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2006年11月議会一般質問

[2006/12/1]
1.財政運営と地域振興について
  今後の財政運営と行財政改革について
  県民の将来に対する思いの現状認識について
  産業構造転換と、地域振興の評価と今後の取り組みについて
  知事の思いと地域振興ファンドに対する所見
2.地球温暖化防止とアドプト・プログラムによる協働の推進について
  二酸化炭素の削減の状況と現状認識について
  温暖化防止の観点から公共交通対策について
  幅広く県民が取り組める対策について
  「学校版エコライフチャレンジしまね」の取り組みについて
  県民参加の森林づくりとアドプト・プログラムによる協働について
  アドプト・プログラムを取り入れた施策の展開について
3.放課後子供プランについてであります。
  それぞれの状況、役割と効果について
  拡充に対する考え方と県内の動向について
  取り組み内容と開催場所に対する考え方について
4.食育について
  県の食育推進計画と市町村での取り組み状況について
  栄養教諭制度について
  「早寝・早起き・朝ごはん」運動の推進について
5.未来への展望、県民と子ども達への希望のメッセージ
 質疑内容は下記の通りです。それぞれ文字色で私の質問知事答弁関係部長・教育長答弁がわかるようになっています。
質問の第一は、財政運営と地域振興についてであります。
 知事は、5期20年の知事生活にピリオドを打つとの所信を表明されました。20年の長きにわたって、県勢発展にご尽力いただきましたことに、心より感謝申し上げます。
 振り返ってみますと、知事の政治スタンスは常に県民の意見によく耳を傾け、内にあっては職員の力を引き出し、その意見を積極的に登用するなど、県民とともに歩む素晴らしい知事であったと思います。
 また、日本の絶頂期とも重なり、わが県の社会資本は格段に整備され、次の時代に飛躍するための確かな基盤が築かれました。
 一方、特に5期目においては、国・地方とも多額の長期債務を抱えることになったため、身を切るのみならず骨をも絶つような厳しい財政健全化への指揮を取られることになりました。
 さて、その財政健全化への道でありますが、9月議会中、骨太方針2006を踏まえて収支不足額を更に50億円下方修正し、今から4年後の平成22年度には基金枯渇による赤字転落という中期財政見通しを発表されました。
 10年後とも15年後とも言われる道州制への移行までの間、どのような財政運営が想定され、今後どのような行財政改革が必要とお考えかお尋ね致します。
本年七月に策定された「骨太の方針2006」による歳出改革の取り組み等を踏まえると、本県財政は、現行の予算水準のままでは、執行段階での収支改善を勘案しても、二百億円程度の収支不足が続き、平成二十二年度には基金が枯渇するという極めて厳しい状況が見込まれます。
これまで本県は、中期財政改革基本方針等に基づき、かつてない厳しい改革を実施してきましたが、こうした現下の財政状況に対応し、持続可能な財政運営ができるようにするためには、もう一段踏み込んだ改革努力が必要となります。
このため、相当困難な作業にはなりますが、改めて、人件費総額の抑制など行政の効率化・スリム化に努めるとともに、あらゆる事務事業について、ぎりぎりのところまで見直しを行い、必要に応じて借換債の発行などの緊急避難措置も活用しながら、歳入規模に見合う水準まで歳出規模の抑制を図り、収支均衡体質への転換を目指していく必要があると考えております。
 また、雑巾がからからで、どんな力で絞っても一滴の水も出ないと揶揄される中で、県民の将来に対する思いについての現状認識をお尋ね致します。
本県が行っている世論調査等によりますと、子供や若者の減少による地域活力の低下をはじめ、老後や医療、子育てへの県民の皆さんの不安や関心が高いことが挙がっています。
また、力を入れるべき施策として、医療の確保や雇用就業対策、子育てや次世代を担う人づくりへの要望が強い状況にあります。
こうした背景には、国や地方を通じた財政状況の悪化、人ロ減少並びに少子高齢化の進展と、社会保障制度に対する懸念や不信感、また、依然低迷を続ける本県経済の現状などがあるものと考えております。
 このような中で、産業構造の転換という未曾有の挑戦に取り組まれてきました。
 格差社会と言われる中、中国地方でも山陽筋は堅調な景気回復傾向にあるといわれますが、我々の身近では、会う人会う人厳しい実感を持つ人ばかりで、景気回復というものを殆んど感じることがありません。しかし、県内でも製造業は好調だし、県外に羽ばたく動きが出ていると聞きます。
