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2014年6月議会一般質問

[2014/8/16]
 大きく3点について取上げました。
 その質疑の中から、二つの問題を新聞で取り上げて頂きました。
 一つは、戸籍や住民票を代理人や第三者に発行した場合、事前に希望した人に発行内容を知らせる制度を、未導入の市町村に今後も働きかけるという県の方針。
 もう一つは、「引きこもり支援充実 来年度 地域センター開設へ 県方針」という記事です。
 質問を通じて県の施策が前進する、ありがたいですね。
 このことについては、6月27日のブログに紹介しています。

  1. 人権問題について
  2. 引きこもり対策について
  3. 教育問題/子どもの体力向上について
  4. 教育問題/学校図書館活用教育について
  5. 教育問題/学ぶ力、学びの意欲について
 質疑内容は下記の通りです。それぞれ文字色で私の質問知事答弁関係部長・教育長答弁がわかるようになっています。
 第一に人権問題についてであります。
 先日、米子の女性から、島根県の人権対策はおくれている、このように指摘をされることがありました。自分の人権意識は人後に落ちない、このように思ってきましたけれども、改めて問われてみると本当に誇れるのか、深く考えようとしてこなかったこと自体に人権問題の根っこがあるかもしれない、このように思いました。
 我が国固有の人権問題として同和問題がありますけれども、固有であると同時に、我が国の人権問題を語る上で極めて象徴的であろうと思います。
 日本国憲法の理念である基本的人権にかかわる問題である部落差別問題の解消を目的とした同和対策事業特別措置法は、その目的の多くは達せられたとして、2002年3月末で失効いたしました。島根県では2007年度から同和対策事業を終了し、一般対策へ移行いたしました。
 その女性からは、同対事業が終了して今も残る、部落差別を背景とした職場での心ない発言で深く傷ついた事例や結婚にかかわる問題など、今もって存在する根強い差別の実態をお聞きいたしました。
 2013年11月に起こった戸籍謄本等の不正取得時点では、運動団体の独自の調査によると、島根県内でも2012年には少なくとも20件、2013年には同様16件の戸籍の不正取得があったとされていますが、それだけのニーズが存在することに驚きます。とはいえ、2011年に行われた県民意識調査では、自分の子どもが同和地区の人と結婚しようとしたとき結婚を認めない、親としては反対との答えが3分の1以上を占める現実に、むべなるかなと思います。
 また、本県の結婚問題に関する周囲の反対や身元調査が起きているとする意識は、内閣府による全国調査に比べ大きく上回っております。同和対策事業を終了し、一般対策へ移行して7年、今もって担当課名称に同和を使用する本県でありますけれども、同和問題に関する現在の県民の人権意識について所見をお尋ねいたします。
 島根県は、満20歳以上の県内在住者を対象に、人権問題に関する県民意識調査を実施しております。直近の調査は平成23年、その前が平成16年であり、調査の規模としては、平成23年調査は2,000人を対象に実施し、回収率は53.1%、平成16年調査は3,000人を対象に実施し、回収率は54.8%です。
 同じ調査項目について平成16年と平成23年を比較いたしますと、次のとおり変化しております。結婚相手を決めるときに相手方の身元調査をすることは間違っていると思うと回答した人の割合は、40.2%から60.8%へ20.6ポイント増加しております。また、同和問題について現在どのような人権上の問題が起きていると思いますかという設問に対し、結婚問題で周囲が反対するとの回答が、63.9%から59.5%へと4.4ポイント減少、身元調査をするとの回答は、45.0%から40.3%へ4.7ポイント減少、差別的な言動をするとの回答は、24.4%から27.3%へ2.9ポイント増加、就職、職場で不当な扱いをするとの回答が、21.9%から22.8%へ0.9ポイント増加という結果になっております。
 結婚相手の身元調査は間違っていると考える県民は増加しておりますが、依然として6割近い県民が、結婚に関する人権問題は起きていると認識していることがうかがわれます。さらに、結婚問題以外の差別的な言動、就職、職場での不当な扱いが微増していることもあわせて考えれば、同和問題は解決に至ったと言えるような状況にはないと受けとめております。
