2004年6月議会一問一答 2004/6/20
1.文化芸術振興について
  文化芸術振興の位置づけ
  文化芸術に対する認知
  伝統文化の継承発展
  観光振興と文化芸術振興を融合させる取り組み
  メセナの活用
  県知事賞作品の購入
  高文祭の位置づけ
  高文祭開催に向けた今後の課題、教育委員会としての取り組み方針
  県民一体となった取り組
  国民文化祭の誘致開催
  文化芸術振興条例制定

2.県政運営の基本姿勢について(総合力の発揮)
質疑内容は下記の通りです。それぞれ文字色で私の質問、知事答弁関係部長・教育長答弁がわかるようになっています。
 一昨年、大の親日家であり、日本などの東方国家に学ぼうという「ルック・イースト(東に学ぼう)政策」を掲げ、マレーシアの飛躍的な経済発展を実現したマハティール氏は、首相を辞任する際、「日本から学ぶことはもう何もない。ただ、日本のようにだけはならないようにしたい」と語ったそうであります。また、アメリカの経済学の巨人と言われるピーター・ドラッカーは、結局21世紀は文化産業が勝敗を決めると言っています。
 わが国の質的転換が叫ばれて久しくなりますが、いまだ脱しきれず喘いではいないでしょうか。
三年前のこの議会で、ニューディール政策について触れました。アメリカは、ニューディール政策による文化芸術の隆盛を背景に自信を取り戻しました。
 わが出雲は、精神揺籃の地だったはずです。県庁が、県民が自信を喪失しかけている今、文化芸術振興などのソフトをベースに、再び精神大国を先導する地域を、知的立県を目指すのだという強いメッセージを発信すべきだと思います。
 島根の将来像に、文化芸術振興がどのように位置づけられているのか、知事にお尋ねします。
 議員もおっしやいますように、アメリカのニューディール政策の大きな柱の一つが文化の振興であったわけですが、文化芸術の振興はきわめて大切なことであります。
 繰り返し申し上げております本県の厳しい財政状況など、経済的には、将来に向けた明るい展望を描きにくい現状にありますし、幼児の虐待や、小学生による同級生の殺害など、衝撃的で殺伐とした事件も続いております。
 しかしながら、私は、こうした時代だからこそ、生活にゆとりと潤いをもたらし、心の豊かさを育む、文化芸術の力が見直されなければならないと思います。
 また、県民の創造性を発揮する場、個人や地域の個性を創り上げる場としても、文化芸術はきわめて重要であり、活力に満ちた島根の、最もベースとなるものの一つとして、総合計画にもあげられておりますように、文化芸術の振興はおろそかにできない重要な柱であると考えております。
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 先日、文化芸術関係の皆さんと意見交換する機会がありました。
 印象的だったのは、文化芸術はスポーツに比べ認知が低いという意見でした。例えば、会社勤めの人が、国体に参加する場合と国民文化祭に参加する場合を比べると、その対応が歴然と違うというのです。
 文化芸術に対する認知について、どのように感じていらっしゃるかお尋ねします。
 国体と国民文化祭の比較のお話しがありましたが、国体の参加者が、地域の予選を勝ち抜いた県代表であるのに対して、国民文化祭の参加者は、基本的には主催者からの派遣依頼に基づく自主的・主体的な参加である、という違いがあります。
 また、明確な記録や勝敗によって、勝者敗者が明らかになるスポーツと、多様な価値観を前提にした文化芸術では、やはり違いがありますので、県民の皆さんの関心や対応のあり方が、自ずから異なってくるものと感じております。
 もう一つ、市町村合併進展の中で、特に伝統文化が廃れるのではないかとの強い危機感をお持ちです。私は、都市建設計画の中で、そうした地域のアイデンティティこそしっかり位置づけ、振興を図るべきではないかと思ってきましたが、そのような視点がとても弱いように思えます。
 市町村合併の中で、伝統文化の継承発展に対する位置づけの現状と、今後の取り組みについてお尋ねします。
 広域合併後における地域のあり方については、今回の地方自治法の改正により、地域自治組織が盛り込まれたように、各地で住民の関心が高まっております。
 ご指摘のように、伝統芸能の継承や、地域で行われている文化活動が、地域のアイデンティティを守るためには、不可欠であります。
