2011年6月定例市議会

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松江市・東出雲町合併

東出雲町の先進的施策を生かす〜乳幼児医療費助成、産廃紛争予防など

 6月定例市議会は6月17日〜7月5日まで行われました。
 8月1日の東出雲町との合併関連議案が大半でした。行政手続き条例の一部改正など46件の条例が可決されました。多くが松江市条例に合わせることになりますが、東出雲町の先駆的な施策をとりいれるものがあります。


乳幼児医療費助成制度

小学校4年生から20歳未満の市民が規則で定める疾患(慢性腎疾患、ぜんそく等11疾患)により入院した場合、助成の条件、内容を改めるものです。

  @ 所得制限の撤廃
  A 本人負担上限額(月額)を15,000円から2,000円に改める。

 
     施行期日  平成23年8月1日

産廃紛争予防条例

 東出雲町内における産業廃棄物処理施設の設置計画について、事前公開等の事項を定め、紛争を予防するものです。施行は平成23年8月1日。期限は平成27年3月31日。ただ、条例の末尾に「市長は、この条例の失効前において、この条例の施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることができる」としています。「理論的には延長ができるもの」との答弁がありました。 

LRT(次世代型路面電車)の早期導入見送り

6月定例会で松浦市長表明

 松浦正敬市長は、東日本大震災・原発事故を受け、安心・安全なまちづくりを最優先する姿勢を打ち出し、災害に強いまちづくりを強調しました。
 平成24年度の早い段階でLRT(次世代型路面電車)導入についての判断をしたいとしていましたが、平成24年度からはじまる総合計画後期計画での具体化を見送ることを表明しました。
 LRTやBRT(低床高速車両)、現在の公共交通の充実などを含め、どのような交通システムが効果的なのかを10年後、20年後の松江市の未来を描く「平成の開府元年まちづくり構想」の議論の中で市民のみなさんと議論していきたい、と述べました。
 LRT構想は、大橋川改修問題の進展をみて将来の中心市街地の公共交通のあり方のひとつとして検討されてきていますが、100億円を超える多額の投資や交通規制の問題などで議会や市民から懸念する声も出ていたものです。
 松江市総合体育館については、スポーツの場とともに市内中心部の避難拠点としての役割と機能を構想に盛り込み、早期完成をめざすとしました。
 古浦西長江線の道路新設は、避難道路としての重要度がいっそう高まったとして早期の完成をめざすと述べました。
 福祉の分野でも、子育て、教育、雇用、高齢者・障害者、コミュニティーなど安心できる施策となるよう、事業の見直しや検討を行うことも表明しました。

片寄直行の一般質問

6月定例市議会の一般質問において、6月22日、私は、原発問題、防災対策について、市長の姿勢をただしました。


原発「ゼロ」をめざす政治的決断を

 福島原発事故の教訓から、原発が死の灰を原子炉内部に完全に閉じ込める技術がないことや使用済み核燃料の処理・処分が定まっていないことを指摘し、今の原発技術は本質的に未完成で危険なものではないかとただし、『原発ゼロの日本』をめざす政治的決断を求めました。
 松浦市長は、「自然エネルギーの開発はすすめるべきであり、将来的には原子力の依存度は下げていく方向だと考えている」「自然エネルギーが原子力の代替として賄えるのかというと様々な問題があり、日本の経済活動・国民生活におけるエネルギー需給を考えた場合、当面原子力が担う役割があると認識している」「この事故を教訓に原発のリスクに対する見方を見直し、安全性を高めていくことが重要」と答弁しました。
 また自然エネルギーの本格的導入と低エネルギー社会の実現を主張。先進的な自然エネルギー開発と合わせ、新しい仕事と雇用を創出することを提案しました。
 松浦市長は、「次世代の電力網といわれるスマートグリッドの整備による地域内での電力供給システムの確立とそれを活用した電気自動車・電気バスなどを検討し、関連する研究開発と企業誘致による新たなまちづくりと雇用の創出などについても研究したい」と答弁しました。

冷却水が取水できなくなる!  引き波対策の説明求めよ

 津波の引き波時に冷却用海水が取水できなくなることを指摘。中国電力は東日本大震災の事例から、基準水位からプラス15メートルまで津波がおしよせることを想定し、防波壁を計画しています。その津波を想定するならマイナス15メートルの引き波も想定しなければならないが、5・7メートルしか考えられていない、と指摘。納得のいく説明を求めるよう要求しました。
 松浦市長は、「専門的なことなので、中国電力に問い合わせたい」と答えました。
 引き波は、上昇分とほぼ同じ高さだけ水位が低下するため、島根原発の場合、1号機、2号機ともに一時的に原子炉の冷却水を取水できなくなります。
 中国電力は、1・2号機の定期検査時に海水ポンプの吸い込み口をさげるための準備作業を行うことを表明していますが、どの位置まで下げるか公表していません。
 地震、津波と原子力災害の複合災害を想定した地域防災計画を要望。市長は「今回の事故を踏まえて国が改訂する防災指針が明らかになった段階で、見直すことになる」と答えました。

ヨウ素剤は保育園、幼稚園にも配備を  「島根県と協議する」と答弁

 被ばく医療対策としての安定ヨウ素剤配備について、学校には配備されているものの、保育園や幼稚園では十分な体制がないことや松江市の要綱には40歳以上で妊娠している人にも服用させる記述がないことを問題視し、改訂を求めました。
 松本純一・防災安全部長は「県と協議したい」と述べました。
 副作用の発生を防止するため、事前の問診やアンケート調査の実施などについての追及に松本部長は「ヨウ素過敏症等の既往歴の把握方法については引き続き研究していきたい」と述べました。

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