2005年9月議会質問 2006/3/10
1.電子自治体の推進について
  ITネットワークによる効率化による投資効果、コスト削減効果について
  電子県庁推進計画の2年延長について
  ITを活用した業務改革の推進について
  システムのレガシー化について
  IT、ネットワークの推進と業務効率化について
  永続性あるシステムの構築について
  IT人材の現状と育成について
2.行政の効率化について
3.アスベスト対策について
  公共建物(県市町村)の使用実態調査について
  民間建築物のアスベスト対策について
  アピール力の高い分かり安い広報について

4.行政の効率化について再質問
 質疑内容は下記の通りです。それぞれ文字色で私の質問、知事答弁関係部長・教育長答弁がわかるようになっています。
 最初に、電子自治体の推進についてであります。
 スイスの経営開発国際研究所が毎年発行する、世界主要60カ国の国際競争力をランキングした「世界競争力年鑑」によれば、1980年代89年まで1位を保ち続けていた日本はバブル崩壊と共に落ち続け、2002年には27位、2005年には持ち直して21位まで上がってきたとのこと。
 国際競争力は、さまざまな指標によって評価されていますが、我が国のマクロ経済の競争力は21位、ビジネスの効率性は昨年の37位から上がって35位、反対に政府の効率性は昨年の37位から40位に下がっているとのこと、IT通信網なども含むインフラは3位、ちなみに、法人税率の高さと語学力は最下位であります。
 経済成長と生産性の向上とITの利活用には相関関係があり、生産性を上げ、効率を高めていけば経済が成長するとされています。その効率を見ると、日本は米国や欧米に比べて生産性が低く、製造現場では高いけれどもホワイトカラーなども含めるとOECDの中では18番目であります。
 米国では60年代から生産性が毎年1.2%程度上がり、95年を境にそれまでの倍に当たる2.5%の生産性の向上を続け、米国は経済成長率が低いとの懸念に対し、それでもいいとグリーンスパン議長は言い続けたとのことで、それは、生産性が上がっているから心配ないとの理由だったそうであります。
 その生産性の向上の半分はITによるイノベーションが支えているといわれています。
 一方、90年当初、日米のIT投資はほぼ同水準だったものの、04年の水準は、米国は当時の6倍、日本は2.4倍、投資も足りないし、有効活用することによる行政効率向上やビジネス効率向上への取り組みも弱いと言われています。そうした中ですが、ネットワークインフラは、ここ数年の急速な整備によって質量とも世界のトップクラスとなり、今後更に生産性を向上させ、効率を上げるためにはどうITネットワークを活用するかが鍵になるといわれています。
 先日、電子政府、電子自治体の推進にも関わっている、シスコシステムズ日本法人のトップの話を聞く機会がありました。
 社長の話は、まさにITネットワークを使った効率化についてでありましたが、効率を上げるためのIT活用は、@コスト削減のため、A付加価値をつけるため、B戦略実行のための道具としての3つの観点があるが、日米を比較してみると、@のコスト削減のためでは、調達単価を下げる取り組み以外ではほとんど格差はない。
 しかし、Aの付加価値をつけるためにITを使う取り組みでは日米格差が大きく、いい行政サービスを作る、顧客満足度を、住民サービスを上げるところには殆ど使われていない。Bの戦略実行のための道具としてという点でも、経営戦略、行政戦略のイニシアチブの道具として使うという観点が低いと指摘していました。
 また、ITネットワークに相当投資されてきたが、政府、自治体においては投資効果が検証されていない、米国では何のために投資するのかと言うところから始まり、きちっと検証する。今後、この視点は欠かすことができない重要な点であると言っておりました。
 更に、自社の例を引き、IT企業であったにもかかわらず、95年以前は縦割りの組織で、効率を上げるためのIT活用がなく、縦割りのアプリケーションで、データベースも分散しており、ITは金食い虫だった。webとブラウザの技術開発を受けて、e-mail、チャット等による社内コミュニケーションの効率化や、電話帳のオンライン化を図り、総務、人事、庶務等の社員へのサービス部門を全てセルフサービス化した。社長自ら鉛筆一本でもネットによる自己調達、勿論航空チケットもホテルも自己調達。e-コマースでは98%が電子決済、e-ラーニング、人事評価もオンライン化し、関連企業においても企業間を越えてのチェーンを構築し、あたかも一つの企業のような体制を構築した。
 その結果、売り上げ2兆円の企業であるが、効率化の取り組みで2200億円のコスト削減効果を生んだとのことでした。
