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2011年9月議会一問一答質問

[2011/2/25]
 一問一答質問に立ちました。
 有機農業を中心とした農業問題、水資源問題について取り上げました。
 出だしの勢いで行ったら、途中で時間切れ、途中からネジを巻きました。ぎりぎりで最後まで、冷や汗をかきながら質問を終わりました。
  1. 農業問題について
  2. 水資源対策について
 質疑内容は下記の通りです。それぞれ文字色で私の質問知事答弁関係部長・教育長答弁がわかるようになっています。
  7月から農業の真似事を始めました。自分でやってみて、農業は深遠で想像力が必要だということ、生命の営みに接することは大きな喜びだと実感しています。
 こんな魅力的な仕事になぜ後継者が育たなかったのか?生命を支える仕事が経済論理に組み込まれて喜びや誇りを失い、自信を持って子どもたちに託せなくなったからではないのかと思えます。
 知事は、農業後継者が育たなかった最大の要因は何だとお考えですか?
 また、農業が経済を優先することもあって、飢餓に直面した何億人もの人たちが地球に溢れています。
 農業と経済論理の親和性についてどのような所見をお持ちでしょうか。
 1つは、後継者がどうして育たなかったのかと、こういう御質問でありますが、それはやはり農業とその他の産業の相対的な関係がそういうことをもたらしたというふうに、大きく言えば、だろうと思います。農業に対する需要はどんどん拡大はしないわけでありますけども、戦後の高度成長の過程で近代化、工業化が進みますと、工業製品、テレビでありますとか洗濯機でありますとか自動車でありますとか、そういう需要はどんどん新たに拡大をして、そういう産業が大都市部でどんどん大きくなります。そういう拡大する産業においては、ポストもふえますし、所得も上がりますし、どんどん人を吸収するわけであります。地方にいて、そちらのほうの生活がよさそうだとか、あるいは給料も高い、そういうことになりますと、若い人たちはそういうほうに向かっていくわけであります。もちろん、それにかわって農業のほうもどんどん需要がふえる、それによって値段も上がるというようなことになりますと、農業が自立してやっていける、将来の見通しがあるということになりますと、そこでとどまってやろうということになりますが、そういう相対的な関係が大きく影響したんだろうというふうに思います。
 それから、2番目の経済論理と申しますか、それと農業の親和性の問題について御指摘がありました。難しい問題だと思います。いろんな産業は経済だけではないわけですね。経済というか企業経営といいますか、利益といいますか、そういうことは産業を引っ張っていく、あるいは停滞する大きな要因でありますけども、そういう産業そのものが環境とか、そういう企業経営以外のところに大きな影響を及ぼしているわけであります。水源を守るとか、外部経済という言い方もありますけども、そういう役割も大きく果たしておるわけでありまして、単に経済性だけで物を考えるわけにはいかないという意味でございまして、農業などはそういう要素が非常に大きいと、そういう意味で議員のおっしゃるように、経済論理だけで農業というのを考えてはいけない、そういうふうに考えます。
 ソ連崩壊後、国民を餓死から救ったちょっと大型の家庭菜園ダーチャ。ソ連崩壊にともなって化石燃料の供給激減に直面し、その苦難を乗り越えたキューバの首都ハバナでは、100%無農薬野菜であり、食料自給率は80%という。
 わが国の自給率は、カロリーベースで40%程度。島根の自給率は66%だとのこと。
 この20年間で農地が21%減、就業人口が6割も減った本県農業ですが、その農業人口も高齢者が3/4、経営耕地面積1ha未満3/4、販売農家1戸当たり販売額21.4万円。ここから見えてくるものは、半農半年金農業という姿であり、飢餓からソ連国民を救ったダーチャや、ハバナを想起させる本県農業の一つの姿であります。
 長期的なエネルギー問題などを踏まえ、将来の県民生活を守るためには、本県農業の底流として存在してきた低投入型の自給農業プラスα的な集約型有機農業をしっかり育て、食料自給率ももっと高める必要があると思います。
 まして、特に311を機に経済至上主義的な価値観を見直す動きや、一層食の安心安全を求める意識が高まっているように感じる昨今であります。
