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2009年6月議会一般質問

[2009/7/11]
 一昨日、国の経済対策を受け、過去最大規模となる補正予算を審議、可決した定例議会が終わりました。ちょっと遅くなりましたが、一般質問の質疑をUPします。
  1. 経済対策と6月補正予算について
     ・成長力強化という視点について
     ・スクール・ニューディール構想、特に学校建物の耐震化について
     ・安心こども基金について
     ・自殺対策といのちの電話相談について
     ・消費者行政活性化基金について
  2. 県内4年制大学について
  3. 貧困問題と支えうる地域づくりについて
  4. 子どものメディア対策について
  5. 学校図書館と司書を取り巻く現状について
  6. 盲導犬育成・貸与と利用者支援について
 質疑内容は下記の通りです。それぞれ文字色で私の質問知事答弁関係部長・教育長答弁がわかるようになっています。
 質問に入る前に、先日急逝されました澄田前知事とは、3期12年、温厚なお人柄に包まれる中で一緒に仕事をさせていただきました。本当にお世話になり、感謝の思いでいっぱいであります。心より哀悼の意をあらわしたいと思います。
 さて、質問の第1は、経済対策と6月補正予算についてであります。
 最初に、成長力強化という視点についてであります。
 国の過去最大規模2009年度補正予算を受け、県も6月補正としては過去最大となる454億円の補正予算を計上されました。2008年度第1次、第2次補正予算、2009年度本予算に続き、切れ目のない経済対策を実行し、景気の底割れを防ぐ一方、例えば環境分野で省エネ家電、エコカー、太陽光発電のエコ3本柱の普及促進策など、未来の成長力強化につながる施策にも重点を置いていると承知しております。
 本県の6月補正に係る未来の成長力強化という視点での留意点と、今後どのような成果を想定しているのか、お尋ねいたします。
 最初は、国の今般の補正予算等で、太陽発電でありますとか省エネ対策でありますとか、未来の成長力強化に向けての施策もあるが、県の6月補正ではどうかというお話でございました。
 この未来の成長力強化をどういうぐあいに把握するかというのは難しいわけでございますが、非常に単純に言いますと、当面の消費だけにお金を使うということじゃなくて、投資のようなものですね、将来に効果があらわれてくると。支出はしますけども、そういうものが将来の成長だとか経済の発展に役立つわけでありまして、そういうものは物的な投資もありますし、あるいは知識に対する投資とか、いろんなものがあり得るんじゃないかと思います。
 県の補正予算では、例えば産業振興ということをやろうとしております。県内の物づくり企業の競争力を強化するための施策、あるいは観光振興のためにいろんなPRをやっていく、それは後々観光客の来県ということになって効果が出てくるものでありますし、それから道路等に対する整備でありますけども、これも公共事業でありますが、道路がよくなることによって効率がよくなるとか、あるいは大都市とのマーケットが近くなるといったようなことで効果があらわれてくるわけであります。さらに、医療、福祉、介護等々の分野でもいろんな施設整備、耐震化、行われております。あるいはがん対策等々もございますが、こうしたものも単なる消費とは違って、将来に何らかの効果を発現しますし、あるいは将来すべきものを前倒しをしてやるということでございます。そういう効果があろうかと思います。そのほか次世代を担う、お話の中にも出てまいりましたけども、子供の読書活動の推進をするとか、あるいは社会貢献活動を推進するといったものもそういう副次的な将来効果が出てくるものだと考えておるわけでございます。こういう対策を通じまして、活力ある島根を築くための予算措置を今回したというふうに私は考えております。
 次に、スクール・ニューディール構想、特に学校建築の耐震化についてであります。
 新年度予算とこのたびの補正予算では、学校建物の耐震化について特段の予算措置がなされ、文科省としてはIs値0.3未満の建物については今年度で完結するという方針と聞いております。しかし、本県においては、設計に係る技術関係者や判定委員会の量的問題もあり、文科省の方針との乖離があると聞いております。また、今年度を逃せば臨時交付金もなくなるわけですし、国庫補助枠の確保の見通しも不透明です。
 県内の公立小中学校の耐震診断実施率、耐震化率についての状況と今年度の取り組み状況、Is値0.3未満の建物についての整備完了の見通しと、平成22年度までの時限立法である地震防災対策特別措置法の延長に向けての働きかけについてお尋ねをいたします。
 本年、文部科学省が公表した耐震状況調査の結果によりますと、非木造の建物の耐震診断の実施率は91.1%、耐震化率は60.8%であります。調査対象に追加されました木造の建物は、現時点では実施率ゼロ%、耐震化率が22.4%となっております。現在、耐震診断の結果、Is値が0.3未満であることが判明しております31棟の建物については、その10棟が今年度耐震工事を実施中であります。10棟は国の平成21年度の補正予算によります交付決定を受けまして、工事に着手する予定であります。残り11棟につきましては、今年度に実施設計を行いまして、平成22年度の予算での工事を行う計画になっております。これによりまして、31棟のすべての耐震化が完成する予定であります。
 次に、地震の防災対策特別措置法の補助率の引き上げの期間の延長についてでありますが、市町村には、まずは現行制度を活用して早期に耐震化を進めていただきたいと考えております。特別措置の期間後のことにつきましては、今後の耐震化の進捗状況等を踏まえ、必要な場合には国に対して要望を行うべきと考えます。
 次に、安心こども基金についてであります。
