織「松江テクノフォーラム」の設立をはじめ、島根大学、島根医科大学においても地域企業との共同研究体制の整備がここへ来て一気に進んでまいりました。
 今後は県内企業が行う新たな取り組みに向けた支援機能の十分な情報提供を行うと共に、経営革新のためのビジネスプラン策定の支援、生活者ニーズや技術シーズにもとづく産学官共同研究など、きめ細かい支援をより積極的に展開していきたいと考えております。
 次に、雇用対策についてお尋ねいたします。
 政府では、先の補正予算で緊急地域雇用創出特別交付金初めさまざまな支援策が拡充されることになりました。また、県独自にも雇用と中小企業対策の拡充が図られることになっています。
 政府の対策中、緊急地域雇用創出特別交付金については、本県では今年度から平成16年度までの間、36億円の基金をもとに取り組まれることになっています。
 緊急雇用対策としては、過去にも平成11年から12年度にかけて取り組まれ、その効果についてさまざまな論議のあったところであります。まず、先の緊急雇用対策における効果について、どのように総括していらっしゃるかお尋ねします。このたびの対策については、非常に厳しい雇用情勢を勘案しての施策であり、なんとしても雇用効果の実を挙げなければならないと思います。本県における取り組みの考え方についてお尋ねいたします。
 次に、平成11年から12年度に取り組んだ緊急雇用対策の効果の総括についての御質問にお答えいたします。
 先の「緊急地域雇用特別交付金事業」につきましては、県内の求人実態を踏まえ、特定業種に偏ることのないよう全体として幅広くバランスのとれた雇用・就業機会の創出を図るよう実施してきたところであります。
 平成11年、12年度の2ケ年において、「学校教育における社会人活用事業」など12項目の事業で、延べ約50,700人を雇用し、その約50パーセントに当たる延べ約24,900人が新規雇用者であり、実人数にしますと約1,900人となっております。
 次に、今年度からの本県における取り組みの考え方などについてでありますが、この度の交付金は、国内における厳しい雇用失業情勢に鑑み、県及び市町村が公的部門において、緊急かつ臨時的な雇用の創出を図ることを目的として設けられるものです。
 このため、国においては、雇用創出効果を高めるため、新規に雇用する失業者割合を概ね75%以上、また事業費に占める人件費割合を概ね80%以上とするなどの条件を付しております。
 県内の雇用情勢について、大型倒産も相次いだこともあり、雇用ニーズに地域的な偏在もあるのではないかと思います。県の緊急雇用対策事業の地域バランス、市町村事業との振り分けと市町村間の配分バランスについて考え方をお尋ねいたします。
 また、この事業は本年度から平成16年度までとなっていますが、年度間調整の考え方と今年度事業取り組みのスケジュールについてお尋ねいたします。
 事業実施に当たっては、県と市町村の事業費が概ね同程度となるように考えておりますが、市町村に満遍なく配分するのではなく、失業者の実態を勘案して、公的部門における雇用効果を上げていきたいと考えております。
 また、年度間の使い方については、この事業が、失業者を対象として、緊急かつ臨時的な雇用の創出を図ることや、今後構造改革の進展によっては県内中小企業等に少なからぬ影響が生ずる場合もありますので、必要に応じて調整をしてまいります。
 なお、今年度事業の取り組みスケジュールについては、年内に交付申請等の事務手続きを行い、来年1月中には事業実施ができるよう準備に万全を尽くしたいと考えております。
 この事業は新公共サービス事業として委託又は直接自治体が実施することになっています。今、公共サービスを補完する形態としてNPO法人の役割がクローズアップされ、その育成、支援が行政課題の一つとなっています。そうしたことから、事業実施に当たっては、NPOの活用を積極的に図るべきと考えます。NPOの育成、支援についての考え方とあわせて緊急雇用対策事業における位置付けについてお尋ねいたします。
 NPOの育成支援についてお答えいたします。
 昨今、地域の福祉力の向上や環境保全などに取り組むNPO等の活動が注目されてきております。
こうしたNPO等の行う社会貢献活動は、あくまでも自主的、自発的活動で、かつ、自らの活動理念に基づくものであり、支援に当たっては、特性を損なうことのないよう配慮し、活動しやすい環境づくりなど、側面的支援を行うことを行政支援の基本としております。
 その一環として、本年度は、NPO法人制度の普及と経営基盤の強化を目指したNPO法人入門講座、行政職員のNPO等に対する認識を深めるための研修会を行ったところであります。
 また、本年3月に設立した「財団法人島根ふれあい環境財団21」において、活動促進の気運づくりや機会づくり、情報の提供とネットワークづくり、活動の環境整備などに取り組んでいるところであります。