 有機農業はとても深遠で、人間力を必要とし、誇りや自信を醸成する農業だと思いますので、静かに進む価値観転換の受け皿としても、持続可能な本県農業を再構築していくための柱として推進すべきだと考えます。
 ただ、農地法改正によってハードルが下がったとはいえ、自給的農業の参入障壁は依然高い。
 島根農業の現状認識、今後、低投入型の自給農業プラスαも本県農業の一つの柱としてしっかり育てることについて、自給的農業の参入障壁問題とあわせ知事の所見を尋ねます。
 島根の農業の状況を見ますと、先ほど御質問にありましたように、担い手が育たない、そういう中で高齢化が進む、さらに農産物価格の低迷ということがあるわけであります。これは需要の拡大とも関連をしとるわけですけども、そういう問題があるということで、引き続き厳しい状況が続いておるわけでありますが、これまでもそういう中で、珍部議員の質問にもありましたが、いい産品をつくって、それを県外に販売をしていく、そういう意味でブランド力のある、市場競争力のある産品、ブドウをつくるとか、あるいはメロンをつくるとか、あるいはトマトをつくるとか、そういったものも各地で進んでいるところもありますが、まだまだ大産地化するということにはなかなかならないわけでありますが、それはロットがやはりそれほど多くない、これはやはり担い手の問題とも関連しておるわけでございますけども、そういう問題があると思いますが、他方で議員が御指摘になりましたように、有機農業を始めとした環境保全型農業に取り組む方々も県内でふえておりますし、若い人たちもそういう自然農法のようなものに参画をしたいという希望を持ってる人も多いわけでございまして、県もこれを進めていきたいということで、農業大学校に有機農法のコースを設けて、それを拡大をするということも今取り組んでおりますし、またそういう中でIターン、Uターンの人たちがそういう分野に活躍をするように、Iターン、Uターンも進めるといったこともやっておるわけでございまして、こういうことをさらに進めていきたいというふうに思います。
 やはり島根はクリーンというのが一つのイメージでありますから、そういうイメージに適合した農業、農産物をつくっていく、これをさらに進める必要があるというふうに思います。
 それから、もう一つの御質問は、議員は小規模な農業をいろいろやられる方もおられると。しかし、半農半Xと、農業を少しやりながらほかの事業で生活をすると、そういうことも可能な時代になっておりますから、そういう小規模の自給的な農業と申しますか、そんなことを推進していくというのも一つの道だろうと思いますけども、御指摘のように、その場合には農地を買ったり借りたりする場合に、一定の面積要件といったようなものがあったり、あるいは生産物を販売するルートの確保などのハードルがありますもんですから、関係の市町、あるいは地域の方々と連携をして、新規の参入者をしっかり支えていく、これも農業におけるUIターン者を活用する、担い手を活用する、そういう事業の中でさらに進めていきたいというふうに考えておるところであります。
 有機農業は持続可能社会の基盤となるものだと思いますが、その歴史は苦難の連続。2006年末、「有機農業推進法」が成立し、日本の農政の中で、推進・実現すべき農業として位置づけられました。
 本県でも「島根県有機農業推進計画」を定め、「環境農業」を進めるに当って、農薬化学肥料3割減の「エコファーマー」、5割減の「エコロジー農産物生産者」、さらに「有機栽培」へとステップアップすることを目指しています。
 こうした目標設定は高く評価されていますが、慣行農法から有機農法に転換し、定着するまでには3〜5年必要と言われており、大きなハードルがあります。有機農業の広がりの現状と今後の対応についてお尋ねいたします。
 県内では30年以上、自給的な有機農業に取り組んでおられる旧木次町ですとか、あるいは旧柿木村の生産グループや、近年ではホウレンソウ等の野菜類を中心に、施設型で大規模な経営を行う青年グループ等、多様な形で有機農業が営まれております。
 平成22年度から農林水産省の委託を受けてNPO法人が行った各都道府県ごとの調査によりますと、島根県での有機農業実践者は、全農家4万4,247戸ございますが、これの1%弱と推計されておりまして、全体としてはまだわずかでございます。このため、県では有機農業を面的に広げることを目指しまして、技術習得、初期投資の軽減、安定した販路確保等に向けた支援を行っているところでございます。