産業構造転換と、地域振興に取り組んできた現在の評価と島根県の今後の取り組みについてお尋ね致します。
地域が自立し持続的に発展していくためには、公的部門への依存度の高い本県産業構造を民需主体の産業構造に転換することが急務であると考えております。
このため、本県においては、平成十六年度から、重点プロジェクトとして産業振興に取り組むこととし、「新産業の創出」、「産業競争力の強化」、「地域資源を活用した産業振興」などを積極的に推進し、県内産業の育成、強化に努めております。
 その結果、新素材、新商品の開発を目指した新産業創出プロジェクトでは、昨年八月以来、「ソフトビジネスパーク島根」内に、プラズマ複合コーティング技術の事業化としての日立金属表面改質センターの設立や、プラズマ浸炭技術の受け皿会社として期待される合同会社の設立が行われたほか、健康食品の分野においては、地域産品を活かした健康食品を全国展開するなど、徐々に新しい芽が出始めています。
また、本県産業の中核となり得る企業の育成、強化を目指した産業競争力強化プロジェクトでは、支援の成果が事業拡大につながり、新工場の建設にいたった例があるなど、各プロジェクトごとに進捗度合は異なりますが、事業化に向けた成果が出始めています。
さらに、公共事業に大きく依存している本県建設業の経営基盤強化や合理化、新分野への進出の支援などにも取り組んでおり、これまでに百二十社を超える建設関係企業が、農林水産業、環境・リサイクル、健康福祉といった新しい分野に実際に進出したり、調査研究に取り組んでいます。
これらの一連の施策は、産業構造の転換、地域経済活性化に一定の成果を上げつつあるものと認識しています。
民需主体の産業構造への転換を図るために、今後も引き続き、県、市町村、産業界等が一体となって、地域の特色を活かした産業の振興に取り組んでいく必要があると考えています。
先日、地方分権セミナーに参加させて頂きましたが、神野直彦氏の講演は聞き応えがありました。
特に、冒頭紹介されたスウェーデンの画家スティッグ・クレッソンの言葉はとても印象的でした。多くの皆さんがお聞きと思いますが、敢えて紹介させていただきます。

第二次大戦後、スウェーデンは豊かな国となり、人々が「繁栄」と呼ぶ状況を生みだした。私たちは、あまりに簡単に幸福になりすぎた。
人々は、それは公正であるか否かを議論した。
私たちは戦争を回避し、工場を建設し、そこへ農民の子どもが働きに行った。
農業社会は解体され、私たちの国は新しい国になったが、人々が本当にわが家にいるといった感覚をもてたかどうかは確かではない。
1950年から 60年に至る10年間に、毎日 300戸の小農家が閉業するというスピードで、農業国スウェーデンが終焉した。
人々は大きな単位、大きなコミューン(市町村)を信じ、都市には遠い将来にわたって労働が存在すると信じた。
私たちは当然のことながら物質的には豊かになったが、簡単な言葉でいえば、平安というべきものを使い果たした。
私たちは新しい国で、お互いに他人同士になった。
小農民が消滅するとともに、小職人や小商店が、そして、病気のおばあさんが横になっていたあの小さな部屋、あの小さな学校、あの子豚たち、あの小さなダンスホールなども姿を消した。
そういう小さな世界はもう残っていない。小さいものは何であれ、儲けが少ないというのが理由だった。
なぜなら、幸福への呪文は<儲かる社会>だったからだ。

 私たちの歩んできた道そのものですが、失われてしまった社会に最も近い社会こそ島根であり、目指す分権型社会こそ失われてしまった社会だと思います。
 しかし、ある町長のプレゼンテーションの中で、直面する最も大きな二つの課題に対する解決策をお聞きし、失望感を覚えました。今までの中央集権政治に対する地方のおねだり型手法そのものではありませんか。自分達の力で、住民の力で、直面する大きな課題にぶつかって行こうとする気概を感じることができませんでした。
 可能性としての最先端、現実としてのビリッケツが混在しているのが島根の姿のような気が致します。
 国は今、地域活性化、地域再生に向けてさまざまな取り組みを開始しようとしていますが、ここでのキーワードは自主的、主体的であります。
 島根県の基本的スタンスも同じだと思いますが、更にもう一歩進めたらどうかと思うのであります。
 わが県には、女性ファンドと、文化ファンドという誇るべき二つのファンドがあります。このファンドでは、県民の熱と力と可能性が遺憾なく発揮され、素晴らしい文化が育っていると聞いています。
 また、ふるさと定住財団や環境財団でも、県民の智恵が次々と開花し、たくさんの素晴らしい事例が生まれているとのことであります。
 これらの成功の鍵は、県民自らが自主的、主体的に、自らの智恵と力で取り組み、行政は支え手に徹しているということではないかと思います。