 昨年度2次補正予算によって7億円が基金造成され、うち6億円が保育所緊急整備事業となっております。今回の補正予算では、新たに8.2億円の基金が積み増しされることとなっております。
 保育所の待機児童は、3月1日時点では300人を優に超す人数であったと思います。加速度的に進む少子化にもかかわらず、保育所整備が新たな需要を生み出し、整備が追いつかないという現実がありますけれども、今年度の施設整備による待機児童解消への展望をお尋ねいたします。
 施設整備は限られた事業費の枠内での対応となると思いますけれども、待機児童解消を第一義とした予算づけになるのか、確認をしておきます。
 安心こども基金についてでございますけども、昨年度、待機児童の解消に向けた保育所整備などハード事業を中心に創設され、さらに今年度はソフト事業を中心に拡充が図られたところでございます。ことし3月末に市町村から提出された今年度の保育所整備計画におきましては、地域の待機児童の増加傾向を踏まえまして、今年度、約300人の定員増加を予定をされております。さらに、来年度についてもさらに定員増加が検討をされております。
 来年度の整備計画はまだ精査されたものではございませんが、現時点では、ハード事業に充当可能として国から示されている枠は、これらの2カ年の整備計画には不足をしております。このため、国に対しまして、地域の実情に応じて基金を柔軟に執行できるように強く要望いたしました。その後、国の取り扱いが変更されまして、厚生労働大臣の承認を得れば、ハード、ソフト両事業間での枠の利用が可能となっております。今後、ソフト事業を含めました県及び市町村の事業計画を取りまとめる中で、事業間の枠の流用など、待機児童の解消を目指す市町村の要望にできる限りこたえられるよう努力してまいります。
 次に、自殺対策といのちの電話相談についてであります。
 自殺者が11年連続で3万人を超え、あわせて現下の厳しい経済情勢の中で、自殺対策強化は喫緊の課題として、破格の自殺対策緊急強化基金が造成されました。本県での自殺対策は緒についたばかりでありますが、現在までの取り組みの成果と、現下の厳しい経済情勢下での傾向、今後どういうところに力点を置いて対策を進めるのか、お考えをお尋ねいたします。
 自殺対策のこれまでの成果と現下の傾向、今後の対策と力点についてであります。
 平成20年の本県の自殺者数は215人と、前年に比べまして18人減少しております。自殺死亡率も全国では上位ではございますが、人口10万人当たり29.9人となりまして、3年ぶりに30人を切ったところでございます。
 しかしながら、現下の厳しい経済情勢の中で、企業倒産や失業者の増大によりまして、ことしの1月から4月は全国的に前年同期を上回る自殺者数が報告されております。本県でも前年同期比で5人ふえております。雇用情勢等を踏まえ、関係の指標を注視していく必要があると考えております。
 また、本県では、平成20年3月に島根県自殺対策総合計画を策定したところでございます。初年度であります平成20年度は、うつ病対策を初め、今後の対策の土台となる県民の皆さんへの普及啓発、かかりつけ医や民生委員等への研修、相談体制の充実並びに遺族支援を中心に取り組んできております。今年度は昨年度の取り組みを継続をするとともに、全国平均と比べて自殺死亡率の特に高い40代から50代の働き盛りの男性、それから75歳以上の高齢者に重点を置いた対策を進めていくことにしております。また、住民に身近な市町村での自殺対策を推進していくために、市町村における自殺対策担当部局等の設置、それから地域におけるネットワークの構築、自殺予防のための啓発事業の実施等を働きかけてまいります。
 さて、本県においても自殺対策では大変大きな役割を果たしてきたいのちの電話相談でありますが、その仕事の重みに耐え切れずにやめていく方が多く、養成が間に合わないと聞いております。その養成ですけれども、受講料自分持ち、1年半ほどの期間ほとんど毎週土曜日3時間程度の講習を松江市で受け、やっと活動に参加できるようになるとのことであります。その活動も全くの無償、本当に大変な中で活躍をいただいていると聞いております。こうした相談員の現状と確保について、県としての考え方をお聞かせください。
 次に、島根いのちの電話の相談員の現状と確保についてでございます。
 島根いのちの電話は、身近に相談できる相手もなく孤独や不安に苦しむ人々に、電話を通してよき話し相手となって、心の支えになろうとする民間のボランティア活動でございます。自殺の相談も多く寄せられておりまして、自殺予防の観点からも非常に重要な活動と認識しております。その活動は本当に頭の下がる思いでございます。
 島根いのちの電話は昭和54年7月に開局されておりまして、ことしで30周年を迎えます。90人前後の相談員の皆さんが交代で、年中無休で、年間1万件以上の相談に対応されております。相談員の方々は、純粋にボランティア精神のもとで、電話を通した一期一会を大切にし、生きる元気を取り戻したという声に、喜びとやりがいを感じておられると伺っております。
 しかしながら、家庭事情等によりまして続けられない方が相談員をやめられたり、一方で新たな相談員の希望者も減少してきております。相談活動にも影響が出ていると聞いております。こうした状況を踏まえまして、県としては相談員の確保に向けまして、相談員の活動を広く県民の皆さんに周知するとともに、現在行っております養成研修等に係る経費、これの助成に加えまして、研修受講者の皆さんの負担の軽減などを図るなど、より一層の支援をしていきたいと考えております。
 次に、消費者行政活性化基金についてであります。
 近年、食品の産地偽装や有毒物の混入によって食の安全が脅かされる事態が発生し、家電や自動車など身近な製品の欠陥による死亡事故も続きました。さらに、悪徳商法による被害も後を絶たないなど、消費者問題は深刻化しております。そのため、消費者庁関連3法案が提案され、先月、全会一致で可決成立、消費者行政を一元的に実施する消費者庁の創設が決定しました。