 今年度創設しましたみんなでつくる「しまね有機の郷」事業におきまして、有機農業の試行、これは小面積での試しづくりとか、あるいは先進的な農家での研修、そういったものを支援するとともに、その後本格的な転換に踏み切れば、ハード事業も含めたさらなる支援の仕組みも設けております。こうした取り組みを通じまして、有機農業の担い手育成、取り組みの拡大に努めてまいりたいと思っております。
 推進計画について何点かお尋ねいたします。
 有機農業の現場を回って意見交換を重ねる中で、有機農業の定着・推進の最大の課題は技術と出口だと感じています。
 様々な条件の圃場が有る中で、技術の確立はそんなに容易(たやす)くないなあと思います。病害虫の防除技術、除草等の技術の開発・確立はどのように進められ、現在どの段階まで進んでいるのかお尋ねいたします。
 また、有機農業の相談・指導を行う普及指導員の育成配置はどういう段階にあり、どんな体制を目指しているのか、新たに有機農業に取り組もうとする者が気軽に相談できる市町村窓口設置等の取組状況についてお尋ねいたします。
 これまで取り組まれております有機農業は、実際には作物や地域で評価が異なったり、個々の農家の経験が中心となっているために、同じ栽培を行っても再現性が乏しいというような問題がございました。
 そこで、県では昨年、品目や病害虫ごとに既存技術の組み合わせや栽培実証等をもとに対策を整理しました「有機農業への道しるべ」、技術マニュアルというようなものですが、そういった冊子を作成しまして、現場での技術指導に活用しております。さらに、今後は有機農法を科学的に解明し、生産者が取り組みやすい栽培技術として確立するための研究を進めるとともにし、有機農業の価値を消費者により理解してもらえるようなニーズ開発に努めてまいりたいと考えております。
 それから、普及員の育成の関係でございますが、2006年の有機農業の推進法の制定を契機に、有機農業が徐々に広がってきておりますが、それまでは大学を始め公的機関で有機農業を学ぶ体制ができておらず、農業普及員が有機農業を体系立てて学ぶ環境が整っていませんでした。県ではこの法律に基づきまして、2008年3月に島根県有機農業推進計画を策定しまして、その中で農業普及員の育成に取り組むこととしております。具体的には、毎年度国の有機農業技術研修や、県外の先進農家研修、こういったところに計画的に派遣して、その資質向上を図っております。
 また、来年4月には全国に先駆けて農業大学校に有機農業専攻コースを新設することとしております。そこでの指導者を目指して、昨年から2名の農業普及員が県外の先進農家での長期研修に取り組んでいるところでございます。今後とも計画的な研修を通じまして、農業普及員が有機農業の基礎的な知識、技術を身につけ、各地域で有機農業の相談、指導に対応できる体制を整えていきたいというふうに考えております。
 それから、市町村の窓口でございますけど、先ほどの県の推進計画に基づきまして、有機農業を目指す人が身近に相談できる窓口の設置を市町村に働きかけております。現在10市町村で設置されているところでございます。相談窓口を設置しました市町村の中では、指導職員の講習会を開催したり、職員と有機農業者との意見交換会などが行われております。
 相談窓口の設置は、市町村の有機農業に対する意識向上はもとより、有機農業実践者の拡大につながることから、今後とも未設置の市町村へ窓口の開設を働きかけていきます。
 有機農産物販売を支える仕組みである有機JAS農産物認証は、余程の大規模有機農業者でないとハードルがとても高く、有機農産物販売対策は大きな課題です。
 そもそも、医食同源の考え方からすると、季節にあった地域で取れたものをなるべく新鮮なうちに食べることは、人の健康を守る観点からも、食味の点からも最高の贅沢。
 1970年代から、消費者が安全な食を求めて委託生産する動きが広がりましたが、流通の拡大やネット販売、女性の社会進出などによって、ここ島根では大きな広がりとなるにはいたっていません。
 その中で、柿木村の自給型農業をベースにした提携農業はとても示唆的で、生産者同士、消費者同士をネットワーク化し信頼関係を醸成することによって、安定的な販売による安定経営を可能としています。提携農業は、地産地消を進めることにもなりますし、就職氷河期といわれるような時代に、新たな雇用創出の舞台ともなりうるのではないかと思います。
