Shiman養神館 本文へジャンプ
養神館合気道
55回全国大会
54回全国大会
53回全国大会
                   
稽古の反省


1.稽古の反省
三カ条抑え(一)・平成21年3月22日(日)午後3時・島根県立武道館
後ろ両手持ち三カ条抑え(一)・・・左足を右後方に引き、さらにすり足で左足を軸に右足を丸く180度引く。右手で受けの右手に三カ条をかけ、左から右に重心移動し極める。左後方に受けの腕をしごくようにして引き崩し、仕手の後方に回すようにして受けをうつぶせに制するところにコツがいります。疑問点はビデオ/DVDを拝見するのにほとんどの師範が受けの引きにあわせて右足を丸く引きますが、その時左足を踏み込みながら右足を丸く引いています。私は踏み込みながら右足を丸く引く方法は私は本部では習っていません。またテキストのもそのような方法を示していません。左足を踏み込むことでリズムがとりやすく、受けとの間合いが空くので右足が受けの足とぶつからず足をを回しやすいという利点はありますが、一挙動だけ動きが多くなり時間が掛かるという欠点もあるように思います。また踏み込まないことによりより高度な技術が求められ稽古の価値が高まるように思いますがいかがでしょうか。単純な間違いなのか、これが正式な型なのか、やっている師範自体がいろいろやってみせるので混乱します。左足を踏み込むことなく、右足を丸く後方に回し引き事が本来の基本の型ではないでしょうか。これと似たところがもう一カ所あります。自分の後方に回し崩す受けをうつぶせに崩すときも、一見仕手は前足(右足)に重心をのせたまま後方に回すところであります。これは後ろ足(左足)を軸に回っていきますので、重心は後ろ足に掛かっていきます。この左足は前に踏み込むことなく回転させることにより、左手の三カ条の極めを有効なものとし、受けを崩すのを助けます。踏み込むと回りやすくなりますが三カ条の極めを甘くすると思います。前段の疑問とする手法にも同様な技術的問題が認められると思います。初代宗家館長のいわれるがごとく「軸足を動かすな。」ということであります。ただし、初代宗家館長もDVD(養神館合気道技術全集)では軸足である左足を踏み込んで右足を後方に回しており、いったいどちらが本当なのか疑問に拍車を掛けます。私は流れの中でやりやすいのでそうなっただけで基本の型は左足は動かさないのが正解ではないかと思っています。型を自由技風にすれば多少の崩れも許容されることはあると思います。
 ここでの基本技と自由技の違いは別の表現でいうと楷書と行書の違いともいえます。つまり、後ろ両手持ち三カ条抑え(一)に行書法と楷書法があるのではないかということです。師範らが時たま見せる後ろ両手持ち三カ条抑え(一)の二挙動めの左足の踏み込みによる右足の引きは行書法であり、左の軸足を固定し回転する養神館の基本の教えは楷書法ではないでしょうか。師範は長年やっているうちに自然に行書法になったのであり、基本の教えと明らかに違いますが、間違っているわけではなく、二つの方法があり、足の踏み替えによる軸足のずらしの方法がよりやりやすいということを身をもって示しているということではないでしょうか。この師範の二挙動めの左足を踏み込み左軸足をずらした右足回しは『養神館合気道技術全集』で多くの師範の動きから確認することができます。一つの解決策として最初の一挙動目の左足を
斜めに後方に下げるときの足幅を肩幅よりやや広げる程度にすることです。つまり同全書より足幅を狭くすることで受けとの間に空間を広げ右足を引きやすくすることができます。私はこのように習った覚えがあります。足幅が広がれば受けとの空間が狭くなり次の動きの際に左足を前方に踏み込まざるを得なくなるのです。
○合気の研究・・・弛緩の合気対し、宗家館長風の張りの合気のこつがわかりかけています。合気の原理は「押さば押せ、引くかば引け」ではないかと思います。合気の定義は体重もしくは体幹の力を中心力・弛緩力を使い手や足の末端に伝導させ、相手の無意識的筋肉反射を利用し、固定力・呼吸法・円運動により、上又は下に崩し、制し又は抑えることではないかと考えています。足の移動力や回転力を使えば技であり、合気とはいえませんが合気技と柔術技を連絡させたり、技の最初の部分と極めの部分に合気を導入すれば効果的に技を使えるようになるのではないかと思います。受けの力を小手の合気で丸く螺旋状に崩し、立円の体の合気で技を極めるというのが、合気道の究極の技となるのではないかと思います。合気+柔術=合気柔術=合気道と考えます。