 そのような背景もあり、このたびの経済対策に係る補正予算に消費者行政活性化基金の積み増しが計上されております。基金が積み増しされた背景と課題として、ふえ続ける問題とニーズに合わせて相談体制の強化ということがあろうと思います。その相談体制の現状は、県民の要請にこたえ得る体制になっていないとの声もあるのでありますが、我が県及び市町村の窓口設置の現状をお尋ねするとともに、今後の相談体制について、県の認識と市町村の対応についてお尋ねいたします。
 国が支援メニューとして掲げる中に、相談員の養成があります。この点については、行政として戦略的にというより、個人の思いによるところが強いのではないかと思います。相談員の養成に係る県の認識と支援の考え方をお尋ねいたします。
 また、基金とは別に、相談員の処遇改善のための交付税措置もとられたと聞きます。ここも現場からの要請の強いところでありますけれども、考え方をお尋ねいたします。
 まず、消費者相談窓口についてでございます。
 現在、県におきましては、松江の消費者センターと益田の相談室と2カ所に専門相談員を配置して、消費生活相談に対応しております。市町村におきましては、相談窓口が設置されているのは4市でございまして、現在、他の市町村においても設置についての準備あるいは検討がなされております。
 市町村は、住民に最も身近な相談窓口として対応することとされております。住民の皆さんが希望される相談の第一義的な対応が可能となる体制をできるだけ早く整備していただきたいと、かように考えております。県といたしましても、先般設置いたしました基金を活用した市町村の窓口整備や相談員の配置などが進められるよう働きかけ、あるいは支援を行ってまいりたいと、かように考えております。
 次に、相談員の養成についてでございます。
 近年、消費者問題は非常に複雑かつ多様化してきております。このため、相談員についての法定の資格はございませんけれども、例えば国民生活センターが認定する消費生活専門相談員など、そういった専門的資格あるいは知識を持っていることが望ましいと考えております。県では、こうした高度な知識を習得するため、平成16年度から消費者リーダー育成講座を実施しております。この講座にはこれまで154名の方々が受講されましたが、中には消費生活専門相談員試験に合格した方もおられ、さまざまな消費相談に対応できる相談員を育成しているため、非常に有効だというふうに考えております。また、国の外郭団体でございます国民生活センターにおきましても、今年度から消費相談員養成講座の開催回数をふやすとともに、地方での開催を実施されまして、受講者が参加しやすいように配慮がなされたところでございます。もとより相談員の養成は一朝一夕にはいくものではございませんけれども、これらの研修、講座を通じまして、また消費者行政活性化事業の活用も含めまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、相談員の処遇改善についてでございます。
 現在、県の専門相談員は、非常勤嘱託職員として採用しておりまして、報酬につきましては、相談員の専門性を考慮いたしまして、一般の非常勤嘱託職員と比較して高く報酬を設定しております。消費生活相談員の処遇改善につきましては、御指摘のように国におきまして地方財政措置が拡充されてきたところでございますので、職務の専門性あるいは困難性、人材確保の側面、あるいは他県の状況などを総合的に勘案して、その処遇のあり方について検討してまいります。以上でございます。
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 質問の第2は、県内4年制大学についてであります。
 先日出会った島根出身の東大生が、島根大学があることの社会的メリットは何かを一県民の立場で考えたことがある。それは、先端技術、科学、哲学などの構築は都市部の大学などが担うもので、地方の大学の役割は、まず地域の担う役割、重要性を探求し発信することではないかと話しておりました。
 島根県は起業家が育ちにくい地域だとよく言われます。それは、地方交付税や公共事業に守られてきたことと無縁ではないと思います。県民がそうでしたから、そこに立地する大学もそんなぬるま湯体質の中にあったのではないかと思います。しかし、独立行政法人化を契機に、前述のような問題意識を含め、改革の動きが始まるとともに、産官学民の連携が進み出し、就職先として共同研究した企業へという流れも生まれております。
 一方、県内の大学を卒業したクリエーティブな人材の県内定着という課題について、大学関係者や県の関係者と話すと、受け皿となる就職先がなくてという話になります。先日、川本でネット書店を運営する一橋大学の尾野君と、隠岐で和牛繁殖を手がける牧場で一緒になりました。彼は、県内の耕作放棄地に和牛を完全自然放牧し、刺しではなく赤身肉を生産し、東京でステーキ店を展開させ、そこに供給しようと計画しております。その調査のために隠岐に来ていました。どこまでやるのかと、こういうふうに聞きましたら、耕作放棄地がなくなるまでと、こういうふうに平然と答えが返ってまいりました。
 海士の山内町長は、地域を変えるのは若者、よそ者、ばか者とおっしゃっております。島根大学では7割、県立大学浜田キャンパスでは5割を超えるよそ者がいます。若者で見れば、それぞれ毎年1,500人、200人が入学し卒業しております。すごい財産がそこにあるわけであります。大学が地域問題解決のプラットホームとして機能し、その中でクリエーティブな力が活用されることによって、地域力向上のための産業創生が活発に興る、そんなイメージを思い描ける大学になるよう、県民を挙げて支援したいものだと思っております。
 そんな前提を持って、県立大学浜田キャンパスについてお尋ねいたします。
