2015年12月定例市議会

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2015年12月定例市議会片寄直行の一般質問

 12月定例松江市議会において9日、一般質問にたち、原発問題と防災、国保問題についてただしました(一問一答形式)要旨を紹介します。


新知見にもとづく活断層の徹底検討を!

片寄 今年9月に中国電力が原子力規制委員会に示した資料では、原発周辺に巨大活断層の存在がいくつも明らかになった。原発の耐震安全性、基準地震動に関係する重大な問題と思うが、松江市としての所見を伺う。
多久和防災安全部長 11月20日の審査会合で原子力規制委員の石渡委員より、「概ね必要な検討がされていると評価する」とコメントがあり、本評価に対する異論はなかったと認識している。

片寄 今回、鳥取沖西部断層と鳥 取沖東部断層は連続していないけれども連動性があるという。同じ地質構造をもち古い地層では同一の断層である( 陸域の) 宍道断層も連動の可能性がある。徹底した調査と検討が必要ではないか。
多久和部長 現時点で、原子力規制委員会として更なる追加の調査や検討が必要というコメントはないが、活断層評価についての審査は継続していくため、引き続き状況を注視したい。

片寄 11月に島根県地震津波防災対策検討委員会がスタートした。私は傍聴していたが、陸域の活断層と海域の活断層の連動性については次回の宿題となっている。連動性・連続性についての判断はどこがするのか。
多久和部長 県知事により設定することになる。

片寄 原子力規制委員会ではないのか。
多久和部長 両方ですることになる。

片寄 11月29日の山陰中央新報に日本海津波評価は過小評価との専門家のコメントが出ていた。鳥取県沖の断層も指摘されている。県と連携し、国に対し解明するよう要請されたい。
多久和部長 検討が始まったところであり、国への要請等は考えていない。
片寄 県は必要があれば国に要請したいとしている。恐れず要請していただきたい。
必見! 中国電力が、原子力規制委員会に提出した資料(H27.9.29)
 「島根原子力発電所敷地周辺海域の活断層評価」
(日本海における大規模地震に関する調査検討会報告書を踏まえた活断層評価)
平成27年9月29日 中国電力株式会社作成


こちらです。原子力規制委員会のサイトへつながります。

国保基金を取り崩して保険料値下げを!

片寄 国保の都道府県化の目的について、以前は、小規模自治体ほど財政が脆弱だから広域化してスケールメリットを高める、保険料の統一化ということだった。ところが、市町村ごとの保険料率を決め、納付金を払わせるのは従来と変わらず、市町村の上に都道府県が支配するという形ではないか。本当の狙いは、都道府県に医療ビジョンを策定させ、権限を強化し、医療費の適正化=医療費の削減をはかるために都道府県化するというものではないか。どう受け止めているのか。
田中哲也市民部長 国保の都道府県化は、都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保等、国保運営の中心的な役割を担うこととし、制度の安定化をはかることを目的としている。都道府県化は将来にわたり安定的で持続可能な制度とするためのワンステップであり、すべての国民を対象とする医療保険制度の一本化に向け、抜本改革を実施するよう引き続き、市長会を通じて国へ働きかけていく。

片寄
 今後の国保保険料の見通しはどうか。
田中市民部長 今後の保険料の中期財政見通しを立てたところ、平成28年、29年は平成26年、27年と同額となった。現在、国が財政運営等の仕組みについて協議しており、来年3月に示すことになっている。平成30年度以降の保険料は、現段階で推計することはできない。

片寄
 都道府県化によって基金は取り崩す方向ではなかったか。
田中市民部長 国保運営方針のガイドラインが来年3月に示されることになっている。現段階では、急激な医療費の増加等に柔軟に対応するため、基金を残した状態での都道府県化に移行することが望ましいと考えている。

片寄
 国保の基金は5億8千万円となっている。これを取り崩せば一人あたりいくらの保険料値下げになるのか。
田中市民部長 単年度では156%の値下げとなる。2年で取り崩せば7・8%の値下げとなる。

反対討論(共産党議員団 片寄直行)

 12月18日、日本共産党松江市議団を代表して、議案3件、陳情1件について、委員長報告に反対の討論を行いました。


マイナンバー制度の危険性

 議第251号 松江市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の制定について、議第257号 松江市税賦課徴収条例の一部改正について、議第258号 鉄道軌道整備法に基づく固定資産税の不均一課税に関する条例等の一部改正については、いずれもマイナンバー制度に関する議案です。
 マイナンバー制度は、税、社会保障、災害の三分野での利用から始まりましたが、法改正によって、銀行口座、メタボ健診、高校授業料補助などの自治体独自施策についても情報連携が可能になります。そして、今後、マイナンバーの利用拡大は、戸籍への連動、健康保険証や印鑑登録カードとの一体化、各種免許資格確認、さらにクレジットカード機能としての利用まで視野に入れています。不正・利用や情報漏えいの危険が高まることは避けられません。可決には反対です。