2.稽古の反省
三カ条抑え(二)・平成21年4月5日(日)午後5時・島根県立武道館
○片手持ち側面入り身投げ(一)の指導法をやりました。定義がくどくならぬよう側面入り身投げの定義を最初に言ったら次の片手持ち側面入り身投げ(一)では片手持ち(一)の説明だけで、側面入り身投げの用語の説明は省いても良いのではないでしょうか。注意事項としては受けのやり方を説明したら良かったと思います。
○三カ条抑え(二)の技法には後ろ足を軸に方向転換する部分がたくさんあるので、安易さに流れることなく、後ろ足を踏み込まずに方向転換する稽古が大切ではないかと思います。体さばきの稽古で合い半身に構え後ろ足で回転する稽古をすると良いと思います。
○小手返し(一)をやりました。最後の小手返しは受けの指先を寝かせることなく立てて極めることが肝要かと思います。受けの手を立てるためには受けの手が仕手の腹の前にあることが肝要です。今ひとつ重要なことは最後の切り下ろしの際に右肘を完全に伸ばさないことではないかと思います。手首、肘を曲げた幽霊のような腕の形が有効です。
○片手持ちにより、合気をやって見せました。相手と力をぶつかるところを作り、その接点を動かすことなく、一瞬の間に手を弛緩させることにより受けを棒立ちにさせます。受けは合気が掛かり動けなくなります。この手法は胸持ちその他にも転用できると思います。
○四カ条の極めは人差し指と親指を伸ばすことにより、人差し指の付け根が有効に働きます。持つ部分と極める位置が重要となります。
○正面打ち入り身投げ(二)の自由技では、右手の突き上げの際に肘から先が掛かるなど浅くなりがちです。深く掛けるにはどうしたらよいでしょうか。巻くようにして受けを仕手の側に引き寄せたらどうでしょうか。

3.稽古の反省
一カ条抑え(一)・平成21年4月19日(日)午後5時・島根県立武道館
○後ろ襟持ち一カ条抑え(二)は後ろ足を軸として回転します。受けの右手を持つタイミングに注意する必要があります。右足を軸に回転するときは側面打ち入り身投げと同様、後ろ足の膝を曲げると上手く回転できます。回転の途中から受けの右手を離脱して回転します。
○自由技の正面打ち入り身投げの要領を研究しました。まだ強引に受けを起こそうとする場面がみられました。受けを引き込みながら螺旋に巻き上げることが大切です。もう一つは受けの手を下に切りおろし受けをしっかり下に崩しておく事が大切ではないでしょうか。
○片手・双手取り腕落としは受けが仕手の腕をしっかり持つことがポイントです。合気の稽古がしやすい技です。帯両手持ち腕抑えは姿勢がポイントです。肩持ち腕抑えは脇を締めることがポイントです。肘持ち二カ条抑え(一)の手法の応用です。
○一カ条の抑え方を研究しました。抑えの時やや顎を上げ、息を吐き出しながら腰を入れる身体の力を緩めることがポイントです。座ったときは合気の稽古法が取り入れてありますが、立ち技の時はありませんので、塩田剛三先生がやられた肩持ち腕抑えで立ったときの稽古をしました。立ち技の時は片手持ち四カ条抑え(一)の表の稽古が有効です。
○呼吸力に十分な弛緩が加わると、合気となります。広い意味では呼吸力は合気と同義となります。しかし、狭い意味では合気と呼吸力とは別のものであると表現した方がよいと思います。ただ関連性や連続性はおおいにあり、大東流合気柔術・佐川派吉丸蛍雪師伝のいう合気と養神館でいっている呼吸力との違いは弛緩の度合と部位の差があるのではないかと思います。それが吉丸蛍雪師の弛緩力と脱力もしくは養神館で言う力の抜きという表現の違いになって現れてくるのではないかと思います。もう一つの違いは養神館でいう呼吸力は中心力であり、固定力移動力などの筋力を使います。合気では体幹を主に使い、筋力とは逆の弛緩力を有効に使います。同じ技を先に呼吸力で制する方法を稽古し、次に弛緩力を加えた稽古をします。両手胸持ち腕抑えや双手取り片手腕落としはこの段階的な呼吸力と合気の違いを認識する稽古に適しています。抜きの方法についてはある方が著書とDVDで演じておられますので参考にされると良いと思います。
○体幹+弛緩=弛緩力(体重力)=合気 中心力(筋肉・骨格)+気(精神・神経)の作用=呼吸力
  呼吸力(中心力・固定力・移動力・回転力+気の作用+伝達力)≠合気(体幹+弛緩力+伝達力)と考えます。

