2002年9月定例議会一般質問、答弁
 今議会の最大の注目点は澄田知事5選問題。
 5選出馬問題については、何れも代表質問で取り上げられた問題でしたが、ただ一人の公明党議員という立場で質問を致しました。
 話題性は薄くなってきましたが、住期ネット稼動には個人情報保護法の制定が必要としてきたわが党です。
 私は、電子自治体構築の中で、住民のための電子化・効率化の基本が住期ネットと認識しています。システムとしては、ほぼ完璧に安全と考えていますが、唯一職員のモラルハザードに懸念があり、アクセスログ開示の保障が絶対に必要と考えとりあげました。
 先月出席した筋ジストロフィー協会の全国大会で、会場となったホテル一畑で身障者用トイレがないため、主催者が仮設トイレを設置していました。ちょっと驚きました。そんなことから、ひとにやさしいまちづくりについて取り上げました。
 教育問題では、学校五日制、総合的な学習の時間、学校の耐震対策、そして、私のホームページで学校図書館について報告しましたが、それを基に、子供の読書活動の推進にかかる諸課題について取り上げました。
 その中で、県子供読書活動推進計画策定に取り組む考えが示されましたが、市町村教育委員会の所管する公立小中学校の図書整備等にはまだまだ及び腰とも見えます。多くの問題を抱える学校図書館の充実に向けて今後とも取り組む考えです。
この文字色は知事答弁です。
【質問項目】
1.知事の政治姿勢につい
2.住民基本台帳ネットワークについて
3.ひとにやさしいまちづくりについて
4.教育問題について
 学校五日制について
 総合的な学習の時間について
 学校の耐震対策について
 子供の読書活動の推進について
5.悪質貸金業者対策について
 第1に、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。
 澄田知事は、先の代表質問に答えて、5選出馬に向けての決意を表明されたところであります。
 最近多くの方と話す中で知事5選問題が話題となるのでありますが、県民の皆様の中から多選についてかなり厳しい反応が返ってまいります。世紀が変わりましたが、国、地方を取り巻く環境は一段と厳しさを増しています。また、地方分権の本格化とともに、行政のあり方などの変革も厳しく問われ、行政トップの強いリーダーシップが求められる時代ではないかと考えます。
 長野県知事選挙では出直し選挙の末、長野県民が田中知事を選択したのであります。そうした意識の変化、地殻変動は長野に限らず、全国的な傾向ではないかと思います。
 国民、県民が変化、変革を求めているであろう中で、5選への決意を固められた知事は、こうした意識変化に対して、どのような決意で、どのような思いで県民に答えていこうとされているのか所信をお尋ねいたします。
 まず、五期目の県政運営を目指すに当たっての私の決意についてであります。
 私は、国民や県民が変化、変革を求めている背景には、現状や将来に対する閉塞感、不安感があるためであり、それは、デフレが進行する深刻な経済不況、史上最悪の雇用水準など、昨今の我が国の社会経済情勢を反映したものではないかと思っております。
 本県としても、このような厳しい状況を前にして、手をこまねいているわけにはまいりません。現実に「痛み」の中にある県民が少なくないことを肝に銘じ、まず、本県からこの閉塞感、不安感を取り除いていくという気概で、成すべきことを成していく必要があります。
 そのためには、新行政システムの構築と市町村合併の推進に全力で取り組み、自己決定、自己責任による地域経営を行う体力と体質を身に付けるとともに、地域の活力を高めるための諸施策を、県民の英知と力を結集して強力に推し進めていかなければなりません。
 今は、それを遂行する強いリーダーシップが求められていると認識しております。私は、再び県民の皆様の負託をいただけるならば、自ら先頭に立って思い切った県政の改革を断行し、現場の生の声をよく聴き、しっかり議論をした上で、施策の重点化を進め、必要があれば積極的に国へ施策褒言を行い、地域の活性化に結び付く具体的な成果を一つ一つ現実のものにしていく、そういう姿勢で臨む決意をしているところであります。
 変革への一歩として、新行政システム推進計画案が示されましたが、どのような決意を持って取り組まれるのかお尋ねいたします。また、バブルの時代に策定された県の長期計画も見直しをかけながら第3次中期計画の半ばにありますが、取り巻く環境がまったく変わった今日、県の長期計画に対する考え方をお尋ねいたします。
 この取り組みは、地方分権時代にふさわしい行財政システムの構築を日指すものでありますが、県行政を取り巻く情勢が、これまでにも増して大きく変化する中での改革であり、大変重要な意義を持つものであると認識しております。
 私は、この改革を実効あるものとするためには、職員一人ひとりの変革意識が何よりも大切であり、その意識が真の改革に繋がっていくものと確信しております。