 1997年、島根大学に在籍していた竹村一夫講師が著した「現代日本の人権感覚と差別意識−意識調査結果からみた意識構造」という興味深い論文がありました。この論文は1994年、他県のある都市で行われた意識調査を解析したものですけれども、その中に被害者非難の感覚や排他主義的な感覚、部外者的感覚を年齢層で解析した箇所があり、その結果は年齢が高いほど差別意識が強くなり、これと反対に若年層ほど他人事になっているとされております。県民意識調査の同和問題の解決に対する考えに対する問いでは、よく考えていないが特に20代でふえているとの結果で、若年層の問題意識の希薄化が進んでいるとされております。被害者非難の感覚や排他主義的な感覚に関してはどのようになってきたのか、気になるところであります。
 同和問題に関する世代層による意識の現状についてお尋ねいたします。
 平成23年の県民意識調査の結果を年齢層別に見ると、結婚相手を決めるときに相手方の身元調査をすることは間違っていると思うと回答した人の割合でありますが、30歳代で75.6%と最も高い割合を示しており、年齢層が高くなるに従って、間違っていると思う人の割合が低くなります。また、同和問題の解決に対するあなたの考えはどうですかという設問に対して、よく考えていないと回答した人の割合は、20歳代で43.1%と最も高くなっており、年齢層が高くなるに従って、よく考えていないという人の割合は低くなる傾向がございます。
 この2つの設問に対する年齢層別の回答状況は、平成16年の県民意識調査におきましてもおおむね同様の傾向が認められます。このように、同和問題に対する県民の意識には、年齢層による違いがあると推察されます。このため、この違いの背景、要因を分析し、今後の啓発、教育に反映していくことが求められると考えております。
 同和問題を始め過労死、ブラック企業、ヘイトスピーチ、ポジティブアクション、DV、いじめ、その他さまざまな人権に関する重い課題を持つ我が国の現状について、日本の人権は今や危機にさらされているというべき状況ですと指摘する声がありますが、東京都議会のやじ発言は、その現状を端的にあらわすものではないでしょうか。
 本県では、共生の心の醸成、人権という普遍的な文化の創造という基本理念を掲げ、各人権課題に対する取り組みを進めていますが、これまでの人権施策は成果を上げてきたのか、県民意識はどう変わったのか、現状と課題を環境生活部長にお尋ねいたします。
 県民意識調査から成果指標と言えるような調査項目を拾い出しますと、差別や人権侵害を受けたことがありますかという設問がございます。差別や人権侵害を受けたことがあると回答した人の割合は、平成16年の32.7%から平成23年には27.2%へと5.5ポイント減少しております。この数値の改善には、国や地方公共団体がさまざまな人権課題の解決に向けて、各種の人権施策を積み重ねてきた成果が反映されていると見ることができると考えます。
 しかしながら、差別や人権侵害を受けたことのある人が、依然として県民の4分の1を超えるという現状は、決して楽観できるものではなく、むしろ重く受けとめる必要がございます。人権問題に関するこのような厳しい現状から解決に向けて前進していくためには、新たな人権課題も含め、さまざまな人権問題に対処するための広報、啓発を着実に進めるとともに、基本的な人権意識の向上を促すための人権教育を継続していく必要があると考えます。
 また、啓発、教育のあり方についても改善を図っていく必要があると思います。まず、啓発、教育事業の参加者をふやしていく必要があります。例えば、公民館など社会教育の現場の協力を得る方法や、商工団体等に支援を要請することも検討してみたいと考えます。
 また、啓発、教育の方法論としての従来型の講義型研修に加えまして、参加型、体験型の教育プログラムを開発するなど、気づきを促す方法論を再構築していくことが重要であると考えます。このような改善方策の具体化を通じて、今後とも人権問題の解決に向けて努力してまいります。
 ネットなどのメディアリテラシーやいじめなど多くの人権課題を抱えるとともに、若年層の問題意識の希薄化問題など、教育現場への期待は高まりこそすれ、低くなる気配はありません。さまざまな教育課題のある中での人権教育の取り組みの現状と評価、今後の課題について教育長にお尋ねいたします。
 島根県教育委員会では、島根県人権施策推進基本方針及び人権教育指導資料に基づき、これまで人権教育を推進してきました。学校においては自分や他の人を大切にする気持ちを育て、望ましい人間関係を築いていこうとする意欲を高めていく取り組みを行っています。また、各教科、道徳の時間などでさまざまな人権課題に対する理解を深め、人権問題を解決していこうとする意欲や態度を育てる取り組みなどを行っています。
 こうした取り組みの中で、子どもたちの人権に関する知的な理解は深まってきていますが、さまざまな問題に対して主体的にかかわっていこうとする態度が十分に身についていないという課題があります。また、近年いじめの問題、インターネットによる人権侵害などに対する取り組みが急がれています。
 このような課題を踏まえ、ロールプレーなどでの具体的な体験や高齢者、障がいのある人との交流などを通して、人権の大切さを実感させていく教育活動の充実を図り、指導方法の改善を進めてまいります。