 次に、緊急雇用対策事業における位置づけについてでありますが、この事業は、雇用創出効果が高い事業であること、民間企業等への委託方式を原則として事業を実施することなどの条件が付されております。委託先としては、これらの条件のもとに、業務を的確に遂行する団体であれば、NPOもその対象となり、かつ、当該事業の目的がNPOの活動目的にかなえば委託することが可能でありますので、これらの点を十分勘案して活用を検討するべきと考えております。
 先ごろ、双方向メディアを活用したマーケティング事業等を営む「株式会社ベルシステム24」のソフトビジネスパーク内への進出が決定いたしました。本県における新たな業種の企業の進出であり、また、多数の雇用も予定されているとのことで、大いに期待しております。この企業進出にあわせて、緊急の職業訓練が実施されることになっており、訓練生募集も行なわれたようであります。その状況と今後の雇用計画などについてお尋ねいたします。
 次に、ソフトビジネスパークへの進出が決定した「株式会社ベルシステム24」につきましては、今後、平成14年7月の操業時までに800人程度、3年後には総数1,400人程度の雇用が計画されております。
 これに対応し、県では、松江高等技術校にコールセンター科を設置するなど、コールセンター業への就職を希望される離転職者の方々を対象として、9回転270人の職業訓練を実施する予定としているところであります。また今後、企業の求人状況や求職者ニーズに応じて、通勤圏内での新規開設を含め、できる限りの訓練を実施してまいりたいと考えております。
 また、最初に述べたように、全国的には、依然として新規求人があるのは、再教育訓練などを施さないと再就職が難しい医療、教育、社会福祉分野と言われております。県内の新規求人の情勢と再就職訓練の取り組み状況と成果についてお尋ねいたします。
 次に、県内の新規求人動向についてであります。本年4月から10月までの一般とパートタイムの新規求人累計は、28,600人で前年同期比10%の減少となっております。
 主な産業別の新規求人状況は、サービス業では8,500人で対前年比6%の増加となっておりますが、卸・小売業・飲食店は8,100人で6%、建設業は5,000人で17%、製造業は4,000人で38%の減少となっております。特に、新規求人が対前年比で増加したサービス業においては、情報サービス業などの分野で17%、医療・社会福祉・教育分野で3%の増加となっております。
 次に、再就職訓練についてでありますが、県立高等技術校においては、通常の施設内訓練として、離転職者対象の7コース90人のほかに、今年度は、緊急再就職等訓練として、先ほどのコールセンター科や医療事務科、OAサービス科など、30コース510人の実施を予定しております。この緊急・臨時的な訓練では、施設外の訓練場所を借用したり、外部講師の招聘や民間教育訓練機関等への委託などにより機動的に実施しているところであります。
 また、雇用・能力開発機構においては、通常の施設内訓練が28コース440人、緊急再就職等訓練では、IT関連、介護サービス関係の訓練を85コース2,180人実施することとしております。
 こうした職業訓練の成果についてでありますが、12年度の修了生の就職率を見ますと、県立高等技術校では77%、雇用・能力開発機構では68%という結果となっております。
 今年度の再就職訓練については、訓練半ばの段階でありますが、昨年までと比べ相当厳しい状況があると認識しております。今後とも、より一層求人状況や企業の人材ニーズなどの的確な情報把握に努め、就職に直結する職業訓練を効果的に実施してまいりたいと考えております。
 公共工事の事業量の大幅ダウンが確実視される中、少ない中でも仕事をつないでいけるよう、事業発注の平準化についてもなんとしても取り組むべき課題と考えます。例年、年度当初から6月の間には殆ど仕事がない状況と言われています。本県の産業構造を考慮し、誰のための、何のための地方自治かと考えたとき、私は、制度の抜本見直しによる平準化への取り組みは大きな課題であろうと思っています。事業発注の平準化についての考え方と取り組みについてお尋ねいたします。
 公共事業の平準化についての考え方と取り組みについてお答えします。
 公共事業の実施に当たっては、事業の切れ目の無い執行を図る観点から、従来より、国庫債務負担行為、いわゆるゼロ国債を活用し、平準化に取り組んできたところであり、本議会に提案している平成13年度11月補正予算案においても、約60億円のゼロ国債を計上しております。
 議員ご指摘のとおり、今後本県においても公共工事の事業量が減少していく可能性がありますが、来年度の事業執行に当たっては、事業の適正かつ円滑な執行に努めるとともに、景気の動向など、経済情勢を十分考慮しながら取り組んでまいります。