 今年度末の県の基金残高は620億円、数年で人件費や県債償還に消えて行くことになります。じゃあ、ここは一つ開き直って、620億円のうちいくらかでも、県民自らが自主的、主体的に地域振興のために取り組む事業に、各圏域ごとにファンドを作り、地域振興を競い合わせるようなことができないかという提案をした方があります。
 私は、これは素晴らしい提案であり、人口減少自治体活性化に関する研究会報告書にある人材誘致・移住促進のビジネスモデル構築の強力な武器ともなりうるのではないかと考えますが、地域振興ファンドのような考え方に対する所見をお尋ね致します。
 この20年間、天国と地獄を経験され、道半ばでの勇退を決断された知事でありますが、現在の思いをお聞かせ下さい。
 私は、昭和六十二年の知事就任以来、「ふるさと島根」 の発展に向け全身全霊を傾けてきました。
 この間、特に、就任当初の県民の皆様の切実な願いであった社会生活基盤の整備は、将来の県政発展を図る上でも不可欠と考え、国の経済対策等にも呼応しつつ、道路や空港、下水道の整備などに全力で取り組んできました。
 これらの社会生活基盤は、必ずや本県発展の布石となるものと信じております。
 一方、近年の地方交付税の大幅な削減により、県財政は大変厳しい状況を迎えており、財政再建に向け全力で取り組んでいるところであります。
 こうしたなかで、本県が自立的、持続的に発展していくためには、今こそ県民の皆様が、自らの知恵と力を結集することが重要であり、各地域における自主的、主体的な取り組みが、新しい島根をつくりあげていくものと確信しております。
 議員から御提案をいただきました地域振興ファンドにつきましては、現下の厳しい財政状況等から、その創設は困難と考えますが、県としましても、御提案の趣旨等を十分踏まえつつ、今後とも県民の皆様の地域振興に対する積極的な取り組みに対し、できる限りの支援を行っていきたいと考えております。
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質問の第2は、地球温暖化防止とアドプト・プログラムによる協働の推進についてであります。
 地球温暖化を防ぐための国際協定、「京都議定書」が昨年2月に発効し、「京都議定書目標達成計画」も策定され、温暖化防止に向けて本格的な取り組みが始まりました。
小泉前総理の肝煎で始まった「クールビズ」も昨年の流行語大賞を受賞し、かなり定着してきた昨今ですが、わが国は、2010年を目途に、温室効果ガスの排出を1990年比で6%減らす責任を負っているにもかかわらず、実際の排出量は、2002年度には逆に7.6%も増え、目標達成には事実上13.6%の削減が必要となり、目標達成は極めて困難と言われています。
わが県では、温室効果ガス排出量は、国の伸びをはるかに越える水準で増加し、目標年である2010年に目標を達成するためには、現状から15%程度削減する必要があるとされ、国の温暖化対策に大きく貢献する計画の森林による二酸化炭素吸収目標も、厳しい財政状況の中であり、目標達成は極めて困難のようであります。
本県の地球温暖化対策推進計画に基づく、二酸化炭素の削減の状況と現状認識についてお尋ね致します。
平成十七年三月に策定した「島根県地球温暖化対策推進計画」における2010年の目標は、1990年を基準年として、二酸化炭素の排出量を二%削減すること、並びに、森林による吸収量について十七%相当量を確保することであります。
一方、2003年度(平成十五年度)の実績につきましては、基準年と比較して、排出量は11.4%増加しており、また、森林吸収量は10.4%確保している状況であり、トータルとしては、1%の増加となっております。
こうした状況から、県においても、2010年の目標を達成することは、非常に厳しいものがあります。
従いまして、今後は、一人でも多くの人に二酸化炭素の排出削減に取り組んでいただけるよう、普及啓発を充実するとともに、島根県地球温暖化対策協議会を中心に、多くの活動主体と一緒になって、より一層取り組みを強化する必要があると考えております。
 次に、今後の目標達成に向けた取り組みについて何点かお尋ね致します。
 先頃、一畑バスが松江市内10路線の廃止を申請したとのショッキングな報道が流れました。この路線廃止によって50台のバスが削減されることとなり、延べ80万人とも90万人とも言われる人たちに影響が及ぶことになります。
 今後は、松江市の対応に委ねられるようですが、一畑バスによる運行継続の意向は小さいようです。
 わが県の計画にはありませんが、国の省CO2対策の柱の一つには、公共交通機関の整備・利便性向上、通勤交通マネジメント等による公共交通機関の利用促進が上げられています。