 2005年から2008年にかけて行政書士等による戸籍等の不正請求事件が相次いで発覚したことから、2008年、不正請求防止のために戸籍法、住民基本台帳法の一部改正が行われました。しかし、その後のプライム事件の発覚などから、戸籍謄本等交付事務にかかわる本人通知制度を導入する自治体の動きが広がっています。本県でも大田市を始め1市3町で導入されております。対症療法でありまして、本質的な同和問題の解決につながるものではありませんけれども、関係者の人権を守るためには、他市町村へ広がってほしいものと思います。所見と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 この制度は、戸籍謄本等を本人以外へ交付した場合に、市町村が本人に対してその交付の事実を通知するものであります。この制度により、第三者への交付を知った本人は、個人情報保護条例に基づきまして誰が戸籍謄本等を請求したのか、市町村に対して交付申請内容の開示請求をすることができます。この一連の手続によりまして、不正目的の請求が発覚することが期待されますので、この制度は抑止力になると考えられております。
 県では市町村に対しまして、この制度の内容や導入に向けた準備スケジュール、全国的な導入状況等についての情報提供を行い、県内市町村の検討を促しております。今後とも市町村への働きかけを継続してまいります。
 人権は、西欧近代化の中で育まれてきたとともに、民衆がかち取ってきた権利であると言われております。我が国の人権について、人権教育啓発推進センターのウエブサイトには、日本国憲法でも人権に関して世界人権宣言とほとんど同じ内容を定めています。人権は、私たちの日常生活の一番基本のルールと言えるでしょう。しかし、ともすれば私たちは人権はややこしい、難しいものと思っているのではないでしょうか。そのため、私たちの日常生活ではまだまだ定着していないようですと書かれております。
 日本国憲法は、世界に誇るべき憲法でありますが、私たちがかち取ったものではなく、ある意味では与えられたものであります。同様に、人権感覚の薄弱さもかち取ったものではないからと語られております。知事、日本人の人権意識と県民の人権意識をどう見ていらっしゃいますか。また、今後どう取り組むべきと考えですか、お尋ねいたします。
 まず、日本人の人権意識、県民の人権意識、今後の取り組みについての御質問でございます。
 日本におきます人権意識は、戦後日本国憲法において基本的人権が保障され、それによって前進をしてきているというふうに思います。戦後70年近くにわたりまして、この日本国憲法に基づきまして、国や地方公共団体によってさまざまな人権課題の解決に向けての施策が積み重ねられてきました。このような取り組みによりまして、人々の人権に対する意識は高まってきていると思います。
 しかし、議員御指摘のとおり、人権に関する問題は全て解決する状況にまでは至っておりません。また、議員御指摘のとおり、新たな人権問題も出てきておるわけでございます。したがいまして、今後とも引き続き人権問題の解決に向けて、国、地方自治体、国民各界各層において努力していかなければならないというふうに考えております。
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 第2に、ひきこもり対策についてであります。
 先日、ひきこもり当事者とその家族、支援する皆さんが集まられた会に参加する機会がありました。従来の不登校が入り口となってのひきこもりから、職を失って引きこもる方がふえ、ひきこもりの初発年齢の上昇と平均年齢の上昇によって、高齢家族が途方に暮れる様子など、より深刻化する状況がありました。
 一方、問題の性格上、支援の手が届きにくい現状があること、当事者の方から、行政支援はほとんどうまくいっていない、それは机上で考えたことだから。目標やゴールを当事者以外が決めているから、余りに障壁があり過ぎて出られないとの言葉は胸に刺さるものでした。
 本県では、昨年末ひきこもり等に関する実態調査が実施され、今年3月には報告書が出されております。調査は民生委員・児童委員に対するアンケートという手がたい方法で行われておりますが、実態把握できた15歳以上の該当者の総数は1,040人、人口当たりでは0.15%となっております。2010年の内閣府の調査では、15歳から39歳までのひきこもりの人数は全国で約70万人、島根県では約3,000人と推計されていましたが、他地域、例えば町田市保健所の調査では、20歳から65歳人口の5.5%という数字が出ており、実数としては100万人を下らないだろうと指摘する専門家もあります。