 わが県の電子県長推進計画の基本理念は、@ITを活用した県民との情報共有の推進、AITを活用したスピーディーで質の高い行政サービスの提供、BITを活用した業務改革の推進となっています。
 効率を上げるIT活用の3つの観点中Aは、わが県の掲げるITを活用したスピーディーで質の高い行政サービスの提供であり、BはITを活用した業務改革の推進に対応するものであります。
 最初に触れたように、政府・自治体の効率性の低さがわが国の国際競争力を殺ぐ結果となっています。わが国が生き残るため、発展を続けるため、わが県が生き残るためには効率化への取り組みを更に強力に進める必要があります。その強力なツールの一つがITネットワーク、電子県庁の推進であります。
 そこで質問でありますが、ITネットワークによる効率化の取り組みでの投資効果、コスト削減効果をどのように検証されているのかお尋ね致します。
 まず、投資効果、コスト削減効果の検証についてであります。現在、県で稼働しております情報システムは、大小含めまして142ありまして、49の所属で運用管理を行っております。それぞれのシステムの投資効果を年度ごとにまとめるということは行っておりませんが、比較的最近構築いたしましたシステムを例にお答えいたしたいと思います。
 平成12年に運用を開始いたしました予算編成支援システムというのがありますが、この導入に当たりましては、年間7,500時間の省力効果を見込んでおりまして、所期の効果が上がっているというふうに思っております。また、この予算編成システムを利用いたしまして、予算の要求段階から予算の公表までインターネットでの県民の皆さんへの公開も行うということを行っております。また、ネットワーク基盤であります全県域WANにつきましては、今年度再構築いたしまして、年間約9,700万円の調達費の削減効果を見込んでおります。このネットワークを活用して1人1台パソコンを実施いたしておりますが、先ほど知事もお答えいたしましたように、事務の迅速化、効率化に役立てておるというふうに思っております。
 システムの開発に当たりましては、コストの削減の効果はもちろんでありますが、事務の正確性、迅速性、また高度処理という側面も大きな要素でありますので、この両面を追求しながら開発運用を行うということで行っております。今後のシステムの開発や更新に当たりまして、そういうふうな視点に基づきまして、厳しい財政状況も踏まえ、より一層費用対効果の事前検証に努めまして、また導入後においても、当初の計画と実績の検証を継続的に行っていきたいというふうに考えております。また、大規模な現在稼働しておりますシステムにつきましても、より高い効果が得られますように、常にシステムのチェックを図るように努めてまいりたいというふうに思っております。
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 直面する厳しい財政状況の中であり、電子県庁推進計画も16年末とされた計画期間を2年延長して取り組まれています。効率化と電子県庁の推進についてのご所見をお尋ねすると共に、背に腹は変えられないということはよく理解しますが、電子県庁の推進による効率化への取り組み効果と、期間延長によるマイナス面をどのように評価されて2年延長とされたのかお尋ね致します。
 電子県庁の推進による効率化の取り組み効果につきましては、先ほど知事の方からお答えしましたので、それ以外の質問について私の方からお答えいたします。
 平成14年の3月に策定いたしました電子県庁推進計画は、平成16年度までの3カ年計画ということで行っておりまして、電子県庁の理念が変わってないということ、それから現下の厳しい財政状況の中で、新しいシステムの開発につきましては、より効率的なシステムを構築するという必要がありますので、現計画を2カ年間延長するということで対応いたすことにいたしたところであります。したがいまして、この延長計画に盛り込みました実施すべき方策については、この2カ年間でも積極的に対応してまいりたいというふうに思っております。
 担当の皆様には強い自負があると思いますが、米国と比べて格差ありと指摘されるITを活用したスピーディーで質の高い行政サービスの提供、ITを活用した業務改革の推進について、どのように評価されているのかお尋ね致します。
 申請・届け出などの行政手続、公共施設の予約をインターネットを通じて行うことのできるしまね電子申請サービスを去年の10月から市町村と共同で運用開始いたしておりまして、現在、申請可能な手続は、県の手続で76、市町村の手続が13という状況にあります。現計画では、県手続については309、市町村手続は133の手続を計画いたしております。さらに利用できる手続を計画的にふやしながら、県民の皆さんの利便性の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。また、本年8月から全国的に進めております法人2税を対象にした県税の電子申告の受付を開始しておりまして、今後は、この対象税目の拡大も図ってまいるという予定になっております。