 路線バスを巡る環境は厳しくなる一方であり、今後更にこのような動きが出てくることが予想されます。人口減少の加速が予測される中とはいえ、公共交通機関の充実と移動手段の公共交通へのシフトは、我が県にとっても大きな課題と考えます。
温暖化防止の観点から公共交通対策についてご所見をお尋ねいたします。
本県の2003年度における自動車や鉄道など運輸部門から排出される二酸化炭素は、全体の約三割を占めており、そのうち約九割が自動車から排出され、その約半分が自家用自動車からであります。
従いまして、自家用自動車からの排出を削減することは、地球温暖化を防止するうえで大切なことでありますので、低公害車や低燃費車の導入など車の省エネルギー化を進めるだけでなく、公共交通機関の利用を促進することが極めて重要なことであります。
本県では6月をノーマイカーデー運動推進月間とし、各市町村及び企業や団体等と協力して公共交通機関の利用促進に向けた啓発活動等に取り組んでいるところであります。
今後とも、環境フェスティバルなどの様々な機会を捉えて、県民に対する啓発を強化するだけでなく、島根県地球温暖化対策協議会に加盟する団体等に協力を要請するなど、公共交通機関の利用促進について積極的に取り組んでまいります。
また、公共交通機関の利便性を高めていくことも大切であることから、県といたしましては、利用しやすいダイヤへの改正や、公共交通機関相互の乗り継ぎの改善などについて、働きかけているところです。
 二点目に、アイドリングストップ、エコドライブの普及促進等、幅広く県民が取り組める対策についてであります。
 テレビの影響を受け、私も信号でのエンジンストップに挑戦してみました。見事数回で挫折してしまいました。
我が県でも小型冊子を配布するなど、啓発に取り組まれていますが、私を含めて、その意識はまだまだという感がいたします。
全国では、エコドライブライセンス制度やエコドライブ推進者認定制度、駐車時等エンジン停止の推進に関する条例の制定や、一定要件を満たす駐車場の設置者に、利用者へのアイドリングストップ実施の周知を定めるなど、さまざまな取り組みが行われています。
アイドリングストップ、エコドライブの普及促進等、幅広く県民が取り組める運動を一層具体的に進めるべきと考えますが、ご所見をお尋ね致します。
議員御指摘のように、地球温暖化の問題は県民一人ひとりの取り組みが極めて重要であり、県といたしましては、様々な運動を展開してきたところであります。
具体的には、まずアイドリングストップの協力事業所を登録し公表する「アイドリングストップ推進事業所登録制度」を実施しており、現在三十三事業所に協力していただいております。
また、オフィスや事業活動における省エネなどについて宣言し公表する「しまねストップ温暖化宣言事業所」に三百四十七事業所が応募しているところであります。
一般家庭におきましては、電気やガスなどエネルギーの消費状況をチェックし診断する「エコライフチャレンジしまね」を実施し、現在二千七百六十六名が参加しております。
また、買い物にマイバッグを持参するマイバッグキャンペーンにつきましては、本年度約百万枚のレジ袋が節約され、原油換算いたしますと、ドラム缶約九十人本分相当の原油が削減されたことになります。
さらに、新たな取り組みとしては、自主的にエコドライブに取り組む「エコドライブ宣言者」の募集を本年度から始めたところであります。
今後は、現在実施している様々な運動をより取り組み易くし、参加者を増やすとともに、関係機関や団体等の協力を得ながらより幅広い県民運動として具体的に取り組んでまいります。
また、「学校版エコライフチャレンジしまね」の取り組みもスタートしたようです。子供のうちからの意識改革はとても大切だと思います。先生の負担は殆んどないと聞きますが、現在の取組状況と今後の考え方について教育長にお尋ね致します。 
子どものうちから環境に対する意識を高めていくことは大切なことであり、各学校では、様々な学習場面で環境に視点を置いた取り組みがなされております。
その中で、今年度から始めた取り組みである「学校版エコライフチャレンジしまね」 は、県教育委員会と環境政策課が連携して始めた事業であります。インターネットを活用して、各学校が月ごとの電気や水道など五項目に ついてのデータを入力すると、自動的にグラフなどに表したりできるもので、エネルギー消費量削減の動機付けに結びつけたいと考えております。この取り組みは、県内全ての小・中・高校が参加可能であり、現在、参加校は十八校にとどまっておりますが、今後増えていくよう、取り組んでまいりたいと考えております。
三点目に、健全な森林の整備、県民参加の森林づくりとアドプト・プログラムによる協働についてであります。