 また、男女のバイオロジカルな差はないとする専門家の意見があるのですが、どんな統計でも男性が7割以上となっております。県の調査でも10代の該当者は男女拮抗していますが、年齢が上がるにつれて男性が多くなり、全体では男性が7割以上という調査結果であります。女性の場合、家事手伝いというのが死語となっていないことから、実数として把握しづらいという指摘もあります。
 この調査の1,040人という数字は問題を矮小化してしまわないかとも思えるのですけれども、行われた調査結果について、その概要と所見をお尋ねいたします。
 この調査は、県内の民生委員・児童委員に対しまして、15歳以上のひきこもりの状態の人について行ったものです。民生委員・児童委員2,009人のうち1,632人から回答がございました。回収率は81.2%です。その結果、ひきこもり状態の人は総数で1,040人、年代別では40歳代が最も多く、40歳以上の人が全体の約53%を占めました。ひきこもりの期間は5年以上が半分以上、約57%で、年齢が高くなるほど長期化する傾向が見られます。
 支援の状況は、何の支援も受けていない人が最も多く、ひきこもりに至った経緯としては、わからないが最も多く、次いで本人の疾病、性格など、失業、不登校の順に多うございました。この集計数値は、あくまで民生委員・児童委員が把握している範囲のものでございますが、今回の調査によりまして、若者だけではなく、幅広い年代にひきこもり状態の人がいることが確認できました。
 本県では、行政機関やNPOなどによって、各種の相談対応あるいはひきこもり本人の居場所の提供や就労支援、家庭訪問などの支援を行っていると承知しておりますけれども、調査では何の支援も受けていないとする回答が43%であります。複数回答でありながら、総数では9割ですから、支援の難しさを示していますし、捕捉されていないかもしれないグレーゾーンも含めれば、問題の深刻さは表面にあらわれている以上のものではないかと思われます。
 このように困難な当事者や家族への支援でありますが、現在の支援対策の概要と評価についてお尋ねいたします。
 県では、精神保健の専門機関である心と体の相談センターが、家族などからの相談への対応、家族教室の開催、思春期、青年期のひきこもりの人に居場所を提供することなどを実施しております。また、各圏域の保健所でも家族などからの相談対応に当たっているほか、状況に応じて家庭訪問も実施しております。
 市町村では、7つの市町で困難を有する子ども、若者を対象とした総合相談窓口が設けられ、ひきこもりに関する相談員の対応もここで行われております。このほか、しまね若者サポートステーションやNPO法人などでも相談や居場所づくり、就労体験などの取り組みが行われております。これらの取り組みは、いずれも若者を中心としたものでございますが、今後は支援の対象を中高年齢層まで広げていくことが必要と考えております。
 前述の会での当事者の意見を紹介いたしましたけれども、この会の呼びかけ人となった、ジャーナリストで当事者の支援活動を行っている池上氏は、ひきこもりフューチャーセッションやひきこもり大学、シェアハウスなど当事者とともに活動をされております。池上氏のお話や当事者の意見を聞き、当事者のネットワーク構築や当事者の意見を反映させた施策の立案、推進が不可欠だと思いました。
 あわせて、相談や支援の体制をより見える化できるひきこもり地域支援センターの設置や、ひきこもりサポーター養成研修や派遣事業の実施が必要だと思います。当事者の意見を反映させた施策の立案推進、ひきこもり地域支援センターの設置、ひきこもりサポーター養成研修や派遣事業の実施について所見をお尋ねいたします。
 今回の調査結果から、中高年齢層のひきこもり対策、またより相談しやすい体制の構築、早期に専門的な見立てや医療につながる仕組みづくりなどの必要性が浮き彫りになりました。このため、知事がお答えしましたように、ひきこもりに対する専門的な相談支援機能を有し、関係機関との連携の中核となる、ひきこもり地域支援センターの設置に向けた検討を進めてまいります。
 また、ひきこもり状態にある人から直接意見を聞くことは困難な場合も多いため、当事者の集いや保健師等が家庭を訪問した際に、必要な支援を把握するように努めてまいります。さらに、過去にひきこもりを経験したことのある人やその家族を、ひきこもりサポーターとして養成し、現在ひきこもり状態にある人やその家族のもとに派遣する取り組みも実施したいと考えております。
 引きこもる子の親に対する気持ちは、恨み半分、感謝半分と指摘する専門家がありますが、どうしていいかわからず、つい傷つくような言葉を投げかけ追い詰めてしまう現実があります。一方、当事者は社会や誰かの役に立ちたいと切実に願っていると池上氏は言っております。
 親子という視点を離れれば、解決への扉が開くと言われるように、親や家族が当事者への言葉かけや行動を学ぶプログラムや家族サロンなどの対策が必要と思います。所見をお尋ねいたします。
