◆糖尿病◆

友の会活動ボランティア
島根県保健環境科学研究所長
関龍太郎

日本糖尿病協会島根県支部創立30周年記念を迎えられると聞き、心からお祝い申し上げます。県内に36の友の会、2250名の会員がおられ、糖尿病について日頃から研鑚を積まれ、「糖尿病にならないように」「重症化しないように」という取り組みをボランチィアとしてされていることに敬意を表します。確かに糖尿病を予防するには、「生活改善」をすることと同時に健康を大切にする「環境づくり」をすることにあると思います。そして、「健康に生きる」ためにはどうしたらよいのか、積極的に「住民の一人として参画していく」ことにあると思います。人のためにと思いスタートした活動が自分のためになった人、自分のためにと思ってスタートした活動が人のためになった人、いろいろだと思います。そして、引き継ぎをしながら30年間、頑張って来られたことに敬意を表します。しかし、糖尿病の現状を見ますと、わが国の死亡率は、10.0では第10位であります。しかも、1990年は7.7ですが、1998年には10.0であり、増加の傾向にあります。1996年の患者調査では、医療機関を受診している糖尿病患者は218万であり、1兆325億円の医療費が費やされています。糖尿病は脳卒中、心疾患、ガン等とともに、「生活習慣病」といわれています。生活習慣を改善することで増加を防ぐことが出来るといわれています。したがって、糖尿病をめぐる「生活習慣要因」「外部環境要因」「遺伝要因」に対する対策が重要になってきています。先ごろ設定された「健康長寿しまね」においては、特に、糖尿病は「肥満」との関連を重要視されています。
 糖尿病は死因では10位ですが、死因の2位3位の脳卒中、心疾患の危険因子でもあります。また、腎透析には、毎年9,500人(新規患者の3分の1)もの人が入っていますし、年間約3,000人が糖尿病網膜症により、視覚障害として認定されています。このように、人の健康寿命に大きく関与している疾患であります。
  また、糖尿病実態調査(1997年)によれば糖尿病を強く疑われる人690万人、糖尿病の可能性を否定できない人680万人、計1370万人とし、肥満と関係の深いことを指摘されています。
 さらに、糖尿病は自覚症状では発見できない病気であります、したがって、労働安全衛生法とか老人保健法の「健康診断」を受診することが重要となってきなす。しかし、糖尿病実態調査で、糖尿病を強く疑われた人の、それまでの健診および治療の動向をみると、現在治療中は46.0%、健診で異常なし22.2%、異常値を指摘されたが医療機関で正常1.6%であるが、健診を受けず13.5%、異常値を指摘されたが検査を受けていない1.2%、異常値を指摘されたが治療を受けていない9.5%、治療中断7.1%であり、3割強に糖尿病治療において問題を含んでいると指摘できます。
  これらの結果から、糖尿病は国をあげて推進している「健康日本21」の9つの対象分野のひとつに取り上げられています。次の五点を当面の柱にして、働きかけていったらどうでしょうか
(1)
適正な体重を知り、肥満予防の生活をする
(2)
職場または地域の健康診断を積極的に受ける
(3)
健診で一度でも糖尿病を指摘されたら、自分はハイリスクグループに入ると自覚して毎年健診を受ける
(4)
糖尿病友の会会員を増やす
(5)
健康長寿の実現のために環境づくりに関心を持ち、各種の活動に積極的に参画する

..\index.に戻るhtm ..\fukushi.に戻るhtm