そして、このためには、私自身が改革の先頭に立ち、職員と一丸となって取り組むことが求められるところであり、改革に臨む意欲とそれを成し遂げていく決意を新たにしているところであります。
 次に、長期計画についてであります。
 現在の長期計画は、若年層の人口流出が続き、多くの地域において過疎化・高齢化が進行する状況の中で、「住みよい島根」「住みたい島根」を築くとともに、本県の特性を活かし、魅力を高め、島根の存在を価値あるものとして構築することを基本理念として策定いたしました。
 また、社会経済情勢の変化にも柔軟に対応し、長期計画の実効性を確保するために、五年を単位とする中期計画を策定し、施策の見直しを行ってきたところであります。
 しかしながら、近年の国と地方を巡る財政状況は一層厳しさを増し、構造改革や地方分権の大きなうねりは、国と地方との関係や市町村の枠組み、県の行財政のあり方にも大きな変革を迫っております。
 更に、予想を上回る高度情報化の進展や市町村合併の進行など、現計画と乖離している分野も現れております。
 これまで以上に知恵と創意工夫を発揮し、変革の時代に対応した新たな手法、新たな施策を生みだしていくとともに、長期計画についても、必要に応じた見直しをしていかなければならないと考えております。
 第2に、住民基本台帳ネットワークについてお尋ねいたします。
 平成11年、住民基本台帳法の改正が行われた際、システム構築の前提として個人情報保護法が必要ではないかとの世論が沸き起こり、わが党も住基ネットシステムの前提として、民間を含めた包括的な個人情報保護法制の整備が必要としてきました。
 残念なことに、個人情報保護法制も成立には至らず、8月に住基ネットは稼動を開始しました。
 全国では、個人情報の保護に関する法整備が最低限必要、住基ネット総体に対し国の責任が及ばないこと、不測の事故や事件が発生した時に自治体からの 調査請求等ができないこと、本人によるアクセスログの開示請求に対する仕組みがないこと、従事職員の不正使用に対する罰則規定がないこと、住基ネットの将来像が明確に示されていないことなどを理由として完全実施ということにはなっていません。
 昨年1月に施行されたIT基本法に基づいた政府のe−Japan実現への動きに伴い、各自治体も電子化に向けて取り組んでいます。私は、電子政府、電子自治体構築に向けて、住民参加の鍵となる個人認証システムの基本的な部分が住基ネットであり、電子申請などの行政手続きを効率化していくための大切な部分であると認識しています。
 そうした意味で、個人情報保護法の一刻も早い成立と円滑な運用が望まれるところであります。
 そこで質問でありますが、県内での稼動状況、不参加、あるいは住民に選択を任せた自治体などから出されている懸念に対する考え方をお尋ねします。特に、アクセスログの開示に対する要請に、県としてどのように対応していくお考えかあわせてお尋ねいたします。
 まず県内における稼働状況についてでありますが、本年八月五目の稼働初目において県内の一部市町村の機器に若干の不具合があったものの、データの送受信は正常に行われ、システムの運営に問題はなかったものであり、その後においても、順調に運用されているところであります。
 次に、不参加等の自治体から出されている懸念についてでありますが、現時点においては、全国で五つの市区町において、個人情報保護法が未成立で個人情報の保護に懸念があることなどを理由として、いわゆる「ネットワークに不参加」の状況にあります。
 県としても、個人の権利・利益を体系的に保護し、より安全性の高い個人情報保護を確保する個人情報保護法制の早期整備が必要と考えており、その実現に向け、全国知事会を通じ国に要望しているところであります。
 一方、この住民基本台帳ネットワークシステムに係る個人情報保護につきましては、住民基本台帳事務に係る関係法令等において、制度面、技術面及び運用面から厳格な個人情報保護措置が講じられているところであります。
 また県としては、住民基本台帳ネットワークシステムの運用管理に当たっては個人情報の保護を最優先の事項とするとともに、セキュリティ対策を総合的に実施し、このシステムの適正な運用管理を行うこととしており、これら個人情報保護施策を適切に運用し、問題が生じないように対応していかなければならないものと考えております。
 また、県のデータベースへのアクセスなどを記録する「業務アクセスログ」につきましては、住民基本台帳ネットワークシステムにおける障害発生時の原因解析や、不正操作又は不正アクセスの内容特定等に利用することを目的に記録保存しております。
 県としては、業務アクセスログの開示の求めに対しましては、この十月一日から施行している島根県個人情報保護条例に基づき適切に対処していくこととしております。