 ひきこもり状態にある人がその状態から脱するためには、周囲の理解と支援が不可欠です。中でも最も身近な存在である家族の役割は、本人への影響の大きさから極めて重要であります。しかし、その家族もまた当事者をめぐり大きな心理的不安を抱えているものと思います。
 このため、県では心と体の相談センターにおいて、先ほど触れました家族がひきこもりの人の心理の理解や対応方法について学んだり、他の家族と共通の悩みを分かち合うことで不安を軽減することなどを目的とした家族教室を開催しています。この家族教室は、これまで東部、西部各1カ所で開催していましたが、今年度からは身近な地域で参加することができるよう、県内7圏域で開催していくこととしております。
 農福連携への取り組みが広がっています。障がいのある皆さんと農業の親和性はとても高く、知的障がいが大きく改善したという話も聞きました。うまくマッチングできれば、ひきこもりと農業などとの連携の可能性は大きいと思いますが、ひきこもりと体験的就労をマッチングさせる支援策は脆弱ではないかと思います。実情と支援の考え方についてお尋ねいたします。
 当事者がひきこもり状態から脱するために必要なこととしては、生活習慣を整えること、他者とのコミュニケーション力を高めること、学校や職場などの集団生活への対応力を強化すること、就労に必要な技能を習得することなどがございます。
 これらを実践の中で体得する機会として、職業体験は極めて有用と考えております。中でも議員御指摘の農業は、自然と触れ合いながら作業の成果を体感できるという特徴がございます。これまでも困難を抱えた若者に対して、NPO法人などが自家製野菜を使った総菜づくりや、牧場での馬の世話などの体験を通じて社会への参加を後押ししておりまして、県もこうした活動を支援してまいりました。
 今後は、ひきこもり状態にある人に対しまして、農業も含め一人一人の状況に合った体験的就労の場が提供できるよう、マッチング支援のあり方についてよく考えてまいりたいと存じます。
 人口減少と労働力不足という問題に直面する本県であります。ひきこもり対策を充実させることによって、地域社会を支える一角が担っていただければ、投入コストは十分見合うと思いますし、何より社会や誰かの役に立ちたいという願望がかなえられれば、より豊かな島根の構築につながるだろうと思います。
 というものの、ある関係者は、当事者への支援はとことん寄り添い支える姿勢が必要です。しかし、支援人材を育てるのは困難、もともとそういう素質がないと無理ですとおっしゃっていました。それほど難しい問題でもあります。
 ひきこもり問題に対する知事の所見と、支援充実への思いをお尋ねいたします。
 次に、ひきこもり問題についての御質問でございます。
 議員御指摘のように、今回実態調査が行われたわけでございますが、ひきこもり状態の人が、中高年齢層も含め幅広い年齢層で広がっているということがわかってきました。ひきこもり対策は、これまで若者世代を中心として行ってまいりましたが、中高年齢層まで広げていく必要があると認識をしているところでございます。御家族の方々も高齢化をし、先行きに不安を感じておられる方も多いと思います。市町村ごとに家族などが相談できる窓口をよくわかるようにし、その周知を図っていくことは大事だと思います。
 また、都道府県、政令市等に対する国の補助事業として、ひきこもり本人や家族の相談の支援を行うひきこもり地域支援センターがございます。他の府県等でも設置がされてきておりますが、私どもにおきましてもその設置について検討していく考えでございます。
 いずれにしましても、県としましては、世代を問わずひきこもりの方々が社会に参画をし、社会を支える一員としての役割を果たすことができるよう、支援をしていきたいというふうに考えておるところであります。
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 第3に、教育問題についてであります。
 最初に、子どもの体力向上についてであります。
 さきの2月議会で、妊娠、出産を取り巻く課題について取り上げましたけれども、生活様式の変化から体ができていないため、通常分娩はほとんどなくなってしまったという、ある助産師の話は本当にショッキングでありました。
 この春、2つの中学校の入学式に参列させていただきましたが、きちんと立っていられない、座る姿勢が極めて悪い新入生が相当数目につきました。不潔だからとはいはいさせない親がいる、剣道教室で蹲踞できない子どもや、ミニバスケットできちんと立ち続けることができない子どもなどの話を聞いていましたので、なおさら気になったところであります。
 先日訪ねた保育園では、園庭の裏山の斜面で泥んこになりながら何度も何度も滑りおりる園児の姿がありました。子どもはこんな環境が大好きなんだなと思います。しかし、このような姿をめっきり見なくなりました。
