菅原道真公の父君、菅原是善卿が出雲の国庁に御在任の時、菅原氏の祖先、野見宿禰(のみのすくね)のお墓をたずねて菅原の里(当時は山田村という)においでになりました。その時ご案内をした乙女が卿のお気に入り、国庁に召されてお仕えすることになりました。
 是善卿は任期が終わり、京都にお帰りになることになりましたが、この女の方は懐妊しておられ、菅原の地に帰って玉の御子をお産みになりました。
 この御子が道真公であります。御誕生は承和十二年(西紀八四五年)六月二十五日、御幼名を鹿児丸君と申し上げました。鹿児丸君は幼い頃から才智すぐれ、草をとって筆とされ、石の凹みを利用して硯とされ、筆硯に親しまれたと申します。
 公の六歳の春、母君はこの草深き地におき奉るべきでないと意を決し、公を伴い都に上がり、是善卿の邸に入り、南向きのお庭の老梅のもとに公を立たせおき立ち去られました。やがて是善卿がこれを見いだされて、「そなたは誰か」とおたずねになると、母君に教えられた通り「私は父も母もありません。卿を父君と仰ぎとうございます。」と申され、奇しきご縁の御父子が御対面になったのであります。
 天歴五年(西紀九五一年)四月、菅原の地に御宮を建てて〔菅原天満大自在天神〕と仰ぎまつり、その後七百余年を経て、松江・松平藩祖・直政公が御信仰篤く、寛文三年(西紀一、六六三年)六月二十三日、東北地方の羅漢松(くさまき)と称する名木を以って、新しく社殿を御造営になりました。(現在の本殿がその当時のものであります。)御扉には五彩の雲に金泥の双龍が描かれており、これは狩野永雲の筆によるものであります。
 その後、松平家累代の藩主が御造営・御祭祀につとめられましたが、明治五年以後、この菅原地区の氏神様としてお祀りするようになり氏子の方々はもとより県内外の多くの崇敬者の尊崇を得て今日に至っています。


@拝殿正面
A本殿
B大鳥居・唐獅子
C来待石牛像
D灯籠・参道・石段
E御符井戸
F野見宿禰の墓
G鼻繰梅の御神木
   ・種・お守り
H御神札所
I菅原天神蕎麦工房


@ 拝殿正面                             

参道から石段を登り切るとすぐに、拝殿正面へと進みます。
拝殿の扉には松平藩主のお抱え絵師、狩野永雲(かのうえいうん)の筆による双龍が描かれています。境内の左右には、参拝に訪れた方々の絵馬がたくさん並べられています。

 A 本 殿                            

学問の神様菅原道真公の誕生の地と伝え、天歴5年(951年)に創建されました。松平直正(初代松江藩主)以来、代々藩主の信仰が厚く『雲陽大数録』では出雲国内の名社15のうちの一つに数えられています。

B 大鳥居・唐獅子                         

国道から入り、来待川に沿って進みますと、向かって左手側に大きな鳥居が見えます。大鳥居の足元には2Mの唐獅子が、内側を向きあい菅原公をお護りしています。

C 来待石牛像                           

牛は菅原公と大変ゆかりがあります。
菅原道真公は、承和12年(845年)乙丑の年にお生まれになりました。また亡くなられた後も、亡骸を運んでいた牛が北東(丑寅)へ向かって進み、座り込んで動かなくなりました。道真公のお墓はそこへ作られたので、天満宮には座った牛の像が多くあると言われています。

D 灯籠・参道・石段                        

大鳥居を抜けると、山と田んぼに囲まれたのどかな参道が続きます。正面左に手水舎がありますので、両手を清め口をすすいで石段へお向かいください。

E 御符井戸                            

御祭神菅原道真公御鎮座以来一時も涸れることなく湧き出る御神水としてお祀りしています。
(牛像側、石段右横にて汲み、お持ち帰り頂けます。方除けなどお水取の方はペットボトルご持参でどうぞ。)

F 野見宿禰の墓                          

野見宿禰は出雲国の勇士で、「相撲の神様」とも言われている人です。第11代垂仁天皇の命により当麻蹴速と角力で戦い、見事に勝ちました。菅原道真公の祖先であります。

G 鼻繰梅の御神木・種・お守り                   

宮司菅野宅(社務所)の前庭にある。この梅の実の核は尖頭部に貫通する小孔があります。菅公御幼少の頃、梅の核に孔をあけ、糸を通してお遊びになったものが地に落ち芽を出し、成木し、今日に及んだと伝えています。(神梅核は、『鼻繰神梅御守』として授与しています。)

H 御神札所                            

御祈願でご参拝の方はこちらで受け付けております。
各お守りもこちらでお求め頂けます。
御神札所横には、休憩所もございます。

I 菅原天神蕎麦工房                        

菅原天満宮より徒歩3分においしい蕎麦工房があります。この蕎麦工房のそばは、地元で生産した玄そばを使用、昔ながらの石臼挽きで良質のそば粉を馬鞍山を源泉とする湧水で打ちあげます。特にこだわりの10割蕎麦は、出雲そば特有の風味と食感をお楽しみいただけます。

  ・住  所 島根県松江市宍道町上来待菅原
  ・T E L 0852−66−0841
  ・営業時間 10:00 〜 18:00
  ・営 業 日 毎週土・日曜日、毎月25日