 次に、来年8月からは第2期の取り組みとして住基カードの発行などが実施されることとなり、本格稼動します。住基ネットの認識を変えるきっかけともなる、住基カードでのサービス提供に対する取り組みの現状と今後の考え方をお尋ね致します。また、片や市町村合併も控え、電子行政化への取り組みもままならない市町村もあろうかと思える中、住基カードでのサービス提供にかかる県の指導性も必要ではないかと考えますが、ご所見をお尋ね致します。
 住民基本台帳カードを利用すると、住民票の写しの広域交付など、住民基本台帳事務に係るサービスの向上と効率化が可能になり、また、市町村が条例で定めた場合には、証明書等の自動交付など、市町村独自の各種の行政サービスを、このカードにより受けることが可能になるものであります。これらのサービスは、来年八月からの開始が予定されております。
 住民基本台帳カードを利用しての市町村独自のサービス提供に係る標準的なシステム開発は、指定情報処理機関である地方自治情報センターにおいて行われておりますが、証明書等の自動交付などの六つのサービス(証明書等の自動交付、申請書の自動作成、成人保健、救急活動支援、避難者情報及び公共施設予約)について、全国の市町村で利用可能なよう、その準備が進められております。
 この標準システムにおいては、総合的なセキュリティ対策並びにプライバシー保護策が講じられることとされており、全国二十八の市町村で現在行われている実証実験の結果を踏まえ、今後システムの評価・改善が行われることとなっております。
 県としては、この標準システムが、市町村の実情に応じた使いやすいものとなるよう、必要に応じ地方自治情報センターに働きかけるとともに、原則として無償で提供されるこのシステムが有効に活用されるよう、市町村への情報提供に努め、また、市町村からのご相談にも応じて参りたいと考えております。
 住基ネットへの住民理解が進んでいない現状でありますので、広報の充実を求めたいと思いますが、考え方をお尋ね致します。
 住民基本台帳ネットワークシステムは、住民の負担軽減及びサービス向上、国・地方を通じた行政改革、さらには電子政府・電子自治体実現のための基盤の構築を目指すものであり、一方で厳重な個人情報保護施策が講じられておりますが、現時点においては、この点に関し、必ずしも十分な住民理解が得られているとは言い難い状況にあるものと考えております。
 来年八月には住民基本台帳カードの発行など、いわゆる二次サービスの開始が予定されているところでもあり、このシステム構築の趣旨及び個人情報保護施策に対する住民の理解が深まるよう、市町村とも連携しながら、例えば、市町村の広報紙に解説記事を載せていくなど、わかりやすい広報・啓発に努めて行きたいと考えております。
 第3に、ひとにやさしいまちづくり≠ノついてであります。
 先日、縁あって筋ジストロフィー協会の全国大会にお邪魔する機会がありました。この大会でのことは置くとして、ここで、ちょっと驚いたことがありました。
 大会は松江市内の有名ホテルで開催されましたが、大会準備で最も困ったことの一つが身障者用トイレを仮設することだったという話であります。会場となった最大の部屋を持つフロアーは、近年増築されたところですが身障者用トイレは設置されていないのであります。
そこで、ちょっと回りを見渡してみたのでありますが、ひとにやさしいまちづくり条例はできたものの、その進捗ははかばかしくないのではないかと感じるのであります。
 そこで、条例制定から2年半、ひとにやさしいまちづくりの進捗についてのご所見をお尋ねいたします。
 「ひとにやさしいまちづくり条例」は、誰もが安心して自由に出かけられるまちを目指して、平成十年六月に制定し、この条例に基づき平成十二年四月には公共的施設の整備基準を定めたところであります。
 ひとにやさしいまちづくりを推進するためには、県、市町村、事業者及び県民が一体となって取り組んでいくことが必要であると考えております。
このため、条例及び整備基準の周知を図るとともに、施設整備マニュアルを策定し、また、公共的施設の整備に際し、整備基準への適合性に関して助言等を行うアドバイザー制度や民間の公共的施設のバリアフリー化を促進するための助成制度を創設するなど積極的に取り組んでまいりました。
 こうした取組みの結果、各地域に好いて徐々にバリアフリー化が進んできましたが、高齢者や障害者等が安心して出かけるにはまだまだ不十分であると認識しております。
 今後とも、県民や事業者の協力を得ながら、ひとにやさしいまちづくりの推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 条例の趣旨を生かすためには、まず公共施設の整備が急がれると思います。整備基準に適合した民間施設は適合証が交付されることになっていますが、適合証の交付に値する県有施設をお示しください。また、少なくとも県有施設については年次計画を立てて施設改善に取り組むべきだと思いますが、ご所見をお尋ねいたします。
 次に整備基準に値する県有施設と今後の取組みについてであります。