 最初に、子どもの体についての現状認識と課題についてお尋ねいたします。
 最近の子どもは転びやすい、起立姿勢が長くできないなど、体の動きを調整する能力が低下していると言われています。この原因としては、外遊びの機会の減少や少子化による仲間の減少など、日常生活の中で体を動かす機会が少なくなったことが考えられます。
 文部科学省の体力・運動能力の調査によりますと、子どもの体力、運動能力は昭和60年ごろから低下傾向が続いており、島根県においても同様の傾向が見られます。島根県の子どもたちの体力調査の詳細を見ますと、筋力や柔軟性の指標となる握力、上体起こし、前屈で全国平均値を下回っています。このため、子どもたちが学校や家庭生活において積極的に体を動かす機会をつくっていく必要があると考えております。
 また、調和のとれた食事、十分な睡眠といった基本的な生活習慣を身につけることも、体力を向上させる上で重要であると考えております。
  先般、児童生徒の体力向上の取り組みの調査に県内外の学校を幾つか回り、体育の授業などを見せていただきました。そこでは個人差がとても大きいものの、地道な取り組みを続けている学校の児童生徒の基礎体力は着実に上がってきていると感じました。このような取り組みを着実に実践してきた先進校、松江市立中央小学校5年生の親御さんは、入学時には校庭で遊ぶ子は誰もいなかったのに、今ではとてもにぎわっていますとおっしゃっておりました。学校では、体幹ができることによって授業に集中できるようになり、成績も向上しているとお聞きしました。心と体は同時に育つものだと実感いたしました。
 県の肝いりで始まった子どもの体力向上支援事業の成果と取り組みの広がり、今後の課題についてお尋ねいたします。
 子どもの体力、運動能力を向上させるため、平成24年度から子どもの体力向上支援事業を実施しております。主な取り組みとしては以下のとおりです。
 1つには、各小中学校が策定した体力向上推進計画を効果的に実践するため、全ての小中学校に体育専門指導主事が訪問し、指導しています。2つ目には、実践研究を行う体力向上推進モデル校として5校を2年間指定し、その成果を広く紹介しております。3つ目には、子どもが気軽に運動に親しめるよう、レクリエーション協会との連携により事業を支援しております。
 こうした取り組みにより、みずから遊ぶ、運動する子どもたちがふえてきております。また、体力テストにおいても小学校の上体起こし、前屈でわずかながら向上している結果が出ております。
 今後は、子どもたちが身につけた基礎的な動きを適切に次の段階へ発展させていくため、一貫性のある指導を行うこと、また授業以外においても運動時間、運動量を確保することが課題であります。こうした課題に対応するため、保育所、幼稚園、小学校、中学校が連携を強化した授業モデルの研究の実施、放課後や昼休みを活用した子どもが親しみやすい運動プログラムの提供などを支援し、子どもたちが運動に親しむ資質や能力を身につけることで、生涯にわたって心身ともに健康で明るい生活が送れるような取り組みを推進してまいります。
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 次に、学校図書館活用教育についてであります。
 学校図書館法による根拠規定がなかった、学校図書館に勤める学校司書等と通称されてきた学校職員について、初めて学校司書として法制化する学校図書館法改正案が超党派で提出され、20日の参院本会議で可決成立いたしました。ある意味、画期的とも言える学校司書の法制化であり、今までさまざまな呼称があった学校図書館の職務に従事する職員は、学校司書と位置づけられました。しかし、その設置はあくまで努力規定であり、2項に定められた学校司書の資質の向上を図るため、研修の実施その他の必要な措置も努力規定となっております。
 また、司書資格については、学校司書としての資格のあり方、その養成のあり方等について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとありますけれども、専門家の中には、資格は現状をできるだけ尊重するようにつくるので、どうしても低いところに合わせがち、待遇改善だけでも何とかならないものか、資格ができても司書のように非正規、低賃金が目に見えていますと、至って悲観的な見方があります。
 私は、この法制化には複雑な思いがありますけれども、これまで各地で学校図書館現場と活用教育の授業を見せていただきましたけれども、学校司書に一番必要な資質は、子どもや教師との信頼関係を築ける人間力であろうと思います。その上での資格であろうと感じてきました。
 その上でのことでありますけれども、せっかくの超党派での法制化、地方自治体の学校図書館施策を一層充実させる端緒にしたいものであります。