最初に触れたように、厳しい財政状況の中、県民との協働による森作りへの力強い歩みもあるようでありますが、本県における森林による二酸化炭素吸収の目標達成は極めて困難と思われます。
各県で地球温暖化防止対策への取り組みが進む中、大阪府では本年4月より、アドプト制度を活用して森林の再生を図る「アドプト・フォレスト(森との養子縁組)制度」を全国で初めて創設したとのこと。
本県でも企業による森林再生への取り組みが始まっているように、企業や団体等の社会貢献への意識は大きな高まりを見せています。本県の森作りにおける協働の現状をお尋ねするとともに、アドプト・プログラムといったきちっとした制度に乗せる取り組みの推進も必要と考えますがご所見をお尋ね致します。
森林は、水源涵養機能や県土の保全機能など公益的機能を有し、その恩恵は広く県民に行き渡ることから、緑豊かな森林を次世代に引き継いでいくため、いろいろな県民の方の参加により、森づくりを行っていくことが大切であると考えております。
最近では、松江市においてボランティア団体が荒廃した里山の再生活動を行ったり、大田市においてはNPO法人が森林を借り受けて荒廃した竹林を再生する取り組みなどが、また、県内各地で、緑の募金を活用した活動や水と緑の森づくり税を活用した「森づくりボランティア」 の取り組みもなされております。
また、浜田地区や西ノ島地区などでは、漁民の皆さんによる植林など「漁民の森づくり活動」 が行われるなど、多様な主体による森づくり活動が行われるようになってまいりました。
近年、市民グループや学校、企業等が道路や河川などについて緑化活動を継続的に行うアドプト・プログラムが実施されるようになって来ました。
この度、県では、企業が社会的責任活動の一環として取り組む森林保全活動を、市町村及び地域森林組合と連携して支援する「しまね企業参加の森づくり」制度を創設いたしましたが、この制度も、一つのアドプト・プログラムと考えております。
今後、N P O法人や団体など、より多様な県民が参加できるこのような仕組みを検討していきたいと考えております。
この項の最後に、アドプト・プログラムを取り入れた施策の展開についてであります。
先に述べたように、森作りにおいても実質的なアドプト・プログラムが動いています。また、海外も含めて先進事例の多い道路や河川、公園などでの県民との協働も確実に拡大していると理解しています。
今後、この制度を県政運営の柱の一つとして積極的に取り組むべきと考えますが、ご所見をお尋ね致します。
このアドプト・プログラムは、地域にある道路や河川などの公共施設を「養子」(すなわちアドプト)に例え、地域住民やNPO等が「里親」となって、清掃や植生の管理などを行い、行政がそれを支援する制度であります。
また、この制度は、地域に密着したNPO等と行政が協働することにより、自主的で柔軟な管理ができ、公共施設に対する県民の愛着心が生まれるとともに、まちづくりへの住民参加を広げることにもつながるものであります。
全国的にも、急速に普及が進み、各地域に根ざした活動として成果を挙げてきております。
身近な事例としましては、中海沿岸の個人や団体、企業等が実行委員会を設立し、参加者が一定区域を受け持ち、清掃や美化活動を行い、「泳げる中海」の実現に向けて浄化運動を展開しております。
また、浜田市と斐川町がこの制度を導入し、道路や公園などの除草や清掃美化活動を行っております。
アドブト・プログラムは、美しい生活環境や快適な空間をつくる新しい協働の手法の一つでありますので、協働を進める観点からも、その活用を積極的に促してまいりたいと考えております。
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質問の第3は、放課後子供プランについてであります。
文部科学省主管の「子どもの居場所づくり」と厚生労働省主管の「放課後児童クラブ」が連携する「放課後子どもプラン」が、来年度に創設される予定とのことです。
全児童を対象に、放課後の居場所確保のために創設される放課後子供プランは、各市町村教育委員会が主導し、福祉部局と連携を図りながら、原則としてすべての小学校区で総合的な放課後対策として実施することになっていると聞いています。
しかし、放課後子供プランの基礎となる、「子どもの居場所」と「放課後児童クラブ」が実施されていない地域がわが県においてもまだかなりあると思われます。
いじめ自殺報道によって、再び大きな社会問題となったいじめ問題ですが、原因の一つが子ども社会の崩壊と指摘されるとともに、子どもの安全確保が地域の最重要課題となっている昨今、わが県にあっても、子ども達の放課後対策の充実は喫緊の重要課題であると思います。
