2002年のデンマークの高齢者福祉
2002.12改訂版
                              デンマーク研究会代表 関 龍太郎  

1)2002年のデンマークの高齢者福祉
2)エルシノア市の概況
3)日本とデンマークの比較


エルシノア市の概況
島根県保健環境科学研究所/関龍太郎
1.エルシノアの規模
人口 58000人  全国10番目
年金受給者 12000人で20.7%
67歳以上人口は8000人
福祉関係スタッフ 1250人
市議会  定数25名
市長は給与57万クローネ 1000万円程
議員はボランティア 5万クローネ 約90万円
毎月第1と第3の5時半から
340億の予算で社会福祉は41%
4億1500クローネの高齢者福祉予算で約3割
90年に3原則で高齢者福祉計画スタート95年に修正
週37時間労働
2.高齢者計画の課題
  1. 高齢者を代表する「高齢者障害者審議会」が設置されている。これは、施設にあった「利用者委員会」が地域に発展したものであると思われる。苦情処理委員会の設置
  2. ナーシングホーム(プライエム)の廃止・・・1985年頃からプライエムを高齢者住宅へ改変
  3. プライエムはプライボーイとかセンターボリーという施設になっており、おおむね1万人に50ベットの確保がされている。主として、痴呆対策に活用されている
  4. 3地区に「統合福祉センター」の設置   ・・・独立採算性
    これが5地区にと言う記述もあります・・99年福島・・・以前は5地区
    地区では、24時間介護・・・・看護師介護士チーム・・内部のメンバー構成としては8年前より看護師の比率が増している
    活動、リハビリ、補助器具・・・・作業療法士、理学療法士
    食事・・・・栄養士、キッチンスタッフ
    財政経理・・・・財政担当、事務員
    その他
    2003年からは南地区のセンターを「リハセンター」に改変の予定。リハの必要性が増している
  5. 看護師・介護士チームはエルシノアの旧市街地人口約6万人では10チームあります。そのひとつをベティさんが担当しています。4つが「在宅外チーム」で6つが「老人ホームうちチーム」です また、スネッカースティーンでは昼間6つのチームがあり、2つのチームの詰め所がボベルホーゲンの中にあり56名を二つに分け担当しています。したがって 他に4チームあり400名を担当しています・ チームは13人のヘルパーと3人の看護師で構成され、看護師がリーダーです。福祉のリーダーが看護師になっています。
  6. 完全な施設と在宅の統合はうまくいかない部分があるので2003年から10年間を総括して新たな飛躍を考えています。詳細まだ検討中。
  7. 判定者と提供者が2003年1月より、別の人になります
  8. 現在は、本人・家族・医師が申請し、ベティさんが行き1-1.5時間かけて全人的把握をする。特に、人のネットワークを重要視している。以前比較して家族の状態を把握されることが強調されている「家族の役割」が強くなってきている
  9. ヘルパーの役割も財政的に制約され、洗濯は2週間に1回、掃除は2時間までと言う基準が出来ている。しかし、本人には細かい時間配分は知らされていない。知らすと本人の権利主張が強くなりすぎる懸念がある。
  10. 教育は1990年からヘルパー1年、看護師3年9ヶ月になっています
      91年の制度がえで、ヘルパーは「社会保険ヘルパー」という名称になっている
  11. 民間委託が検討されている
    たとえば、基準以上の家事労働では15%が民間委託
    今後、訪問看護も可能性が出てくると考えられる
    200クローネの必要経費のうち100−80クローネを国が補助、しかし、今後、国は補助金カットの方向である