 県有施設の整備にあたりましては、新築等の場合は整備基準よりも高い目標の誘導的基準で可能な限り建設を進めることとし、既存施設につきましても、整備基準に適合するよう計画的に整備を進めることとしております。
 平成十四年八月末現在で適合証の交付に値する県有の建築物は、「アクアス」、「いわみーる」など十一カ所にとどまっております。
 整備基準に適合していない既存の施設につきましては、七類港ターミナルビルヘのエレベーターの設置や、県立武道館、博物館等への出入口のスロープ化、多目的トイレの設置など、逐次バリアフリー化に努めているところであります。
 今後とも、県民誰もが利用しやすい県有施設となるよう積極的に整備を進めてまいりたいと考えております。
 関連して、オストメイト用トイレについてお尋ねいたします。
 癌などの手術で人口肛門や人口膀胱を余儀なくされている人が年々増えております。全国では約30万人のオストミーの方があるといわれ、本県でも協会の会員が240人、潜在的にはもっとたくさんの方がいらっしゃると聞いています。
 オストミーの方々は、手術後もそれ以前とほとんど変わらない生活ができ、これまで通り社会の第一線で活躍していらっしゃるようです。その皆さんの悩みの一つは、外出先でパウチ(排せつ物をためる袋)にたまった排せつ物を一定時間ごとに便器に捨て、洗浄処理する作業であります。この洗浄処理は、命にもかかわる作業であり、兵庫淡路大震災のおりには、パウチの洗浄ができず亡くなった方もあると聞いております。
 パウチ洗浄のできるオストメイト用トイレの整備が進んでいないと聞きますが、現状と今後の対策についてお尋ねいたします。
 次にパウチ洗浄のできるオストメイト用トイレの現状と今後の対策についてであります。
 オストメイト用のトイレにっきましては、整備基準では「用途面積が三千平方メートル以上の官公庁施設や宿泊施設等及び公衆便所に一以上の設備を設けるよう定められており、現在、県有施設では「サヒメル」、「ゴビウス」など十ニカ所に設置されております。
 県といたしましては、オストミーの方々が安心して自由に出かけられるよう関係機関の協力も得ながら整備に努めてまいりたいと考えております。
 第4に教育問題についてであります。
 学校五日制についてお尋ねいたします。
 完全学校5日制実施後に行なわれている各種調査によれば、「うれしい」と好意的に受け止めている児童・生徒と土日休みの2日間をどう過ごさせていいかわからず戸惑いを隠せない親というねじれ構造が窺えるのであります。
 私も最近何人かの親御さんに話を聞いたのですが、うまく学校5日制を消化していると思える方であっても、完全実施の評価については言を左右するなど、戸惑いを引きずったまま今日まで来ているという実態を感じたところです。
 先日、地域の敬老会で中学生がコーラスを披露し、参加者に大好評でした。しかし、地域と子供たちを結ぶ接点はまだまだ少ないのが現状で、休日の地域の受け皿、特に身近な地域で大人にその気持ちはあるのに体制として整備が進んでいないと感じています。
 子供達が「ゆとり」を持って学び、家庭や地域が積極的に教育にかかわることを期待した学校の新制度の目的が、親や地域に十分理解されていないのではないかと考えます。保護者や地域への説明と情報提供、地域の受け皿作りについて、現在までの取り組みへの評価と今後の考え方をお尋ねいたします。
 学校週五日制は、学校、家庭、地域社会の役割を明確にし、それぞれが協力して豊かな社会体験や自然体験などの様々な活動の機会産子どもたちに提供し、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性などの「生きる力」を育むことを目的としております。
 このためには、学校・家庭・地域社会が学校週五日制について理解を深め、一体となって子どもたちを育む環境づくりをすすめることが大切であることから、すべての保護者に対し、パンフレットを配布するとともに、PTA総会や学級懇談会等の機会に趣旨説明の徹底を図り、また、地域に対しては、チラシや有線放送を使った情報発信や啓発を行うなどの外、「二十一しま根っ子のびのび事業」などにより、地域の子どもたちの主体的な活動の支援に努めてきたところです。
 これらにより、農業や地場産業などを体験する機会や場の広がり、地域の様々な年齢層の人々が参画した支援組織の結成、インターネットを活用した活動情報の提供など、全体的には、様々な取り組みが拡充されてきております。
 学校週五日制が実施されてまだ半年であることから、市町村での取り組みに差異もあり、地域ボランティアの活用が不十分であることや、子どもたち主体の活動計画が少ないことなどが課題として指摘されるところであります。
 県教育委員会といたしましては、地域の実態把握に努め、引き続き市町村と連携・協力し、子どもたちを豊かに育む取り組みを一層支援してまいりたいと考えております。
 次に、学校五日制と学童保育についてお尋ねいたします。