 提携農業の取り組みを推進することについて、現状と今後の取り組みの考え方をお尋ねいたします。
 生産者と消費者の提携による農業の取り組みは、生活協同組合と生産者との提携というものが主体となっておりまして、具体的には例えば生協ひろしまと、これは邑南町の石見BOX野菜生産者会との間の生鮮野菜の宅配、あるいはグリーンコープ生協、これは福岡市にある生協ですが、こことファーム宇賀荘、これは安来市の団体ですが、との間の有機米等の契約取引といった事例がございます。このほかNPO法人を介した松江市の長江米エコ栽培グループと消費者との提携や、量販店でのエコファーマー専用直売コーナーづくりの事例等もございます。
 こうした取り組みから生まれる生産者と消費者の提携は、相互理解が進み、農産物をコストに見合う価格で安定的に供給できるような仕組みの構築へつながることが期待されるところでございますので、生産者の経営安定や意欲向上に資するものと認識しているところでございます。
 このため、先ほども紹介しましたみんなでつくる「しまね有機の郷」事業では、生産者、消費者あるいは両者をつなぐ流通業者等も含めたネットワークづくりを、県内の民間団体とともに進めておりまして、今後生産者と消費者の提携関係をより強め、かつ広げていきたいというふうに考えております。
 長期に亘って安定的な出口を創出するためには、幼少期からの食育が欠かせないと思います。子どもたちの口から、届きにくい親御さんの再教育にもつながるかもしれません。
 また、県内児童生徒の発達障害の急増が報道されていました。この報道は、実数が増えているという角度ではありませんでしたが、例えば、ネオニコチノイド系農薬がミツバチの激減や発達障害などの発現原因になっているとの研究もあるように、いくらお墨付きがあるとは言え、化学的な物質摂取はなるべく少ないほうがいいだろうと思います。
 そんなことも含めて、安心安全、地産地消の食育の状況と消費者理解の取り組み状況について、教育長と担当部長にお尋ねいたします。
(農林水産部長) 有機農業を含む環境保全型農業につきましては、県民全体の理解を広げていくために、平成19年度から環境を守る農業宣言運動というような取り組みを進めております。これまでにこのような農業を応援しようという消費者から約2,700件の宣言が提出されております。
 消費者の宣言には、安全・安心な県内産の農産物を買いますという趣旨のものが約6割ございます。こういった消費者に対しまして、生産者との提供を呼びかけることにより、地産地消もより一層進んでいくものと考えられるところでございます。
 例えば、昨年度この宣言を行った消費者を対象に、県内4カ所で「環境にやさしい農業」リレー講座を実施しましたけども、そこに参加された消費者が、先ほど紹介しました長江米エコ栽培グループの一員が生産されましたトマトのおいしさに感動し、その生産者のファンになられたというような事例もございます。今後も安全・安心や地産地消への消費者理解を広げる取り組みを行ってまいりたいと考えております。
(教育長) 食育でございますが、幼少期からの食育、大変大切なことだと考えております。現在教育活動全体でも取り組みを進めているところでございます。
 まず、学校におきます食育の目標の一つに、食品を選択する能力を身につけることを掲げております。例えば、この観点から、家庭科等の授業におきましては、小学校から発達段階に応じまして、食品添加物や原材料、期限の表示、残留農薬など、品質や安全性の見分け方について指導をいたしております。特に、調理実習を通じまして、そうした点につきまして正しい知識に基づいて、みずから判断して食品を選択できるような能力、こういったことの育成に務めております。
 また、給食がございますが、学校給食の時間におきましては、栄養教諭が子どもたちに対しまして、農薬や食品添加物のできるだけ少ない安全な食材を使用しているということや、できるだけ地域で生産された食材を給食に取り入れていると、こういったことを説明をし、話をしながら子どもの理解を深めているところであります。
 さらには、給食だよりあるいは給食の試食会、こういったことを通じまして、学校での食育について家庭への情報発信、啓発にも努めているところでございます。今後とも市町村教育委員会、関係部局、関係団体と連携をとりながら、学校での食育の充実に努めてまいります。