 現に、各地域の合併協議会におきましては、例えば飯南合併協議会の新町建設計画に、「里山文化の継承と新たな文化づくり」とあり、また、江津市・桜江町合併協議会の新市建設計画には、「豊かな心を育む芸術−文化・教育のまちづくり」とあるように、「伝統文化」「地域文化」についても触れた、新市町建設計画が作られております。
 県としましては、その計画が実現するよう、どのような支援が可能なのか、検討してまいりたいと思います。
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 今、「冬のソナタ」初め多くの韓国ドラマが大ブレイクしている。7〜8年前までは、日本の映像が主役でしたが大きく様変わりしています。その韓国は、大統領自ら旗をふり、デジタルコンテンツを中心とする文化芸術振興に力を注いでおります。大ブレイクはその結果であると聞きます。
 最近、ある写真家の方から、「高齢化社会の進展と共に、文化芸術に取り組む人の裾野が広がっており、経済的にもゆとりがある。例えば、朝、今日は宍道湖の夕日が見られそうですかと東京から電話をしてきて、昼の便でこちらにやってくる。いい写真が撮れないと、2日でも3日でも撮れるまで宿泊する」という話を聞きました。また、向上心も強いとのことです。
 取り組み次第で、文化芸術は産業の一つの柱として育てることができると思います。精神揺籃の地との思いがあるからこそ、産業として育てたいと思います。
 文化芸術は本県を支える大きな産業になりうると考えていらっしゃるか、なりうるとすれば、何が課題かお尋ねします。
 例えば、議員が紹介されました、近年の韓国のように、メディア芸術を振興することによって、ゲームソフト産業や映像産業が世界的に拡大していくことや、アメリカのハリウッド映画が莫大な外貨を獲得しているように、また、イタリアのミラノのように、ファッションが、服飾産業をリードしているなど、文化芸術と産業とは深い関わりがあります。
 本県においても、神楽衣装の製作、伝統的な和菓子、各地の陶芸や和紙、あるいは、たたら製鉄で知られる玉鋼の生産などは、文化芸術と産業とが一体化している、典型的な例といえるのではないかと思います。
 また、足立美術館や県立美術館が、多くの交流人口を生み出しているなど、こうした産業は、一つ一つをとらえてみれば小さな規模かもしれませんが、島根らしさをアピールする、重要な役割を持っていると考えております。
 こうした産業を発展させていくためには、伝統を大切にしながら、それを活かした新たな文化美術の創造を促し、消費者でもあり批評者でもある、内外の交流人口の拡大を図っていくことが課題だと感じております。
 文化芸術、特に伝統芸能などは、観光振興に大きく貢献しています。ところが、文化芸術は文化庁、観光は経済産業省と縦割りです。
 前述の写真家は、とても良い絵になるから宍道湖で四手網を復活できないかという。マンネリ化しているといわれる弩行列ですが、昨年は武者行列が企画されました。今年、三味線の杵屋五司郎さんが曲をつけ、一緒に演奏しながら歩く計画があると聞きました。本人も松江の観光振興に役立ちたいと仰っています。
 今もわが県の観光に大きな役割を果たす文化芸術ですが、生かそうと思えば、いくらでも種があるように思います。
 韓国では、文化政策は文化観光部が一括して担っています。また、青森県はじめいくつかの県でも一つの部局で取り組んでいる。
 更に戦略的に観光振興と文化芸術振興を融合させる取り組みを進めるべきだと思います。組織上のあり方も含め、知事の所見を伺います。
 近年、観光の形態は団体旅行から個人旅行へ、また旅行目的も、従来の名所旧跡を巡る観光から、芸術、歴史、自然など、観光客自らが明確なテーマを持つ観光へと変わりつつあります。
 こうした状況の中で、足立美術館をはじめとする各地の美術館や、石見神楽などの郷土芸能が組み込まれたツアー商品が人気を集めるなど、文化芸術は、新たな付加価値を生み出す、本県の大切な観光資源となっております。
 また、文化芸術が観光振興に活用されることは、それに携わる人々の大きな励みとなり、創作意欲や活動意欲の増進につながるなど、有益な効果をもたらすものと考えております。
 このような観点から、これまでも観光部局と文化芸術部局が連携して、歴史文化を活用した旅行商品の開発や情報発信などに取り組んでまいりました。
 議員ご提案の組織統合につきましては、現時点では考えておりませんが、今後とも、部や課の枠にとらわれることなく文化芸術部局、観光振興部局、それぞれの職員が、文化芸術を観光振興に活用するという意識を常に持ちながら、互いに知恵む出し合い、柔軟かつ緊密な連携青図るよう一層徹底してまいります。