 学校は完全五日制となったものの、保護者の中には土曜も共働きといった状況をよく目にします。学童保育の土曜日の対応については、さまざまなようであります。ニーズは存在するのですが、学校五日制本来の趣旨に則り実施しないところも相当数あります。
 学校五日制本来の趣旨と児童福祉という面から、考え方の整合性は如何にあるべきだとお考えかご所見をお尋ねいたします。
 学童保育についてでありますが、私は、子どもたちには、土曜日・日曜日には「ゆとり」を持って、家族や地域の方々と様々な体験をし、有意義に過ごしてほしいと願っております。
 しかしながら、土日には保護者が就労等のため多忙な家庭もあることから、学童保育の制度は、こうした状況の中での、地域の受け皿の一つであると考えております。
 教育の支援も福祉の支援も、子どもたち一人ひとりを健やかに育んでいこうとする点においては共通であり、県教育委員会といたしましては、こうした考えに基づき、関係部局とも連携し、市町村に対して、保護者や地域のニーズに適切に対応するよう働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、「総合的な学習の時間」について、お尋ねいたします。
 各学校が創意工夫を生かし生きる力を育むため、「総合的な学習の時間」が創設され、2年間の試行期間を経て、今年度より実施されております。
 先日、学校のホームページを見ていて素晴らしい取り組みの事例を見ました。6月議会では宍道町の意欲的な取り組みが話題となっていました。一方、ホームページを見、子供たちの話を聞くにつけ、教師の力量次第でいかようにも変りうることを実感しています。また、調べ学習を支える体制の脆弱さも感じました。
 このたびの教育制度改革の目的の重要な部分を担う「総合的な学習の時間」に対する取り組みの評価と問題点、それを踏まえた今後の方針についてお尋ねいたします。
 総合的な学習の時間は、児童生徒が体験的な学習や問題解決的な学習を行うことによって、主体的に判断し、解決する力を育てることや、自分の生き方を考えさせることを基本的なねらいとしております。
 この時間では、地域の協力を得ながら、例えば、稲作りや炭焼き、自然探索や老人ホームでの交流活動など、子どもたちの主体的な学習活動や、特色ある活動が展開されております。
 このような実践の中で、学校全体の指導体制の確立や、指導方法の充実、児童生徒の適切な評価の在り方、保護者や地域への積極的な情報の提供などが課題となっており、各学校では、校内研修などを通じて、これらの課題の解決に向けた取組を行っているところであります。
 県教育委員会といたしましては、これまでに各種の手引を作成したり、指導主事が、各学校を訪間して塑言を行うなど、諾課題の解決に向けた支援を行っているところであります。
 また、本年度、松江教育センターにおいて、総合的な学習の時間の研修を一層拡充するとともに、各学校の特色ある実践例をデータベース化して、来年度から県内全域で活用できるように準備を進めているところであります。
 今後、このような取組によりまして、各学校において、それぞれの創意を生かした多様な学習活動が展開されるよう努めてまいりたいと考えております。
 全国では、学校の特色づくりの一環で長期休業中の授業を可能とするため、学校管理規則を改定し、夏休み中に授業を導入し、授業やテストを行っている小中学校がありますが、県内の状況と所見をお尋ねいたします。
 現在のところ、市町村において、夏季休業期間等に授業を行う趣旨で、学校管理規則を改訂した例はありません。
 本年の小・中学校における夏季休業中の状況でありますが、児童生徒は、天体観測や昆虫などの観察、国際交流員との交流活動、スポーツ少年団活動や部活動、宿泊体験などに積極的に参加し、貴重な体験活動を行っているところであります。
 県教育委員会といたしましては、夏季休業等は、児童生徒が、この期間にしかできない貴重な体験を行ったり、学校で学んだ知識を生かして様々な活動を行うことができる、有意義な期間であると考えております。
 学校の耐震対策についてお尋ねいたします。
 今年7月、文部科学省が発表した公立学校の耐震改修状況調査によれば、本年4月現在の推定耐震化率は57.3%とされ、本県の耐震診断実施率状況は全国で最低の部類の20%以下と発表されています。
 公共施設の中でも真っ先に耐震改修を進めるべき施設と考えますし、建築工事の経済波及効果を考えても積極的に取り組むべき課題であると考えます。
 本県の県立高等学校、市町村立小中学校の推定耐震化率と耐震診断実施率をお尋ねいたします。また、県立高等学校の耐震改修計画をお尋ねするとともに、耐震診断さえままならない市町村立小中学校の耐震改修推進に対するお考えをお尋ねいたします。
 まず、耐震性があると推定される建物の割合を表す、推定耐震化率は、県立学校が65.6%、小中学校は59.0%であり、耐震診断実施率は県立学校が62.0%、小中学校は6.6%であります。