 この項の最後に、小泉首相は一時的に失業率が増加しても構造改革の手を緩める考えのないことを強調していますが、閣内においても「容易ならざる事態に至っている。局所療法としての雇用政策は限界に近づきつつある」として総合的な経済政策に取り組む必要性に言及する声もあります。今後の経済政策について知事の所見をお尋ねいたします。
 次に、今後の経済政策についての所見についてであります。
 景気が一段と悪化しているとの判断から、国においては、先般成立した歳出規模3兆円の第一次補正予算に続き、第二次補正予算の編成に着手されたところであります。 この補正予算には、小泉内閣の下で進められている構造改革の取組みとの整合性を図りながら、重点分野を絞り込んだ、事業費ベースで約4兆円規模の経済対策が盛リ込まれると聞いております。
 私は、完全失業率5.4パーセントと言う、調査開始以降最悪の雇用実態やデフレの一層の進行が懸念される厳しい現状において、この補正予算を速やかに成立させる必要があると考えております。今後とも、経済情勢の動向によっては、柔軟かつ大胆な経済対策が必要であり、国においては、こうした認識の元に、適切に対応されるよう期待しております。
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 質問の第2は、教育問題についてであります。
 ここ数年、「学力低下」問題が論議されています。
 従来の教育論争は、文部省対日教組や革新系の学者や文化人という構図であったのが、今回は大学の教育現場から、しかも教育学者ではなく、理数教育の当事者が火付け役で「分数ができない大学生」や「少数ができない大学生」がベストセラーになりました。
 ここで取り上げられたのが日本のトップ大学での調査結果で、大学生の学力低下は従来少子化や進学率の上昇によると説明されてきたのですが、それではトップ層の学力低下は説明できないということです。
 この「学力低下問題」と文部科学省の「ゆとり」教育の因果関係、来年度から導入されようとしている新学習指導要領の是非の論争がヒートアップしたのであります。
 来年からの学校週5日制の完全導入、新学習指導要領の実施を前にして、「1980年代後半からのアメリカやイギリスでの教育改革の流れは、日本の「ゆとり」教育とは全く流れを逆にする。アメリカでは校則の重視や試験重視の教育を導入することによって少年犯罪が減っている」等の論調のある中、各学校が「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し、子どもたちに学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせることはもとより、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」をはぐくむとのねらいが、確実に実を結ばなければならないとの思いからお尋ねを致します。
 今、新学習指導要領の実施を前にして、全国各地で特色ある教育・学校づくりへの取り組みが始まっております。
 総合的な学習の時間の創設や授業時数、教科内容の削減、選択学習の幅の拡大など、まさに新学習指導要領の目指すところはその部分ではないかと思います。この狙いを達成していくためには現場の教師個々の力量はもとより、校長以下管理職の力量が問われることになりますが、明らかに不安を覚えるような教師や管理職もいらっしゃるように思われます。
 都市部においては、学力低下への懸念から私学志向が強まっているとも言われていますが、選択肢が殆どない本県においては、公立学校がこうした受け皿にならざるを得ないわけで、その成否がより問われるのではないかと思います。特色ある教育・学校づくりに向けてどのような対応を取られているのかお尋ねいたします。
 まず、特色ある教育や学校づくりについてお答えします。
 平成14年度から実施される新しい学習指導要領のもとでは、特色ある教育や学校づくりが推進できるようになりました。
具体的には、新たに創設された「総合的な学習の時間」において、各教科等で得た知識を総合的に働かせることをめざしており、各学校や地域の実態に応じて、児童生徒の興味・関心に基づいた学習を行うこととなります。
 その活動内容としては、ふるさと教育、環境教育、福祉教育に関する活動や、地域の人材や素材を生かした活動などであり、創意工夫を生かした教育活動があげられます。
 また、中学校では、選択履修の教科や時間を拡大し、生徒の興味・関心に応える教科を準備することができるようになっております。
 さらに、各学校の創意で柔軟な時間割を組むことができ、様々な幅広い学習が行えるようになっております。
 県教育委員会といたしましては、「教育活動総合支援事業」や、県内全ての小・中学校の特色ある教育活動を紹介した冊子の作成などにより、各学校の特色ある教育や、特色ある学校づくりが推進されるよう支援しております。