 1学部のみ、しかも歴史も浅い地方の大学でありながら、地方大学の学生ならびびりそうな名前の企業を初めとするすばらしい就職実績を誇り、それが高い人気を保つ背景のようであります。しかし一方では、せっかくの優位な人材を県外に流出させ、大組織、しかも学閥などの組織論理の中で埋没させるのはいかがかと、こういう意見も聞くのであります。シックスプロデュースの洲浜君とか里山レンジャーズなど、本当にユニークな取り組みもありますけれども、地域との連携に基づいたソーシャルビジネスなど、産業創生や起業家育成には課題もあるのではないかと思います。
 産業創生を担う地域の大学という視点で、県立大学浜田キャンパスの石見を中心とした地域での位置づけ、今後の考え方と取り組みについてお尋ねいたします。
 県立浜田キャンパスの位置づけ、特に県の産業創生とか県の発展との関連はどうかという御質問でございました。
 県立大学は、地域に根差し、地域に貢献する大学ということを基本目標の一つにして、研究活動、地域貢献活動なんかにも取り組んでおるわけでございます。直接その産業創生でありますとか企業育成ということについて申し上げますと、大学のカリキュラムの中で経済学あるいは経営学等々を教える過程で、ベンチャービジネスや企業について学ぶベンチャービジネス論といったようなものも学生に教えているわけでございますし、それから地元との関連でいいますと、石見地域の企業でインターンシップを行いまして、そこで大学生たちが実践的な経営の現場を経験するということもやっておるわけでございます。
 また、地域において活躍する人材を育てるためには、学生たちが地域社会へ入って地域の人と一緒に活動するという経験が大事なわけでありまして、そういうためにも県立大学では学生たちの地域貢献活動を積極的に推進をしておりますし、私どももぜひお願いをしてるとこであります。例えば中山間地域におきます耕作放棄地を活用した農作物の栽培やその販売を手伝うとか、あるいは地域ブランドを確立するために民間の企業と一緒になって活動するとか、あるいは中山間地域センターにおきまして共同研究をするといったようなこともあるわけでございまして、さらに大学が地域のシンクタンクとして、例えば浜田市の委託を受けまして、北東アジアの国々にアピールできるような県産品は何だろうかといったような調査研究も行うというようなこともしておるわけでございます。私は、この島根県立大学、地域のためにもいろんな活動をしておりますから、私ども県としてもそういう活動を推進するようにお願いをし、必要な支援も行っていきたいと考えているところであります。
 次に、島根大学の存立意義と島根県の役割についてであります。
 松江市の松浦市長は、改選後初となる6月議会の所信表明で、島根大学生等をもっと町なかで活躍させ、学生の声があふれる活力ある町にしたいと述べております。私は、島根大学と包括協定を結ぶ松江市、島根県であり、もう一歩踏み込んで、産業創生を担う人づくりを地域一丸となって進めたいものだと思います。例えば、各種の計画等をコンサルにではなく大学と協働して策定するなど、県や市町村が大学や学生を活用することについて積極的にコミットしたり、地域課題解決のために地域の持つポテンシャルを洗い出し、産業創生に結びつけるような協働の取り組みをもっと積極的に進めるべきだと思います。
 そのためには、人の配置を含めた行政の大学サポート機能の強化も重要な課題だと思います。島根大学の産業創生に果たす役割について、御所見をお尋ねいたします。
 島根大学の存在意義、島根県とのかかわりはどうかと、特に産業創生に関連してどうかという御質問でございました。
 島根大学は、みずからの憲章に地域問題の解決に向けた積極的な社会貢献の推進ということを掲げておりまして、そのもとに各分野で地域貢献活動に取り組んでおるというふうに思います。他方、私どもから見ますと、島根大学は立派な教員の方々あるいは若い学生諸君、人的な資源として、島根にとって大変大事なわけでございます。また、そういう人たちが知的ないわば財産を持っておるわけでございまして、そういうものを活用して島根の産業振興に役に立っていただく、御貢献いただくということは私どもにとって必要なことでございまして、いろんな活動をしとるわけでございます。例えば機能性食品の分野で教員、学生が企業と協働して特許を取得して会社を設立したというようなこともありますし、県西部の食品製造業関連企業と大学との連携による人材育成や商品開発にも関与しておられるということであります。
 また、そういうことがございまして、県としても大学の資源を県内の産業振興創出に結びつけるための協定を平成16年に締結をしておるわけでございまして、これに基づいていろんな連携の事業を行っておるわけでございます。共同研究ということがそうでありますし、あるいは産業人材を島根大学において育成していただくといったことであります。例として申し上げますと、共同研究につきましては、LEDを利用した照明装置の研究開発、これは島根大学が一生懸命やっておられますし、そういう面におきましては技術開発センターなどとも協力をしておりますし、あるいは宍道湖、中海における生物環境等の現況調査、共同調査をやっております。例えば人材育成ということでありますと、Rubyの習得で学生に習得をしてもらうとか、あるいは産業人材育成のために、ITの産業人材の育成のために講師などをしていただくとか、いろんなことをやっておるわけでございます。
 今後とも島根大学の持つポテンシャルをさらに活用しまして、県内における新産業、新事業の創出につながるよう努力してまいりたいと思います。
 あわせて、文化の違う世界を結んで結果を出すためには、ネットワークの強化と人間関係の強化が不可欠であり、担当者によるところが大きいと思います。担当者の人事について、もう少し長い期間とすべきだと思いますが、見解をお尋ねいたします。