 関連するところでは、法制化を機に県立大学松江キャンパス総合文化学科での司書養成課程充実を要望する意見もあり、4大化検討の中での一つの課題かとも考えます。知事の学校図書館法の一部改正に対する所見と、この法改正を今後の本県施策にどう生かしていくお考えか、お尋ねいたします。
 次に、今般改正されました学校図書館法の一部改正する法律についての御質問でございます。
 この法案の内容は、学校司書の配置や資質向上のための研修等につきまして、努力義務を明確にするものでありますが、島根県におきましては以前からこうした問題に取り組んでおりますけども、その方向と合致しているものでありまして、喜ばしいことでございます。
 県では、学校司書等の配置の支援や司書研修の推進などにより、県内全ての公立学校で人のいる学校図書館が実現し、子どもたちにとって居心地のよい図書館になり、たくさんの子どもたちが訪れるようになっていると思います。この法改正によりまして、一層学校図書館活用教育の機運が高まることを期待をしております。
 これを背景に、子どもたちが本に親しむことのすばらしさを知り、考える力を伸ばしていくように、学校図書館活用教育の取り組みを着実に進めていく考えであります。
 学校司書配置が始まって5年、着実な成果と取り組みが広がる一方、一部にマンネリ化を懸念する声も聞かれます。そんな課題意識を持ちながら今月初め、学校図書館活用教育研究事業の指定校である安来市立広瀬中学校にお邪魔いたしました。関係者からは、子どもたちの読むスキルが着実に上がっていると聞きました。貸し出しも4月からの2カ月の平均が1人7冊、学校図書館が子どもたちに着実に定着しております。
 公共図書館の司書の方は、子どもたちの発表する力が着実についてきている、教頭は、短時間で調べる、まとめる、発表する力がついてきている、あとは成績にリンクできたらとおっしゃっておりました。改めて県事業5年の蓄積は大きいと感じたところであります。
 中学校での学校図書館活用教育は特に難しいと思いますが、広瀬中学校では情報活用スキル指導の年間計画をもとに、国語や総合だけではなく、あらゆる科目を網羅して使う計画になっています。研究事業の成果が楽しみであります。
 ただ、体制を整え定着したと思える先進校であっても、人がかわるとレベルの維持は困難で、極めて属人的と思える教育の世界であります。さらに、マンネリ化の懸念であります。
 先日、学校図書館活用教育支援事業として、学校図書館機能アップ支援業務委託に取り組む大分県を訪ねました。属人的になりがちの学校図書館活用教育ですが、民間ノウハウを活用し、学校図書館診断と改善プランに基づき課題の改善に取り組みつつ、授業とも連携を図ろうとする事業でありました。単純比較すれば、今までの蓄積もありますので、本県の研究事業はすぐれているとも思いますけれども、広瀬中学校でも課題と思えることも、こうした手法で相当支えられるのではないかと思いました。何よりマンネリ化を脱することや、取り組みのおくれている学校の底上げによる平準化に効果を発揮できるのではないかと思いますし、次の5年の取り組むべき課題ではないかと思いました。
 学校図書館活用教育研究事業の目指すところと指定校の取り組み状況、いまだ課題のある学校の底上げによる平準化について所見をお尋ねいたします。
 この研究授業は、子どもたちの学びを深めていくために各教科で図書館を活用した授業について研究し、具体的な指導計画として成果をまとめることを目的としております。県内の小中学校14校を2年間研究校と指定し、司書教諭支援のための非常勤講師を配置するものであります。
 指定校は、現在1年目の研究として課題設定の仕方、参考資料の使い方、情報の取り出し方、まとめ方などの技術を身につけるための指導などを各学年で実施するとともに、年間指導計画を作成しています。
 また、近隣の学校に呼びかけて授業公開を行い、その授業検討会の中で図書館活用教育の工夫、改善について意見交換することで、指定校を拠点とした地域全体の学校の図書館活用教育の質の向上を図っております。こうした指定校のすぐれた事例を県内小中学校に広げることで普及を図り、学校図書館活用教育の推進に課題がある学校の取り組みを支援してまいります。
 教育問題の最後に、学ぶ力、学びの意欲についてであります。
 今、教育現場ではシラバスが示されることが当たり前のようになってきました。義務教育でも特に情報活用スキル指導などでは、授業の目当てとそこに至る内容が示されているようです。子どもたちは、きょうの授業はどんな目的を持ち、どう進められるか予見しながら学べ、スキルを身につけるには秀でた取り組みだと考えてきました。広瀬中学校の授業もシラバスが示され、授業の流れに沿って段階ごとに要点を記入するワークシートが配られました。しかし、自分のノートではなく、与えられたワークシートというところが非常に気になるところであります。