 特色ある教育・学校づくりを目指すということは、学校の差別化を図ると言うことであり、その先には教育内容や特色によって、子供の側の選択が保障されなければならないと思います。全国には学区制を廃止したところも出ていますが、学区制の緩和も検討すべき課題と思いますが、考え方をお尋ねいたします。
 次に、学区制の緩和についてであります。
 小・中学校の学区制については、平成9年1月27目付けの文部科学省の通知により、各市町村教育委員会が、地域の実情に即し、保護者の意向に十分配慮しながら、多様な工夫が行えることとなっております。
 県内においては、三市三町で、保護者が学校を選択できるようになっております。また、三市二町において就学すべき学校の指定に先立って、保護者の意向を間いております。
 特色ある学校づくりと学区制の関連についてでありますが、先に述べた特色ある学校づくりを推進することが、ご指摘のような学区制の弾力化の前提となる学校の差別化に、直ちにつながっていくものとは考えておりません。
 学区制につきましては、各市町村教育委員会が設定するものでありますが、県教育委員会といたしましては、学区制を緩和したり廃止したりすることについては、多くの課題を含んでいることから、慎重に対応すべき事柄だと考えています。
 教科内容の削減された指導要領はミニマム・エッセンシャルであるとされ、あくまでも100%の習熟に取り組むことが基本とされています。一方、習熟の早い子供に対しては、発展的な学習、補充的な学習など、個に応じた指導の充実が謳われ、子供の能力幅への対応が取られることになっています。
 今までは、例えば中学校では、子供の能力差が大きい中で、一斉指導、一斉履修から抜けきれず、個に応じた指導法が確立されていないと言われ、これからは広い意味でのガイダンスが必要で、優秀な子供は高校の分野もやっていいのではないかとの指摘もあります。
 私立の学校や塾においては、そうした対応が取られ、公の補完機能を果たしてきております。わが県においてはそうした機能は十分にはないのでありますが、今後はそうした機能も各学校が果たさなければならないということであろうと思います。
 そのため、少人数指導、習熟度別指導を可能にするなどの教職員定数の改善も謳われています。また、教育関連6法の改定には、この議場で過去何回も議論された、学級編成の基準を下回る設定も都道府県教育委員会の判断で可能となったところであります。
 習熟度別指導についてはさまざまな意見もありますが、子供個々の能力を伸ばすためには積極的に取り組むべき課題と考えています。
 最低基準とされる指導要領の習熟に対する考え方、子供の能力幅への対応に対する考え方、当面する教職員定数の改善で充分な少人数指導、習熟度別指導への対応が可能となるのかお尋ねいたします。
 次に、最低基準とされる指導要領の習熟に対する考え方についてであります。
 新しい学習指導要領においては、小・中学校において教育内容を厳選するとともに、中学校において選択幅を拡大し、発展的な学習など、児童生徒の特性等に応じた学習を一層行うことができるようにしております。
 これは、教育課程の編成・実施における、学習指導要領の最低基準性を示したものであります。
 各学校においては、少人数授業などきめ細かな取り組みを積極的に行うことにより、児童生徒一人一人に、学習指導要領に示された、基礎的・基本的な内容を、確実に身に付くようにすることが大切であると考えております。
 次に、子供の能力幅への対応についての考え方であります。
 新しい学習指導要領においては、一学校において特に必要がある場合には、指導要領に示していない内容を加えて指導することができる」とされており、各学校における弾力的な取扱いを可能としております。
 また、中学校における、選択履修の幅を一層拡大し、生徒の能力等に応じ、発展的な学習を、更に行うことができるようになっております。
 県教育委員会といたしましては、こうした、新しい学習指導要領の趣旨を踏まえ、学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容を充分に理解した児童生徒については、その興味・関心に応じて、より広く、より深く発展的な内容を指導することにも充分配慮した取り組みを行うことが必要であると考えております。
 また、理解の不十分な児童生徒に対しては、理解の程度に応じながら、繰り返し学習や補充的な指導の充実に努めていくことが必要であると考えております。
 このように、新しい学習指導要領の実施に当たっては、児童生徒一人一人の能力に応じたきめ細かな指導をしていくことが大切であると考えております。
 次に、教職員定数の改善による、少人数指導・習熟度別指導への対応についてであります。
 本午度から平成17年度までの5カ年計画で、国の第7次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画が、スタートしたところであります。