 また、今後の耐震改修計画についてでありますが、県立学校につきましては、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」に基づく耐震診断の結果により、補強工事等を行うと共に、いわゆる老朽建物につきましては、計画的に建て替えを進めていく考えであります。
 市町村立学校につきましては、本年七月の文部科学省通知に基づき、今後三年間で耐震診断を実施する計画を作成したところであり、建物の実態把握が進むものと考えております。
 今後の耐震改修につきましては、各市町村において検討されるところではありますが、県教育委員会といたしましても、耐震診断や補強事業が促進できるよう、引き続き指導・助言を行っていく考えであります。
 子どもの読書活動の推進についてお尋ねいたします。
 子どもが自主的に読書活動のできる読書環境の整備を推進するため、2001年12月に「子どもの読書活動の推進に関する法律」が施行され、本年8月には、「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が閣議決定されました。
 国は平成5年に「学校図書館図書標準」を制定し、「学校図書館図書整備新5か年計画」で総額約500億円を地方交付税措置し、蔵書を1.5倍にする充実施策を実施しました。しかし、この標準に達した学校図書館は少ないと言われ、この法律の制定を機に新たな5か年計画により図書の充実を図ることにしています。
 この4月から、学校では新学習指導要領が実施され、「調べ学習」や「総合的な学習」など、子どもが「自ら学ぶ教育」が始まっています。子どもが自ら学ぶためには、学校図書館に学ぶための本やメディアが揃っていて、子どもの学習を支援する司書教諭や学校司書がきちんといることが絶対に必要であります。
 今定例議会を前に、松江市内の小中学校図書館の現状を見てまいりましたが、多くの課題が山積していることを実感しました。お邪魔した3校では、市で雇用する専任の司書がいる学校とPTAで雇用している午後だけのパート司書がいる学校、司書教諭が担っているところと三様でしたが、人の面を含め何れも県内では相当に条件整備が行き届いている学校でした。
 話によれば、3校とも古い図書の廃棄に取り組まれ、中学校では学校図書館図書標準の蔵書冊数を満たしていましたが、小学校では標準を大きく下回っている現状です。しかも、当然廃棄されてもいい図書が並んでいながらです。情報化への対応も小学校にはパソコンが配置され、データ化もされていましたが、中学校にはパソコンの配置もありませんでした。そうした中、現場では公立図書館を利用するなど智慧を絞って取り組まれている現状もお聞きしました。一方、学校によっては、購入した本が何ヶ月も箱に入ったまま、廃棄も殆ど手付かずというようなところが結構あるとのこと。
 来年からは12学級以上の学校には司書教諭の配置が義務付けられ、司書教諭の養成に積極的に取り組まれています。図書館を整備充実しようと思えば、担当の先生の負担を減らす必要がありますが、負担を減らせばどこかにしわ寄せが行く。仏作って魂入れずとならなければいいがとの懸念を抱きました。
 そこで、お尋ねいたしますが、学校図書館図書整備新5か年計画による県内市町村立小中学校の図書整備状況をどのように認識していらっしゃるか。図書廃棄の取り組みの現状と学校図書館図書標準の現状についてお尋ねいたします。
 平成十三年度の「学校図書館の現状に関する調査」によりますと、学校規模に応じた蔵書冊数のめやすを示した「学校図書館図書標準」と比較して、100%を達成している学校は、小学校では、281校中の72校、中学校では、105校中の19校となっており、さらなる充実が望まれるところであります。
 また、図書の廃棄については、各学校で一定の除籍基準を設けることとされており、学校によって差異はありますが、図書館担当を中心に、長期休業中に全教職員で行ったり、児童会・生徒会活動や、保護者等のボランティアなどにより取組が進められております。
 学校図書館では、児童生徒にとって興味関心のある、魅力的な図書の選択収集に努めながら、常に蔵書の更新を行い、利用価値の高い図書を備えることが大切であることから、今後とも、研修会等を通じ、図書の整備が進められるよう指導をしていきたいと考えます。
 次に、全国学校図書館協議会の調査を基に、今年度予算で措置された一人あたりの学校図書費を計算してみたら、県内の小学校では355円から8,966円、中学校では303円から20,906円。概して低い。図書整備の状況は異なるのでしょうが驚くべき格差があります。交付税措置に対しても、今年度予算化していないのは、調査に回答を寄せた県内51市町村中37市町村であります。反対に減額しているところが13市町村と、まさに聖域なしの現状に驚きました。
 文部科学省からは県教育長宛てに、学校図書館の図書の整備について通知が来ているとも聞いていますが、今年度の予算措置について、どのような指導・助言をされているのか、現状をどのように認識していらっしゃるのかお尋ねいたします。