 県職員の人事異動につきましては、3年を人事ローテーションの基本としておりますが、専門的な職員の配置、育成などが求められる分野につきましては、必要に応じて通常の3年の人事ローテーションにこだわらず、同一の所属、職務に従事させることも行っております。特に産業振興や企業誘致のような部門は、相手との関係に長期的な信頼関係やネットワークを必要とするところもありますので、そういう努力を行っていかなければならないと考えております。もっとも、そのような場合でも、個々の人事異動に当たっては、本人の希望、適性、上位職の任用などを考慮いたしまして、組織全体としての最適配置のために、通常のローテーションで異動させることが適当な場合もございます。
 いずれにいたしましても、職員が業務を通じて培ったネットワークができるだけ失われないように、人事異動の仕方の工夫も含めまして、組織全体として適切に対応してまいりたいと考えております。
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 質問の第3は、貧困問題と、支え得る地域づくりについてであります。
 リーマンショック以来顕著になった格差社会の現実、しかしそれ以前から我が国の母子家庭、母子世帯や高齢女性の単身世帯等の貧困問題はありました。たまたまこのたびの経済危機で、勤労世代の男性が貧困に直面する状況で、貧困問題がマスコミ等で大きく取り上げられたのであります。
 OECDが発表した子供の貧困率では、2000年で14.3%、23カ国中15番目、ワースト10に入っております。最も低いデンマークが3%、以下、北欧の国が続き、いずれも5%以下となっております。さらに、ひとり親家庭の貧困率は、同じOECDの調査で、働いていない場合が60%、働いている場合が58%となっており、さらに深刻であります。1位のスウェーデンでは18%と6%であります。
 この問題は、PISAの学力調査の分析結果を見ても明らかなように、貧困家庭にあると想像される子供は学力においても振るわない現実がありますし、それは拡大再生産をする可能性が極めて高いと指摘されております。我が国が国際競争力を保ち、発展を遂げていくためのキーワードの一つが、子供の貧困問題をどう乗り越えるかであると考えます。
 「子供の最貧国・日本」の著者に会いに行き、意見交換の機会を持ちました。ひとり親家庭の暮らしやすさ、都会と田舎とは違うのか、田舎はそんな親子を支える受け皿になり得るのか、貧困のほうが生きるばねになり得るのではないか、そんなことを聞きたいと思ったからであります。残念ながらその明確な回答を得ることはできませんでしたけれども、私はあると見たいのであります。
 今、都市部には、働きたくても働き場のない人がたくさんおります。最近では若者が農業に興味を持ち、田舎に移っていく例もあり、私も何人もの方にお会いしております。フリーターやワーキングプア、心が壊れそうになっているIT関係者、そして今申しましたひとり親家庭を含めた田舎への移住と再生のプログラムはできないでしょうか。
 私がある限界集落を訪ねたとき、子供とは家の存続についてお互いに話題にしないとおっしゃる方がありました。そのとおりだろうと思います。自分の子供に無理に移り住めと言っても、今の生活、家庭があり、また価値観も違うとなれば、なかなか難しい現実であります。
 しかし、地域は限界に近づいております。家族のつながりでは無理であっても、ほかにそういう生き方を求める人、そんな生活で自分を見詰め直そうとする人、田舎のつながりの中でたとえ一人であっても子供を育て上げようとする人など、いろんな人がいらっしゃいます。ひとり親家庭には、限界集落にはほとんどいない子供が必ずいます。集落の高齢者には、子供の声は何よりのごちそう、元気のもととなるはずだと思います。フリーター、ワーキングプアの受け入れをしたいと考える集落もあります。システムエンジニアの再生プログラムを提供できないかと考えるIT企業もあります。
 私は、少しでもチャンスがあるならば、まず進めることが大切ではないかと考えます。できないことを何とかできるように皆が知恵を絞り、行動に移す。そのうち、島根はとんでもないことをやっていると評判になれば、いろんな人が集まり、またその人たちが新たな人を呼び寄せる。その例は、県内にも海士町を初め幾つか見られるわけであります。行政は、どうしたらできるかより、できない理由を考えると聞いたことがありますけれども、どうすればこのような人たちを地域の担い手として活用できるのか、可能となるのかという視点で、真剣に考えるべきではないかと思います。
 田舎のポテンシャルの高さと人柄のよさは、例えばひとり親家庭やワーキングプアなどを支える受け皿となり得ると考えますし、島根の都会松江であっても東京などとは比べ物にならないゆったりとした時間の流れは、せき立てられるように仕事をこなしてきたIT関連の人たちが人間性を取り戻しつつ新たなシステムの開発などに取り組む環境としては最高だと思います。
 貧困問題を解決する方策は田舎にありと、全国に向かって発信ができないでしょうか。私は、それを担うのが田舎、地方の大きな役割であり、それが可能となれば、日本は大きく変われるのではないかと思っております。それは単なるセンチメンタルな憧憬なのでしょうか。
 このような施策を推進するとしたら、整備すべき条件は何かを含め、知事の所見を伺います。
 次に、現代社会、貧困問題が大きな問題になっておりますが、田舎にはそういう貧困問題に対処し得るポテンシャルを持っておる、それを活用すべきではないかと、県としてそういうものを全国に向かって発信すべきではないかという御質問でございますが、私も同意見でございます。やはりグローバル化が進み、企業社会における競争は非常に厳しくなっております。それから、大都市は集積する一方、過密の弊害というのも大きくなっておりますし、また人々の考え方が変わりつつあるわけでございます。単に物的な豊かさということだけでなく、精神的な豊かさといいますか、人間的な豊かさを求める人々がふえてるわけでございます。特に都市においてそういう傾向が強いように思うわけでございまして、議員も御指摘になりましたけども、Iターンという形で都市からいきなり海士町でありますとか中山間地域に来られて農業や漁業あるいは林業につきたいという人がふえてるわけでございます。