 今後につきましても、こうした電子県庁推進計画により取り組むことにしております情報システムの構築を着実に実施いたしまして、最大限にこれらを活用いたしました業務の改革、県民サービスの向上のために利活用の推進を図っていきたいと考えております。
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 一般的に指摘されている現在の電子政府、電子自治体の問題点について、順次お尋ね致します。
 2000年問題でシステムの点検整備を強力に進められたと聞いていますが、システムのレガシー化についてのわが県の現状をお尋ねします。また、市町村の電子自治体化に対する支援も計画の一つの柱となっていますが、市町村システムのレガシー化に対する現状認識と今後の支援についてお尋ね致します。
 本県においては、大型のコンピューターを利用したシステムといたしましては、平成2年度から財務会計のオンラインシステム、平成7年度からは税務総合オンラインシステムなどを運用してまいっております。近年サーバーと呼ばれます中型のコンピューターの性能が向上いたしますし、また価格が低下いたしてまいりました。そうした技術革新を背景に平成12年度までに18のシステムを大型のコンピューターからこうしたサーバーへの切りかえを行うということを行ってまいりました。また統計情報システムのデータベースとか90のシステムを最初からサーバーを利用するということでシステム構築を行ってまいっております。
 大型のコンピューターで行っております財務会計のオンラインシステム、それから税務の総合オンラインシステムにつきましては、本県の基幹的なシステムであります。高い信頼性と超高速の処理能力が求められておるということで、その更新には膨大な費用を必要とすることから、継続的に、ただいま大型のコンピューターでの運用を続けておるという状況にあります。これらのシステムについては、一般的に言われておりますレガシー化に伴う運用・改修の困難性や高い運用経費といった問題は今のところ発生してないと考えておりますが、今後さらなる技術革新も見据え、費用対効果を検証しながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
 市町村のシステムのレガシー化につきましての御質問がございましたが、これまで市町村から具体的な相談を受けたということがないために、詳細については掌握しておりませんが、市町村の合併に伴いまして、電算の統合を行うというのが合併の市町村行ってまいりました。こうした合併に伴います電算の統合によりシステムを一新するということがありましたので、それに伴いまして、レガシー化が解消されたという例もあると考えております。
 今後、市町村の方からそういうレガシー化の問題も含め、システムに関する課題が発生した場合には、適切な情報の提供とか技術の支援を行ってまいりたいというふうに思っております。
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 ITバブルによってハコ物をいろいろ入れ、ある程度使ったが、仕事のやり方を変えなかったために効率を上げることにつながっていない、仕事のやり方を変えたところ、そうでなかったところ5〜10倍の差となって現れていると言われています。
 先日の新聞には、県庁の電子決裁率は0.7%という報道がされていました。県庁前の交差点では、相変わらず女性職員が書類を載せたカートを曳く姿があります。ペーパーレス化も電子県庁推進目標の一つでありますし、ISO14001を導入し、環境保全への取り組みも強化されている中です。一方、恥ずかしい話、私の机の上、そして周辺には書類がすぐ溜まってしまいます。また同じ書類を何回も頂くことになります。
 シスコシステムズにおけるITによる効率化は、製造現場から始まり、受発注、人事、経理、庶務等の業務処理現場に導入され、今、第3世代に入り、研究・開発や営業の効率化のためにITネットワークが使われるようになって来たとのこと。