 ある学校の学校図書館を活用した情報活用スキル指導の先進的授業を見学した際、御一緒した大学の先生が、スキルは高いけれども、子どもたちに喜びの表情がない、これがすごく気になるとおっしゃっていたのが心に残っております。
 思想家で神戸女学院大学教授の内田樹氏は、教鞭をとる神戸女学院の成り立ちについて、学びたいというニーズがあって学校ができたのではなく、教えたいという人がいて、学びたいという人があらわれた。最初の生徒は7人、何を学びたいかではなく、説明できない何かありそう、何だかわくわくしたから入学したんだろうと。また、義務教育について、ほとんどの学生は教育を受ける義務があると誤解している。憲法の規定は、親が子どもに教育を受けさせる義務があるということなのに、権利を義務と勘違いしている。教育の原点は、学びたいという欲望が抑えがたくあるというのが前提のはずなのに、誰もそう考えていない。子どもは誰も勉強したくないはずだという予断があるから、どうやってだましたりおどしたりしてやらせるかを技術的に考えている。話が完全に逆転していると。
 先生は、日本人の学ぶ力が劣化し続けているのは、学びによる報酬を約束することによって先駆的に知る力、開発の重要性を閑却してきたからだとしております。学びの意欲は、ここには何かありそうだという抑えがたい思いや、憧れるような先生の姿に支えられているのかもしれません。
 報酬を約束する教育と学びの劣化についての所見、本県児童生徒の学びの意欲は那辺にあるのか、高めるために心がけている点をお尋ねいたします。
 報酬を約束する教育が学びの劣化を招いているかどうかは、検証することが難しい問題であると考えております。また、学びの意欲の要因はさまざまであり、一人一人異なっているものと考えます。
 学びの意欲を高める中核になるのが日々の授業であり、そのために次のような点を心がけて授業づくりを進めています。
 1つには、身の回りの生活や地域とのかかわりを通して学習できるようにし、知的好奇心を高めること、2つ目には、基礎的、基本的な知識、技能の確実な定着を図り、わかる喜びを実感できるようにすること、3つ目には、実生活、地域、社会や将来とのかかわりを通して、学ぶ目的や意義を理解させること、4つ目には、児童生徒が学習の見通しを立てたり、学習したことを振り返ったりすることを計画的に取り入れ、自主的に学ぶ態度を育むこと、5つ目には、児童生徒の取り組みを適切に評価し、達成感や充実感を感じることができるようにすることであります。
 今議会で、指導力のない教師の研修が取り上げられました。それも本当に必要であると思いますが、教師本人の内発性によって、子どもたちが憧れる先生に変われるかどうかこそが問題ではないでしょうか。今、課題のある先生方に参加していただき、誰にでもできる取り組みだけれども、すばらしい教育効果を上げている身近な先生の話を聞く、あこがれ先生プロジェクトという取り組みが全国に広がっているそうであります。参加した課題のある先生方が、自分たちで研究会、勉強会を開催し、どうしたら子どもたちの心をつかめるのか、いい学級運営ができるのかを学び合うなど、内発的に変わるという成果が上がっているとのことであります。
 このような先生が内発的に変わる取り組みについて、本県ではどのように進めているのかお尋ねして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
 県教育委員会では、平成26年度、今日的な教育課題を扱う32講座のテーマ研修や、教員それぞれがみずからの教育課題を克服するため自発的に参加する76講座の能力開発研修など、さまざまなプログラムを用意し、教員のスキルアップを支援しております。例えば、教員の対人関係能力の向上を図るため、教職員のかかわる力を高める実践講座では、ロールプレーを用いて子どもや保護者とよい関係を築いたり、同僚と共同で活動したりする力を高めております。
 また、わかる授業のためのICT活用講座では、コンピューター、プロジェクター、デジタルカメラなどのICT機器を用いて、子どもたちがわかる授業について実践的な研修を行い、指導方法の改善に努めております。こうした研修は全て教員がみずから進んで課題解決に向かう、いわば内発的な教育活動を期待し促すものであると考えます。
 現在、県教育委員会では、教員の一層のスキルアップや課題克服を目指し、教育センターと関係課が一体となって研修内容全般にわたる見直しに着手したところです。見直しに当たっては、議員御紹介のあこがれ先生プロジェクトなどの取り組みも参考にさせていただき、より効果の高い取り組みを研修体制の中に取り入れ、子どもたちが信頼し、憧れを抱くような教員の育成に努めてまいります。以上です。
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