 この改善計画は、基礎学力の向上を図り、きめ細かな指導を実現するという観点に立つて、多人数の学級を有する学校に少人数指導のための教員を配置し、習熟度別に学級を幾つかの集団に分けて指導したり、複数の教員で指導を行ったりするなどの取組が展開されることを目指しております。
 このため、今年度、小学校84校に114名、中学校58校に81名、計195名の教員を配置しているところであります。
 県教育委員会といたしましては、充実した少人数指導のための教員の配置について、今後、一層努めてまいりたいと考えております。
 最低基準とされる指導要領はあくまでも100%の習熟に取り組むことが基本とされており、今までのようなテスト重視の評価から、学習状況を適切に評価する絶対評価が一層重視されることになっています。この評価方法は、子供個々の能力を伸ばすことと表裏一体の関係であり、やはり教師の力量が問われるとともに、教師にかかる負担も増すものと思います。個の評価についての考え方についてお尋ねいたします。
 次に、個の評価の考え方についてであります。
 学習指導においては、基礎基本の徹底や個性を生かす教育を充実する観点から、学習の過程を重視し、児童生徒のよい点や進歩の状況を積極的に評価すること、児童生徒が学習過程を振り返り、新たな自分の目標や課題をもって学習を進めていけるような評価を行うことなどが大切であります。
 それらの評価に当たりましては、知識や技能の到達度を的確に評価することはもとより、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力までを含めた学習の到達度を適切に評価することが、非常に重要になってまいります。
 そのためには、児童生徒の学習状況を単一の時期や方法によって評価するのではなく、それぞれの教育活動の特質や評価の目的に応じ、評価方法、評価の場面や時期などについて適切な方法を工夫し、それらの積み重ねによって児童生徒の成長の状況を総合的に評価することが求められております。
 県教育委員会といたしましては、本年度中に「評価規準設定の手引」を作成し、指導と評価の一体化を図りたいと考えております。
 入試のあり方で教育内容が変わるといわれています。例えば、国語の中で一番大切なのは「意思の伝達」であるのに、高校入試で文章を書くことは評価が客観的でないからできない、そのため、中学校の国語教育の中で一番ないがしろにされているとの指摘があります。
 今後の高校入試のありかたは、最低基準としての学習指導要領の習熟度と、高校の特色にあわせて個々の能力を伸ばす学習の成果を問うものとし、小・中学校で磨いた個々の能力を更に高校で伸ばすものとしていく必要があるのではと思います。今後の高校入試のあり方についてお尋ねいたします。
 次に、今後の高校入試のあり方についてであります。
 入学者選抜における学力検査につきましては、従来から、学習指導要領に示された範囲内で、単に知識量を問うのみでなく、思考力、判断力、表現力、分析力等を問う問題の作成に努めております。
 そして、平成14年度からの新学習指導要領実施に伴う入学者選抜の改善につきまして、現在、島根県教育課程審議会において審議いただいております。 その中で、各高等学校、学科等の特色に配慮した選抜方法として、学力検査と個人調査報告書の比率に関する学校裁量の拡大、教科によって配点の比重を変える傾斜配点の導入促進、生徒の多様な個性や能力・適性、学習意欲などを評価するための面接検査の積極的活用、推薦入学の拡大などが検討されております。
 今後、県教育委員会としましては、審議会の審議結果を踏まえ、小中学校教育で習得した基礎基本の上に、各高等学校がそれぞれの特色にあわせて生徒ひとりひとりの能力を十分伸ばせるような入学選抜の改善について検討していきたいと考えています。
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 質問の第3は、福祉問題についてであります。
最初に、社会福祉基礎構造改革について、お尋ねいたします。
 昨年6月、介護保険制度の円滑な実施や成年後見制度の補完、地方分権の推進、社会福祉法人による不祥事の防止などに資するため、社会福祉法が改正施行されました。
 改正の主な内容は、@利用者の立場にたった社会福祉制度の構築Aサービスの質の向上B社会福祉事業の充実・活性化C地域福祉の推進などとなっています。
 これらの改正点についての取組状況の中から、地域福祉権利擁護制度の現状と苦情解決システムの整備、運営状況、サービスの質を評価する第三者評価への取り組み状況、並びに地域福祉計画および地域福祉支援計画策定に向けた基本的な考え方と取組状況についてお尋ねいたします。
 社会福祉基礎構造改革について、お答えいたします。
 まず、地域福祉権利擁護事業の現状についてであります。