 例えば、営業では、報告、連絡、相談などのコミュニケーションに60%の時間を費やしている。手段としては、電話が半分、メールやFAX、社内会議などであるが、ここを如何に効率化していくかに取り組んでいる。4回電話して相手につながるのが1.4回、2.6回はつながらない。そこでメモをお願いする。先方からかかってきたが、今度はこちらがいない。またかけるというようなことをやっている。コミュニケーションが出来ないと仕事が前に進まない。効率が上がらない。そこで、ITテレコミュニケーションなどの導入によって、どこにいても、どういう方法でもコミュニケーションを成立させる方法の構築や、どこからでもコンピューターに接続できる、データにアクセスできる環境整備に取り組んでいるとのこと。
 IT、ネットワークの推進と業務効率化についての現状認識、今後の取り組みの考え方についてお尋ね致します。
 まず、ITによる業務の効率化についてであります。
 本県では、平成14年3月に電子県庁推進計画を策定し、IT社会に対応した電子県庁の構築に取り組んできました。特にITを活用した業務改革を推進する観点から、庁内の通信網である行政情報LANの整備を行い、1人1台パソコンを実現しています。このパソコンを使った電子メール、電子掲示板の利用による職員間、県・市町村間の情報の受発信やデータベース化が事務の迅速化、効率化に大いに貢献するとともに、ペーパーレス化も相当程度進んでいるところです。また、県のホームページを通じて予算編成過程や災害情報などさまざまな行政情報を提供したり、私あての提案をいただき、それに対して回答をお返しするなど県民の皆さんとの情報共有にも大いに役立っています。平成16年度には、電子的な地理情報の利活用を行う統合型地理情報システムを導入したところであり、業務担当部署間でのデータの共用と利活用を一層進めていきます。
 昨年10月から申請・届け出などの行政の手続をインターネットを通じて行うことができるしまね電子申請サービスを市町村と共同で運用開始したほか、本年8月からは、法人2税を対象とした県税の電子申告の受付を開始しています。これらのサービスの充実や利活用の促進に努めるとともに、厳しい財政状況の中ではありますが、業務の効率化に資するシステムについては、今後も開発を検討していきます。
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 IT、ネットワークはスピードが勝負であり、戦略の有効性は2年半程度と言われています。厳しい財政状況の中、古いシステムのメンテナンスにほとんどの予算を注ぎ込むようになり、新しいことが何もできない状況が全国的に指摘され、そういうサイクルを何処かで断ち切らなければ、先に行けば行くほどできなくなると言われています。また、縦割りでソフトが開発され、データベースが統一されていないための不効率性も指摘されるところです。
 ITコスト削減のためには、統一したアーキティクチャーに基づいたネットワークインフラの上にサービスやアプリケーションを構築することが有効であり、新しいサービスを展開するためにはデータセンターが必要といわれています。また、より早く、より賢く、投資した金を無駄にしない、永続性があるシステムを構築するためにアーキティクチャーがとても大切で、それは、技術のみではなく、ビジュアルのレベルも満足させる、実現させる、両方兼ね備えたものが今後必要と言われます。わが県の現状認識と今後の考え方をお尋ね致します。
 次に、アーキテクチャー、IT分野ではシステムの設計思想のことを言うようでありますが、それに関する現状認識と今後の考え方についてであります。
 本県におきましては、ネットワーク基盤として、他県に見られる自前の光ファイバーを敷設するという方法ではなく、民間通信事業者の通信サービスを利用することで民間の設備投資を誘導するという手法により、投資額を抑制しつつ効率的に全県域WANを構築し運用しています。このネットワーク基盤を活用して、先ほど申し上げた電子メールでの県・市町村間の情報伝達などによる業務の効率化を推進するとともに、無線網で運用していた財務会計オンラインシステム等をこの基盤に移行して大幅なコストの縮減を図っています。
 また、県産品の情報発信を行うおいしさ満載ネットや冬季道路情報等の提供を行う道路管理情報提供システムなど各種の情報システムの利用も行っています。現在、大小合わせて142のシステムを運用していますが、電子申請や電子納税などITを活用したスピーディで質の高い行政サービスに関する新しいニーズに対応していくため、今後は新たなアーキテクチャーすなわち新たな設計思想のもとで、個別のシステムの効率化だけではなく各システムで共通して利用するシステム連携の基盤などについて全庁的な視点での見直しを積極的に進めてまいります。
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 また、戦略の有効性が2年半程度と言われる中、絶えず技術革新に対応したシステムに最適化し効率化を進めるためには、ピンポイントの資格を持った上でプロジェクトマネッジメントが出来る人材が求められているけれども、いわゆるIT目利きは絶対的な人材不足と言われています。IT人材の現状と育成についてお尋ね致します。