まず、放課後子供プラン策定の経緯と意義、「子供の居場所」、「放課後児童クラブ」の県内の状況について、また、それぞれの役割と効果についてお尋ね致します。
放課後子どもプランは、少子化対策を強力に進める観点から、各市町村で立案する事業計画に基づき、これまで実施してきた「子どもの居場所」と「放課後児童クラブ」 の両事業を推進し、総合的な放課後対策事業を展開するため計画されました。現在その制度や予算については、国により検討されております。
県内の状況ですが、希望する全ての子どもを対象とした、「子どもの居場所」については、平成十六年度から三か年の計画で実施しており、昨年度は県内98ヶ所、延べ二十三万五千人の子どもたちが利用し、今年度は、108ヶ所で開設しています。
例を申しますと、松江市内の公民館では、地域の大人とともに、中学生もボランティアとして活動に加わり、地域の異年齢の子どもたちが集団で、自由な遊びや野菜づくりなどの体験をしています。公民館区内の集会所に活動が拡がるなど、地域で子どもを育てる気運が高まっています。
また、浜田市の「まちの縁側」は自宅を開放して実施され、子どもから高齢者まで集う、地域に開かれた自由な場所となり、様々な取組みが展開されています。
また、共働き家庭などの概ね十歳未満の児童を対象要件とした「放課後児童クラブ」については、現在137ヶ所に開設され、登録児童は実数で約三千人、県内の小学一年生から三年生の約二割が登録をしております。
児童館や学校の余裕教室、公民館などで、放課後に適切な遊びや生活の場を提供して、子どもたちの健全育成を図っています。
次に、「子どもの居場所づくり」は3ヵ年事業として実施されていたものが、放課後子供プランに名を変えて同様の内容で実施されるようですが、委託事業から補助金への制度の変更が予定されているとのことで各市町村の対応が注目されています。
原則全ての小学校区での実施とされる中でありますが、前述のような事情もあります。「子供の居場所」、「放課後児童クラブ」拡充に対する県の基本的考え方と県内の動向をお尋ね致します。
今後、両事業がさらに各地域に定着し、拡充していく必要があると考えています。「子どもの居場所」については、国の概算要求によりますと、国の委託事業から自治体の負担が生じる補助事業へ制度が変わることから、地方財政措置が必要であり、関係省庁において検討されているところです。
来年度に向けた各市町村の意向を調査したところ、「子どもの居場所」については、今年度と概ね同様の開設希望があります。
また「放課後児童クラブ」については、148ヶ所の開設希望が寄せられております。
次に、「放課後児童クラブ」の取り組み内容やレベルがまちまちであることから、先日、「放課後児童クラブ」の皆さんによる研修会が開催されたとのことですが、今後の「子供の居場所」、「放課後児童クラブ」での取り組み内容について、考え方をお尋ねするとともに、原則として学校内の空き教室等での開催が方向付けられている中、開催場所に対する考え方をお尋ね致します。
取組内容と開催場所に対する考え方についてですが、それぞれの地域の実情に応じて、遊びを中心とした活動や、学習に関わる活動、生活の場の提供などの取り組みがなされております。
それぞれの取組内容にはレベルの差や幅がありますが、できるだけ様々な取組事例の紹介や、情報交換などにより、相互に学びあい、関係者の資質向上を図ることは必要であると考えております。
開催場所については、子どもの安全確保が図りやすく、また教職員との連携強化などの観点から、学校の余裕教室の活用が示されておりますが、実施主体である各市町村において、各地域での取組状況や実態に基づき、公民館や集会所等の活用も視野に入れて、適切に判断されるものと考えております。
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質問の第4は、食育についてであります。
昨年7月、食育基本法が施行されましたが、制定の背景には、国民の食生活の乱れと肥満などの健康問題の増加があります。
厚生労働省による2003年の国民健康・栄養調査によれば、朝食の欠食率は男女とも20歳代が最も多く、次いで30歳代。子どもについてもその増加傾向が指摘されていますが、朝食の欠食は、1回の食事の摂取量が多くなり、肥満など生活習慣病の発症を招く要因とされています。
同法では食育を「健全な食生活を実践できる人間を育てること」などと定義し、国民に望ましい食生活の実現に努めるよう求める一方で、国や地方自治体に食育に関する施策の推進を義務付けました。
生産者と食品業者には安全な食品の提供を要請。教育関係者には、学校給食を通じた食育の啓発を図るよう求めています。
政府は本年1月、法に基づき食育推進基本計画をまとめ、食育推進の重要性を訴えるとともに様々な事業を開始しています。