国民皆保険制度の維持・発展を

 陳情第25号 国民皆保険制度の維持・発展の意見書提出を求めることについて、委員長報告は不採択です。総務委員会の所轄範囲を超えた事項もあり、本来、教育民生委員会との合同審査をすべきです。投げかけられている問題は、社会保障という大きなテーマであり、陳情者や専門家の声も聞いて審査すべきでした。共産党議員団は委員会審査の場では継続審査を求めましたが、審査結果が不採択となった以上、それに賛成はできません。採択を主張して本会議での討論を行います。
患者負担増に反対
 政府は2020年度を目途とした基礎的財政収支の黒字化を掲げ、医療においては患者負担増の方向を打ち出しています。また、将来的に公的医療保険の範囲から外れるサービスを利用する際に、新たな金融サービス、寄付による募金など公的保険を補完する財政支援の仕組みの検討も必要という考えが懇談会から提言されています。これは必要な医療を公的保険で保障することを旨とする皆保険制度を後退させるものです。
 2012年8月には税と社会保障一体改革関連法、2013年12月に社会保障制度改革プログラム法、2014年6月に医療介護総合法、そして今年5月に医療制度改革関連法の成立です。
 昨年強行された医療介護総合法では、医療提供体制改革と地域包括ケアシステムの構築をはかるとして「川上」で医療の病床削減と平均在院日数の短縮による医療費抑制を進めるとともに、他方、「川下」で増大する退院患者の受け皿として安上がりの「地域包括ケア」構築をすすめるものです。すべての病院から病床数や高度医療機器などを報告することが義務付けられました。都道府県は指針に合わせて地域医療ビジョンを策定し、さらに医療機関に病床の機能転換や削減等を要請するというものです。介護では、必要なサービスを受けられない人が大量に生まれることに対して、制度の拡充でなく、家族やボランティアによる「助け合い」や民間営利企業による健康産業で受け皿をつくることが狙われています。
 今年5月の医療保険制度改革関連法の主な内容は、@国保の都道府県化、A患者の医療費負担の増大、B混合診療化につながる患者申し出療養制度の創設、C後期高齢者医療保険料の特例廃止などです。
 総務省は今年の3月、新公立病院ガイドラインを出しました。その基本的考え方は、これまでの経営効率化、再編ネットワーク化、経営形態の見直しのほか、地域医療構想を踏まえた役割の明確化を加えています。
 公立病院の再編を推し進めるため財政措置が改定されました。@新設・建て替えに伴う起債や地方交付税措置には地域医療構想との整合性が求められる、A現行の基準を引き下げる半面、再編ネットワーク化する場合は有利にする、B地方交付税措置では、これまでの許可病床数に応じていたものを稼働病床数に変更するなど、財政での誘導、締め付けにより公立病院改革を進めようとしています。

介護制度の改悪も重大
 4月からは特養の入所者を原則「要介護3」以上に限定する、要支援1・2の通所介護と訪問介護を介護保険サービスから外し市町村の事業に移すことが実施されました。
 8月からは、年金280万円以上の所得者の利用料2割負担を導入、1000万円以上の預貯金があれば補足給付を廃止し、多床室の部屋代・食事代徴収の導入などが実施されました。
 介護報酬の2015年度改定で、報酬全体で2.27%、介護労働者「処遇改善」特別加算の上乗せ分などを除けば、4.48%と過去最大の引き下げが強行されました。これにより介護事業所の倒産が過去最悪の状況となっています。介護保険料の引き上げも深刻な状況を生み出しています。
 社会福祉法の一部を改悪する法案も国会提出され、衆議院では強行されましたが、参議院では継続審査となっています。主な内容は、介護分野に続き障害分野の福祉職員等退職金共済制度への公的助成の廃止、無償または低額で地域公益活動を法人に義務付けるものです。
 財務省は10月9日に財政健全化計画の期間中に実施すべき社会保障制度の「改革」案を財政制度審議会に提出しました。その特徴点は、外来受診を抑制するための「かかりつけ医」以外を受診する場合に定額負担を上乗せ導入すること、風邪など市販品類医薬を保険給付からはずす、高額療養費制度の高齢者特例の引き上げ、入院の際の水光熱相当の自己負担化、介護保険の利用者負担を原則2割へ引き上げ、要介護1・2の通所サービスの保険はずし、介護保険の軽度者への生活援助や福祉用具貸与を自己負担化、生活保護では「能力に応じた就労」をしていない場合に「保護費の減額」措置など28項目をあげており、不当きわまりないものです。
 そのうえ、マイナンバー制度の導入です。先の国会で改定法案を強行し、預貯金の口座、特定健診、予防接種の履歴などにマイナンバーの適用を広げました。医療費や介護費用の負担増や給付抑制、さらに市場化のために国民の医療情報を活用することを狙うものであり、許されません。

TPPは、医療分野にも大きな影響
 TPPは、農林漁業や食料の安全だけでなく、ISDS条項などで日本の医療にも重大な影響が考えられます。アメリカは民間保険を買わせるために、日本の皆保険制度を崩し、自由診療を求めてきました。患者申し出療養制度の創設などもこうした方向につながるものです。10月4日、TPP交渉の大筋合意が公表されました。しかし、国内農業など重要5品目を守るとした国会決議に反するものです。
 以上のように社会保障の改悪は国民の生存権を踏みにじり、アメリカ追随、大企業本位の内容です。これに反対し、改善を求めるのは住民の命と安全を守る地方自治の当然の立場であり、任務です。
 よって、陳情は採択すべきであり、不採択とした委員長報告に反対です。

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