4.稽古の反省
一カ条抑え(二)・平成21年5月10日(日)午後5時・島根県立武道館
○後ろ両手持ち三カ条抑え(一)について安藤先生に確認したところ、右半身に構え仕手は後ろ足(左足)を前に踏み込むことなく、前足(右足)を丸く後ろの引くのが正解だそうです。構えの姿勢から左足を左斜め後方に引く時、最初に足を開きすぎるところに問題があると思います。私は構えの歩幅よりやや広くする(二足長)とならいましたが、臂力の養成(二足長半)くらいの歩幅に開くと、その姿勢からは後足である左足を軸にして右足を回し引くことは難しく、自然と左足を踏み込んで受けとの間隔をとって右足を回し引くという動きになっていくのではないかと思います。ですから歩幅の調整が必要になるということです。もう一つのポイントは後ろ足を軸にしての回転を稽古する必要があります。その際に体の変更(二)等回転動作の時に前足を踏み換えない事の重要性も塩田剛三先生を例にあげて指摘しておられます。後ろ足を軸に回転をする稽古のさいも同様なことがいえます。このことも踏まえて稽古をすれば、後ろ襟持ち一カ条抑え(二)の回転もスム-ズにできるようになると思います。同時に後ろ足を軸にした技、後ろ両手持ち三カ条抑え(一)、後ろ襟持ち一カ条抑え(一)、片手持ち側面入り身投(一)】、小手返し(一)(二)、正面突き肘当て呼吸投げ(一)も上手くできるようになると思います。
○合気上げ・・・お互いが、正座をし、受けが仕手の膝の上にのせている仕手の両手首あたりを上から力(ちから)一杯押さえつけます。仕手は受けの両手持ち上げます。合気上げの稽古です。できない状態からできるようになっていくのが稽古ですので、最初からはできません。できるようになるまであきらめず何度でも挑戦してみてください。そのうち必ずできるようになります。ポイントは肩を上げないこと、姿勢を正すこと等です。立姿勢で仕手が受けに両手首を持たせ、いろいろな手法を用いて受けを投げる稽古方法を紹介しました。ポイントは持たれた手首は動かさずに別の部分を動かして制することです。
○自由技では入り身突きの稽古をしました。まだ今後に課題を残しています。

5.稽古の反省
四方投げ(一)・平成21年5月17日(日)午後3時・島根県立武道館
○四方投げのポイントを部分に分けて稽古しました。手の作用だけで倒す稽古、体を振り込み早く入身をし、肩口への折り込みを協力にする方法など稽古しました。崩れ四方では投げるとき軸足をスライドさせている方をままみかけますが、そうでない方もいます。どちらがよいのでしょうか。せっかく肩口に折り込んだ勢いが、前足をスライドさせて投げると流れを中断させるのではないでしょうか。竹野先生の四方投げ崩しをみる限りは前足をスライドさせていません。私はこれが正解ではないかと思います。つまり剛三先生が言うように「軸足を動かすな」ということではないでしょうか。スライドさせる場合は仕手が受けの親指部分を持っている場合、折り込みが弱くなるので、足を踏みこまないと技がきかないからです。

6.稽古の反省
四方投げ(二)・平成21年5月24日(日)午後5時・島根県立武道館
○四方投げ(二)の稽古はしませんでした。呼吸力・合気などの力の出し方、抜き方をいろいろ研究・稽古しました。合い気上げのポイントを教えました。全員すぐできるようになりました。あとはその発展・応用をいろいろ試してみることが残っています。
○後ろ肩持ち一カ条抑え(一)の最初の下がり方と肩の回しとの供応動作のタイミングなど稽古しました。