本県では、今年度末を目途に食育推進計画の策定中でありますが、計画の基本的考え方と進捗状況、本県の食育推進体制、食育推進における地産地消の位置づけについてお尋ね致します。また、食育推進の要は学校とともに市町村であると思いますが、市町村での計画策定等、食育推進に向けた取組状況をお尋ね致します。
まず、島根県食育推進計画についてでありますが、食育の推進を図る上では、県民一人ひとりの「生きる力」「食べる力」「感謝の心」 等を育むことが重要であると考えます。具体的な計画の策定にあたっては、島根の風土、豊かな自然、地域で活躍する高齢者等の、島根を支える力を生かした島根らしい計画にしていきたいと考えております。
現在、計画素案について検討を行っており、十二月中には計画(案)を作成し、来年一月には広く県民から意見聴取を行い、年度末を目途に計画を策定する予定としています。
次に、本県の食育推進体制ですが、本年九月、庁内推進体制として「島根県食育・食の安全推進会議」 を設置し、食育及び食の安全に関する施策を、全庁あげて総合的かつ計画的に推進することとしています。平成十九年度には、外部委員・団体からなる「島根県食育・食の安全推進協議会」を新たに設置し、これを食育推進母体として、県民あげて取り組んでいくこととしております。
また、地産地消の位置づけについては、地域の食文化等への理解の醸成、地元農林水産物の生産振興による地域の活性化、健康で豊かな食生活の実現等を図る上で、食育推進においても生産者、消費者、流通関係者が一体となって、地産地消を推進していくことが重要であると考えており、具体的な方策等を計画に盛り込むことにしています。
最後に市町村での、食育推進に向けた取組状況についてであります。現在、食育推進計画を策定している市町村は、出雲市のみでありますが、今年度中に策定予定が二町(川本町・邑南町)、十九年度に策定予定が一町(飯南町)、策定を検討している市町村が8市町村ございます。県としましては、県内全市町村が食育推進計画を策定し、食育の推進が図られるよう必要な支援を行っていくこととしております。
次に、栄養教諭制度についてお尋ね致します。
食育推進の要とも言える学校ですが、食育推進基本計画では、食育を国民運動として推進するため、2010年度までに達成すべき数値目標を示し、そのうち朝食の欠食率の低下では、現在、4%の小学生の欠食割合をゼロに近づけるほか、子どもたちに食材や農業への理解を深めてもらうため、学校給食での地場産物の利用率を高めることも目標に掲げています。
また、「肥満を防止するためには、子どもの時期から適切な食生活や運動習慣を身につける必要がある」とし、栄養と運動の両面から肥満予防に力を入れることになっています。
学校での食育指導は、昨年4月から新設された栄養教諭が中核となり、家庭や地域とも連携・協力しながら事業を推進することになっています。
栄養教諭の配置に関しては、全ての学校で給食が実施されていない状況や、地方分権の趣旨から、地方公共団体や設置者に任されていること、また公立小中学校の場合は県費負担教職員となることから、都道府県教育委員会の判断に任されていますが、わが県での栄養教諭任用はまだありません。
今後の栄養教諭任用についての考え方、栄養職員との違いと、食育推進における栄養教諭の役割をお尋ね致します。
学校栄養職員は、学校給食の献立作成などの栄養管理や衛生管理といった業務を行うために配置しています。
一方、栄養教諭制度は、食の指導の充実を図るため、平成十七年に学校教育法を改正して設けられたもので、栄養教諭の職務内容は、従来の学校給食の管理のほかに、学校全体の食に関する指導計画の策定、教職員間や家庭、地域との連携・調整等であります。栄養教諭を配置することによって、学校のみならず家庭や地域の食育をより積極的に推進することが可能となると考えております。
現在、来年度からの配置に向けて準備を行っているところであります。具体的な配置数は、来年度十二名程度を考えておりますが、配置による教育的効果や課題を検証し、複数校を兼務するという方法も取りながら、できるだけ早い段階で、全県に対する指導体制を作っていきたいと考えます。
次に、「早寝・早起き・朝ごはん」運動の推進についてお尋ね致します。
子どもたちが健やかに成長していくためには、適切な運動、調和のとれた食事、十分な休養・睡眠が大切ですが、近年、「よく体を動かし、よく食べ、よく眠る」という成長期の子どもにとって当たり前で必要不可欠な基本的生活習慣が大きく乱れ、それが、学習意欲や体力、気力低下の要因の一つとして指摘されています。
そこで、家庭における食事や睡眠などの乱れを、個々の家庭や子どもの問題として見過ごすことなく、社会全体の問題として、地域による一丸となった取り組みが重要であるとして、全国協議会が設立され「早寝・早起き・朝ごはん」運動が展開されることになりました。