 私どもは、そうした流れを促進するように努力をしたいと、そのためには島根のそうした地域のよさをPRしていくということが大事な課題でございまして、これも議員御承知でございますけれども、農林水産部の若い職員たちが、県内にIターンをしてきて働いている人たちがどのような生活をしてるかとか、そういうものを本にして、「田舎ごこち」という本を出したわけでございますが、それも一つの我々のこうした問題に対する対処の仕方であります。都市の人たちは、そういう地方、田舎に行って仕事をしたい、自然の近くで住みたいという希望を持っていますけども、どうしたらそれが実現できるのか、あるいは行ったらどういう生活が待ってるのかと、非常に不安なわけでございます。そういう意味で、情報を我々のほうから提供する、さらにそういう中山間地域が住みやすくする、住みやすくして、都市の人々も一定の生活ができるように整備するということも大事な課題でございまして、そういう意味で、過疎対策などにおきましていろんなソフト事業を行うことによって生活環境を整備をするというのも我々の課題でございます。そういう問題に対しまして、さらに努力をしてまいりたいというふうに思います。
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 質問の第4は、子供のメディア対策についてであります。
 ノーテレビ、ノーメディア運動を進める方と何度か意見交換をする中で、映像メディアが子供たちに与える影響は想像以上だと思いました。また、子供の脳の発達に与える仮想化社会の影響について、元小学校教師によって書かれた本の中には、子供の時間は大人の10倍とあり、思春期まではなるべく映像メディアとの接触は避けたほうがいいとの意見が記されておりました。我が家でも、テレビは1日1時間と決められている5歳ともうすぐ3歳になる孫ですけれども、テレビへのこだわりの強さを見ると、子供のうちはなるべく映像メディアには触れさせたくない、なるべく多くの生の体験、生の感動を与えたいものだと、このように思えてなりません。
 そこで質問ですけれども、学校図書館への人の配置を行っていただき、図書館を活用した教育が進もうとする今、特に低中学年においては生の体験や本などの紙媒体を活用した教育へとシフトさせることも大切ではないかと思いますけれども、小学校での映像メディアの利用の実情についてお尋ねいたします。
  また、映像メディア対応のメッセージを徹底して発すべきではないかと考えますけれども、思春期までは極力映像メディアへの接触は避けるべきという考え方とあわせ、所見をお尋ねいたします。
 私は常々、学校教育では子供の感性を高める教育活動が大切であると言っております。野山の木々の移ろいや鳥のさえずり、風のにおいで季節を感じたり、地域の人々との触れ合いから学ぶ活動は極めて意義があり、これらのいわば原体験を人格形成期の子供たちに多く経験させたいと考えています。
 また、科学や歴史の書物を通じて、なるほどそうだったのかと知識欲を満たしたり、物語の世界に浸り、疑似体験によってみずからが物語のヒーローになることも大切であります。こうした読書は、テレビやパソコンが弱めると言われる脳の力、脳力を高め、情操力のアップにもつながると考えます。
 しかし、学習内容によっては、子供の興味関心を高めたり学習内容の理解を深める上で、こうした活動だけでは十分でなかったり、実際に体験することが難しい事柄も考えられます。例えば上空から見るふるさとの風景、外国や他県の風景や人々の暮らし、つぼみが開花したり卵がふ化する様子、おなかの中の胎児の様子、こうしたことについては、学習の際に映像メディアを活用することも効果的であると考えます。実際に、多くの小学校では、そうしたメディアを活用した学習にも取り組んでおります。大切なことは、教育効果を高めるために、映像メディアを学習の中で上手に使っていくという工夫をすることだというように思っております。

 次に、思春期までの子供の映像メディア接触についてであります。
 思春期までの子供には、テレビやゲーム、携帯などの映像メディアにできるだけ浸り切りにさせないようにすることは大切であります。そのためには、単に取り上げるのではなくて、家庭での触れ合いの時間を持つとか、読書あるいはさまざまな体験の機会など、映像メディアにかわるものを与えることが重要であります。
 例えば松江市では、早くからノーテレビ、ノーゲームデーに取り組んでいる教員を推進員として配置しておりまして、家庭学習や家庭読書の時間を確保するなどの取り組みを強力に推進しております。また、雲南市では、ノーメディアに取り組む日曜日に親子で買い物をしまして、親と相談しながら月曜日の弁当を子供の力だけでつくる、子供がつくる弁当の日の取り組みを開始しております。
 松江市では、ノーテレビ、ノーメディアデーも小中一貫の取り組みの中に位置づけられ、今年度はさらにその取り組みを強化させる方針だと聞きますし、県も大きな課題として取り組んでいただいております。さらに県下に広げたい運動だと思いますけれども、かぎを握る親御さんへの啓発と、ノーテレビ、ノーメディアデーの取り組みを広げることについて、考え方をお尋ねいたします。
 ノーテレビ、ノーメディアデーの取り組みについてでありますが、こうしたノーテレビ、ノーゲームデーなどのメディア対策にも力を入れていく必要があるというふうに考えましたので、心身両面にわたる健康増進の視点に立って、子供の生活習慣改善対策を進めるべく、平成19年に健康づくり推進室を設けたところであります。県を挙げてメディア対策に取り組んでいるのは全国でもまれな例だと承知しております。これまでの講演会やフォーラムの開催、実践事例集の発行などの啓発事業によりまして、ほとんどの小中学校で生活習慣改善に向けた取り組みを行っておりますが、学校からの呼びかけだけでは十分効果が上がりにくいという面もありますので、学校と家庭がお互いに連携しながら、地域を巻き込んだ総ぐるみの取り組みが必要であると考えております。