 本県では、高度に専門的な知識を有します業務については、外部に委託するという方式をとっておりまして、ITの専門職員を任用しておりませんが、システムの企画、調達における技術的な支援を行う情報政策課に専門的な知識を有する有能な人材を嘱託員として勤務いただいております。また、市町村などに対する技術的な支援を行うために、県下各3カ所の情報化センターにITヘルプデスクと称します嘱託の職員3名を配置しておりまして、IT政策への助言やシステム導入への最先端の情報の提供などに大きく貢献していただいてるという状況がございます。これらの方々は、それぞれ情報関連会社のOBの方でありまして、そうした専門的知識を有してる方を県の嘱託員として勤務いただいているという状況にございます。
 職員について申し上げますと、ITに関する実務的な研修などを実施し育成に努めているところでございますが、先日行いました職員からの提案の発表の中でも、ITを活用した事務改善について職員提案が数多く寄せられるというふうなことから考えましても、若手職員の中には、ITに関心を持ち自己研さんを積むことで相当なIT達者もふえてきておるというふうに思っておりまして、今後はそうした職員の登用、配置などを通じまして組織全体のレベルアップを図るとともに、より高度な企画・開発能力を有する人材の育成に努めてまいりたいというふうに思っております。
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 次に、行政の効率化についてであります。
 最初に述べたように、ビジネスの効率性も下位に位置するわが国ですが、民間の生産性の向上、効率化をサポートし、支えるのも政府、自治体の大きな役割であると思います。
 先日ある経営者と話をする中で、地方自治体の財政が厳しくなり、選択と集中が進み事業量が大きく減ったが、一方で、許認可や申請の書類の要求がとても増え、時間もかかるようになった。それは担当者がリスク回避しようとする無責任なお役人体質が強くなり、行政が自己目的化し肥大化しているということではないか。
 また、ある大手企業は設備投資をして10億円の補助金を貰った。業績のすこぶるいい優良企業で、しかもこれで三回目だ。そんな補助金を出すなら地場企業に3000万円づつ渡せば、30社以上に行き渡ってもっと効率がいいんじゃないだろうか。われわれは、800万円の補助金を貰うために事務員を一人、1年近く置かねばならない、10億円ももらえるんなら少々の労は厭わないが、たった数百万円の補助金を受け取るために過大な労力をかけなきゃならん。そんな補助金なんか願い下げだ。という手厳しいものでした。
 これと似たような話しは沢山あります。国の補助金にしてそうでしょうし、国のあるセクションが既得権益を放さないために地方自治体で担当者を配置する必要がある。
 ある県に行った際、担当者からNPOの認可を得るのには、書類はなるべく多いほうがいいとアドバイスしていると聞きました。なぜなら、役所の人間は書類が厚いと信用し安心するとのこと。
 認可を受けるのに小出し小出しで追加書類の提出が求められ、訂正が求められる。瑕疵をなくするためということでしょうが、一方から見れば、役人の責任回避に映ることになります。
 決まりに基づいて瑕疵なく執行することもお役人の大きな役割でしょうが、住民、県民の目線で、より効率的で質の高い行政サービスを作る、顧客満足度を、住民サービスを上げることこそ、わが国の国際競争力を高めることになると思います。
 行政の効率化についてご所見をお尋ねすると共に、行政効率化に対する取り組みの現状をお尋ね致します。
 行政の効率化については、最小の経費で最大の効果を上げるよう不断の努力を行っていく必要があるのはもとよりでありますが、その効果が県民の利便性向上や行政手続等による県民負担の軽減など、県民サービスの向上につながるものでなければならないと認識しています。現在、こうした視点に立ち、新行政システム推進計画や中期財政改革基本方針に基づいて、組織のスリム化や定員の削減、業務の民間委託、事務事業の見直しなどに取り組んでいるところです。この取り組みに当たっては、県民ニーズを的確に把握するためのホームページを通じたパブリックコメントや、県民にとって満足度の高い行政を実現するための行政評価制度など新たな手法も導入しているところです。また、こうした手法を活用することによって、職員の意識改革も確実に進んできているものと考えております。