 この事業は、痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者などで、判断能力が十分でない方が、自立した地域生活が送れるよう、福祉サービスの利用に係る相談手続代行、日常的金銭管理及び書類の保管などのサービスを提供するものであります。
 本県におきましては、平成11年10月から島根県社会福祉協議会が実施しており、その利用者は、本年9月末で86人であり、今後も増加することが見込まれております。
 県といたしましては、市町村及び社会福祉協議会と連携し、円滑な事業実施に努めて参ります。
 次に、苦情解決システムの整備・運営状況についてであります。
 福祉サービスに関する苦情については、本来、当事者である利用者と事業者の間で解決されるべきものでありますが、当事者間で調整できない苦情などを適切に解決するための機関として、弁護士や大学教授などで構成する運営適正化委員会を平成12年11月に島根県社会福祉協議会に設置し、利用者等からの相談に応じ、事情調査、助言、あっせんを実施しております。
 利用者に対する職員の接遇が不十分であるなどの苦情の取扱件数は、本年9月末で17件であります。
 県といたしましては、事業者が担当者を指定することなどにより、利用者の苦情や意見を幅広く汲み上げ、サービスの改善に積極的に取り組むよう、監査等を通じて指導するとともに、運営適正化委員会と連携して、福祉サービスに関する苦情が適切に解決されるよう努めて参ります。
 次に、サービスの質を評価する第三者評価への取組状況についてであります。
 福祉サービスにおける第三者評価とは、事業者の提供するサービスの質を当事者以外の公正・中立な第三者機関が、専門的かつ客観的な立場から評価するものであります。
 本県では、NPO法人等の二団体が実施を予定しております。
 全国的には、本年9月の厚生労働省の調査によりますと、既に7都県において第三者評価を行っている団体があり、今後予定している団体があるのは、本県を含めて9県であります。
 本県といたしましても質の高い評価が行われるよう、適切な対応を行って参りたいと考えております。
 次に、地域福祉計画についてであります。
 市町村地域福祉計画は、地域福祉の推進に関する事項を一体的に定める計画として、また、都道府県地域福祉支援計画は、広域的な見地から、市町村地域福祉計画の支援に関する事項を総合的に定める計画として、策定するものであります。
 この計画に関する社会福祉法の規定は、平成15年4月から施行されることとなっており、国においては、来年度の早い時期に「計画策定指針」を示すため、調査研究事業の実施や事例集の作成が行われているところであります。
 県といたしましては、本県の特性に合わせた地域福祉計画の策定を進めるため、出雲及び川本健康福祉センターにおいて、管内市町村との協働による調査研究事業を、本年度から二年間の予定でモデル的に実施しております。
 今後、国から示される策定指針及び本県独自の調査研究事業の成果を踏まえて、市町村への情報提供及び啓発を行うとともに、県地域福祉支援計画の策定に向けた検討を行って参りたいと考えております。
 次に、同じく改正の中にうたわれている福祉サービスの利用制度化では、現在の措置制度から利用者が事業者と対等な関係に基づきサービスを選択する利用制度へと変わることになっており、平成15年4月からの実施に向けて諸準備が進んでいます。その準備状況について何点か伺います。
 最初に、障害者の皆さんが地域の中で自立して生活できる基盤整備について、地域によって、事業者の考え方、取り組み方によってばらつきがあるようですが、自立に向けて熱心に取り組む地域では更なる整備を求める声があります。
 一方では地域バランスを考慮した整備も進める必要もあろうと思いますが、利用者側の立場に立ち、ニーズに基づいた整備を進める必要があるのではないかと思います。取り組みの基本的な考え方と今後の整備方針についてお尋ねいたします。あわせて、身体障害者用のグループホーム整備の考え方についてお尋ねいたします。
 次に、障害者福祉施策についてであります。
 昨年の社会福祉基礎構造改革に関連する法律の改正は、一つには利用者本位の社会福祉制度の構築を目指すものであり、いま一つは地方分権社会における地域福祉の推進を図るものであります。
 県では、従来から、障害のある人もない人も住み憤れた地域でともに安心して暮らせる社会を目指し、障害者が身近な地域で多様なサービスを受けることができる体制の整備を進める「しまね障害者プラン」と、高齢者や障害者等の行動を妨げている様々なバリアを除去する「ひとにやさしいまちづくり条例」により、各般にわたる施策を展開してまいりました。平成十五年四月の利用制度への対応としては、障害者が選択できるサービス量の確保と適切なサービスが提供できる体制の整備を積極的に進めているところであり、また、今年度から、障害者の積極的な社会参加を支援する「障害者はつらつ生活支援補助金」を創設したところであります。
