栄光のSINGERミシン
その6

111/112シリーズ

●水平釜針送りミシンの元祖、SINGER社でも211→411シリーズとして独自に発展


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一本針/二本針水平釜本縫い平ベットミシン、一本針が111、二本針が112となる。針送り/総合送りがある。

詳細はサブクラスによって異なる。最高回転数は〜3000rpm


水平釜は22W等ですでに登場しているが、OPEN FINGERが最初から採用されたのはこの機種からではないのだろうか?また下軸に設けられたセーフティークラッチにより、糸が釜に食い込んでもクラッチが作動し各部品のタイミングのずれを防いでくれる機種もある。

水平釜なので針案内も付いている。それゆえ「厚物の縫製はこのクラスじゃあなければ!」との声は良く聞く。パイピング工程を含む針が曲がる確率の高いオペレーションが歴史的に多いカーシート工場、スポーツバックなどで良く見かけられる。

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112W101のHOOK SADLE Asm

まだ中釜止め部が針板についてはいなかったようだ。

SINGER社のミシンをずっと追いかけてゆくと、上軸⇔下軸の運動の伝達にとにかく苦労している。半回転時代は長いロットでつながるのは構造上しょうがないが、下軸が全回転する場合、通常なら歯車を使用したいところではあるが、これもクランク+ロッドなのである。1本なら死点ができてしまうので90度位相をずらして二本…。どうやって加工/組み付けするんだろう??

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上軸と下軸

位相をずらしたクランク部がある。

最終的にはタイミングベルトに変わってゆくが、当時のものは平ベルトに針金巻いたタイプだったので耐久性は???

112be.JPG 針金だもんなあ‥

この機械からの発展系は世界中で生産されている。ヨーロッパ圏では独自の進化をしたため部品の互換性はあまりない機種が多い。対して日本メーカーは忠実に基本寸法を守って生産していた。現在は自動糸きりや高速化など各社色とりどりである。


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昭和14年に公報になっている111関連の特許。このころの特許文献は読めません…文章むずかしすぎっ。


台湾/中国あたりのメーカーが孫コピーするといろいろ寸法が異なってくる。元々シンガーはインチなのでたとえば7/8インチ=22.225mmだが日本だと22.23mmもしくは22.22mm。そして孫コピーになると22mmだったり22.2mmだったりで最初の面影がだんだんなくなってゆく。。。まあ国民性の違いもあるようだが。



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