7.稽古の反省
  側面入り身投げ/平成22年1月17日(日)午後3時・島根県立武道館
  最近、岩閒の合気道を見学させ.ていただきました。両手取りによる側面入り身投げ(二)のことをここでは呼吸法と称して稽古していました。養神館風の側面入り身投げとは違っていました。もっとも養神館には諸手取りによる側面入り身投げは基本技にはありません。養神館流にやると仕手を中心に受けを誘導し、受けを動かして投げます。岩間の磯山先生はこれでは受けが動かないので、受けが持っているところ(仕手と受けの接点)を動かさないで、受けに腕をしっかり両手でねじらせ、肘を返して受けを崩し、側面に入って投げておられました。磯山先生は軸足を動かさず崩して入りますが、お弟子さんは側面に入ってから崩して投げていました。入り方が少し違っていました。磯山先生のやり方は逆半身ではありますが表・(一)の技であり、お弟子さんの技は逆半身からの裏・(養神館でいう二)ではないでしょうか。養神館は固い(固定)稽古をすると思っていましたが、岩間流の方がより固く、より実戦的であると思いました。とはいえあくまでもこの技に関しての話でありますが…。養神館流でやると仕手は軸足を動かさず、受けを誘導して技に入りますが、岩間流のやり方は仕手自ら技に入りやすい位置に移動して技をかけています。磯山先生とお弟子さんの共通点はどちらも受けを誘導(移動)していないところです。
  受け中心で見れば岩間流は受けを誘導しないので楷書であり、養神館は受けを誘導しているので行書となります。技は受け次第で変わっていきます。受けが止まって動かないようであれば岩間流が効果的であり、踏み込んで押し込んでくれば養神館流が有効となります。注意しなくてはならないのは稽古には楷書、行書、草書の三つの方法があり、ここでいう岩間流にしても養神館流にしてもこの側面入り身投げの稽古法がこの技のすべてというわけではなく、同じ技でも段階によって、時によって三つの稽古方法を稽古体系として持っているのが開祖の創始した合気道の特徴と考えられます。個々の技の違いがあっても全体的・総合的に見るとこのような違いは違いというよりも行書と楷書の稽古方法もしくは表現方法の違いと考えた方が良いのではないかと思います。
 例えば養神館では片手持ち四方投げ(一)の動きは楷書であり、正面打ち四方投げ(一)は受けを誘導し移動させ、崩して投げるので、行書と表現して良いと思います。自由技としてやれば仕手の体さばきによる受けの誘導に加えて、四方投げの変形技(四方投崩し)により流れるような投げ技に変わってきますので草書といえます。
 私が注目するのは楷書に相当する側面入り身投げ(二)があるということで、この手の動きは養神館が両手の平を上に向け、段違い平行にするのに対し、岩間流では両手を向き合わせ、両手もしくは片手を額の高さに振りかぶります。手の違いや足の踏み込みの違いはあっても腰の動きは入り身ということで共通しており、これを見ると養神館の体の変更(二)という基本動作の原型がこの呼吸法ではないかと想像をかき立てられます。
 もう一つ気がついたのは養神館の片手持ち側面入り身投げ(二)は受けに動きを約束させて技を成立させていますが、この岩間のやり方は左手を臂力の養成(一)のように腕を振りかぶってから投げに入るものでこれを使えば受けの取り方に関係なく投げられます。この点を見て私はこの呼吸法は側面入り身投げの原点であると同時に実戦的であり側面入り身投げの可能性が広がったように思いました。

①               ②               ③
  
右は磯山先生
④               ⑤                              
 

⑥               ⑦
 
*①では受けは仕手の手をしっかり捻ります。
**④腰の向きを変え肘をおろし受けを崩します。④⑤の写真は①②③の写真とは立ち位置が逆で右逆半身と左逆半身の違いがあります。
***⑤では手のひらを上に向け腰を切り投げます。
****②と⑥の足の踏み込みの違いに注目
*****②と⑦の手の振りかぶりが養神館と違うところに注目。手は甲側を上にしています。養神館では甲を下にして技に入ります。


 注意すべき有段技  平成22年3月21日(日)
片手持ち四ヶ条抑え(一)(二)・両手持ち四ヶ条抑え(一)(二)  この技は他の胸持ち・肩持ち・肘持ちと違い離脱はしないで行うところに特徴があります。
肩持ち・胸持ち二ヶ条抑え(二)   この技は肩持ち・胸持ち二ヶ条抑え(一)と違って回転の時、肩もしくは胸から受けの手を離脱するところ特徴があります。
後ろ両手持ち肘締め(一)(二)・後ろ技片手襟持ち肘締め(一)(二)・  この技は後ろ両手持ち一ヶ条抑え(一)(二)と違って踏み込みの時、止まることなく一気に胸に抱え肘を締めます。
後ろ技両手持ち肘締め(二)  (二)の時、受けの甲側を持つ手は手首を持つ手と交差して肘側を抱えるようにするところがこの技の他の関連技と違う特徴があります。ちなみに後ろ襟持ち肘締め(二)は受けの手首と甲側を持ちます。
肘持ち肘締め(一)(二)  この技は一ヶ条抑え(一)(二)と違って離脱せず一気に肘に抱えるところに特徴があります。
正面打ち肘当て呼吸投げ(一)  この技は正面打ち四方投げ(一)のように内よけはせず正面打ち一ヶ条抑え(一)のように正面に向かい斜め方向に切り下ろして技をかけるところに特徴があります。
片手持ち小手返し(一)  この技は正面打ち一ヶ条抑え(一)のように後ろ足を軸に回転せず一度右斜め前に進み離脱しながら左方向に足を入れ替えて進み受けを後方に倒すところに特徴があります。
両手持ち小手返し  下段の離脱法合わせるようにしてずらし左れで受けの左手甲側を持ち右ではなく仕手の両手を合わせるようにしてずらし左手で受けの左手甲側を持ち左足を進めて受けの後方に倒します。
両手持ち正面入り身投げ(一)  最初の入り方は終末動作(二)のようにして受けを崩してから投げに入るところに特徴があります。
両手持ち側面入り身投げ(一)   この技はDVDや技術書にも解説が載っていません。(一)は終末動作(二)のような手の形ではなく体の変更(二)のように段違い平行に行います。ただし右手は受けの左手の上にのせるようにします。両手持ち側面入り身投げ(二)も足の形は違いますが、手の形は同じです。