 私は、先般、障害者団体の代表のみなさんにお会いし、新しい障害者施策のあり方について率直な意見交換を行いました。皆さんからは、平成15年度以降福祉に関する事務が市町村に移譲になることから、市町村間でサービス内容に差が生じるのではないかという懸念や、身近な地域での障害者の自立した生活をおくるための支援を拡充すべきとの貴重な意見をいただきました。障害のある人が不安を感じることのないよう市町村支援をしっかりやることはもとよりでありますが、今後の施策に関する意見は、現在策定中の新しい障害者計画に生かしてまいりたいと考えております。

 次に、身体障害者用のグループホームについてであります。
 グループホームは、世話人による食事の提供や健康管理・金銭管理などの援助があれば、数人で共同の生活を送ることに支障がない程度に身辺自立ができている知的障害者または精神障害者に対する制度であります。
 一方、目常生活上の自己管理が可能な身体障害者は、健康管理や金銭管理などの援助の必要がないことから、グループホームは制度化されておらず、管理人をおく福祉ホーム等に居住し、必要に応じホームヘルプサービス等を利用することとなっております。
 なお、現在、福祉ホームは、県内に整備されておりませんが、今後、地域ニーズを把握し、要望があれば整備を行いたいと考えております。
 障害者の皆さんが社会復帰していくために、福祉工場やケアつきハウスなどの充実を求める声がありますが、今後の取り組み方針についてお尋ねいたします。
 次に、福祉工場やケアつきハウスなどの今後の取り組み方針についてであります。
 本県では、働く場として、福祉工場が2ヶ所あり、来年度、さらに1ヶ所精神障害者福祉工場が開設される予定であります。また、福祉的就労の場である授産施設を30ヶ所、共同作業所を56箇所整備しております。
 ケアを必要とする障害者の住まいの場としては、グループホームや福祉ホームの整備を行うとともに、障害者の目常生活を援助するホームヘルパーや外出の付き添いをするガイドヘルパーの養成を行つております。
 今後とも、障害者が自立した生活を送れるよう、市町村と一体となった支援体制を推進したいと考えております。
 生活の自立や社会復帰に向けて支援体制の拡充が求められています。現在、国の方針に基づき障害者相談支援事業として取り組まれていますが、今後の拡充について考え方をお尋ねいたします。
 次に、障害者相談支援事業の今後の拡充についてであります。
 精神障害者に対する相談支援は8ヶ所、身体障害者に対しては5カ所、知的障害者に対しては12箇所で実施しており、来年度、それぞれ1カ所の整備を予定しております。
 相談支援事業は、障害者の目常生活上の相談や福祉サービスの利用援助を行う地域生活支援のため必要な施策であり、早急な整備に力を入れております。
 利用制度発足にともない、障害程度区分が設定されることになりますが、市町村職員が担当する障害程度区分の設定で信頼できるのか、求めるサービスが充分に保証されるのかといった不安があります。新たに知的障害者福祉に関する事務が移譲される町村の体制整備問題とあわせ、障害程度区分の設定についての考え方をお尋ねいたします。
 次に、知的障害者福祉事務に関する町村の体制整備と障害程度区分設定の考え方についてであります。
 町村に対しては、これまで新しい制度の説明やケアマネジメント研修等を実施してきたところでありますが、今後、具体的な支援費支給事務や障害程度区分に係る説明会を開催するとともに、事務処理マニュアルの作成等を予定しております。
 また、各健康福祉センターから町村に事務移譲をする際、個々の障害程度区分について県としても一緒に検討するなど、円滑な移譲に努めてまいりたいと考えております。
 なお、障害程度区分の設定につきましては、簡素で合理的なものとする方向で国において検討されているところであります。
 次に、自閉症・発達障害児(者)対策についてお尋ねいたします。
 自閉症等に対しては、人間関係の障害のために社会適応が困難であるという自閉症の特性を踏まえた、医療、保健、教育、労働等の関係機関と連携した、きめ細かい専門的な対応が必要と言われることから、国においては、来年度、自閉症・発達障害支援センターの創設が予定されています。わが県では、平田市のNPO法人が自閉症・発達障害支援に取り組まれていると聞いていますが、自閉症・発達障害児(者)対策の今後の考え方についてお尋ねいたします。
 次に、自閉症・発達障害児(者)対策についてであります。近年、自閉症及び自閉症の周辺領域にある発達障害については、社会的な関心が高まつており、その診断や療育方法についても、取り組みが進みつつあります。
 本県では、検診等で心身の発達に問題が認められた乳幼児については、各健康福祉センターで発達相談を受け、通園事業、ミニ療育事業、デイサービス事業などにより療育指導を行っております。また、障害児施設や医療機関などの様々な機関が対応に当たっております。