 各市町村における図書購入費等の措置状況は、平成十三年度の決算額は一億三百万円余、本年度の予算額は九千百万円余となっており、いずれの市町村においても毎年計画的に計上されているところであります。
 県教育委員会といたしましては、図書の整備状況を把握しながら、各市町村教育委員会での図書等購入費の確保など、適切な対応について通知するとともに、図書整備の具体的な計画を求め、必要な助言を行っているところであります。
 次に、来年度から義務付けられている司書教諭について、養成の状況、配置の考え方、業務の軽減に対する考え方をお尋ねいたします。
 司書教諭は、図書資料の選択・収集一提供や子どもの.読書活動に対する指導等を行うなど、学校図書館の運営・活用について中心的な役割を担い、児童生徒の豊かな心をはぐくむ上で、重要な役割を果たすものであると考えております。
 このため、県教育委員会といたしましては、平成十年度から、司書教諭の計画的な養成や、適正な配置に努めているところでありますが、本年度末の有資格者予定数は小学校三百十八名、中学校百二十四名、高校・特殊教育諸学校七十八名、計五百二十名であり、当初の予定数を十分に確保したところであります。
 司書教諭を配置する必要がある学校数は、現段階では、あわせて百六校あり、県教育委員会といたしましては、平成十五年度からは、十二学級以上の全ての学校に配置することとしております。
 また、学校図書館を中心とした子どもたちの読書活動が一層充実するよう、司書教諭研修講座等により資質向上をめざすとともに、管理職研修会等を通じ、教職員の協力体制の確立を図るよう指導するなど、学校図書館運営に教職員が連携して取り組んでいくよう努めてまいります。
 次に、子どもの読書活動の推進に関する法律では県及び市町村に対して子ども読書活動推進計画の策定に努めることとされています。積極的に取り組むべきだと考えますが、考え方をお尋ねいたします。あわせて、国の基本的な計画に盛り込まれている読書習慣の確立、学校図書館の情報化の推進やネットワーク化、学校図書館の地域開放とボランティアの育成、啓発広報に対する考え方をお尋ねいたします。
 県教育委員会といたしましては、子どもの読書活動の推進や、そのための環境整備を図る上から、子ども読書活動推進計画の策定は重要なことと認識しており、国の子ども読書活動推進計画を参考としつつ、来年度の策定に向けて取り組むこととしております。また、市町村においてもできるだけ早期に計画が策定されるよう、支援を行うこととしております。
 更に、議員ご指摘の読書習慣の確立、学校図書館の情報化の推進やネットワーク化などについても、重要な課題として受け止め、今後策定予定の子ども読書活動推進計画に盛り込んで行きたいと考えております。
 今回の図書館訪問が縁で知り合った赤木かん子さんから次のようなメールを頂きました。
 司書教諭、という制度は学校から司書を追い出すためにあるとしかおもえません。全国で、司書教諭がいるからもういいでしょう、と司書がクビになってるんですよ。教師が司書になるのは不可能です。学校図書館は小さいですが、それでも15000冊ほどは本を知らないと仕事になりません。一日10冊づつ読んでも5年かかる勘定で、大工さんなどと同じように一人前になるには10年かかる仕事なんです。議員さんがそういうことをわかってくださると、ほんとに助かります。図書館がどんな仕事をしなきゃならないのか知らない教育委員会と、役に立たない本棚や机をよこす学事課にはうんざりです。ほんとうに税金のむだづかいで、ためいき、ですよ。
 私も学校図書館の実情を見てその通りとだと思いました。米子市の先進事例のように、本来であれば専任の司書もしくは職員配置を目指すべきだと考えます。ご所見を伺うとともに、緊急雇用対策創出交付金事業で廃棄や整理、情報化など当面する課題に対応するお考えはないかお尋ねいたします。
 高等学校では、学校規模に応じて学校図書館司書を配置しております。
 また、小中学校の場合、現段階では国の教職員定数改善計画に盛り込まれていないことから、配置しておりませんが、県内の市町村においては、独白に専任司書の配置が行われたり、多数の地域ボランティアによる協力を得るなどの取組も行われているところであります。
 県教育委員会といたしましては、各市町村において、「緊急地域雇用創出特別交付金」を、学校図書館事務に従事する人材の確保にも活用していただきたいと考えているところであります。
 この項の最後に、子どもの読書活動の推進について、豊な社会体験をお持ちの教育委員長に所感をお尋ねいたします。
 私は、読書は、子どもの成長にとって、言葉を学ぶことはもちろん、相手を思いやるこころや、表現力、想像力などこれからの長い人生を充実して生きるための糧として必要不可欠なものと考えております。