 そこで、本年も、県内2会場で子供の生活づくり実践事例発表会を開催することにしております。発表会では、先ほどの松江市や雲南市などの実践事例を紹介することにしておりまして、県内各地への波及を図りたいと考えております。7月4日には浜田市の県立大学において開催し、私もパネリストとして出席いたします。
 小中学生に携帯電話を持たせない保護者の努力義務を盛り込んだ全国初の条例が石川県で提案されたとのことであります。条例での規定の是非はともかく、フィルタリングサービスなどの取り組みが始まったものの、携帯に係る問題の深刻さが突き動かした結果ではないかと思います。
 我が県でも、子供の性の商品化やネットいじめなどの構造は都会と一緒だと聞きます。所持の抑制よりも、メディア教育をしっかり進めることが先決ではないかと思います。県の取り組みについてお尋ねいたします。
 現代社会は、インターネットや携帯電話という便利なものを手にしてしまいました。今さらこれを取り上げるという手段で犯罪から回避ができないとすれば、小学校の早いうちから情報リテラシーを高めるとともに、使用に当たってのモラルを学校教育の中ではぐくんでいくことが肝要だと考えます。
 携帯電話については、昨年2月に県警、健康福祉部との3者の代表者会議を開催いたしまして、保護者や子供たちに向けた子供のネット被害を防ごうというメッセージを発信いたしました。本年1月末には、携帯電話の学校での取り扱いの方針や、家庭、学校、行政が取り組むべき情報モラル教育について、学校等へ通知をいたしたところです。また、県独自の携帯トラブルに対します対応マニュアルを作成したり、保護者向けの広報紙での特集やパンフレットを配布するなどの啓発にも取り組んでおります。
 ネットいじめなどは、被害が潜り込んだり、あるいは陰湿になったりして、なかなか実態がわかりにくいところもあります。学校の現場がすべてをやるというわけにもいきません。地域や家庭の取り組みも必要であります。そういうことから、先ほど申しました教育行政と県警、健康福祉部の3者に加えまして、今年度は環境生活部にも参加をいただいて、4者で会議を持ちまして、それぞれの組織が連携して取り組むこととしております。地域、保護者とも連携しながら、個々具体的な対策と総合的な対策の両面からそれぞれの課題に対処していきたいと考えております。
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 質問の第5は、学校図書館と司書を取り巻く現状についてであります。
 知事の決断と教育委員会の御奮闘で、学校現場への人の配置が順調に進んでおります。新年度になって、まだ松江市内の学校だけですけれども、4校ほどお邪魔し、実情を見てまいりました。私の感じた現場の意識はまちまちで、いずこもこれからというところであります。そして、それぞれにさまざまな問題を持ち、課題を持ち、悩みながら進めていくことになるだろうと思いますし、サポート体制を整えてあげたいものだと思いました。ここで特に心が痛んだのは、司書資格を持つ新卒の方が、この仕事がしたいと、年収100万円の司書Aとして働いていらっしゃる姿でした。
 話が飛躍して恐縮ですけれども、県内の公共図書館の職員及び司書職の正規職員の割合は20%であります。正規の司書職というのは本当に狭き門なのであります。そこには、専門性を持った図書館長を自前では育てられない現実があり、図書館長は引く手あまたの職種になっております。それは、県民の知を支える公共図書館が単なる貸し本屋状態となり、県民の多様なニーズにこたえる存在になりにくい構造にあるということであろうと思います。学芸員の世界も一緒な構造と聞きます。
 我が国が文化国家であろうとするならば、この構造は変えなくてはならない課題だと思いますけれども、知事の所見を伺います。
 県内の公立図書館は、昭和54年、1979年に12館ございましたが、現在2009年、34館となってるわけでございます。30年間に倍以上、3倍近い数にふえてあるわけでございます。やはりそうした公共図書館というものは地域における文字、活字文化を支える拠点になっておるし、それからそういうことを通じまして子供の教育でありますとか大きな影響を与える拠点になってるわけでございます。
 また、そうした中で、公共図書館では正規職員の十分な配置が困難な状況になっているというのも議員御指摘のとおりでございます。私どもは、少なくとも小中学校の読書活動を進めようとしておりますが、これは義務教育でございますから、市町村ごとに余り差があるということは望ましいことではありませんから、県としては各市町村に対して一定の支援をするということを踏みましたが、公共図書館になりますと、そこはやはり地域地域で御判断をある程度せざるを得ない面があるわけでございまして、もちろんできるだけ専門性の高い正規職員の方々が市町村の図書館で職員として活動されるということが望ましいわけでございますけども、その処遇等をどうするか、配置の人員をどうするかは、やはり地域地域の中で決めざるを得ない問題かと思いますが、私どももできるだけ相談など乗ってまいりたいと考えておるところであります。以上であります。
 本題に戻ります。最初に、子ども読書活動推進事業により、県内の小中学校に学校司書等が配置されておりますけれども、現在の配置状況と学校の取り組み状況について伺います。
 2つに、このたびの6月補正において、子供の読書活動推進事業を円滑に進めるための事業を新たに計画されておりますけれども、その事業の概要についてお尋ねいたします。
 3つに、これらの事業を円滑に推進し、成果を上げるためには、配置された司書等や学校を強力に支援する体制を整える必要があります。2月議会の折に、教育長みずから司令塔となって取り組むとの決意が示されましたけれども、今年度どのように支援体制を整えられているのか、お尋ねいたします。
 あわせて、来年度以降、学校図書館専任指導主事の配置について御検討いただくお考えがないのかについてもお聞かせください。