 経済重視の慣行農法によって、種はF1が主流となり、地域の風土に合った地域固有の種がどんどんなくなっていると聞いています。有機農業を進めていく上で、地域の風土にあった種の発掘や保存は欠かせない作業だと思います。固有種の発掘とシーズバンクの設置についての考え方をお尋ねいたします。
 有機農業は、化学農薬、化学肥料を使わない農法であるために、栽培期間を通して病害虫の発生を極力少なくすることが重要でございます。そのため、栽培技術はもとより、有機農業に適した種子の選定も重要な要素となります。
 議員御指摘のとおり、有機農業におきましては、地域の風土に合った在来種、議員おっしゃるところの固有種ということでございますが、こうしたものが一般的には適しているということですけども、現在は種子の主流はF1、一代雑種ということですが、であるために、今後有機農業を進めていく上では、在来種の確保が大切になってくるというふうに考えております。
 有機農業を行う人たちの中には、自家採取によりまして地域の風土に合った種子を選抜する工夫や、全国の仲間同士で在来種の交換や保存に取り組んでいる事例もあると聞いております。
 島根県では、これまで農業技術センターにおきまして、ワサビやカブなどの在来種を保存してきましたけども、今後も県内の在来種の情報収集や保存に努めまして、必要に応じて有機農業者が活用できるような体制づくりに取り組んでまいります。
 雲南市の山間地で都会のIT産業界との交流を足場に、半農半ITの取り組みを進めているNPOがあります。なぜ都会のIT業界が?ということですが、うつの最前線で苦悩する業界にとって、心の病が自然や土と触れ合うことによって予防できたり、回復することへの期待感に他なりません。
 自己肯定感の得られる農業は、何らかの障がいのある皆さんとの親和性がとても高いと感じていますし、技術と出口が確立できれば、就労者の工賃アップも期待できるだろうと思います。農業現場での障がい者雇用についての現状と今後の対策について、農林水産部長、健康福祉部長にお尋ねいたします。
(農林水産部長) 本年8月に県内の農業法人等320経営体を対象に、障がい者の雇用実態調査を行いました。回答のあった128経営体のうち、既に障がい者を雇用しているものが8経営体、新たな雇用計画を持つものが4経営体、将来検討したいとするものが10経営体というふうにとどまっておりまして、まだ十分な障がい者雇用には至っていない状況でございます。
 今後、健康福祉部と連携しまして、農業法人等を対象に障がい者雇用に関する研修会を開催したり、農業技術センターにおいて、障がい者が栽培に取り組みやすい作物や作業環境の改善に関する研究を進めながら、農業分野への障がい者雇用がより進むように取り組んでまいります。
(健康福祉部長) 健康福祉部におきましてもこの8月に、農作業が可能な利用者のおられる障がい者支援施設に対しまして調査を行っております。そうした結果を見ますと、事業所内で既に農業を行っている施設が34カ所、事業所外に出かけて農業の実習を行っている施設が9カ所、そしてまた今後実習の希望、やっていきたいという施設が15カ所ということで、調査した約半数が農業への関心があったということでございます。健康福祉部といたしましても、福祉と農業分野の連携は障がい者雇用の促進、また施設の利用者の工賃の向上に効果があるものと考えております。
 こうしたことから、農業現場に対しましては、障がい者の実習を受けてもらうことや、栽培技術の指導をお願いしたいというふうに思っていますし、また逆に施設側のほうからは農業法人などに対しまして、障がい者への指導方法について教えていただくというふうに思っておりまして、今後農林水産部と連携しながら取り組んでまいりたいというふうに思います。
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 次に、地下水等の水資源対策についてお尋ねいたします。
 昨年だったか、北海道の山林を買い漁る外国資本が話題となり、水資源の確保が目的とセンセーショナルに報道されました。
 その後、特に水資源目的ではなかったことが明らかとなったと聞いていますが、化石燃料や地下資源とともに、世界の水資源の枯渇も地球の課題の一つとして考えられるようになってきた昨今であり、豊かな軟水を有するわが国の水資源は、今後大きな価値を生み出す資源として注目されています。
 現に、わが県でも、ガソリンよりも高い水を中国等の市場に売り出す取り組みが始まっています。