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 本県の文化ファンドが大きな役割を果たしています。メニュー方式で予算を組む鳥取県と比較すると総額では余り変わりませんが、使い勝手では本県の文化ファンドはとても優れていると思います。であるがゆえに、文化ファンドがあるからという安易に流されやすい面はないでしょうか。
 現場では、とても苦労しながら活動に取り組む実態もあります。また、ファンドや補助金では使い勝手の上で限界があります。また、まことに厳しい財政であります。
 出雲市の西尾市長は文化庁の出身でもあり、文化振興に積極的に取り組んでいます。中でも、出雲メセナ協会の活動は注目すべき取り組みだと思います。まして、この厳しい経済の中で、200社を超える企業や、多くの個人の皆さんが文化芸術振興のために出捐していらっしゃいます。 
 今後の文化振興を支える上で、出雲市のやり方は一つの目指すべき方向性があると思います。一昨年の税制改正で、税制上の優遇措置範囲が拡大され、全国的には企業メセナ協議会を通じた支援も伸びています。文化芸術への認知を高める、底辺の拡大を図る意味でも、もっとメセナを活用すべきだと思います。どういうあり方がいいのかも含め所見を伺います。
 社団法人企業メセナ協議会は、企業による文化支援の活性化を目的に設立された団体であり、平成六年度からは特定公益増進法人として認定され、企業や個人が同協議会を通じて文化活動への寄付を行うと、税制上の優遇措置を受けることができます。
 制度適用の申請は同協議会に直接行うこととなっていますが、県文化振興財団は、同協議会からの依頼を受け、相談窓口を平成十五年四月から開設しており、資料の常備と配布、質問や相談への対応及び制度のPRを行っております。
 なお、この制度は、プロ並みの活動を対象としており、県内においては、世界十四か国のアマチュア劇団が参加して今年十一月に八雲村で開催される「第二回八雲国際演劇祭」がこの制度の適用を受けております。
 また、相談窓口への問い合わせ件数は、現在までのところ二件となっております。
 メセナにつきましては、出雲メセナ協会のように、小口の寄付を集約し、共同で支援するという方法や、文化事業について公共団体と民間団体が実行委員会を組織し、民間の資金を導入するという形態、民間の各種文化基金による助成、あるいは先ほどの企業メセナ協議会を利用したもの等様々な形態がありますので、今後それぞれの事業での有効な手法について、研究していきたいと考えております。
 昨年、担当の皆様のご苦労もあって島根県文化団体連合会が結成されました。文化振興への大きな一歩と評価しています。更に裾野を広げ、レベルアップを図るという観点で、展示部門の皆さんから、県知事賞を取った作品の購入ができないだろうかとの声があります。購入している県もあるようです。厳しい財政の中ですが、今後、智恵を絞るお考えがないか伺います。
 お尋ねの趣旨は、県展で県知事賞を受賞した作品の購入に関してであると思います。
 美術館等での購入・保存は、後世に伝えるべき、歴史的な価値のある作品としており、美術品等収集審査会によって審査されておりますので、ご提案の趣旨はよくわかりますが、きわめて難しいのではないかと思っております。
 しかしながら、受賞された作品が、多くの県民の皆さんに鑑賞してもらえることは、裾野を広げたり、レベルアップを図るためにも必要であると思いますので、そのような機会が多くなるような方法を検討していきたいと思います。
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 平成19年、全国高校文化祭が本県で開催されることになっています。本県の文化芸術の裾野を広げ、レベルアップを図る、次代を支える人作りのまたとない機会であります。スポーツに比べ文化芸術は予算的にも厳しい現実がありますが、本県の文化振興における、高文祭の位置づけについて知事にお尋ね致します。
 全国高等学校総合文化祭は、高等学校教育の一環として高校生に各種の芸術文化活動を全国的な規模で発表する場を提供することにより、文化活動への参加の意欲を喚起し、創造的な人間育成を図るとともに、文化活動をとおして全国的、国際的規模での生徒相互の交流親睦を図ることを目的とする大会であります。
 本県では、多彩な文化・交流を育む創造性豊かな地域形成の表として大会を誘致してきたところであり、平成十四年に第31回大会を平成十九年に本県で開催することが内定、したところであります。