 まず、現時点での司書等の配置状況でありますが、6月1日の時点で調査いたしましたところ、県内の小中学校347校のうちで337校で取り組みが始まっております。ボランティアが193校、司書のAが127校、司書のBが17校という状況であります。残りの10校につきましては、現在、該当の町で人材を探しておるという状況にあります。
 次に、学校の取り組み状況ですが、指導主事による学校訪問や市町村の教育委員会へのアンケート調査で把握したところによりますと、まず学校司書と教職員の協力により図書館の環境整備が進んだ、短い休み時間でも図書館に行く子供がふえた、人がいる図書館になることで図書の貸出数がふえた、生徒等の会話で図書や図書館が話題になることがふえたといった成果が見られており、教職員や児童生徒の読書への意識は確実に変化してきています。
 次に、6月補正における子ども読書活動推進事業を円滑に進めるための事業の概要についてであります。
 1つ目は、学校図書館パワーアップ事業と称しておりますが、教員や学校司書等が協力しながら魅力ある図書館に改善しようとする学校に対しまして、県のほうでアドバイザーを紹介するとともに、利用しやすい図書館にするための整備を支援してまいります。本年度は15校の推進校を選定し、その取り組みを地域の学校に普及していきたいと考えております。
 2つ目は、子供読書に関するコンクールを実施いたします。これは、読書活動や図書館を活用した教育において熱心な取り組みを行っている学校を表彰し、その具体的な取り組みを全県的に紹介していこうとするものであります。
 3つ目は、学校司書等の活動例や学校司書と教員が協力して行う授業の実践例を研修用のDVDとして作成するものであります。
 最後に、学校司書等や学校に対する今年度の支援体制あるいは来年度以降の考えについてであります。
 今年度、学校図書館の担当の指導主事を義務教育課に配置いたしております。この指導主事を中心として、生涯学習課、県立図書館の担当者が週に1回の連絡会を持ちまして、3者が連携を深めながら事業の推進に努めております。あわせて、県立大学の教授、司書教諭、司書等の専門家の代表の方に参加していただきまして、学校図書館の支援会議を組織いたしまして、学校現場への具体的な支援方法についての協議をしていただいております。
 実際の学校への支援としましては、今年度、学校司書を対象にした研修を3回、ボランティアを対象に3回、計6回の研修を予定しております。いずれの研修も、研修内容を段階的に高めていくというふうな方法をとりたいと思っております。
 また、小中学校の校長、教頭を対象といたしました年度初めの連絡会で、私の講話の中で、県全体として取り組もうとしているこうした図書館教育の取り組みについて、各学校においても強力に推進するよう強調しました。さらに、教育事務所の指導主事による学校訪問の際に、取り組みの状況を把握いたしまして、優良事例については他校へ紹介するなどの活動を行いたいと思っております。
 さらなる学校図書館の指導を行います専任職員の配置については、まずこうした学校図書館への支援あるいは管理職の指導力の強化を進めておりますので、その状況が相当成果が上がる、あるいは意識の高まりが期待できると考えておりますので、まずはその状況を見てみたいというふうに思っております。
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 質問の最後は、盲導犬育成、貸与と利用者支援についてであります。
 昨年10月、浜田市旭町にオープンした島根あさひ社会復帰促進センターでは、地域との共生をテーマにさまざまなユニークな取り組みが行われております。受刑者が盲導犬育成を手がけるという取り組みもその一つであろうと思います。この取り組みを契機に、盲導犬への理解と関心が深まっているのではないかと思います。
 その盲導犬を利用する皆さんですけれども、人生の新たなパートナーを得ることになりますし、行動範囲が格段に広がり、安全性が飛躍的に高まるメリットがある一方、盲導犬のお世話や医療費等に係る負担もかなりなものになるようであります。ましてひとり暮らしの方もあるようでありますし、高齢化の問題もあるとのこと。盲導犬利用者がふえることは、視覚障害者のバリアフリー化とともに、健常者の心のバリアフリー化も進めることになると思います。そのためには、盲導犬利用のハードルを下げることも必要だと思います。
 盲導犬利用者への支援の考え方と、本県の盲導犬育成、貸与事業の状況と利用の現状についてお尋ねして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
 県では、盲導犬の普及を図るため、盲導犬訓練施設に委託をいたしまして、盲導犬の育成と貸与を行う身体障害者補助犬育成事業を平成13年度から実施をしております。この事業によりまして、これまで9頭の盲導犬を育成をいたしまして、利用希望者に貸与しておりますが、このうち7頭が現役で県内で活躍をしております。
 この事業につきましては、事業の早い時期に貸与している盲導犬が交代していく時期が近づいております。これに対応する必要がありますことなどから、本年度、育成貸与数を1頭から2頭にふやしたところでございます。
 なお、現在、県内には民間団体から貸与された盲導犬が4頭おりまして、県内で活動する盲導犬は計11頭でございます。
 また、盲導犬に対する理解と関心を高めるために、県の広報を活用した啓発番組の放送や、それから旅館、飲食店の組合等とタイアップした研修会、説明会の開催、関係団体への情報提供などの啓発に努めております。さらに、今後、島根あさひ盲導犬訓練センターに委託をいたしまして、盲導犬に関する啓発活動を行う専門員を配置する予定でございます。県としては、こうした盲導犬の無償貸与や啓発活動を中心に、盲導犬の利用者に対する支援を進めていきたいと考えております。以上でございます。
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