 地下水への認識と資源としての価値をどのように評価し、利活用を考えているのかお尋ねいたします。
 地下水は、四季を通じまして水質、水温等が一定しておりまして、良質で安価な水資源として、飲料水を始め洗浄や冷却、空調や融雪、魚の養殖の用水などに広く活用されております。国民生活を支える貴重な資源ではないかという認識をしております。
 県内でも地下水を活用してミネラル飲料水を製造販売する企業も出てまいりました。地域資源を活用した新たなビジネスとして事業が拡大することを期待しております。
 県におきましても、こうした地域資源を活用した新商品の研究開発などを支援しておりまして、わき水ということで地下水なども対象といたしております。今後、地下水の持つ特性を生かしまして、日本酒の製造や、缶やペットボトルなどの飲料水、化粧水等の日用品などへの利活用がさらにふえるだろうというふうに考えております。
 議員御指摘のように、我が国の豊富な水資源については貴重な資源として注目され、地下水も含めた水需要が今後世界的に高まるというふうに思料しております。県といたしましても水ビジネスの拡大に対しては、今後とも積極的に支援していきたいと考えております。
 水資源について、河川等の水資源は水利権によって様々な制約を受けるのですが、地下水は地上権によって規定され、その取水は制約を受けないことになっているようです。
 地下水取水の法的規制と生活用水以外の地下水利用の現状について、過去に地下水をめぐるトラブルなどなかったのかお尋ねいたします。
 地下水の取得の法的規制についてでございますけども、地盤沈下の防止を目的といたしまして、工業用水用の地下水の採取を規制をする工業用水法という法律がございます。また、ビル用の地下水を対象といたしました建築物用地下水の採取の規制に関する法律と、この2つの法律がございます。それぞれ地盤沈下の防止が必要として指定をされた地域が対象となるわけでございますが、島根県内には現在該当がございません。
 なお、同様な地盤沈下の防止を目的といたしまして、県内において市町村が個別に条例を設けまして、例えば干拓地などの特定エリアでの地下水採取を制限をしていると、そういったケースはございます。また、温泉も地下水の一種でございまして、温泉法では温泉の保護等のため、掘削する際には県の許可が必要となっているという状況でございます。
 次に、生活用水以外の地下水の利用状況についてでございますが、島根県のデータといたしまして把握をしておる情報といたしましては、環境省が調査をしておりまして、全国地盤環境情報というものがございます。それによりますと、県内のこれは直近のデータ、平成20年でございますけども、平成20年におけます利用状況でございますが、まず工業用水、これにつきましては、年間1,810万立方メートル、次に温泉でございますが、これが1,590万立方メートル、それと3つ目が消雪用、雪を消すためのものでございますが、消雪用として17万立方メートルということで、この統計によりますと、合計いたしますと県内で3,417万立方メートルという数字になっております。
 次に、過去の地下水をめぐるトラブルについてでございますけども、これも県で特に調査をしたというものはございませんが、承知をしておる範囲で申し上げさせていただきますと、地下水取得によります地盤沈下と、そういった問題が生じた場合には、公害の問題として対応するということとなっておりまして、これから申し上げますと、これまで地盤沈下による地下水のトラブルというものはございません。また、温泉の掘削に伴うトラブルも特に聞いておりません。
 今後、温暖化の進展や過度の地下水利用によって、地球的規模での水資源の枯渇も懸念される中であり、いくら豊富な水資源に恵まれているわが国とは言え、将来に対する何の対策もなしに放置されている現状は大きな問題であろうと思います。
 今後、水資源調査や地下水を守る取り組みなども検討する必要があるのではないかと考えますが、国の動向と県の考え方についてお尋ねいたします。
 水資源の調査につきましては、先ほど環境生活部長が述べたとおり、国において地下水の利用状況の調査が行われていますけれども、地下水の量的な実態、これについての把握は難しいとされております。