    ★アクティビティセンター・・・・ハムレット
    前回・・財政は約536万円(26万8千クローネ)を市から補助
    参加費は1000円(54.5クローネ)
    利用者700名、ボランティア40名
    職員は作業療法士と社会保健福祉士の2名・・2002年調査では4名
    センター運営委員会7名と上の2名
    575名利用
    このうち35*575*12、これで維持、運営費をまかなう
    市はこの差額を収入としていれるが4人の人件費を負担
    2004年には、市は経費は出すが人市の職員を引き上げることを考えている
    この施設には痴呆35名を対象としたデイホーム、オープンデイセンターがある。デイホームおよびオープンデイサービスの送迎は往復1回3クローネである・・2002年調査
    判定の必要な人はデイホームと送迎対象者
    利用者委員会長・・高齢者障害者審議会長と同一・・・2年に1回選挙で選出される
    ★配食センター
    ハムレット
    350−500食を配食  ・・・660円(33クローネ)
    150人がカフェテリア利用 ・・・
    ハムレットが作り、周辺の施設、カフェテリアに配食している
    ★課題・・・高齢者人口の増加、老人ホームの改築、スタッフ不足、
    20.9%の市税をどうするか
    予防の強化・・・防げるものは防ぐ
    労働環境の整備 残存能力の活用 24時間看護
    ★ケア付き高齢者宅・・・24.5平方メートル 56戸 ボベルゴーデン
    80000円ですが国からの補助で実質26000円
    食事と掃除で月50000円でサービス
    ★デイホームはエルシニアに2つ・・・ここは痴呆の重症
     スタッフは4名で3ヶ月で見直し 25名通っている
    ★カフェテリア
    フルタイム12名、うち栄養士2名
    一日平均150名が利用
    ★痴呆棟等
    エルシニアには重症の痴呆老人の施設が6カ所あります
    そのひとつはディホーム的な施設で昼間だけお世話しています
    ビエケボーには痴呆棟があります
    一階には12名で1グループの痴呆棟があります。二階は一般棟
    痴呆専門コンサルタントが確認。1ヶ月半もかかる
    1人に1.2人のスタッフ
    入居者12名に7−15時が4人、15−23時が3人、23−7時までが一人で勤務
    7−8畳のバストイレの個室
    コンタクトパーソン
3.身体介護は公的で、しかし、配食サービス、清掃の民営化
 
4.コンタクトパーソン
担当介護職か
5.痴呆コーディネーター
なれるのは看護婦、作業療法士、理学療法士、社会保険アシスタント
6.ボブルコーデン・・高齢者統合福祉施設
1977年にライオンズクラブが設立
1991年に総合センターになる
このような施設10年前に統合福祉施設に
 面積は4000平方メートルとひろい
このような施設がエルシノアには5つあったが3つに統合
 居室56室
看護師3人、介護11人のスタッフは14人で1チーム、ここには2チームある
食事はハムレットで作り、ここに配食
クリーニングはクリーニングチームで行う
現在、南地区には2つの高齢者統合福祉施設があり、部屋は106室であるが1つだけが3ヶ月以内のショートスティであり、105部屋はパーマネントである
この中にグループホーム2ユニット6人2ユニット=12人がふくまれている
南のこの施設には56室あり28人、28人の二つのチームに分かれている。働いているスタッフは60-62人。ここでも、ショートは56部屋のうち3部屋である
将来(2005年)は南地区のショートを集め、全部をショートにするとともに、ここは「集中リハ施設」に改築利用を2003年よりする方針
ショートスティの最大の期間は3ヶ月である。主として痴呆対策であり、社会保険アシスタントが対応しているこれは。ホームヘルパー1年2ヶ月の上に1年5ヶ月−1年8ヶ月の積み上げ教育システムである
入所およびデイホーム(痴呆対象)の利用者は地区リーダーが判定している
しかし、今後(2003年1月)、判定は他のチームでする考えが強い。ここの施設長は「任せるべきだ」と反対している
労働環境はOTが守っている
7.高齢者住宅
家賃は4500クローネ、約81000円
入居するには判定委員会の判定が必要である。全員は入れない。

★高齢者審議会
代表は80年から、94年には3分の2の自治体にできる。97年に法制化
県段階も14県中に12県にある、法制化されているかも
代表は選挙で選ばれる、市議会選挙と同時
利用者委員会が進化したものと考えて良い
8.エルドラセイエン
高齢者政策の最大の圧力団体
46万人の会員。全人口の8%にあたる会員がいる
1910年に困った高齢者を助ける会として発足
1986年にあらたな目的で再発足
高齢者を助けるとともに高齢者の人権を守る
男女平等と同じように高齢者の権利を守る
独居老人の社会参加を促す
利用者の立場から見る
市とか県に対する
最初会員の獲得目標を5−7万5千としたが1年で達成した
年2回の会費で運営
230支部増え、県支部は18県
フレディスボルグでは42000人、18市に支部
会費は年間150クローネ、半年分でタバコ2箱

訪問、買い物、電話かけ、ケア、交通、雪かきも等
ITプロゼクト、運動指導体操、シニア体操・・・体操の友も
9.年金
7000クローネ
高齢者の家計の一例
月額年金 8552クローネ
税金1984クローネ
家賃4208
家賃暖房費の補助が3422クローネあるので、差し引き5784クローネ日本円で 92.544円となり、これで食費、暖房費、固定経費をまかなう
10.全寮制高齢者国民高等学校
  1. 55歳からが対象、4つが障害、高齢の学校である
  2. 30人のスタッフが働いている
  3. 1700人が受講
  4. 原則として1−2週間
  5. 2週間が原則、全寮制
  6. 全国から受講
  7. 週25時間が最低
  8. 国から教育補助金が出ている
    必要経費の2分の1に相当
  9. 全寮制の国民高等学校は、全部で80校はありそう                   .トップに戻る