最近の調査では、就寝時間が午後10時以降という小・中学生が過半数を占め、子どもの生活の"夜型化"が進行。朝の欠食率は小学生が15%、中学生は22%に上るとの調査もあります。
私は、児童生徒だけではなく、特に幼児期の習慣作りが不可欠と思いますが、わが県の「早寝・早起き・朝ごはん」運動の推進についての考え方と健康福祉部、教育委員会の連携についてお尋ね致します。
近年、社会の有り様が変化し、生活時間が夜型化し、「睡眠時間が少ない」、「朝食をとらない」、「運動をしない」など、家庭での生活習慣の乱れは憂慮すべき状況であります。
こうしたことから、国においては協議会を設置し、子どもの望ましい基本的生活習慣を育成し、生活リズムを向上させるとともに、地域全体で家庭の教育力を支える社会的機運の醸成を図るため、「早寝早起き朝ごはん」運動を今年度から展開しております。
五月に実施しました学力調査の結果から、学力と基本的生活習慣の関係が極めて深いといった点が明らかになりました。
この結果については、パンフレットで各家庭に配布し、「早寝早起き朝ごはん」 の取組を促すことにしております。
また、「早寝早起き朝ごはん」運動の提唱者である立命館大学付属小学校の陰山英男副校長を招聘しての講演会などを開催しました。来年二月には、雲南市において、「よく食べ、よく寝て、よく遊ぶ、元気な子」をテーマに「子どもの生活リズム向上全国フオーラムi nしまね」を開催することにしております。
これらを契機に、 家庭、PTA、学校、企業、団体等と一緒になって生活リズム向上の機運をより一層高めてまいります。
ご指摘のとおり、子どもたちが健全な心身の発達を遂げるためには、生活習慣の基礎が確立される乳幼児期からの食習慣づくりや早寝早起きの基本的な生活習慣づくりが極めて大切であります。
このためには、市町村が実施する乳幼児教室や三歳児健診、就学時健診、更には保育所や幼稚園の保護者会等多くの保護者が出向く機会を捉えるなど、乳幼児期から継続した基本的な生活習慣づくりを健康福祉部と連携して一層進めてまいります。
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質問の最後に、冒頭の質問の中でも触れましたが、県民は明日への確かな希望を抱きかねているように思います。また、明日の島根を担う子供たちを取り巻く環境も、いじめ問題に象徴されるように決して明るいものではありません。
勇退を決意された知事ですが、島根の未来への展望をお尋ねするとともに、島根県民と島根の子ども達へ、未来に向けて希望のメッセージを頂けませんでしょうか。
 私は、本県が持続的に発展していくための原動力となる産業の振興を最重要政策に位置付けて、本県独自の資源を活かした新産業の創出や、県内企業の競争力強化、県産品のブランド化などを戦略的に推進してまいりました。この取り組みは、税源の涵養を通じて、自立的な財政運営にも大きく寄与するものと考えます。
 私は、こうした経済基盤の強化と同時に、地域の価値を高める取り組みが極めて重要であると考えています。本県が誇る歴史、文化、自然環境など、多様な価値に光を当てることは、都市と地方が互いに理解しあい、尊重しあう新しい国家ビジョンを先導するものであります。
産業振興を柱とする経済の活性化と、本県が有する文化的・普遍的な価値の好循環を生み出す島根を何としても実現したいと考えます。
 いよいよ来年に迫りました「古代出雲歴史博物館」のオープンや「石見銀山遺跡の世界遺産登録」を例に挙げるまでもなく、我々の祖先が長い歴史の中で積み上げてきた世界に誇るべき、本県固有の財産に触れることにより、日本とは何か、日本文化とは何かを肌で体感し、経済効率一辺倒の価値観ではたどり着くことのできない「真の豊かさ」を実感していただけるものと確信しております。
 また、こうした本県の普遍的な価値は、次代を担う子どもたちにとっては、豊かな創造力や的確な判断力、自ら考え実践する力をつける優れた教材です。
「真の豊かさ」とは何かを学び、ふるさとへの誇りと、思いやりの心を重んじる大人に成長して欲しいと願っております。
 本県の経済的な活動や文化的な活動を支える様々な基盤は、この二十年間で相当程度まで整えることができたものと自負しており、これからは、県民の皆様の知恵を結集して、最大限にこれらを活用することが、一層大きなテーマになるものと考えます。
新しい一歩を踏み出す力が未来への扉を開きます。私も、これまでどおり、本県の明るい将来の実現に向けて、先頭に立って努力してまいる覚悟であります。
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