 また、平成19年に国土交通省所管の今後の地下水利用のあり方に関する懇談会、これにおいて健全な地下水の保全、利用に向けた提言がなされております。この中で、地下水を守る取り組みについて、地下水の保全、利用に関する計画の策定など、地下水資源のマネジメントを推進する必要性が指摘されておりますけれども、その後国においては特に目立った取り組みは行われておりません。
 いずれにしましても、今後水資源としての地下水につきましては、関係部局を中心に、国や他県の動向を注視してまいりたいと考えております。
 水資源に関連して、小水力発電についてお尋ねいたします。
 先日、高知県で「高知小水力利用推進協議会設立記念講演会 地域報告会」があり、参加してきましたが、せいぜい数十人規模と思っていた会合が200人近く、あまりの熱気に驚きました。
 地球温暖化や福島原発事故を受け、地域自給型のエネルギー対策を進める必要があると考えていますが、エネルギー収支を考えると余程の技術革新がないと決定版ってないような印象です。
 ただ、資源枯渇という時代であっても、可能性としてありそうな一つに小水力発電があるのではないか。まして、8月に再生エネルギー法が成立。詳細はこれからにしても、希望がありそうです。
 小水力発電では先進地といわれる中国地方ですが、わが県の現状はどうなっているのでしょうか。また、降水量に恵まれた本県であり、小水力発電の可能性もあるように思いますが、どのように評価されているのか、地域振興部長にお尋ねいたします。
 水力発電のうち、出力が1,000キロワット以下のものを小水力発電と申しておりますけれども、県内には26カ所設置されております。その総出力は約7,500キロワットとなっております。
 環境省のポテンシャル調査によりますと、この小水力発電の本県におきます資源量は、約6万キロワット程度と推計されています。今のところコストや水利権などの問題もありまして、普及が進んでいる状況にはないというふうに認識をしております。
 しかしながら、議員からも御指摘がありましたけれども、この小水力発電は地域自給型のエネルギーとして、全国的に関心が高まっていると承知いたしております。今後、農林水産部など関係部局と連携をとりつつ、研究を進めていきたいというふうに考えております。
 高知県では、地域の資源は地域でしっかり活用しようと、県を挙げて可能性調査が行われ、本格的な取り組みを模索していました。
 今後、協議会などを設立し、推進していくお考えはないのか知事にお尋ねいたします。
 議員御指摘のように、小水力発電は、小河川でありますとか渓流でありますとか、あるいは農業用水路などを活用して、比較的簡易に設置ができるわけでありまして、環境に与える影響も小さいといった利点もありますし、地域の資源を活用すると、もちろん議員御指摘のように、エネルギー収支がどうかという問題はございますけども、技術進歩とともにそういう問題が克服されていくでしょうから、これを島根の地域資源の大きな一つとしても活用していくべきだろうというふうに考えております。
 また、小水力発電は場合によりますと地域の方々が協働して管理をされるとか、あるいは公民館といったような共用施設の電源に活用されるといったようなことになりますと、そういう小水力発電事業を通じて、地域の方々がさらに協力をし合うとか、交流を深めるとかといったような副次的な効果もあるわけでありまして、農山村のコミュニティー活性化の事業として考える可能性もあり得るんではないかなあというような想像もしておりますけども、現在県の取り組みとしましては、大きく言って2つありまして、若手職員に夏ごろから、日本全体を含め、エネルギー確保、エネルギー政策といったものをどう考えたらいいのかという勉強をしております。そういう中で自然エネルギーの活用についても勉強しております。他県の状況などもよく見てもらいたいと言っているところでございまして、そういう成果を活用したいと思います。
 また、関係部局いろいろありますけども、関係部局にもどういうことが可能なのか、調査研究を開始してもらっておりますから、来年度にかけて、そういう成果を活用するような施策なども検討してまいりたいというふうに考えておるところでございますし、今後の問題として、やはり各市町村でもそういう取り組みをされておられる、あるいはされようというところもあるわけでありますから、市町村等とも連携をしながらやっていきたいというふうに思っているところであります。

 

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