 今後、さらに職員一人一人が行政サービスの受け手である県民の皆様の視点に立って、みずからの仕事のあり方を絶えず見詰め直し、県民福祉の一層の増進につなげていく取り組みを積極的に進めてまいります。
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 次に、アスベスト対策についてであります。
 本年6月、大手機会メーカーの発表以来、アスベストによる健康被害が次々と明らかとなり、国民の間に不安が広がっています。県も「島根県アスベスト対策本部」を設置するなど、その対策に本腰を入れていただいています。
 また、国においても、衆院選後に交わされた与党合意の中で、今臨時国会でアスベスト対策について一定の方向を出すこととされ、来春を目途に法整備もされるとのことであります。
 さまざまな分野で使用されてきたと言われるアスベストですが、特に建築物への使用等による健康被害が懸念されるところであります。
 文部科学省では、80年代に教育委員会に処理を促した学校施設での吹き付けアスベストの使用実態調査を行うなど、公共建物(県市町村)の使用実態調査が行われていると聞いていますが、その結果と対策についてお尋ね致します。
 この県有の建築物に関しましては、平成8年度までに建築をされました合計725の施設につきまして現在調査中でございます。対象は、知事部局分が355、教育施設、教育委員会関係、学校施設などが67、企業局20、警察本部283、合計で725という施設でございますけれども、今行っております調査は、設計図書ですとか、あるいは現場を目視をするということなどによりまして、アスベストの含有が疑われる吹きつけ材が使用されているかどうか、こういった点について、まず調査をしているということでございます。まだ全体まとまっておりませんが、現段階までで使用が疑われる、可能性があると見込まれる施設は、知事部局で28、教育委員会関係で46、企業局で一つ、警察本部で14、合わせまして89の施設がございまして、これらにつきましては、引き続きアスベストが現に含有されているかどうかということにつきまして、標本を取りましての分析調査を専門機関に依頼をしてるという状況でございます。
 今後は、この専門的な分析調査によりまして、1%以上アスベストを含有しているということが判明した施設につきましては、一つには、損傷、劣化がどの程度進んでいるかという状況、もう一つには使用の形態、これは県民の皆さん含めて頻繁に利用されている施設か、余りほとんど人が立ち入っていない施設であるとか、こういった点を基準といたしまして、緊急度を判断をし、仕分けをしてまいりまして、計画的に除去などの処理を実施するという方針を確認をいたしているところでございます。
 なお、この分析の結果が出るまでの間、あるいは除去の処理を実施するまでの間につきましても、必要に応じまして、こういった問題のある部屋、あるいはその区域につきましては、立ち入りの制限をするといったような使用制限などの適切な対応を行うという方針を決定をいたしておるところでございます。以上であります。


 市町村の学校施設や集会施設、庁舎などの公共施設については、現在、各団体において調査中でありまして、国への報告を求められております10月末を目途に取りまとめる予定にしております。各市町村では、既にアスベストの使用が確認された施設がございまして、そうした施設では、使用の中止や飛散防止の措置がとられるとともに、改修工事等の対策が順次講じられつつあります。
 市町村においては、今後とも適切なアスベスト対策が進められるものと考えておりますが、県といたしましても、関係部局において引き続き情報提供や助言に努めてまいりたいというふうに考えております。以上であります。
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 民間建築物についてでありますが、愛媛県西条市では、一般住宅でアスベストを使用しているケースは少ないが、市民の不安を解消するためとして9月議会で民間住宅のアスベスト調査助成制度を創設したとのこと。また、お隣の鳥取県などでは、アスベスト対策について条例案を上程し、努力規定を設けるなど積極的な姿勢をアピールしています。その発信力はさすがと思った次第です。
 先日、自分の住むマンションの1階駐車場の天井にアスベストらしきものが使われ、劣化していることに不安を覚えた方が管理会社に問い合わせたところ、心配だったら出て行ってくれといわれ、近くの市会議員に相談しました。
 この市会議員は、市に相談に行ったものの、市では対応しようがないとのことで、保健所を紹介された。その保健所に相談に行ったところ、民間のことでありそこでやっていただく以外ないとのことだったが、県でどうにかしていただくことは出来ないかと、その市会議員から問い合わせがありました。