 高校生という多感な時期に、全国の多様な文化活動のレベルを知り、同世代と交流を深めることは、心豊かな人間形成にとってたいへん貴重な機会であります。この大会を本県で開催することは、高校生の文化活動の水準を高めるのみならず、中学生以下の児童生でとりましても、文化活動への参加意欲を高める絶好の契機であります。
 このような意味で、全国高等学校総合文化祭の開催は、本県の文化芸術の裾野を拡げるだけでなく、文化活動の後継者の育成、次世代リーダー養成の一環として意義あるものと考えております。
 一方、現在進めております中期財政改革のもとでは、あらゆる事務事業について聖域なく見直しを行っていく必要がありますので、全国高等学校総合文化祭についても、財政改革の要請との調和を図りながら実施する方策を検討してまいります。
 開催にあたって、わが県に受け皿となる部活動がない部門があるとのことです。また、中学校の協力が欠かせないと思いますが、中文連もないなど、厳しい現状もあると聞きます。中・高の現場、義務教育課、高校教育課など教育委員会が一丸となり、総体並みの取り組みをすべきだと思います。中・高の現場の現状と、高文祭開催に向けた今後の課題、教育委員会としての取り組み方針をお尋ね致します。
 第三十一回全国高等学校総合文化祭島根大会では、総合開会式、パレードの他に、「演劇」「合唱」など公式十八部門と「社会科学」など協賛四部門を県内の九市町で開催する方向で準備を進めております。
 この大会を視野に入れ、県内の高等学校では島根県高等学校文化連盟が中心となって、文化活動全般の活性化と各部門の充実に努めているところであります。島根県高等学校総合文化祭開会式は本年で第八回を迎え、全国大会に倣い街頭パレードを実施するなどして、多彩な高校生の文化活動を披露しております。また、昨年の第二十七回福井大会へは約二百名の本県高校生が参加するなど、島根大会開催への気運も高まってまいっております。
 しかし、「演劇」「合唱」「吹奏楽」部門のように活動が活発なものがある一方で、「吟詠剣詩舞」のように、現在県内に部活動が無いもの、また、例えば「マーチング」「器楽・管弦楽」など一部の学校でしか行われていないものもあります。
 これらの活動状況に応じて、社会人指導者の派遣や計画的な楽器等備品の整備などを行い、活動の活発化と充実を図っているところです。
 また、平成十九年の島根大会の担い手となる現在の中学生の文化活動への支援としまして、県内の中学生の舞台・展示部門の総合的な文化祭である「アートフェスティバル」を開催しているほか、中学校・高校が連携しての弦楽クラブ合同演奏会や弦楽キャンプを実施しており、中学校においても高等学校総合文化祭への気運が徐々に高まってきつつあると感じているところです。
 今後とも、市町村教育委員会と連携し小・中学生を対象とする芸術鑑賞機会の提供等を通じながら、中学校での文化活動の意義がさらに理解され、その活動が活発になるよう一層の協力を求めてまいります。
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 またとない機会であり、県民全体の盛り上がりの中で開催するようにならないかと思います。文化芸術関係の皆さんは子供達との接点を持ち、彼らの成長への一助になりたい、という強い意識を持っています。教育委員会だけではなく、文化振興課、文団連、市町村など一体となり、みんなの力で成功させたいものと思います。取り組みの現状と今後の考え方をお尋ねします。また、環境生活部長にも高文祭成功に向けた協力体制についてお尋ね致します。
この大会の運営につきましては、平成十四年度に「全国高等学校総合文化祭島根大会開催推進委員会」を設置して取り組んでおります。
この委員会は、高校の関係者はもとより、文化振興課、県文化振興財団、市町村教育長会の代表や県旅館生活衛生同業組合、県旅客自動車協会なども含めて組織されており、関係者が一体となって取り組む体制を整えております。
また、島根県文化団体連合会からは、「器楽・管弦楽」部門と「日本音楽」部門へ指導者を派遣していただいており、「吟詠剣詩舞」部門につきましても、指導者の派遣をお願いしたいと考えております。
各部門の開催をお願いする予定の市町に対しましては、現在、大会の趣旨や内容の説明を行い、協力の要請を行っているところであります。
今後は、県、開催市町、文化団体が一体となって広報に努め、島根らしい大会が開催できるよう住民の皆様のご支援をお願いしてまいります。