 自閉症特有の症状に対しては、その特性を踏まえた対策が必要とされおりますので、今後、実態調査等を行うとともに、先進的な取組を行っている医療機関から助言や協力を受けながら、より適切な対応を検討してまいりたいと考えております。
 次に、母子家庭対策についてお尋ねいたします。
 戦争未亡人対策から始まり、戦後50年の歴史を持つ母子寡婦対策でありますが、現在の対策を根本的に見直し、「キメ細かな福祉サービス」の展開と「自立・就労」の支援に主眼を置いた改革が実施されようとしております。
 具体的には、児童扶養手当中心の施策体系を改め、児童扶養手当の支給期間や支給要件も見直し、身近な場所での相談体制の強化を図るとともに、子育てや生活支援策、就労支援策、養育費の確保、経済的支援を総合的に展開する考えのようであります。
 この制度改正で、母子会が担う役割が大きくなるとも言われておりますが、県内の母子会もさまざまな課題を抱え、特に都市部では崩壊寸前の状況とも聞いています。
 県のアンケート調査では、入会者は13.6%、知っているが加入しないは36.8%、知らないは47.5%という結果であります。ニーズの多様化や価値観の変化によってさまざまな組織での組織率が低下している中ですが、今後の母子家庭対策を考えたとき、母子会の果たす役割も大きなものがあろうと思います。今後の母子会の育成・強化について考え方をお尋ねいたします。
 次に、母子会の育成・強化についてお答えします。
 母子会は、戦後県内各地で未亡人会として発足し、昭和25年に県母子会連合会が結成され、以来半世紀にわたって母子寡婦の自立支援や会員の相互扶助等、母子福祉の推進に関する事業を行っております。この間、県としても母子会の果たしてきた社会的な役割や母子福祉の効率的な推進の観点から、介護人派遣事業や活動拠点の母子福祉センターの管理運営などを母子会に委託して実施してきております。
 また、現在国おいて進められている母子福祉施策の見直しにおいては、子育てや就労支援策等を総合的に展開する改革が検討されており、これに的確に対応するため、今後とも母子会との連携や活動への支援を行ってまいりたいと考えております。
 最近の母子家庭の傾向として、低年齢化や生活力のない層、特殊ケースが増えていると言われています。そういう層にとって、母子寮の存在意義は大きいものと思いますが、ボーダーライン層の増大による母子寮の充足度についてどのように考えていらっしゃるかお尋ねいたします。
 次に、母子生活支援施設についてお答えします。
 母子生活支援施設への入所は、夫の暴力などにより家出をしている母子を保護する場合や離婚した母子が生活を共にする場合であり、本県においては、施設数は3箇所、定員は32世帯となっており、定員に対してほぼ90パーセント程度の入所割合で推移しております。
 平成12年度に実施した実態調査によれば、母子世帯の数が増加するとともに低年齢化が進み、また、低所得の世帯の割合が増加しております。
 こうした母子世帯に対しては、母子相談員が相談を受け、その世帯の生活状況に応じた援助や自立の方策を助言・指導し、ケースによって母子生活支援施設への入所を勧めているところであります。
 施設の入所世帯に対しては、短期に自立が図られるよう支援しており、また、今後の社会状況としては、DV(ドメステイック・バイオレンス)も増加する傾向がみられることから、これらの対応を含め女性政策と連携を図りながら、効果的な母子福祉施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
 事情があって母子家庭を選択しなければならないとき、最初の関門は住宅であります。母子世帯が自立していく上で、住宅を民間に求めることは大きなハンディとなります。母子寡婦法18条に規定されている母子寡婦世帯の公営住宅優先入居について、現状の取り組み状況と考え方についてお尋ねいたします。
 次に、母子寡婦世帯の優先入居についてお答えします。
 公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者を対象にした制度であり、高齢者世帯、心身障害者世帯など様々な世帯の方から入居申し込みがあります。
 このため、県営住宅においては、現在、母子寡婦世帯に対する優先入居の取扱いは行っておりませんが、全入居世帯約5,000世帯のうち、約15%の世帯が母子世帯であり、また、本年4月以降新たに入居した世帯の約25%が母子世帯であることから、母子寡婦世帯の自立に貢献しているものと認識しております。
 なお、一部の市では母子世帯向けの公営住宅があり、優先入居の取扱いが行われております。

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