 県の担当者にお聞きしたところ、非常に積極的、前向きな姿勢であり、条例制定にも劣らないと感じましたが、現場の意識と若干乖離があるのではと感じました。
 借りていた倉庫に吹き付けられていたアスベストが原因で死者が出たとの報道などもあり、当事者の不安は計り知れないものがあると思います。県民の深刻な不安を解消するため、関係者一丸となった積極的、前向きの現場対応をお願いすると共に、民間建築物のアスベスト対策について基本的な考え方をお尋ね致します。
 アスベスト問題に対する県民の不安が広がった7月下旬から、民間建築物を含めて吹きつけアスベスト等の使用実態について調査を行ってまいりました。
 先般開いた第2回対策本部会議において調査の中間報告を受けましたが、吹きつけアスベスト等が使用されている、あるいは使用が疑われる施設が多数あることが判明しました。このため本部会議において、県有施設とともに県有施設以外の民間施設等についても基本的な対応方針を決定したところです。これにより吹きつけアスベスト等が飛散するおそれがあると判明した民間施設等に対しては、個々のケースに応じて施設管理者などに対し適切な措置をとるよう指導してまいります。また、それ以外の吹きつけアスベスト等が使用されている、あるいは使用が疑われている施設に対しても、適切な管理が行われるよう周知を図ることとしています。今後とも、県民が安全で安心した暮らしができるようきめ細かな対策を推進してまいります。
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 また、顧客満足度を上げる、いい行政サービスを提供すると言う視点で、アピール力の高い分かり安い広報が必要ではないかと思いますが、ご見解をお尋ね致します。
 県は、これまでにテレビスポット、新聞広報、県民だより、県のホームページなどにより広く広報活動を行ってきたところですが、今後ともアスベストに対する住民の不安を払拭するため広報等に取り組むこととしております。
 議員御指摘のとおり、この問題に関しましては、わかりやすいということが極めて大切であると認識しておりまして、情報提供について一層充実した内容にすることはもとより、アピール力のある広報活動に努めてまいりたいと考えています。
 また、県民との協同による島根づくり事業に応募されましたしまね住宅問題研究会、これは建築士を初め弁護士あるいは司法書士、消費生活アドバイザーなどの皆さんで組織されておりますが、このしまね住宅問題研究会と県土木部との協同事業によりまして、住宅フェアの会場においてアスベスト問題に関する消費者不安の解消のための資料展示や相談窓口の設置、あるいは幅広い分野での対応を行っていただくことにしております。広報のみならず、多様な方法により県民のアスベストに関する不安解消に努めていきたいと考えております。以上でございます。
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 行政の効率化について1点だけ再質問をさせていただきます。
 危機的な財政状況の中でございますので、本当一生懸命、この行政の効率化取り組んでいただいていると理解をしております。ですが、先ほど申し上げたような状況もあります。幾ら立派な制度を構築しても、運用するのはしょせん人でございますので、これを運用する職員が改革に対するモチベーションをどう高めていくかということが今非常に大切であろうと思っておりまして、そうした視点で、ぜひ知事には職員がモチベーションを高めていく、改革に対する意識をさらに高めていくためのリーダーシップを一層発揮していただきたいと、このことを心よりお願いを申し上げる次第でございます。知事の御決意をぜひ改めてお聞かせいただきたいと思います。
 ただいまの議員の再質問でございますが、まさにおっしゃるとおり、すべての業務の改善、あるいは改革に向けていろんな施策、いろんな制度を変えたり、あるいはさまざまな設備をつくったり、先ほど御指摘のございましたようなIT関係にいたしましても、すべては、おっしゃるように、それを扱いまたそれを推進するのは人でございます。そうした職員の改革に対するモチベーション、熱意、そういったものがやがて最後には一番効果を発揮するもとであるというぐあいに考えておりますので、そうした御提言をですね、十分に生かしながら、今後ともできるだけ若手職員の意識を高揚させ、またそうした意見を十分に取り上げながら、しかも改革への意欲が高まるように、ひとつぜひそうした姿勢でですね、取り組んでまいりたいと思っております。よろしくまたお願い申し上げたいと思います。
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