 そのためには、まず幼児期に家庭で、母親あるいは父親が、時間を少しでも作り、絵本を読み聞かせ、本との出会いをスタートさせることが大切です。膝の上に抱き、或いは寝かせながらの自然体で十分です。是非子どもとの読書のひとときを作っていただきたいと思います。これは、親子の絆をしっかりと確認するという意味でも重要なことです。
 こうした親子のふれあい体験を基にした良い本との出会いが、ものごとを創りあげる力を養ったり、やさしい人間として成長していく手助けとなると考えております。
 読書離れが社会問題になっている中、子どもたちが、自ら本を手にとって、読書に親しむことができる環境を作るため、教育委員会としても、さまざまな役割を果たさなければならないと考えております。
 また、図書館や学校そして家庭で、大人たちが読書に親しむ姿を示すことも必要です。私も、「読書の秋」には、素晴らしい書物に出会いたいと考えております。
 最後に、悪質貸金業者対策についてお尋ね致します。
 厳しい経済情勢を反映して多重債務者が増え、そうした人の弱みに付け込むような、例えば悪質小口金融などの問題がここ山陰でも急増し、大きな社会問題となっています。
 こうした悪質業者の殆どは業者登録をした県外の業者と聞きますが、本県の貸金業者の実態と被害状況と対応について最初にお尋ねいたします。
 県では、消費者センターにおいて県民の皆様の消費生活に関する相談や苦情の処理を行っておりますが、フリーローン・サラ金に関する相談は、平成11年度には526件、平成12年度には631件、平成13年度には891件と年々増加しております。
 このうち、法外な金利で貸金を行う悪質な業者に関する相談については、平成13年度には139件、本年度は八月末現在で既に216件と、急増しております。これは、長引く不祝の中で、ダイレクトメール・携帯電話による勧誘が増加していることなどが原因と推測されます。
 消費者センターでは、このような事例に対し、問題解決のための助言、弁護士による無料相談などを行うとともに、警察本部と随時、情報交換を行うなど、消費者被害の処理や被害の未然防止を図っているところであります。
 県におきましては、「貸金業の規制等に関する法律」に基づき、県内においてのみ営業所又は事務所を置いて貸金業を営む業者の登録を受け付けております。
平成十二年六月の「出資の受入れ、預かり企及び金利等の取り締まりに関する法律」の改正により、貸出金利の上限が年40.004パーセントから29.2パーセントに引き下げられたことから、本県の登録業者数は、新規登録件数が平成十二年度は0件、平成十三年度は一件、本年度はこれまでに一件と減少傾向にあり、五年前の 平成九年三月末には六十二業者あったものが、廃業届や登録の更新を行わなかったことにより、現在では三十六業者に減少しております。
 これらの業者に対しましては、定期的に立入検査等を行っておりますが、これまでのところ概ね適正に業務が行われているものと認識しております。
 「貸金行規正法」に関する大蔵省通達では、貸金業者がしてはならない行為として、取立ての委託を受けたものの、債務者、保証人等を威迫するような言動、債務者、保証人等の私生活又は業務の平穏を害するような言動等を挙げ、午後9時から朝8時までの電話や反復継続しての電話、債務者のプライバシーに関する事項等をあからさまにすること、勤務先の訪問、債務処理手続き通知後の支払請求等の取立てにかかる規制等が明記されています。
 こうした点での刑法上の判断は難しい問題もあろうと思いますが、取り締まりの厳格化、強化に取り組んでいただきたいのであります。取り締まりの現状と今後の対応についてお尋ねいたします。また、対策の一つとして新規登録料を大幅に値上げすべきとの意見もあります。所見をお尋ねいたします。
 警察で設けております「悪質商法一一〇番」電話で受理した小口高金利の相談は、昨年、二一件でありましたが、本年に入り急増し、八月末現在九七件となっております。
 相談のほとんどは、業者からの執勧な取り立てに関するものであります。
 警察といたしましては、こうした相談に対し、業者に警告するなど、被害の防止に努めるとともに、法定利息を超えた高金利事案・威迫手段などの禁止行為による債権の取立てにつきましては、いわゆる出資法・貸金業法違反として取り締まっているところであります。
 取締りの状況でありますが、本年七月、二万円の融資申込みに対して手数料の名目で五千円を引いた一万五千円を振り込み、最終的には法定利息の一三二倍に当たる五万二千円を支払わせた東京の業者を、出資法違反で検挙したほか、貸金業者の広告ビラ貼り行為を屋外広告物条例違反で三件検挙しております。
今後とも関係機関と連携し、相談者の立場に立った適切な対応と、違反の取締り強化に努めていくこととしています。
 県といたしましては、新規登録に当たっては、過去の貸金業法の法令違反などについて充分な審査を行っており、また県内の既登録業者の現状からしても、新規登録料の値上げと悪質業者の排除とは別々に考えていきたいと思っております。