さらに、この大会を単なる高校生の一時的なイベントとして終わらせることなく、高校が地域と連携を深め、高校の文化活動が一層地域に定着することを目指して取り組んでまいる所存です。


 本県の文化芸術を振興するためには、文化芸術活動を担う若い人材の育成が不可欠であり、全国高等学校総合文化祭島根大会の開催は、単に高校生だけの大会としてではなく、島根県全体の文化振興を進めていく上でも、大きなチャンスだと考えております。
 高校文化連盟などの団体や、各分野の団体とも意見交換を行い、財団法人島根文化振興財団とも連携して、どのような協力体制を作ることが一番適切なのかを検討したいと思います。
 知事は三年前の答弁で、平成20年代前半に国民文化祭の誘致開催を目指すとされました。本県の文化芸術振興を考えると、高文祭をホップとし、国民文化祭をステップに大きく花開かせることができればと考えます。国民文化祭の誘致開催について知事のご所見をお尋ね致します。
以前、平成十三年の六月県議会におきまして、平成十九年に開催いたします全国高校文化祭に引き続き、文化芸術振興に.大きな効果が期待できるものとして、平成二十年代前半には国民文化祭を誘致したい、との考えを表明したところであります。
しかし、地財ショックによる財政状況の悪化により、財政再建を最優先課題としている本県の現状からは、準備期間のことも考えますと、平成二十年代前半に誘致開催するという時期につきましては、改めて検討したいと考えております。
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 2001年11月、「文化芸術振興基本法」が成立し、文化芸術振興が法的根拠を持つことになりました。
 他県では、文化芸術振興条例を制定する動きが広がっています。まだまだ低い文化芸術への認知を高め、文化芸術を産業の一つとして振興する上でも、条例制定が必要ではないかと考えます。
 文化芸術振興条例制定に対する知事のご所見を尋ね致します。
文化芸術に基づいた地域振興や、産業振興を進める上で、こうした条例の制定が大きな役割を果たすことは、議員ご指摘の通りであると思います。
本県では、平成三年に、全国でも指折りの文化ファンド事業を創設し、以来、およそ800件以上の、県民の自主的な文化活動を支援してきました。
また、平成十一年三月には、「島根県文化.振興指針」を策定し、文化振興のあり方の基本となる考え方を明らかにしてきたところであります。
今後は、このような本県で行ってきた文化芸術振興の実績や、あるいは国や他県の状況などを参考に、条例の制定について、県民の幅広い議論をふまえながら、総合的に判断したいと考えております。
 最後に、松江市の松浦市長が、一ヶ月ほど前のメールマガジンに、県との連携とのテーマで次のようなメッセージを発信しています。
 最近、県との連携ということを意識しています。たとえば、観光。県は「神話から新話構想」「広域ブランド観光地構想」「鳥取県との連携」などを打ち出しています。これらのアイディアはすばらしいものばかりです。
 しかし、それが市の観光と結びついていないのです。役割分担がはっきりしていないのです。少なくとも私は市の担当職員から県の観光行政を前提にした市の観光施策を聞いたことがありません。県においても同様でしょう。市の観光行政を前提にした施策を考えることはないと思います。
 先日、鳥取県との連携も新聞で初めて知った程度ですから市の役割は不明です。県同士で決めたことだから市は黙って従えということでしょうか。地方分権の時代、それではうまくいかないと思います。
 これからは県と市との連携の仕方を真剣に考えなければいけません。
 これからの時代、県と市町村、そして民間と如何に智恵と力を合わせて取り組むかが問われていると思います。文化芸術振興もしかりだと思います。総合力で県勢の発展を図らなければならないと思いますが知事の所見をお尋ね致します。
議員ご指摘のように、これからの県政発展に向けては、県、市町村、県民それぞれがその役割を明確にしながら、一丸となった取り組み、いわば総合力が必要であります。
「自立的に発展できる快適で活力のある島根」を県民全ての目標とし、その実現に向けて県も市町村も県民も、心を合わせ、ひとつひとつ実践を積み重ねていくことが、今まさに求められております。
私も県政運営の責任者として多くの皆さんの力を借りながら、先頭に立って新しい島根づくりに全力を傾注いたします。
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